第07話:融合召喚! 聖騎士 マジシャンズ・クルセイダー



ブラックマジシャン・ガールと魔導騎士 フロームンドの融合・・・。
 まさか、あのモンスターを・・・!?」
『魔術師でもあり騎士でもある最強のカードを、今ここに呼び寄せるわ!
 ブラックマジシャン・ガールと魔導騎士 フロームンドを融合!!!』

ブラックマジシャン・ガールと魔導騎士 フロームンドが次元の渦に飲み込まれていく。
最強の騎士を呼び寄せようとしたことで次元の渦から雷が落ち、次第にその雷は人の形となる。

『いでよ、聖騎士 マジシャンズ・クルセイダー!!』

《モンスターカード》
聖騎士 マジシャンズ・クルセイダー
融合 / 効果モンスター
☆8 / 光属性 / 魔法使い族 / 攻 2900 / 守 2500
「ブラックマジシャンガール」+騎士と名の付くモンスター1体
このカードの種族は「戦士族」としても扱う。
このカードの特殊召喚に成功した時、コイントスを3回行う。
表が出た回数により、以下の効果を適用する。
(表が複数出た場合は、出た回数までの効果をすべて適用する。)
● 1回 : 相手フィールド上の魔法・罠カード1枚を自分のカードとして使うことができる。
● 2回 : ターン終了時まで、相手フィールド上のモンスター1体のコントロールを得る。
● 3回 : 相手プレイヤーと自分のライフポイントの差だけ、このカードの攻撃力をアップする。
このカードは融合召喚したターン内に攻撃することができる。

「聖騎士 マジシャンズ・クルセイダー!? まさか、最新パックの一番レアなカードか!?
 なんで茜がそんなカードを!?」
「クッ、やっぱりそのカードを・・・!!」
『このカードの効果はか・な・り強力よ。今からコイントスを3回行い、表が出た回数によって効果が
 発動するわ! しかも、表が複数回出た場合はその回数までの効果をすべて適用することができる!』
「ここまで追い込まれた状況であのモンスターを融合召喚するなんて、かなりの引きね・・・・。」
『いくわよ、運命のコイントス!!』

マジシャンズ・クルセイダーの前に大きなコインが1つ現れ、コイントスを行う。
1回目は・・・・・・

『表よ!!』
「クッ!」
『これで、奈央さんのリバースカードは私のカードとして使うことができる! さらに!』

2回目のコイントス!
これが表だったら、クイーンズ・ビーをこのターンのみ自分のモンスターにできる!

『2回目も表よ!!』
「そ、そんな!?」
『奈央さんのクイーンズ・ビーを頂くわ! もちろん、このターンのみだけどね!』

女王蜂 クイーンズ・ビーがまるで洗脳にかかったように、私のフィールドにやってくる。
奈央さんのモンスターとリバースカードを奪ったことで、奈央さんのフィールドはガラ空き状態。
でも、これじゃまだ奈央さんのライフポイントを0にすることはできない……。
3回目のコイントス、これが決まれた間違いなく私の勝利になる・・・・ッ!!

『3回目、これで勝てるかどうかが決まる!!』
「コレで表が出たら、私の負け・・・。お願い、表は出ないで・・・!!」

コインが宙に浮いて落ちてくるまでの時間が、とてもゆっくりに感じる。
表が出てほしいと願う私と、裏になってほしいと願う奈央さん。
運命の女神は、どちらかにしか微笑まない。
だが、思わぬ結果にその場の誰もが驚きの声を上げた。







「裏だッ!!」
「ふぅ・・・。」
『そ、そんな~・・・・。』

運命の女神は私に微笑んではくれなかった。
今までどんな土壇場になっても、勝利を手にしてきた私。
でも、今回はそうはいかなかった。
決め手には結びつかず、私が危うい状況に立たされていることに変わりはなかった。

「危なかったけど、何とか助かったわね。」
『でも、私の攻撃で5700ポイントのダメージを与えることができる!
 いくわよ、マジシャンズ・クルセイダーとクイーンズ・ビーの2体で攻撃!!』

このターンでは勝てなかったけど、切り札を奪ったんだから少しでもダメージを与えとかないとね。

『まずはクイーンズ・ビーでの攻撃、マシンガン・ニードル!!
 さらにマジシャンズ・クルセイダーでの追撃、聖なる十字剣(グランド・クロス)!!』
「きゃああぁぁぁぁぁ!!」

奈央さんはモンスターによる攻撃を防ぐことができず、5700ポイントのダメージをまともに受けた。
これで奈央さんの残りライフは2300。
でも・・・・。


「攻撃を受けることくらい、計算済みだったわ。それに、このターンで勝負を決められなかったのが
 私にとっては救いだったけど、あなたにとっては大きな痛手になるわね。」

