第06話:迫り来る昆虫族デッキ



『啓輔、ごめーん・・・。』
「まったく、何やってたんだ、お前は。」
『いや、ちょっと事情があってね・・・。』
「まぁ、いいけどな、別に・・・・。そんなことより、アレ見てみろよ。」
『ん?』

啓輔が指差す方向を見てみると、そこには何やら大きなロボットが複数台置かれていた。
ロボットの周りでは作業服を着た人が何人もでチェックを行っており、よく見てみると
ロボットの手にはついこの前発売されたばっかりのデュエルディスクが装着されている。
ショップに新しく導入されたデュエルモンスターズの販促ロボットなのかな?

『何あれ? デュエルモンスターズの販促ロボット?』
「アレは海馬コーポレーションから試運転的な形で今日から店に置かれることになったロボットで、
 店長が言うには次世代型デュエルトレーニングシュミレーションなんだそうだ。あらゆるデッキが
 インプットされていて、毎回違ったデュエルをトレーニングとして楽しめるんだってよ。」
『いわゆるシュミレーターってやつか~。もう使えるの?』
「今は最終チェック中であと4、5分で使えるらしいぜ。俺は一戦やってみるつもりだけどな。」
『じゃあさ、啓輔。シュミレーターのチェックが終わるまで、私と一戦やろうよ♪』
「でも、4、5分でなんか勝負つかないぞ・・・・。」
『むぅー。』


「じゃあ、私と一戦やってくれないかしら?」


後ろから話しかけられ、啓輔と一緒に声のした方に振り向く。
そこにはいかにも日本美人というくらい綺麗なポニーテールの女の人が立っていた。
あれ、私と同じ制服を着てるってことは、同じ高校の人?
こんなに綺麗な人、うちの学校にいたっけ・・・・?

『あのぉ、私たちと同じ学校の方ですよね?』
「そうよ♪ ソレがどうかしたのかしら?」
『いや、お姉さんみたいな綺麗な人がうちの学校にいたかなって思って・・・。』
「あら、嬉しいこと言ってくれるじゃない♪ でも、私のことは知らなくて当然よ。
 私は最近転校してきたばっかりだからね。」
『そ、そうだったんですか・・・。』
「それで、私とデュエルしてくれるのかしら?」

ニッコリと屈託のない笑顔で私のことをジーッと見つめてくる美人なお姉さん。
いや、お姉さんかどうかは分からないし、そんなことはいいとして。
デュエリストとして、挑まれた勝負を逃げるわけにはいかない。

『もちろん、やりますよ! よろしくお願いします!』
「私の名前は春日 奈央、よろしくね♪ それでは・・・」



決闘(デュエル)!!!!




私たちがデュエルを始めるとなり、ショップでシュミレーターの様子を見てた子供たちも
次から次へと私たち2人のデュエルを観戦するために傍まで寄ってきた。


デュエル開始!
● 茜 :ライフ8000 手札5枚
● 奈央:ライフ8000 手札5枚


「私から行くわ、ドロー! 私は手札より毒芋虫を攻撃表示で召喚!」

モンスターカード》
毒芋虫(ポイズン・ワーム)
効果モンスター
☆1 / 地属性 / 昆虫族 / 攻 0 / 守 0
表側表示のこのカードが戦闘で破壊された時、相手モンスター1体を選択して破壊できる。
その戦闘によって発生する戦闘ダメージは、相手が受ける。

『攻撃力も守備力も0のモンスターを攻撃表示?』
「昆虫デッキか・・・。茜、気を付けないと昆虫デッキは強いぞ!」
『ちょっと毒々しいけどこんなにかわいいのに、そんなに強いの?』
「ふふふ、モンスターは見た目じゃなくてよ?」
『でも、私の魔術師デッキの前に負けの2文字はないんだから!』
「よっぽどデュエルに自信があるのね♪ 私はカードを2枚セットして、ターン終了よ。」


