国会質疑 > 国籍法 > 01

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国会での審議の中継

衆議院インターネット審議中継
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.cfm
衆議院-会議録
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kaigiroku.htm
国籍法改正法案 質疑 赤池議員 法務委員会
http://www.nicovideo.jp/watch/sm5239749

衆議院・法務委員会(2008/11/14)/赤池誠章議員(自民党所属)

赤池誠章 - Wikipedia
○赤池委員 大臣から、みずからお言葉をいただきまして、本当にありがとうございます。

 そういう面では、万能の制度はないわけでありますので、運用の中でやっていきたいというお言葉をいただきました。私の危惧が危惧で終わればいいと思っておりますし、そういう面では見直し条項もございますので、的確な対応をお願いしたいと思います。

 次に、第二番目の私自身の共同体としての国家の危機の懸念は、この後審議をされる予定であります国籍法の改正についてであります。

 国籍というのは御承知のとおり、まさに国家共同体の構成員を決める大切なルールであります。それが、一般の国民の中に崩れつつあるのではないかという懸念であります。

 本年六月四日に最高裁判決が指摘した違憲状態を解消するために、今回法案を提出されるということであります。しかし、それに先立ってこの数日間、きょうの朝も物すごいファクスと電話、電子メールのすべてが批判であります。反対の意見であります。

 内容を見てみますと、組織的に、同じような内容もある反面、みずからの言葉で今回の国籍法改正に対して大変な心配、危惧を抱かれている国民の方が全国各地、老若男女、そんな反対の声を寄せていただいているということであります。そういう面では、その疑念にしっかり国会としてこたえていかなければいけないということも感じております。

 その中での代表的な疑念、質問を三つ、それぞれ法務当局からの見解をお伺いしたいと思います。

 一つは、国籍取得届の虚偽届けについての刑罰が、今回新設をしようとしているわけでありますが、余りにも軽過ぎるのではないかという懸念であります。二つ目が、偽装認知を防止するためにDNA鑑定の導入を、必ず入れるべきではないかという意見であります。三つ目は、偽装結婚も横行していると言われている中で、偽装認知を防止するためにどのような形で実効ある対策を打とうと考えているのか。

 この三点、法務当局の見解をお尋ねいたします。

国籍取得届けの虚偽届けについての刑罰があまりにも軽すぎないではないか?

○倉吉政府参考人 赤池委員から大変重い御指摘をいただきました。

 今回の改正、最高裁の判決が出た、それに伴う違憲状態を解消するための改正ではございますが、ただいま御指摘のようなさまざまな御批判等々の文書が先生方のところにも来ているということも私ども承知しております。できるだけそのような御懸念、特に委員のおっしゃっていた国家のあり方にかかわるということを十分に踏まえつつ、そのような御懸念のないように私ども精いっぱい努めてまいりたいと思っております。

 簡単に、ただいま御指摘のありました三点について申し上げます。

 まず、罰則の点でございます。これは今度、虚偽の国籍取得届けがされたという前提でお話しだと思いますので、それでされたと。そうすると、害されるのは法務局等の事務の適正や信頼ということになります。しかし、何だ、役所の事務が害されるだけかということになろうかとは思いますけれども、そうは申しましても、国籍取得に関する事案というのは、日本国の構成員である日本国民の資格、これを適切に認定するための重要な責務であります。

 そこで、類似の規定を見てみました。例えば、戸籍の記載または記録を要しない事項について虚偽の届け出をするという戸籍法百三十二条という規定がございます。あるいは、外国人登録法の関係で、その申請の関係でさまざまな虚偽の申請をするということが起こり得る。これについて定めている外国人登録法十八条というのがございますが、これらの規定の法定刑がいずれも一年以下の懲役または二十万円以下の罰金でございます。そこで、これに合わせまして今回も一年以下の懲役または二十万円以下の罰金としたところでありまして、これ自体は適切であると考えております。

 一つつけ加えさせていただきますが、よく誤解されやすいのが、いわゆる偽装認知、虚偽の認知をして届け出をしたときはこの一年以下だけなのかというふうに誤解されている向きがあるということでございます。

 この一連の届け出をいたしますには、まず認知届けというのを市町村に父親がいたします。そうすると、それについて、父親の戸籍の身分事項欄に、子の○○、どれそれという子を認知したというのが載るわけでございます。それから、その戸籍の証明書を持って法務局に参ります。それで、今回新設するこの罰則に当たるところですが、国籍取得届けというのをいたします。法務局では、そこで国籍があるという証明書を出しますと、それを持って今度、三回目、また市町村に参ります。そこの市町村で新たに届け出をいたしますと、今度はその子が日本人になるということになりますので、その子供の戸籍を新たにつくる。つまり、三段階あるわけでございます。