そう、このターンで勝負を決められなかった私は、次の奈央さんのターンで負ける。
奈央さんのクイーンズ・ビーは、スタンバイフェイズに蜜蜂トークンを1体フィールドに特殊召喚し、
親玉のクイーンズ・ビーはその蜜蜂トークンを生贄に捧げることで攻撃力が500ポイントアップする。
今は私のフィールドのマジシャンズ・クルセイダーの方が100ポイントだけ攻撃力を上回っているけど、
次のターンにクイーンズ・ビーの攻撃力は3300ポイントまで上がり、マジシャンズ・クルセイダーを超える。
そうなれば、残りライフが50ポイントしかない私に残されるのは敗北の2文字だけ。

『どうしよう、このままじゃ勝てない・・・。でも、私にはもう手札もないし・・・・。』
「残念ね。あなたがさっき私から奪ったリバースカードは、フェイント用に伏せておいた魔法カード。
 しかも、ソレは昆虫族を対象とした通常魔法カードだから、あなたには使うことができないわ。」
『くそ、ここまでか・・・・。ん? 待てよ?』

このデュエルが始まってから今に至るまでの過程を、順に思い出してみる。
もしかしたら、勝てるかも・・・・・!!

『私はこのままターンを終了するわ!』


● 茜 :ライフ50 手札0枚 モンスター1体 リバース1枚
● 奈央:ライフ2300 手札2枚 モンスター1体


「私のターンね、ドロー。とりあえず、スタンバイフェイズで蜜蜂トークンを1体特殊召喚するわ。」

奈央さんのフィールドに、クイーンズ・ビーの効果で生まれた蜜蜂トークンが特殊召喚される。
このターン、奈央さんはトークンを生贄にしてクイーンズ・ビーの攻撃力をあげて攻撃してくるはず。

「私はカードを1枚セット、そして蜜蜂トークンを生贄に捧げ、クイーンズ・ビーの攻撃力を
 500ポイント引き上げる!」

女王蜂 クイーンズ・ビー
攻撃力2800 → 攻撃力3300にアップ(クイーンズ・ビーの効果)

「これで終わりよ、クイーンズ・ビーによる攻撃! マシンガン・ニードル!!」

撃ち出された幾つもの針が、私に向かってくる。
私は・・・・・・負けられない、いや、負けたくないッ!!

『へへ、奈央さん、このデュエルはまだ終わらないわ。』
「なんですって!?」
『やっぱり私のデッキには、無駄なカードなんて入ってないんだよね~。
 私は墓地に存在する運命の女神 フォルトゥナの効果を発動する!
 このカードは墓地に存在する時に除外すれば、相手モンスター1体の攻撃を1度だけ無効にできる!
 これで、奈央さんの攻撃を無効にするわ!』

《モンスターカード》
運命の女神 フォルトゥナ
効果モンスター
☆4 / 光属性 / 魔法使い族 / 攻 1000 / 守 2000
自分の墓地に存在するこのカードをゲームから除外して発動する。
相手モンスター1体の攻撃を1度だけ無効にする。
このカードの効果で攻撃を無効にしたモンスターの攻撃力分、自分のライフを回復する。

『このカードの効果で、クイーンズ・ビーの攻撃はマジシャンズ・クルセイダーには通らない!
 よって私のダメージは0、マジシャンズ・クルセイダーもフィールドに残るわ!』
「ば、馬鹿な! そんなカードが墓地にあるのなら、初めてクイーンズ・ビーが攻撃した時に使えば
 ダメージも受けなかったのに! プレイングミスもいいとこだわ!」
『それは無理よ。だって、このフォルトゥナはダメージ・コンデンサーの効果を発動した時に
 墓地へ落としたんだから。』

ダメージ・コンデンサーは、手札を1枚捨てることでその効果を発動する。
今の今まで忘れていたから恐らく無意識のうちに落としていたんだろうけど、おかげで助かったわ。

「そんな・・・。くっ、モンスターを召喚したとしてももうバトルフェイズは行えない・・・・。
 私はこのままターンを終了するわ。」


● 茜 :ライフ3350 手札0枚 モンスター1体 リバース1枚
● 奈央:ライフ2300 手札2枚 モンスター1体 リバース1枚


『私のターン、ドロー!』

奈央さんのターンを耐えたことで、マジシャンズ・クルセイダーでクイーンズ・ビーを倒せる。
伏せてるカードが気になるところだけど、ここは一歩踏み出して攻撃してみる!