● 茜 :ライフ8000 手札5枚
● 奈央:ライフ8000 手札3枚 モンスター1枚 リバース2枚


『私のターン、ドロー!! よし、私はこいつで勝負! 不可視の魔術師!』

《モンスターカード》
不可視の魔術師(ステルス・マジシャン)
効果モンスター
☆4 / 闇属性 / 魔法使い族 / 攻 1000 / 守 1800
このカードは相手プレイヤーに直接攻撃できる。
自分フィールド上にこのカードを除く他のモンスターが存在する場合、
相手プレイヤーはこのカードを攻撃対象にすることはできない。

このカードは相手プレイヤーに直接攻撃できるから、毒芋虫に攻撃する必要はない。
攻撃力は1000ポイントしかないけど、地道に削っていけばデュエル終盤では大きなダメージになる。

『いくわよ! 不可視の魔術師でダイレクトアタック!!』
「1000ポイントなら痛くはないけど、その攻撃は遮断させてもらうわ。
 リバースカードオープン、大繁殖!」

《魔法カード》
大繁殖
速攻魔法
自分フィールド上に存在する攻撃力500以下の昆虫族モンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターと同じ攻撃力・守備力・効果を持つ昆虫トークンを可能な限り、
自分フィールド上に特殊召喚する。(表示形式は任意で決定する。)
このターン、相手は選択したモンスターとトークンすべてに攻撃しなければならない。
自分フィールド上にモンスターが既に5体存在する場合、このカードは発動できない。

「私は毒芋虫を選択する! これで、私のフィールドには4体の毒芋虫トークンが特殊召喚される。
 さらに、あなたが召喚した不可視の魔術師は大繁殖の強制効果によって、私のフィールドに
 存在するすべてのモンスターに攻撃することになるわ。」
『な、なんですって!?』

不可視の魔術師の攻撃が、毒芋虫と毒芋虫トークンに遮られる。
攻撃中断は当然できないため、不可視の魔術師は毒芋虫とトークンをすべて攻撃で破壊した。

「毒芋虫の効果は、破壊された時に受ける戦闘ダメージをすべて相手プレイヤーに与える。
 あなたがこのターンに破壊したのは毒芋虫とそのトークン5体。トークンは毒芋虫と同じ効果を
 持つから、すべての戦闘ダメージがあなたに与えられる。毒芋虫+トークンのダメージは
 1000ポイント×5体だから、全部で5000ポイントのダメージね。」
『嘘!? いきなりから5000ポイントのダメージ!?』
「わずか2ターン目にして相手のライフポイントを半分以上削るなんて・・・。
 あの女、かなり強いな・・・。」

8000ポイントあったライフが一気に削られ、まだ2ターン目なのに私の残りライフは3000ポイント。
リバースカードには一応警戒していたけど、まさかこんなカードを伏せてあるなんて・・・・。

「さらに、毒芋虫は破壊された時に相手のモンスター1体を破壊することができる。
 私は不可視の魔術師を破壊するわ。」
『私の不可視の魔術師が・・・!?』
「さらに、毒芋虫たちが破壊されたことでもう1枚のリバースカードが発動する。
 罠カード、女王による緊急警報!」

《罠カード》
女王による緊急警報(クイーンズ・エマージェンシー・アラート)
通常罠
自分フィールド上の昆虫族モンスターが破壊された時、手札を1枚捨てて発動する。
自分のデッキまたは手札から昆虫族モンスター1体をフィールド上に特殊召喚する。
(表示形式は任意。)

「このカードは自分の昆虫族モンスターが破壊された時に手札を1枚捨てて発動することで、
 デッキか手札から昆虫族モンスターを特殊召喚できる。攻撃力やレベルの指定がないから、
 いきなり上級モンスターを呼ぶことも可能なの。私がデッキから特殊召喚するのはこのカードよ。
 いでよ、女王蜂 クイーンズ・ビー!!」

