外国人政策 > カルデロン一家問題 > mixiでの議論まとめ


議論の前提

トピ主(01)

在留特別許可にかかわるガイドラインが本日森法相より表明がありました。
今年上半期に随分とマスコミを騒がせたカルデロン一家問題を契機に法務省が動いたことは大変喜ばしいものがあると思います。

しかし、このカルデロン一家問題をもう一度私たちで検証できないものかとトピをあげさせていただきました。

なぜ、カルデロン一家は日本への在留にこだわったのでしょうか。
そして、日本に出稼ぎをせざるをえなくなった背景は何か。
カルデロン一家を支援した渡辺弁護士はどのような人なのか。
何故、摘発までの期間が長かったのか。
何故、カルデロン夫婦は出頭しなかったのか。

様々な視点からもう一度皆さんで意見を出し合ってみたいと思います。

議論開始

参政権同様、紳士的な「議論」でお願いします。
しっかり他人の意見を聞いてくれるなら、他の方もカモンです!
ポスト29までの表明集計 (30は集計ミスのため削除しました。たびたび済みません。)

1:妥当である 5名

2:不十分である 5名

3:厳しすぎる 3名



条約と法律のバランス

お題(01)

徐々にバランスが取れ始めています。
早速始めて行きます。

まずは、条約と法律のバランスについて

カルデロン一家の弁護を担当したいずみ橋法律事務所の渡邊弁護士はこどもの権利条約を多用しておりました。
私個人としては条約はあくまでも条約であり、基本的には国内法が優先されるべきであると思いますが、皆様はどのようにお考えでしょうか。

そこから初めていきたいと思います。

seijigakuto(01)

条約と法律のバランスについて

大前提として、条約法に関するウィーン条約(条約法条約)27条には「当事国は、条約の不履行を正当化する根拠として自国の国内法を援用することができない」という条項が存在するため、国際条約よりも(憲法以外の)国内法規を優先させる事は認められていません (各国が国内法を理由に条約を守らなくても良いという行動を取った場合、条約の存在意義が崩壊してしまいます)。

条約規定の法的効果を変更・排除する方法としては留保・解釈宣言という方法が存在し、児童の権利条約においても日本政府は9条1項と10条1項に解釈宣言を出しています。
但し、解釈宣言でも取りうる解釈にはおのずと限度があり、条約の趣旨と真っ向から反するような解釈は取る事ができず、日本政府の出している解釈宣言の内容・文言はグレーゾーンだといわれています。

トピ主(02)

35.seijigakuto殿

ということは、こどもの権利条約を批准した日本としてはそれに準じた法整備をするべきであったということなのでしょうか。法整備の不備を突いた形の犯罪であったということなのでしょうか。

seijigakuto(02)

トピ主さん
いわれている意味がよく分からないのですが、基本的な所からお答えします。
不法滞在者とそれに対する在留特別許可というのは先進国ではどこにでも存在し、珍しいものではありません。
日本でも、年間5,000~13,000人程度に在留特別許可は下りています。

簡単に諸外国での条件をまとめると、以下のようになります。
アメリカ 10年以上居住、善良、退去強制がアメリカ国民または永住者である家族によって非常な困難
フランス (1)10歳より前から居住する未成年者(2)10年以上居住する者
イギリス (1)7年以上居住している若い子供のいる家族(2)14年の居住
オランダ 6年継続居住・就労・税金・社会保険料の支払い(2)3年以上居住許可の決定放置

日本の場合、入管実務では「在留特別許可」を認めるための細かい内部基準がありますが、一家全員在留資格のない外国人家族のケースだと、以下のような基準を満たしている必要があります。
(1)おおむね10年以上の日本での在留年数
(2)日本で生まれたか、幼少の頃に来日した子供がいる
(3)その子供(長子)が中学生以上である
(4)素行が善良である

カルデロン一家の場合、
不許可裁決が出た時点→子供が小学5年生((3)の条件を満たしていない)
今現在→子供が中学1年生((3)の条件を含め、全ての条件を満たしている)

