外国人政策 > 不法滞在者(非正規滞在者)

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概要及び法的地位(在留資格)

欧米諸国と比較した日本の不法滞在者の特殊性

地域別不法滞在者数
地域 人口 不法滞在者数 人口比
米国 3億人 1,200万~1,400万人 4%
EU 5億人 800万人 1.6%
ロシア 1億400万人 500万~1500万人
日本 1億2500万人 11万3000人 0.09%
「不法滞在者」について語られる場合、人口3億人に対して不法滞在者が1200万人(4%)の米国、人口5億人に対して不法滞在者が800万人(1.6%)のEUのようなイメージで語られる傾向がありますが、日本の「不法滞在者」は、欧米諸国とは違う以下のような特殊性をもっています。

①欧米諸国に比べて、実数及び割合そのものがかなり少ない(人口1億2500万人に対して11万3,000人(0.09%))
②日本の場合は、元々数が少なかった不法滞在者数も1993年から一貫して減少傾向にある
③長期滞在になればなる程、犯罪その他の社会への適応障害などの社会問題を引き起こしていない

関連項目

退去強制に当っての権利

コラム・主張  国際人権法学会第15回研究大会の概要
http://blhrri.org/topics/topics_0068.html
 一般国際法上、出入国管理は主権事項とされ、退去強制に関して極めて広範な自由裁量が認められてきたが、国際人権法の発達と共にその裁量が制約される、という形態をとる。いくつかの人権条約には、かかる制約を目的とした規定がいくつかあるにせよ、その実施は第一次的には国内制度に依存している。それゆえ、各国家機関が人権条約をどの程度誠実に実施するかが問題となる。その点で、行政法学的な国際比較は極めて示唆的であった。
 報告に拠れば、退去強制を決定する主体には所管行政庁が行う場合(これは更に内務省系と司法省系とがある)と、裁判所による場合とに分けられる。日本は行政庁・司法省系に該当するが、比較法的観点からすると、当該行政庁の権限は、その位置付けからすると、広範な権限を有しているとのことだ。
 とりわけ、退去強制手続き中の外国人の地位に関しては、全ての事案において収容することとされ、保釈手続に関しても、仮放免の決定が収容所長や主任調査官に委ねられている点で、極めて特殊である。さらには、退去強制事由該当性判断に関しても、少なくとも入管法違反に関しては裁量的に運用され、さらには不法な滞在が長期にわたる場合の治癒も法的には認めていない。

個別の権利・状況

行政サービスを受ける権利

  • 行政サービスを受ける権利の基盤となる外国人登録に関しては、在留資格に関わらずに義務づける最高裁判例があります(最大判昭和31年12月26日刑集10巻12号1769頁)。
  • 今ある権利は、子供の教育と緊急医療系統のものが主なものです。不法滞在者向けの権利の現状に関しては、リンク先を参照して下さい。

医療(国民健康保険)

不法滞在者は、基本的に国民健康保険への加入は認められていません。
 超過滞在の外国人は、次に説明する事情によって国民健康保険に加入を許されない。次に説明する事情によって国民健康保険に加入を許されない。また多くの場合、会社を通じて加入する健康保険にも入れない。
 国民健康保険の加入の具体的な事務は市町村役場が行っている。窓口では在留資格・期限をチェックし、その外国人が1年以上日本に滞在する可能性が高い場合しか国民健康保険への加入を許してくれない。超過滞在外国人は国民健康保険に加入できない。
 日本人との結婚を理由に在留特別許可を求める外国人、難民申請をする外国人は、2年、3年とその結果を待たねばならないが、その間も国民健康保険への加入はできない。日系人でも在留期限六ヶ月以内であれば同じ扱いである。
 この背景にあるのは国民健康保険を所管する厚生省の次のような考え方である。
 外国人の国民健康保険加入にあたっては、1年以上の在留資格を持つ者か、適法な就労または入学など、入国目的、入国後の生活実態から見て1年以上の在留をすることが明らかな外国人だけが国民健康保険への加入を許される、というものである。そして厚生省は、国民健康保険法第五条が市町村等に住所を有する者を有資格者としていることを根拠に、短期滞在者ならびに超過滞在者の加入は許されない(なぜならこの人々は市町村の中に住所をもっていないから―筆者注)との統一見解を出しているのである。
 こうして、超過滞在者が国民健康保険に加入することはきわめて困難になっている(梓澤和幸「在日外国人 弁護の現場から」p.28-29)

なお、在留資格のない外国人国民健康保険に加入を巡って裁判で争われた事例もあります。
2001年:横浜地裁→在留資格のない外国人も国民健康保険の対象になる。
2002年:東京高裁→在留資格のない外国人は国民健康保険の対象にならない。
2004年:最高裁→在留特別許可を求め、安定した生活を営む場合は国民健康保険の対象になる。但し、規則で定めれば不法滞在者を国民健康保険から排除しても構わない。

裁判は上記のような経過を辿りましたが、最高裁で敗訴した後、厚生労働省は不法滞在者を一斉に国民健康保険から排除する省令を出したため、不法滞在者は国民健康保険に加入する権利は認められていません。

参考サイト

税金(源泉徴収)


誤解や疑問へのQ&A

ビザのない外国人の呼称としては「不法滞在者」と「非正規滞在者」の二種類がありますが、どちらが正式なものでしょうか?