《モンスターカード》
女王蜂 クイーンズ・ビー
効果モンスター
☆8 / 風属性 / 昆虫族 / 攻 2800 / 守 2200
このカードの召喚・反転召喚・特殊召喚のいずれかに成功した時、自分フィールド上に
蜜蜂トークン(☆1 / 風属性 / 昆虫族 / 攻 500 / 守 500)を2体守備表示で特殊召喚する。
自分のスタンバイフェイズ時、自分フィールド上に蜜蜂トークンを1体特殊召喚する。
500ライフを支払うことで、相手モンスター1体の表示形式をターン終了時まで変更することができる。
(この効果は自分ターンのメインフェイズ1でしか発動できない。)
蜜蜂トークンを1体生贄に捧げる。このカードの攻撃力は500ポイントアップし、ターン終了時まで
魔法・罠・モンスターの効果の対象にならない。この効果は相手ターンでも発動することができる。

「これが私の切り札。どう? 優雅で美しいでしょ?」

確かに優雅で美しいと言えば美しいけど、あまりのデカさに化け物蜂に見えるのは気のせい?
そんなことより、どうにかしないと次のターンで攻撃されたら負けてしまう。

『くそぅ。私はカードを2枚伏せて、ターンエンドよ。』


● 茜 :ライフ3000 手札3枚 リバース2枚
● 奈央:ライフ8000 手札2枚 モンスター1体


「私のターンね、ドロー。」
「まずいな、茜の奴。伏せカードを封じるようなカードでも出されたら、確実に負けるぞ。」
「とりあえず、私のスタンバイフェイズでフィールド上に蜜蜂トークンを1体特殊召喚するわ。
 私はカードを1枚セットして女王蜂 クイーンズ・ビーで攻撃する。
 マシンガン・ニードル!!」

巨大な女王蜂 クイーンズ・ビーのお尻から巨大なトゲが無数に撃ち出され、私の方へ飛んでくる。
でも、この攻撃を通すわけにはいかない・・・ッ!!

『リバースカード発動!! 罠カード、魔法の鏡!!』

《罠カード》
魔法の鏡(マジック・ミラー)
通常罠
相手プレイヤーの攻撃宣言時に発動することができる。
ターン終了時まで、相手フィールド上のすべてのモンスターの元々の攻撃力は半分になる。

『このカードの効果によって、女王蜂 クイーンズ・ビーの攻撃力を1400ポイントまで下げる!』
「いいえ、このターンにあなたが受けるダメージは2900ポイントよ?」
『え? きゃああぁぁぁぁぁ!!!』

女王蜂から撃ち出された幾つものトゲが雨嵐のように降り注ぐ。
元々の攻撃力を半分にしたはずなのに、デュエルディスクのライフカウンターは100になっていた。

「あ、茜!!」
「確かに、あなたが発動した魔法の鏡の効果でクイーンズ・ビーの攻撃力は1400まで落ちた。
 でも、その瞬間に私はフィールド上の蜜蜂トークン3体を生贄に捧げることで、クイーンズ・ビーの
 攻撃力を1500ポイント引き上げて2900にしたのよ。魔法の鏡は元々の攻撃力を半分にするだけだし、
 モンスターの攻撃までは防げないからね。」
『うぐぅ・・・。でも、この瞬間に私はもう1枚のリバースカードを発動させていたのよ!』
「え?」
『罠カード発動、ダメージ・コンデンサー!!』

《罠カード》
ダメージ・コンデンサー
通常罠
自分が戦闘ダメージを受けた時、手札を1枚捨てて発動することができる。
その時に受けたダメージの数値以下の攻撃力を持つモンスター1体をデッキから攻撃表示で特殊召喚する。

『このカードの効果で、私はデッキからブラックマジシャン・ガールを特殊召喚する!』
「あなたが受けたダメージは2900。確かにブラックマジシャン・ガールを呼ぶことは可能ね。
 それで、その魔術師の少女があなたのデッキの起死回生の切り札なの?」
『えぇ、そうよ。このカードはいつだって私と共に戦い、いつだって私を助けてくれた。
 そして、今回も彼女はまた私を助けてくれる勝利の女神になるわ。』
「じゃあ、見せてもらおうかしら。その女神の力を。私はこのままターンを終了するわ。」
『私の、ターン・・・・。』


● 茜 :ライフ100 手札2枚 モンスター1枚
● 奈央:ライフ8000 手札2枚 モンスター1枚 リバース1枚


とは言うものの、どうしよう・・・・。
「あのカード」があればキーカードは揃うのに、今はまだ手札にない。
デュエルもまだ序盤だから、デッキの上にそのカードが来てなかったら勝ち目はない。
次に引くカード、お願いだからあのカードが来て・・・・!!