という事で条件を満たしていなかったので不許可採決になったのですが、「児童の権利条約の趣旨を鑑みた通常の解釈をしたり、行政実務での他の事例とかを見ると、もうちょっと基準を緩めてくれてもいいじゃないか、カルデロン一家を許可する方に振り向けてくれ」というのが支援弁護士の主張です。

トピ主(03)

40.seijigakuto殿

ふむ・・・なるほど。
こどもの権利は確かに必要であると感じております。
他国でもそのような実情・条件があることは承知しました。

で、何故不許可採決が出た時点で日本を離れようとしなかったのでしょうか。
条件を満たすまで何故入管サイドは彼らを放置していたのでしょうか。

seijigakuto(03)

トピ主さん
何故不許可採決が出た時点で日本を離れようとしなかったのでしょうか。

4番にも書きましたが、当の外国人の立場で考えれば、15年近く生活して、生活基盤が日本で出来ていれば拘るのは当たり前だと思います。
送還されれば日本で築いた生活や人脈が全てなくなりますし、日本とフィリピンだと賃金が全然違いますので、国でいくら稼いでも子供の教育費は払えません。
そして、国の処分に不服がある場合は、日本人・外国人を問わずに裁判によって争う事ができます。

条件を満たすまで何故入管サイドは彼らを放置していたのでしょうか。

放置していたのではなく、その間裁判をやっていたのです。
日本国憲法32条には「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない」とあり、これは日本人・外国人関わらずに適用される基本的人権です。
出入国関係の訴訟では、国側の勝率が99%を超えますが、最高裁まで争うと2年くらいはかかるので、その間に小学校5年生だった子供が中学生になって条件を満たしました。

トピ主(04)

つまり、係争中の間に条件が満たされたため、改めて在留許可を求めたというわけですね。

今回の担当弁護士の活動は法を守るべき弁護士が入国管理法という法を破っていることに気がついているのでしょうか。

seijigakuto(04)

トピ主さん
在留特別許可は、入管法に定められた制度で、それを求める事は法律の枠内です。求められて許可しない事も法律の枠内なので、許可しなくても違法ではありませんが。

詳しくは、以下の弁護士さんのブログを参照して下さい。
不法滞在者に在留特別許可を認めるということ - モトケンブログ
http://motoken.net/2009/04/17-083316.html
何度も指摘されてますが、在留特別許可というのは「密入国や不法滞在などで入管法に違反して日本に滞在している人」を対象にしているのであって、「密入国や不法滞在などで入管法に違反して日本に滞在している人」に在留特別許可を認めることは、法務大臣の裁量権の乱用と認められない限り、不当でも不法でも違法でも無理でもありません。(引用終わり)
 ネットを見ると、法律に違反している外国人(つまり、不法滞在者)に在留許可を認めるのはおかしい、という意見が多く見られますが、それは、在留特別許可というのは不法滞在者の在留を認めるための制度であるという点を理解していない意見です。
 つまり、完全に的外れです。従って、不法滞在者が法務大臣に対して、在留特別許可を認めるように求めることもなんら不当ではありません。
 求めるにあたって、自分や周囲の状況を説明することは当然のことです。在留特別許可を求める外国人に支援者が生じることも問題にすべきことではありません。在留特別許可を認めるかどうかは行政裁量の問題ですので、法務大臣の判断に世論が影響することも不当とは言えませんから、外国人本人またはその支援者がさらに多くの支援・支持を求めることも不当とは思えません。多くの支援・支持を求めるにあたって演出が行われることも必然と思われます(選挙運動を考えれば明らか)。演出の巧拙はあると思いますが。

中間集計

ポスト44までの表明集計

1:妥当である 8名

2:不十分である 5名

3:厳しすぎる 5名

トピ主(条約とバランスのまとめ)

○条約とバランスのまとめ

大前提として、条約法に関するウィーン条約(条約法条約)27条には「当事国は、条約の不履行を正当化する根拠として自国の国内法を援用することができない」という条項が存在するため、国際条約よりも(憲法以外の)国内法規を優先させる事は認められていない。