 この第一の段階と第三の段階で、認知が実はうそなのに、親子関係がないのに虚偽の認知をしたということで届け出をしたということになりますと、これは公正証書原本不実記載等、戸籍に載りますので広く世の中をだますことになる、こういうことでございます。この罪名で、五年以下の懲役または五十万円以下の罰金となります。

 だから、それぞれ個々の事案で、恐らくこの三つまで行ってしまうというのが多いだろうとは思いますが、途中で発覚して途中にとどまったとしても、それぞれの罰が科されるということになるので、適正な科刑ができる、こう考えているわけでございます。

偽装認知を防止するためにDNA鑑定の導入を必ず入れるべきではないか?

 それから、DNA鑑定の話がございました。偽装認知のためにDNA鑑定すべきじゃないかと。これもよくわかる議論なんですが、実は、委員の皆様方御承知と思いますが、日本の民法の親子関係を決める手続というのは認知で決まる、そのときにDNA鑑定を出せなんということは言わないわけでございます。ここに家族の情愛で自分の子供だと認知したというんだったら、それでとりあえずの手続を進めて、後でおかしなことがあったら、親子関係不存在とかそういうのでひっくり返していく、あるいは嫡出否認なんかでひっくり返していく、こういう法制度、これが日本の独特の制度でございます。

 それを踏まえますと、DNA鑑定を最初の認知の段階で持ち込むことになりますと、やはり親子関係法制全体に大きな影響を及ぼすな、これを私どもとしては考えざるを得ません。

 さらに幾つか問題がございまして、一つは、DNA鑑定で一番難しいのは、検体のすりかえがないかということであります。すりかえられた検体で来られるとみんなだまされてしまいますから。それから、現在の科学技術水準に合ったきちっとした鑑定ができているか、そこを判断しなければなりません。しかし、それの判断が迫られるのは、最初の認知届が出される市区町村の窓口あるいはこの国籍取得届が出される法務局であります。そういうところでそんな判断はできないという、ここに大きな問題が一つございます。

 それから、鑑定には相当の費用がかかります。そうすると、この費用の負担能力がない人にはどうしても手だてがない。それから、外国国籍の子を認知する機会にはDNA鑑定を義務づけるとすれば、それは外国人に対する不当な差別ではないか、こう言われる可能性もあるということで、DNA鑑定の採用については消極に考えております。

偽装認知を防止するためにどのような形で実効ある対策を打とうと考えているのか?

 それでは対策できるのかというのが先生の一番おっしゃりたいことだと思うんですが、申しわけありません、長くなって。

 法務局では、最初に国籍取得の届け出が参ります。これには届け出人が出頭することが必要でありまして、また必要な戸籍などの書類を出していただきます。そのときに、当然に必要なことを聞きます。お父さんとどこで知り合ったのかとか、どこでどういう過程で子供ができたのかというようなことは聞きますし、その関係で必要な書類も確認をいたします。場合によってはというか、これはほとんど必然的だと思うんですが、その父親についての協力も求めたい、こう思っております。その子供が懐胎した時期に同じ国に滞在していなかったんじゃないかとか、そういう疑義が生じたということになれば、偽装認知の疑いもあろうかということになりますので、関係機関とも連絡を密にして、さらなる確認を続けるということで、不正の除去に努めてまいりたい、こう思っております。

○赤池委員 今後の具体的な審議に、それぞれさらに突っ込んだ議論をお願いしたいと思います。

 今回国籍法が導入されたきっかけというのは、先ほど言いましたように、最高裁の大法廷の判決であります。当初は、最高裁の判決だからすぐにこれは法改正せざるを得ないと私自身も思っておりました。しかし、これだけ国民多数の反対意見に接して、改めて最高裁の判決文を読みました。そこで驚いたことがあります。

 十五名の最高裁判決で、多数意見は、その違憲の理由の根拠として、社会経済の環境の変化とか、夫婦の家族生活、親子関係の意識の多様化、非嫡出子の割合の増加、社会通念、社会状況が変化している、国際化だ、諸外国の動向だ、国際条約、規約を理由に挙げているわけです。一見もっともらしいわけでありますが、しかし、最高裁の三名の少数反対意見は、その一つ一つに関して統計データを使って、日本人の家族生活、親子関係の意識の変化はある程度あるにしても、国民一般の意識として大きな変化はない、例えば非嫡出子は二十年間で一%から一・九%にしか増加していない、日本人を父、外国人を母とする数も五千人から一万三千人にしかふえていない、西欧の三〇%や少ない国でも一〇%が非嫡出子である国とは違うんだということを明確に述べているということであります。