『ドロー!!』

ドローしたカードを見るが、期待していたカードではなかった。
今回ばかりはいつものようにいかないのか、欲しいカードを引けなかった。
でも、ここで勝負を諦めてしまえば、私の成長はそこで止まってしまう。

「さて、キーカードは引けたかしら?」
『私が望んだカードじゃなかったけど、望んだカードを手に入れることができるカードを引いたわ。
 私は手札より、魔法カードを発動! 魔法カード、封印の黄金櫃!』

《魔法カード》
封印の黄金櫃
通常魔法  ※ 制限カード
自分のデッキからカードを1枚選択し、ゲームから除外する。
発動後2回目の自分のスタンバイフェイズに、そのカードを自分の手札に加える。

『私はデッキからカードを1枚選んで、ゲームから除外するわ。』
「確かに、いいカードを引いたわね。でも、黄金櫃の効果対象にしたカードは発動後、
 2ターンが経過しないと手札に加えることはできない。生憎だけど、今の状況じゃ2ターンどころか
 次のターンで終わりそうだけど?」
『そうね。でも、私は黄金櫃の効果で選んだカードを、このターンで手札に加えるわ。』
「何ですって?」
「おいおい、茜・・・。そんなルールを守らないようなデュエルなんかできるわけないだろ・・・。」
『私は手札より、もう1枚魔法カードを発動。魔法カード、異次元からの救出!!』

《魔法カード》
異次元からの救出
速攻魔法
ライフポイントを半分支払うことで発動する。
ゲームから除外されているカード1枚を選択する。
選択したカードの種類により、以下の効果が発動する。
● モンスター : 自分フィールド上に攻撃表示で特殊召喚する。(召喚条件は無視できない。)
● 魔法・罠 : 選択したカードを手札に加える。

「異次元からの救出?」
「そうか、その手があったか!! うまいぞ、茜ッ!!」
『ライフは半分失うけど、100ポイントから50ポイントになったところであんまり変わらないわ。
 私はこのカードの効果により、黄金櫃の封印を解く! 黄金櫃に封印していたカードはこれよ!
 魔法カード、融合!』

《魔法カード》
融合
通常魔法
手札またはフィールド上から、融合モンスターカードによって決められたモンスターを
墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する。
そのモンスターはこのターン、攻撃できない。

「まさか、この状況で融合すると言うの!?」
「あれ? 茜って融合モンスターなんかデッキに入れてたっけ・・・?」
『まだよ! まずは手札から、魔導騎士 フロームンドを召喚!』

《モンスターカード》
魔導騎士 フロームンド
効果モンスター
☆4 / 光属性 / 魔法使い族 / 攻 1400 / 守 1800
このカードの種族は「戦士族」としても扱う。
自分のターンのスタンバイフェイズ時に、コイントスを3回行う。
表が出た回数により、以下の効果を適用する。
● 1回 : デッキからカードを1枚ドローする。
● 2回 : フィールド上の魔法、罠カードを1枚破壊する。
● 3回 : フィールド上のモンスター1体を破壊する。
このカードが相手プレイヤーに戦闘ダメージを与えた時、相手プレイヤーの
手札をランダムに1枚墓地へ送る。

『キーカードはすべて揃ったわ! ブラックマジシャン・ガールともう1体のモンスターを
 今ここに融合する!』



to be continued・・・・・・



  • 異次元からの救出が紫色なのはいいんでしょうか? -- (要亜希) 2008-11-23 18:13:29
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最終更新:2009年01月29日 13:46