故に、基本的には国内法規<条約が優先される

ただ、各国の実情に合わない場合において、留保・解釈宣言を行うことが可能。
もしくは批准しないという手段も存在する。

※ちなみに、アメリカはこどもの権利条約を批准していない。
また、日本においては9-1条と10-1条に対し解釈宣言を行っている。

更に、在留特別許可という制度は法務大臣の権限において実施しているものであり、不当でも違法でもなんでもない。不法滞在者に対し在留を認める制度である故に、法律に違反している外国人に在留を認めるのはおかしいというネットにおける世論に対しては的を得ていないものである。



「犯罪者」の定義と不法入国

お題(02)

次に行きたいと思います。

○カルデロン一家を支援する関係者が語る「アラン氏は何も犯罪を起こしていない」という発言について

カルデロン一家を支援してきた関係者は数多く居ると承知しております。アラン氏が実際に仕事をしていた会社でも就労態度はまじめである。これが普通の日本人であったり正規の在留資格であれば問題は無いものといえましょう。犯罪を犯していない人が強制送還を食らうのはおかしいといえます。
私の認識では、他人名義の旅券での入国ということは他人の書類を用いて不法に在留資格を取得したといって過言ではありません。確かに、強盗や殺人など周囲に影響を与えかねない犯罪はおかしていないといえましょう。
しかし、前述の不法な在留資格の取得は私たちには縁の無いものかもしれませんし、たいしたものではないとお考えの方も居るかもしれません。
それで、いいのでしょうか。一人二人ですむならそれでいいかもしれませんが、徐々に広がって言った場合私たちに与える影響は軽微ではすまなくなるという可能性があると思います。

そのあたりのご意見を拝聴いたしたく存じます。

seijigakuto(05)

○カルデロン一家を支援する関係者が語る「アラン氏は何も犯罪を起こしていない」という発言について

同じ弁護士さんの記事ですが、刑法の基礎です。
不法残留の罪 - モトケンブログ
http://motoken.net/2009/04/13-144438.html
一家の両親が犯罪者かどうかという点につきましては、出入国管理及び難民認定法違反(不法残留の罪)になりますので、犯罪と言えば犯罪です。
 ではどんな犯罪かということを考えてみますと、これは誰にどのような迷惑または損害を加えたのかが問題になります(難しく言うと侵害された法益は何か?)
 不法残留の罪においては、直接的な法益侵害は、外国人の出入国に対する国の管理業務が妨害されたということであって、不法残留の罪を犯したからと言って直ちに一般市民に具体的な不利益が生じるわけではありません(統計的には失業問題などと関連してくることは考えられますが、これも個人非難の理由とはしにくいでしょう)。

自然犯、法定犯(または行政犯、行政取締法規)の区別は、刑法学において普通に議論されているものであり、決して貴賎をつけているものではありません。
 罰則規定は、どのような行為をどのような理由に基づいて罰しようとしているのかを考えることは刑事司法に携わるものにとっては日常的なことです。窃盗の前科がある者が殺人を犯した場合、傷害の常習者が殺人を犯した場合、業務上過失致死の前科があるものが殺人を犯した場合、それぞれ前科が殺人の量刑に及ぼす影響の程度は違ってきます。犯罪であれば全て同じとか、法定刑の違いだけが問題だと考えることは、いずれも正しくありません。

seijigakuto(06)

上記のように、カルデロン一家の場合は入管法(行政法規)以外の法律違反は犯していませんので、アラン氏は(刑罰法規違反の)犯罪は何もおかしていないという点は正しいともいえます。()内を補足しての言及かどうかは確認していませんが。

なお、他人名義の旅券での入国~不法滞在までの一連の「犯罪」に関しては、牽連犯で科刑上一罪となっているはずですので、この点をもっても、行政法規違反のみのアラン氏を「犯罪者」というのは、法律的には妥当ではありません(一般的な用語で、犯罪者というのは自由ですが)。