 私は、国民常識は最高裁の多数意見よりも少数意見にあると思わざるを得ませんでした。最高裁判決でも間違っているものは間違っていると言わざるを得ないというのが率直な感想であります。

 先ほど裁判員の中で、国民に身近で頼りがいのある司法を実現したいということを目指していると思いますが、そういう面では、最高裁こそ国民の常識から外れて、裁判員制度が最高裁に必要ではないかと思わざるを得ないわけであります。国籍法改正は、今回、慎重にも慎重を期すべきであるということを申したいと思います。

 時間がございません。最後に、第三の国家共同体崩壊の懸念として、人権擁護法案というものを挙げさせていただきたいと思います。人権擁護の名のもとで少数者の権利ばかりが守られて、言論弾圧の危険性や無用な争い事を惹起するのではないかと危惧するところであります。

 この法案に関しまして、大臣の所見をお尋ねしたいと思います。

○森国務大臣 人権侵害による被害者の実効的救済を図ることなどを目的とする人権擁護法案につきましては、人権擁護推進審議会の答申を踏まえたものであり、同答申を最大限に尊重すべきとした人権擁護施策推進法の附帯決議の趣旨に照らし、かかる目的を実現すべき法案の国会への提出を目指すべきものと考えているところでございます。

 しかしながら、与党内においてもさまざまな御意見があることから、与党を初めとする各般の御意見を承りながら、引き続き真摯に検討してまいりたいと存じます。

○赤池委員 与党の中でまだ議論が進んでおりますので、私もしっかり参加をして議論を続けてまいりたいと思います。

 きょうは、以上、裁判員制度、国籍法、人権擁護法の三つについてお尋ねをいたしました。この三つの共通する懸念として、私たちの住むこの共同体としての国家自体が崩壊の危険に遭遇しているのではないかという指摘をさせていただきました。

 その根底にあるのは、すべて民主化すればうまくいくという民主主義的な幻想感や、最大多数の最大幸福というものが置き去りにされて、平等の名のもとで少数者ばかりの権利が保護されているという逆差別的な意識もあるのではないかと思っております。激動する現代日本だからこそ、しっかりとした歴史と伝統に根差した、まさに大臣がおっしゃる常識というものが今こそ大事だと思っております。

 自分が死んでもこの国は残ります。先人たちから受け継がれたこのかけがえのない日本国を、これから生まれてくる子孫たちに渡していかなければいけないと思っております。民主主義が衆愚政治に堕し、古代ギリシャの末路と同じように、国家が崩壊しないように、そんな轍を踏まないように、この三つの法案、裁判員制度の実施、国籍法改正、人権擁護法の制定に関しましては、慎重にも慎重を期すべきであるということを訴えて、私の質問とさせていただきます。

 きょうはありがとうございました。

衆議院・法務委員会(2008/11/18)/稲田朋美議員(自民党所属)

稲田朋美 - Wikipedia
○稲田委員 おはようございます。自民党の稲田朋美でございます。

 本日は、国籍法の改正という非常に重大な法案について質問いたしたいと思っております。

 国籍付与は、言うまでもなく日本国民の資格を定めるものでございます。日本の、いわば国家共同体の構成員を決める重大な作用が国籍付与でございます。だれに国籍を与えるか、だれを国民として認めるか、これは国にとって大変基本的かつ重大な問題であり、だからこそ憲法十条で国権の最高機関である立法府にその広い裁量が認められているわけでございます。いわばこれは、日本の国の主権の問題でもあると思っています。

 例えば、北朝鮮による拉致問題、これが日本国の主権の侵害であるのは、我が国の国籍を持つ自国民が他国によって権利を侵害されている場合、国の外交保護権として、主権の作用としてその権利主張ができるわけでございます。そういった意味からも、この法案の審議は大変重大だと認識をしています。

