「結局、今回の特異点はなんだったんだろうね……」
「それはスタッフがまだ調査中みたいですね」
「人理を修復してもまだまだ不安定な場所もあるみたいだね」
「そうですね」
「藤丸君、そっちの饅頭を取ってください(モグモグ)」
「自分で取ってください」
自室の炬燵で饅頭をほおばりながらマシュと話す。
あの時、食べた布哇饅頭をエミヤ先輩に再現して作って貰った。
饅頭を食いながら、藤丸、マシュ、ヒロインXの三人は駄弁る。
「しかし、あのセイバーは強敵でしたね。
おかげで抹殺対象がまた一人増えましたよ。
早くカルデアに来ませんかね……今度は正々堂々と闇討ちで倒します」
「それは正々堂々とは言わないよ」
(来たら来たで、酒呑童子さんと茨木童子さんに緊急の避難所を用意しないといけませんね)
あの後、無断外出がバレて金時だけがこっぴどく叱られた。
藤丸はまた自室待機を命じられた、今はお目付け役でマシュが付いている。
「それとあのアサシン・碓井さんでしたっけ……」
「良い人であることでは間違いないけども……うん」
「今回の一番の謎はあの人ですね……
最後の最後で私をセイバーではなくいきなりアサシンだと言い出して本当に……」
あのアサシン・碓井貞光。
ヒロインXとカメハメハを同時に相手取ってもまるで余裕。
それどころか彼女たちが見ていないところでキャスター(アサシン)と他サーヴァントを倒した。
それもマスター無しの状態であれだけ戦えたということになる。
つまり、一人であの聖杯戦争を勝ち抜いていた可能性もあった。
それなのに最初からこちらに協力的だった。
旧友の金時がいたことを差し引いても、おかしなくらいに友好的だった。
「まあ、そのうちに頼光さんに聞くとするよ」
「そうですね、それがいいでしょうね」
あまりにも生前の資料が少なすぎる。
よく知ってそうな金時に聞くのは少し躊躇する。
聞くところによると『金時の母親殺し』をした男なのだから。
聞くとするなら、ここはやはり主君の源頼光に聞くのが一番であろう。
……問題はちゃんと話してくれるかどうかであるが。
饅頭の個数は残り半分になった。
「しかし、あのライダーは……?」
「まあ、連合の総大将だったらしいけどね。
頭を張るカリスマはあっても集まった面子がヤバい奴しかいなかったのが問題だったんだろうね」
「それですね、私の新円卓なら内ゲバも崩壊もしませんよ」
ライダーの話は割とどうでもいいのですぐ終わった。
「それにしても、剪定事象か……」
あのハワイのあった世界は崩壊するのか。
それとも生き延びるのか。
それこそ神こそが知るだろう。
「あのカメハメハさんがどうなったのか……」
「心配になりますが、カメちゃんなら大丈夫でしょうね、なんせ私の二番弟子ですから」
IFはいくらでも考えられる。
また、会えるのかどうかすらもわからない。
もしかすると並行世界間を彷徨う漂流者になったのかもしれない。
結果は誰にも判らない。
「先輩、お茶をどうぞ」
「ありがとう、マシュ」
静かにカルデアの時間だけが前に進んでいく。
最終更新:2017年10月08日 01:10