不法入国者が増えると~という点ですが、在留特別許可のデータは以下の通りになっています
年度 許可人数 不法入国 不法残留 刑罰法規違反 
2002  6,995人  1,068人  5,726人  201人
2003  10,327人 1,374人  8,743人  210人
2004  13,239人 2,188人  10,697人 354人
2005  10,834人 2,077人  8,483人  274人
と、このように不法入国→不法滞在というパターンでも、年間で4桁の許可者数がでていますので、今更2人か3人増えた所で、日本の出入国管理行政に与える影響は殆どありません。

質問者

seijigakuto様 

割り込み失礼します。
オーバーステイなど住民に直接的な影響を与えないのは問題にするべきではないという
解釈でよろしいのでしょうか。
カルデロン一家が100人も200人もいた場合はどうなるのな気になります。

トピ主さん

僕も意見表明するね。
「1:妥当である。」

seijigakuto様とトピ主さんのやりとりを見ていて、自分が持っていた誤解が少し解けました。
でも、まだまだ議論はこれからだと思うので見守っていくよ。
仕事はしっかりやれよ。またあとでIRCで出てくるから。

seijigakuto(07)

質問者さん
対立利益が違うという意味です。
刑法での保護法益は個人的法益、社会的法益、国家的法益に大別できます。

国家的法益の侵害(外国人の出入国に対する国の管理業務)に関しては、国の政策の遂行に対する侵害ですので、問題にするのか問題にしないのかは、該当する国の政策への賛否や状況によって影響してくるという意味です。
その意味で、「問題にすべきではない」とまではいきませんが、自然犯に比較すれば問題の程度が軽いという事もまた事実です。

seijigakuto(08)

補足しますと、殺人罪などの重大な刑罰法規違反を犯していた「犯罪者」の外国人の場合は、問答無用で強制送還させられます。
不法入国も犯罪ですが、刑罰法規違反程の重さはなく、条件によっては、年間で1,000人~2,000人に在留特別許可が出ているといった範囲の「犯罪」であるという事です。

トピ主(05)

seijigakuto殿

質問者のポストに乗っかる形で相済みません。

教えて欲しいことがあるのですが、

①ポスト59にて「個人的法益」「社会的法益」「国家的法益」の3つを述べられていますが、これの具体的な定義というものはありますか?
②根本的なところですが、「法益」というのは法律が与える利益とストレートに解釈してよろしいですか?もし間違いがあればご指摘いただきたく。
③サラ氏による万引きが元で不法滞在が発覚したという発言が先ほどございましたが、真偽のほどは別として、万引きというのは窃盗罪に相当すると思いますが、これは個人的法益に該当するのでしょうか、社会的法益に該当するのでしょうか。

よろしくお願いします。

seijigakuto(09)

トピ主さん
①Wikipediaを引用します。
個人的法益 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%80%8B%E4%BA%BA%E7%9A%84%E6%B3%95%E7%9B%8A
個人的法益(こじんてきほうえき)とは、法益の帰属主体が個人であるものを指す。
社会的法益、国家的法益は、上記リンクの関連項目から参照できます。

②Wikipediaを引用します。
法益 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%95%E7%9B%8A
法益(ほうえき)とは、法令がある特定の行為を規制することによって保護、実現しようとしている利益をいう。
保護法益(ほごほうえき)ともいい、主として刑法学において用いられる法的概念である。


カルデロン一家が万引きで捕まったっていうデマ
http://anond.hatelabo.jp/20090420135835
そもそもの情報がデマだと思います。買い物途中のサラ氏が職務質問を受けて逮捕~というのがどこの報道機関でも流れていたような気がします。
そのデマの発生源となっているソースはネット上の匿名書き込みで、さらっと見た限り結構な電波でしたので、ネット上の匿名書き込みは、そのまま信用できない事の具体例だと思います。

なお、万引き(窃盗罪)に関しては、個人的法益の「財産に対する罪」になります。
万引きが事実ならば、犯罪者と呼ぶ事は妥当かもしれませんが、「万引きという犯罪を犯したから強制送還するべき~」という主張の妥当性といった事も合わせて論じるべきではないかと思います。


ネトウヨ(01)