最高裁の判決と法務省の対応について

 今回、改正に至りましたのは、六月四日の最高裁判決が契機であります。国籍法三条一項が憲法違反であると違憲立法審査権を最高裁が発動して判断をした、これは大変重大な判断でございます。もちろん、この最高裁の判断に従わなければならない。しかしながら、立法府に身を置く私たちとして、また国権の最高機関である国会としては、最高裁の判断の範囲内で、できる限り慎重に、そしてさまざまな場合を想定して審議すること、これが私たちの責務である、このような認識のもとで質問をしたいと思っております。

 さて、最高裁の判例では、昭和五十九年の国籍法の改正のときに、出生後の準正によって日本国民の嫡出子たる身分を取得した者には国籍を与え、単に認知したにすぎない者については国籍を与えなかったわけです。最高裁の判例の中でも、判決の理由中の判断でも、昭和五十九年の改正時にそれは合理的な理由があった、しかし現在では、さまざまな経済的、社会的な変化や我が国の家族関係のあり方に対する意識の変化ですとか、例えば非嫡出子の割合がふえているですとか、そういった理由をもとに、今やこれは憲法十四条の平等の原則に違反している、このように判断をしたわけです。

 後にも述べますが、私は、この最高裁の判断、多数意見については疑問があると思っているんですけれども、それでもこういった判決が出たわけでございます。

 そして、違憲になった時期について、最高裁は、遅くとも平成十五年には違憲になった、このように判断をされています。

 国籍法の改正の審議に入る前に、前提として、この判決の射程距離についてお伺いをいたしたいわけです。

 このような今の最高裁の判断からいたしますと、例えば父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得するか否かということは、子にとってはみずからの意思や努力によっては変えることのできない父母の身分行為に係る事柄だ、こういったことで区別をする、差異を設けるということについては慎重じゃなきゃいけないと最高裁は判断をしているわけですが、こういった最高裁の考え方からいきますと、例えば民法九百条で嫡出子と非嫡出子の間に相続分で差異を設けておりますが、こういった非嫡出子と嫡出子の間の相続分の差異についても、これは違憲であるというような判断になるのではないか。

 この判決の射程距離及び今の民法九百条の規定の合理性について、民事局長にお伺いをいたします。

○倉吉政府参考人 今回の最高裁判決の射程距離についてということでございました。

 この最高裁判決は、あくまでも国籍法第三条が、嫡出である子と嫡出でない子との間に国籍取得に関する区別を生じさせていること、このことが違憲である、こういうふうに判示したものでありまして、嫡出でない子の法定相続分の問題についてはもちろん何ら言及しておりません。

 したがいまして、国籍法第三条が違憲であるとされたからといって直ちに、嫡出でない子の法定相続分を嫡出である子の二分の一と定めております、ただいま御指摘の民法九百条第四号まで憲法違反になるということにはならないと考えております。

○稲田委員 それは当たり前のことなんですが、民法九百条の差異について合理的な理由があるということでよろしいのでしょうか。

○倉吉政府参考人 ただいまの、嫡出でない子の相続分が二分の一になっているという民法九百条四号ただし書きの規定でありますが、これは法律上の配偶者との間に生まれた嫡出である子の立場を尊重するとともに、嫡出でない子の立場にも配慮して、嫡出でない子には嫡出である子の二分の一の法定相続分を認めるとすることによりまして、法律婚を尊重する一方で嫡出でない子の保護との調整も図る、こういったものと考えられますので、不合理なものではないと考えております。

○稲田委員 今、全国からたくさんのファクスが来ておりまして、我が事務所にはもう既に二十センチを超えるファクスが届いております。そのおかげでファクスが故障したぐらいの、全国からたくさんのこの改正に対する危惧の声が出ております。そして、慎重審議入りを求めているわけです。

 産経新聞、きょう資料でお渡しした中で、「偽装認知などダークビジネスの温床になるとの懸念が出ている。」それに対して政府筋の発言として、「最高裁に現状は違憲だ、といわれたから改正案を出した。それでどうなるかは、法律が施行されないと分からない。犯罪者はいろんな方法を考えるから」。

 こんな無責任なことを言ってもらっちゃ困るわけです。最高裁が幾ら違憲判決を出したからといって、それによって偽装認知がふえるですとか、犯罪者が何をやるかわからないなんという、そんな無責任な、やってみなきゃわからない、最高裁から出たんだから変えるのは当然だなんというような無責任な考え方でこの改正をしてもらっては困ると思っているわけでございます。

法定刑が軽すぎるんじゃないか?