『私のターン、マジシャンズ・クルセイダーでクイーンズ・ビーに攻撃する!!
 いくわよ、聖なる十字剣(グランド・クロス)!!』
「この瞬間、リバースカードをオープン!! 速攻魔法、収縮!!
 このカードにより、マジシャンズ・クルセイダーの元々の攻撃力を半分にする!」

《魔法カード》
収縮
速攻魔法
フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択する。
そのモンスターの元々の攻撃力はエンドフェイズ時まで半分になる。

『それくらい読んでるわ! チェーンして手札より魔法カードを発動!
 魔法カード、魔法移し!!』
「ま、魔法移し!?」

《魔法カード》
魔法移し
速攻魔法
相手プレイヤーが既に発動している、もしくは発動した魔法カードの効果は、
ターン終了時まで自分の魔法カードとして使用する。

『このカードの効果により、あなたが発動した収縮のカードの利用権は私が貰う!
 収縮の効果により、クイーンズ・ビーの攻撃力を半分にするわ!!』
「クッ・・・・!!」

女王蜂 クイーンズ・ビー
攻撃力2800 → 攻撃力1400にダウン(収縮の効果)

『収縮の効果を移し変えたことで、クイーンズ・ビーの攻撃力がマジシャンズ・クルセイダーを
 超えることはない! よってこのターン、マジシャンズ・クルセイダーの攻撃は有効!!』
「フッ、ここまでね・・・・・。」
『いけぇ、マジシャンズ・クルセイダー!! 聖なる十字剣(グランド・クロス)!!』

マジシャンズ・クルセイダーの剣が聖なる光を放ち、クイーンズ・ビーを一閃の下にねじ伏せた。
私も他のモンスターを召喚していれば追撃ができたけど、もう手札はない。

『私はターンを終了するわ。』


● 茜 :ライフ3350 手札0枚 モンスター1体 リバース1枚
● 奈央:ライフ800 手札2枚


「私のターン・・・・・は、もう来ないわ。」
『え?』
「女王蜂 クイーンズ・ビーが倒された今、私のデッキにマジシャンズ・クルセイダーの
 攻撃力2900を超えるカードは存在しない。それに、このターンのドローでどれだけいい
 モンスターを引いたとしても私の今の手札ではどうにもサポートしきれないわ。」
『で、でも・・・・デュエリストならデッキがなくなるまで諦めちゃ駄目だよ!!』
「勝手だけど、勝てないデュエルを続ける気はないわ。それに、こんなに大勢に見られてる中で
 負けたら、私のデュエリストとしてのプライドも傷付いちゃう。悪いけど、ここは諦めさせて?」

奈央さんはそう言いながらニッコリと微笑むと、自分のデッキの上に右手を重ねた。
ソレはサレンダー、つまり「降参」を意味する敗北の証。

『せっかくいい勝負になると思ったのに・・・・。』
「私も収縮が失敗するまでは勝てるって信じてた。でも、魔法移しをターン始めに引いていたなんて
 ビックリしたわ・・・。勝利の女神は、あなたに微笑んだのよ。」
『そ、そんなもんかな・・・・?』
「そうよ。」

奈央さんに褒められて照れていると、奈央さんはスッと右手を差し出してきた。
私はウンッと頷くと同時に、奈央さんの右手を握って握手を返した。
ソレを見ていた周りのギャラリーから、歓声の声が上がる。

「いいデュエルだったぞー!!!」
「惜しいとこまで行ったけど、アンタもよく頑張ったよ!!」
「序盤のコンボすごかったじゃん! 俺も昆虫や魔法使いデッキ作りたくなってきたぜ!!」

ギャラリーからいろいろな意見が飛び交う中、啓輔が傍に寄ってくる。

「茜、よく頑張ったな。お前がまさかここまでの戦いを繰り広げるなんて思ってなかったぞ。」
『ちょっと啓輔、アンタがそんなこと言うなんて珍しいね? 明日は雨かしら?』
「な・・・・!! せっかく人が褒めてやってんのにその言い草はなんだ、テメェ!!」
「クスクス。仲がいいのね、2人とも♪」

こうして、私と奈央さんとのデュエルは幕を閉じた。
デュエルは最後まで何が起きるか分からない。
でも、自分のデッキやカードを信じている限り、きっとどこかで奇跡は起きると思う。
デュエルモンスターズは、そんなおもしろさを教えてくれるゲームです。
みんなもデュエルをしている最中に絶対負けそうな雰囲気になったとしても、決して諦めないで。
奇跡を起こす運命の手は、きっと誰もが持ってるはずだから・・・・・。



to be continued・・・・・・



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最終更新:2008年12月25日 03:11