法務省をはじめとする行政機関やマスコミでは「不法滞在者」、NPO/NGO関係者や一部の研究者は「非正規滞在者」という用語を使用しています。
正式な名称は行政機関が使用しているものになると思いますが、NPO/NGOや研究者側の言い分は以下のようです(鈴木江里子「日本で働く非正規滞在者」)。
①「不法」という言葉が「犯罪」と結びつけられやすい表現であるため。
②合法的な滞在資格をもたないことが、必ずしも当該外国人の責でない場合もあるから(旧国籍法に絡む問題等)。なお、1975年の国連総会において、「不法な(illegal)」という言葉は、常に移民に罪があるような印象を与えるため、国連の公式文書では、、「非正規の(irregular)」または「未登録の(undocumented)」という用語を使うように決議されている。
③非正規滞在者であっても、受入れ国側の政策や制度によって、合法的な滞在資格を付与されることがあるため。

不法滞在者の場合は「外国人登録」はしていないはずですが、なぜ子供が公立学校に通えるのでしょうか?

親は不法滞在 外国人登録なく…『見えない子』 遠い教室(東京新聞/2006/01/28)
http://www7.atwiki.jp/epolitics/pages/268.html#id_a127a1b9

日本の場合、身分行為の記録として、日本人は戸籍制度と住民票、外国人は外国人登録制度というもので記録されます。
一般的な日本人のイメージとしては、戸籍制度を前提として結婚届・出生届を出し、子供の公立学校への入学の際は親の身元確認などもされるといったものだと思います。

「外国人登録制度」にもこれをスライドさせたイメージを抱く人が多いため、「(外国人登録をしていない)不法滞在者の子供は学校に行っていない」という誤解が広まり、マスコミ等で「在留特別許可」を求める子供達が紹介される際には、「親が外国人登録をしていないはずなのに、子供が公立学校に通っているのは何故?」という疑問が出てくるようです。
これは今までの実際の行政の運用等と関わってきて複雑になりますので、以下、順を追って説明します。

①外国人登録について
外国人登録は不法滞在者であっても「在留の資格なし」のカテゴリで登録する事ができます。
また、外国人登録は居住地の認定のために行うというのが趣旨であり、それ以上のものではありません。外国人登録は在留資格とは別個のものですので、不法滞在者であっても登録義務があるというのが判例です(最大判昭和31年12月26日刑集10巻12号1769頁)。
そういった経緯と合わせ、実務の方でも、「不法滞在者が登録をしに来てもあえて入管に通報する必要はない」といったマニュアル(当該資料)が作成されていたため、以前は不法滞在者であっても外国人登録を行う人が多かったようです。
行政サービスを受けるには外国人登録が必要な場合もあり、2003年には不法滞在者の1割近くが外国人登録をしていたという統計もあります。

②結婚する権利、子供が教育を受ける権利
「不法滞在者が(事実婚ではなく)法律婚をする権利、子供を公立学校に通わせる権利」に関しては、「外国人に対する基本的人権の保障」という枠組みで捉えた場合、「(1)外国人に対する憲法の基本的人権の保障は、外国人在留制度の枠内で与えられている(そのため、正規在留で外国人登録がないと権利は保障されない)」という立場と、「(2)婚姻や出産、子供の教育は、人が人として享受する権利ないし地位で、在留資格とは無関係である(明文化されてはいないが、在留資格や外国人登録の有無に関わらず、人権保障上当然の権利である)」という立場があります。

(1)の立場の根拠となっているのはマクリーン事件最高裁判決ですが、(1)の議論は個別の退去強制を制約されない場合に当てはまるものであっても、それ以外の人権制約の場合には別途検討する必要があり、憲法・国際人権A規約・児童の権利条約などの観点も含めて検討すると、「結婚する権利、子供が教育を受ける権利」に関しては、(2)の解釈が妥当なようです。不法滞在者の権利としても、行政サービス等は一定のものが認められており、「在留資格がないと全ての権利がない」という認識は間違いです(参考:現在の非正規滞在者への法・行政サービスの適用)。
特に、「児童の権利条約」においては、締約国に「すべての子に」無償で初等教育を行うよう義務づけていて、文部科学省も、不法滞在や外国人登録がない子供でも公立学校への入学を認めています。

但し、実際は各地方自治体によって対応にばらつきがあり、行政実務の現場では(1)の立場で「親に在留資格と外国人登録がないと、子供は教育を受ける権利はない」と解釈する職員も多く、(2)の解釈を説明できる支援者や弁護士等から苦情を受けない限り対応は変わらず、子供は教育から排除されてしまうという傾向もあるようです。

③2003年以前の状況と最近の傾向
おおまかな状況としては、子供を学校に通わせたい文部科学省、不法滞在者であっても実態を把握して住民データに反映させたい各市町村、それを黙認している入管といったものが今迄の構図であり、両親が不法滞在であっても、「(1)外国人に対する憲法の基本的人権の保障は、外国人在留制度の枠内で与えられている(そのため、正規在留で外国人登録がないと全ての権利は保障されない)」と解釈する行政担当者に当たってしまい、そのままにならない限りは、子供は普通に公立学校に通う事ができていたようです。

但し、2003年より「不法滞在者半減キャンペーン」というのが行われており、法務省(入管)が外国人登録のデータを摘発に使うという方針に転換し、各市町村にもそのような指示を出しているため、最近は、外国人の親(不法滞在者)が「在留資格なし・外国人登録有り」の条件で子供を公立学校に通わせるために外国人登録を行おうとすると、各市町村の職員が入管に通報するといったケースが多発していているようです。
それを受けて、不法滞在者側も「入管と市町村は別」「子供の教育と健康保険のために外国人登録を」といった考えから行っていた外国人登録を避けるようになり、その結果として不法滞在者の子供も教育を受けにくくなってしまっているというのが最近の傾向のようです。

関連項目

参考サイト
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