 まず、要望で多いのが、法定刑が軽過ぎるんじゃないかという観点でございます。

 出生後の偽装認知の場合についてお伺いをいたしますが、今回、国籍法を改正いたしまして、国籍届けを偽装でした場合、一年以下の懲役または二十万円以下の罰金という刑罰がかかることになったんですが、これが余りにも軽くて全く犯罪の抑止効果がないんじゃないかという声があるんですが、この点について民事局長の御見解をお伺いいたします。

○倉吉政府参考人 今回新設いたしました罰則についてのお尋ねでございました。

 この罰則は、虚偽の国籍取得届けをすることにより、法務局の事務の適正や信頼が害されるということを根拠として処罰するというものでございます。したがいまして、一般の殺人とか放火とか、法益の侵害がどんとあったというのとはちょっと犯罪の性質が違うということがございます。

 ただ、そうはいいましても、国籍取得に関する事務は、日本国の構成員である日本国民の資格、ただいま最初に委員の御指摘のあったところでございますが、その日本国民の資格を適切に認定するための重要な責務、仕事でございます。

 そこで、この種の行政的な規定の中で似たものを見てみたわけでありますが、例えば戸籍の記載または記録を要しない事項について虚偽の届け出をしたという戸籍法百三十二条という規定がございます。それから、外国人登録申請の関係でさまざまな虚偽の申請をした場合の罰則を定めた外国人登録法十八条というのがございます。これはいずれも一年以下の懲役または二十万円以下の罰金を法定刑としておりますので、これを参考にして今回の法定刑を定めたものでありまして、この刑自体は決して不当なものではない、相当なものと考えております。

 そこで、ぜひ申し上げたいことがもう一点ございまして、実は国籍取得に当たっては三つの手続がございます。第一は、まず認知届けをいたしまして、その認知届けをいたしますと、父親が認知をしたということが戸籍に載ります。それから二番目に、今問題になっております国籍法上の国籍取得届けをいたします。そして、それによって日本国籍が取得された後、三番目に、今度は戸籍法上の国籍取得届けというのをいたしまして、つまり、その子供を戸籍に載せるための手続をいたします。この三番目のときにも、やはり戸籍に載るわけでございます。

 この一番目の認知届、それから三番目の国籍取得届、これが全部偽造であった、虚偽であったということになりますと、いずれも戸籍にうその記載がされるということになりますので、現行法におきましても公正証書原本不実記載罪が成立をいたします。その法定刑は、五年以下の懲役または五十万円以下の罰金となっております。

 つまり、いわゆる偽装認知という形で一貫して最後まで行ったといたしますと、五年以下の懲役と五十万円以下の罰金を最初と最後で二つを科す、そして真ん中で一年以下の懲役と二十万円以下の罰金というのが加わる、この三つが併合罪となる、こういうことになりますので、全体としては事案に応じて適切な処罰がなされる、このように考えております。

○稲田委員 今の民事局長の答弁を聞いて、結果的にどうなるかがわかった人というのはいないんじゃないかと思うわけです。今非常にわかりにくい答弁をされたので、私なりにおっしゃったことを簡単に言いますと、併合罪になるので、こういった偽装認知による国籍の届けが出された場合には、最大で七年六カ月、そして罰金としては百二十万円科せられるので決して軽くない、そういうことを今難しい言葉でおっしゃったのではないかと思うんですけれども、そういうことでよろしいと思うんです。

 ただ、今おっしゃった、この法律自体が、刑罰自体が、法務局の事務の適正や信頼が害される、これが保護法益なんだとおっしゃるんですが、それにしても日本国籍という非常に重大なものが詐取されるという事態を招きますので、やはりここはきちんと、七年六カ月というのであれば、上限を踏まえて適用していただきたいと思うわけです。

 それから、刑事局にも言いたいのは、やはり幾らそういう刑罰が最上限、そこまでかかるとしても、運用をきちんとやってもらわないと何にもならないと思うわけです。幾ら制度があっても、その運用が適正でなければ絵にかいたもちになってしまうわけです。

 例えば、今、中川大臣の勉強会で対馬のことが問題になって、あの国境の島が、韓国資本によって、そして島民の名で買い占められているということが問題になっております。私がその勉強会で、島民の名で所有意思がないのにもかかわらず不動産登記簿謄本に所有者として登記をすれば、公正証書原本不実記載になるんじゃないかということを刑事局に質問いたしましたら、一般論としてはなり得ますねと、そして、民事局は民事上は適法ですというふうなことをおっしゃいまして、私はこれで国を守る気があるのかなということに非常に危惧を感じたわけです。

 刑事局長にお伺いしたいのは、今回の偽装認知を防ぐためにこういった法律を駆使してきちんと起訴していくおつもりがあるのか、そういった点の決意をお伺いしたいと思います。

○大野政府参考人 お答えいたします。

 検察当局は、犯罪として処罰すべき案件あるいは疑惑が持たれる案件があるというように認めた場合には、当然、法律を厳正に適用いたしまして、法と証拠に基づいて適正な捜査、処分を行うものというように承知しております。

DNA鑑定を入れる事はできないのか?

○稲田委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 それから、次に全国から寄せられている声の中で非常に多いのが、今回その要件に、出生後の子供を認知したにすぎないような場合にはDNA鑑定を入れるべきではないかという意見がたくさんあります。

 私自身の個人的な意見を言いますと、DNA鑑定を安易にこういった親子関係の確定とか法制度として持ち込むことについては慎重でなきゃいけないんじゃないかなという考え方を持っております。

 昨年議論になりました、民法七百七十二条の離婚後三百日以内に生まれた子供の嫡出推定についての改正議論がなされたときにも、安易にDNA鑑定を持ち込むことは、我が国が単に血縁のみを根拠として親子関係ですとか家族関係、そういったものを構築しているのではない、そういった原則をなし崩しにするおそれがあるので安易にDNA鑑定を持ち込むべきではないという意見を持っておりました。

 今回、国籍法の改正に当たりまして、DNA鑑定を要件として入れるべきだというたくさんの意見がありますが、その点についてどうお考えか、民事局長の御意見をお伺いいたします。

○倉吉政府参考人 DNA鑑定を導入すべきであるという意見が多数あるということは承知しております。しかし、それでは困るという意見も多数ある、実はそのように考えております。今回、ファクスやメールでは、DNA鑑定を入れるべきだというのが多数来ているのが現実なのかなとは思っておりますが。

 そこで、このDNA鑑定を取り入れることの適否について、今委員から非常に重い御指摘がございました。ここは非常に大事なところだと思っておりまして、今委員の方から御指摘のあったとおり、民法七百七十二条の嫡出推定規定に関しても、これだってDNAで決着すればいいんだということになりがちだという懸念がございます。

 それから、DNA鑑定によって、いわばそれまで親子だということでずっと成立してきた親子関係や家族関係を、DNAが違うじゃないかといって簡単に覆していいのか、こういう問題もあります。それはそれでいいんだというような簡単な風潮を助長させるというのは、これはまずいだろうと思っております。

 それに加えまして、DNA鑑定を認知や国籍取得届の際に義務づける、こういうことにいたしますと、認知届を受ける市区町村、それから国籍取得届を受ける法務局において、例えばDNA鑑定でも非常に難しい問題がございます。当事者から正しく検体をとってきているのか、それから現代の科学水準に合わせたきちんとした鑑定ができているのか、極端に言うと、だれだれが鑑定したとなっているけれどもそれが偽造ではないか、そういったさまざまな問題がございますが、そういった鑑定結果の信用性を左右するような事情を、法務局の窓口であるとか市町村ではちょっと判断できないという問題がございます。

 それから、鑑定には相当の費用がかかります。その費用を負担できない方の子供の認知の機会や、国籍取得の機会を奪うということにもなりかねないということも懸念されるわけであります。さらに、外国国籍の子を認知する場合にのみDNA鑑定を義務づけるとすれば、それは外国人に対する不当な差別となるおそれもある。

 以上のようなことから、DNA鑑定を取り入れることは適当でないと考えている次第であります。

○稲田委員 私自身もDNA鑑定には慎重なんですが、しかし一方で、やはり偽装認知ということを防ぐために諸外国でDNA鑑定を取り入れているところもございますので、今後の課題として、父子関係の科学的な検証ということについても課題として検討しなければならないのではないかと考えております。

偽装認知を防ぐための法務局の対応

 では、そうしますと、一体どうやってこの偽装認知を防ぐかです。

 私は、認知ということになりますと、やはり認知ビジネスといいますか、組織的に偽装認知をしていこうというような犯罪もふえていく懸念があるんですが、どういう段階で偽装認知をどうやって防ぐおつもりなのか、その点について民事局長にお伺いをいたします。

○倉吉政府参考人 国籍取得届けをする場合には、必ず届け出人が窓口に参ります。法務局の窓口に来るわけであります。そこで戸籍等関係書類を出していただくということになりますが、このときに、法務局といたしましては、届け出人等から、父母が知り合った経緯や、それからお父さんが同居しているのか、あるいはお父さんが扶養しているのか、その有無、それからその程度、それから子供が生まれてから認知に至る経緯はどうだったのか、それから婚姻等の身分関係の状況はどうか、こういったことを詳細に聴取いたしまして、その子供が認知した男性の子であるかどうかということを慎重に確認することを予定しております。場合によっては、関係者がこういうところにいるということであれば、その関係者のお宅にお邪魔してでも任意の御協力をお願いしたいと思っておりますし、父親が届け出人となっていないという場合があるわけでありますけれども、その場合にも協力を求める予定でございます。

 さらに、そういったことの聴取を通じて、子供を懐胎した時期に父母が同じ国に滞在していたのかどうかということについて疑義が生じる、こういうような場合がございます。それからさらに、今委員の御指摘のありました偽装認知の疑い、あるいは組織的な偽装認知ではないか、こういったことが疑われるという場合には、警察等の関係機関とも連絡を密にいたしましてさらなる確認をするなどして、不正の防止に全力を挙げていきたい、こう思っております。

○稲田委員 今おっしゃったような盛りだくさんなことを法務局の窓口でされるとすれば、どこの法務局に行ってもそれが徹底されるように、例えば通達ですとか省令、下位の法令などで全国にきちんと行き渡るようにしていただきたいということが一点と、それから、今おっしゃいました、認知をする日本国籍の男性については、原則やはり面談をして、そこはきちんと事情を聞いて、間違いがないかという点をやっていただきたいと思っております。

警察や入管はどうやって偽装認知の摘発を行うのか?

 次に、警察にお伺いをいたしますが、国籍取得に関連して、胎児の偽装認知、偽装結婚など、どうやって摘発をし、また今回の国籍法の改正に伴ってどういった対策をされるのか、お伺いをいたしたいと思います。

○宮本政府参考人 虚偽の届け出などによりまして不法滞在などの外国人が合法的な在留資格を取得しようとする事案、これまでは比較的偽装結婚のような事案が多いのでございますが、特にこういった偽装結婚などにつきましては、職業的に配偶者をあっせんするようなブローカーの役割を果たす犯罪組織が介在していることも多く、暴力団がこういった行為を行っていることも少なくございません。

 偽装認知も含めまして、今後、警察としてこうした捜査をしていく場合、そのような暴力団を初め犯罪組織の介在の有無を視野に入れながら捜査を進め、かつ、法務局、入国管理局等関係機関との連携を密にしながら厳正に対処してまいる所存でございます。

○稲田委員 同じ質問を入国管理局長にお伺いいたします。

○西川政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の偽装認知あるいは偽装婚については、入国管理局としても重大な問題ということで受けとめております。入国管理局は、入国管理関係の各種申請において、外国の方からさまざまな書類を提出いただきますが、この書類を精査するというだけではなく、当局に寄せられるさまざまな情報を分析活用し、生活実態等について積極的に実態調査を行い、また警察等関係機関とも連携して事案の解明に努めているところであります。

 その結果、偽装した身分関係に基づいて在留の許可を受けていたというようなことが判明した場合につきましては、入管法に基づいて在留資格の取り消し手続や退去強制手続を行うなど厳格に対処しているところであり、今後もこの姿勢を保ちたいというふうに思っております。

 以上です。

○稲田委員 ぜひしっかりお願いをいたしたいと思っております。

ドイツでの事例と今後の対応について

 また、ドイツでは、ことしの三月に父子関係の認知無効のための権利を補足する法律が制定をされました。これは、偽装認知によって外国人の母親が滞在資格を得ようとする事例がふえたことに対抗するために、民法を改正して、関係官庁にも父子関係の認知無効を求めることができるようにしたものです。私は、日本にはこういった法律がありませんので、こういったこともぜひ考えていただきたいと思っております。

 それからもう一点、民事局長にお伺いをいたしたいのは、今回、最高裁の近藤裁判官の補足意見の中で、出生後認知の場合でも、出生地が日本であることや、日本に一定期間居住していることを国籍取得の要件とすることは諸外国の立法例にも見られる、また生物学上の父子関係が存在することが科学的に証明されることを要件として付加することも憲法の範囲内で考えられるんだというような補足意見を述べられております。

 私も、こういった何らかの要件をつけ加えるということは決して今回の憲法判断に反しないと思っておりますが、こういった点についていかがお考えでしょうか。

○倉吉政府参考人 御指摘の最高裁の近藤裁判官、多数意見の中で別のところで補足意見を書いておられるわけです。今委員が御説明されたとおりの意見を述べておられます。

 しかしながら、同じ多数意見の中で別の補足意見もございまして、ある裁判官は、近藤裁判官のおっしゃるような、日本で生まれたことといったような要件を課するという選択肢は国籍法の趣旨に照らして相当ではないというような趣旨のことも述べておられます。

 そして、何よりもこの最高裁判所判決の本来の多数意見として書かれている部分でありますが、そこでは、生まれた後に日本国民から認知された嫡出でない子と父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した子供との間には、我が国との結びつきという点において差異があるとは言えないという判断がされたところであります。

 そうすると、仮に御指摘のような住所要件であるとか日本で生まれたといったような要件、こういう要件を新たに設ける場合には、今回の改正法により、届け出による国籍取得が可能となる嫡出でない子だけではなく、従来も届け出によって国籍取得が可能であった父母が婚姻していた嫡出子についても同様の要件を設けることとしなければ、再び合理的でない差別が生じる、こういうことになります。

 しかしながら、これまでそのような要件は満たさなくても、父母が婚姻していた嫡出子については届け出により日本の国籍を取得することができたということになるわけでありまして、その子に対してまで新たな要件を加重することについては一般に理解が得られにくいのではないか。そこで、今回の法改正では、単に準正の要件を削除するのみにとどめた、こういう次第でございます。

○稲田委員 私は、やはり最高裁が言ったからといってそれをそのまま立法府がやるというのは、立法府に身を置く者として矜持が足りないんじゃないか、最高裁の判断はもちろん尊重すべきですが、その範囲の中で許される限りの、例えば一定要件をつけることですとか、またさまざまな現実的な偽装認知を防ぐ方法を、慎重にも慎重を重ねて審議をしなきゃいけないと思っているんです。

 今回、最高裁判決が出て、もちろんそれは尊重しなきゃいけません、違憲立法審査権を行使されたわけですから。昨日も、退官される長官が、違憲立法審査権を行使したことが非常に自分の中で重大なことだったと述べられておりますように、非常に重大な判断ですので尊重しなきゃいけないと思うんですが、ただ、今回の最高裁判決の中で私は非常に疑問に思いましたのは、今までのように、定数不均衡とかそういった場合のように、単に違憲判決を出すにとどまらず、国籍法三条を読みかえて国籍を付与された。これは、まさに司法権による立法府に対する介入とまで言ったら言い過ぎかもしれませんが、そういったおそれがあったのではないか。そういった点からも、最高裁が読みかえられた国籍法三条一項にこだわることなく、違憲判断をされたその判断を尊重する範囲内で、できる限りの審議をし、慎重の上にも慎重に審議をすべきだと私は考えております。

 今回、同僚国会議員の中でも非常にこの問題を重く考えて、そして慎重審議すべきだという考え方を署名等で申し入れをしているところでございます。

 こういった点について、最後に法務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

○森国務大臣 私どもといたしましては、国籍法を所管する法務省としてこの最高裁判所の違憲判決を重く受けとめなければならないということは今委員からもお話があったとおりでございまして、国籍法三条一項が憲法に適合する内容となりますように、今お話のあった補足意見等についても十分な検討を加えました上で、届け出による国籍取得の要件を削除することを内容とした改正法案を国会へ提出したものでございます。

 その提出に当たっては、与野党、特に政府・与党一体という本旨からして、与党の中でも十分な御議論をいただいて、適切な意思決定プロセスを経て、そして閣議決定して国会に御提出したものでございまして、もとより慎重な御審議をしていただくことは極めて重要なことでございます。でも、それについても与野党、法務委員会の理事会で御協議をいただいた上で日程が決められたものでございます。

 また、採決まで含めて御決定をいただいたわけでございますけれども、ここに至るまで、決して強引でも、またこそこそとやったわけでもなくて、極めてきちんとした明快なプロセスを経てここに至っているものでございまして、本日も、皆様方の率直な御意見をいただき、また誠心誠意御答弁を申し上げていきたいと思いますけれども、ここに至るまでの手続において、私は、特に強引な取り運びをしたということは与野党においてなかったのではないかというふうに受けとめております。

○稲田委員 国会の審議はこの委員会での審議がすべてでございますので、やはり国権の最高機関の立法府にある者の責務として、この重大な法案についてきちんと審議をしていただきたいと考えております。

 以上でございます。
最終更新:2009年01月09日 03:47
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