事実関係が不十分なため転載します。

赤池議員、国会質問4月17日
http://www.youtube.com/watch?v=lfQb2xaim6U

『 カルデロン父母は、ブローカーから他人名義のフィリピン旅券を入手して不法入国します。さらに、他人名義で外国人登録をします。平成7年には長女であるノリコが日本で生まれ、入管法の在留資格取得を申請することなく、長女も不法残留となりました。
カルデロン父母の両親や家族は、ほとんどが不法入国または不法残留したことがあり、集団で入管法違反を繰り返しており、日本の法律を遵守しようという意識が極めて希薄であると判決でも指摘されています。』

『平成13年7月母が入国管理法違反により警察に逮捕されます。8月に父及び長女が東京入国管理局に出頭し、不法滞在であったことを申告します。9月には母親がさいたま地裁において、入管法違反により懲役2年6月、執行猶予4年の判決が言い渡され、東京入管に収容されます。10月父及び長女が仮放免となり、11月に一家3名に退去強制令書が発布されます。』

『ところが、12月になって一家3名が東京地裁に退去発布処分取消等請求訴訟を提訴します。平成20年1月東京地裁において国側が勝訴判決、5月東京高裁においても国側が勝訴判決。9月、最高裁において上告が棄却され、上告不受理の決定がなされ、同日刑が確定したわけです。行政処罰だけでなく、裁判でも適法であることが認定されております。』

『他人名義の旅券で不法入国した入管法違反、他人名義で外国人登録した外国人登録法違反、そして、長女ノリコも在留資格を申請しない入管法違反の三重の法律違反をしています。それに対して法務省は、3月13日までにカルデロン家族3人が強制退去するか、長女ノリコだけは在留特別許可を出してもよいと通告しました。そして、カルデロン一家は長女を残して、父母はフィリピンに強制退去することを選びました。そして、4月13日に父母がフィリピンに強制退去されたということです。』

『今回の問題は3つあると思います。第1は、法務省の対応です。なぜ長女に在留特別許可を出したのか、甚だ疑問です。最高裁判決でも確定した通り、原理原則に則って一家3人を退去強制にすれば良かっただけです。東京地裁判決でも、こどもの権利条約はじめ国際条約違反に当たらないこと。日本で生まれ育ち現地語でできない長女が、フィリピンでは困難に直面するが、それは帰国子女一般にも当てはまることで、両親はフィリピンで生まれ育ち、両親の家族(父には母と兄2人、母には弟と妹2人)がおり、支援が期待でき、長女は子供で柔軟性があり、フィリピンに順応し、困難を克服できると指摘しております。さらに、年少の長女は、自立できるまでの間、両親の扶養を受け、両親と共に生活をするのがその福祉に適うとまでいっています。当然の判決です。』

『それにもかかわらず、法務省が娘さんだけには在留特別許可を出そうと、最大限の配慮をした』というのは、法の番人である法務省として、裁量権の逸脱ではないかと言わざるを得ません。
 法務省の資料によると、在留特別許可件数は、平成16年13,239件、17年10,834件、18年9,360件、19年7,388件、20年8,522件となっています。驚くべき数の方々が不法残留にもかかわらず、在留特別許可をもらって日本にいるのです。実態は日本人と結婚したり、子供ができたケースがほとんどだそうです。そして、今回の事例のように、ブローカーによる他人名義の旅券で不法入国し、外国人登録法まで違反し、両方の家族も常習者となるような悪質な人間でも、子供には罪はないとして、子には在留特別許可を出すとなると、今後そのような事態が多くなることが当然予想されます。日本人は子供には甘いとして、不法入国して子供さえをつくれば、子供たけは日本にいることができるという悪しき前例をつくったことになります。』

赤池議員の発言に賛同します。
上記にもあるように3つの罪があるのです。

トピ主(「犯罪者」の定義と不法入国のまとめ)

○カルデロン一家を支援する関係者が語る「アラン氏は何も犯罪を起こしていない」という発言についてのまとめ

両親は入国管理法違反という重大な法律を犯している。しかし、これは個人への影響に及ぶものではなく、国家的法益から考慮されるとそれほど重要なものではないことから何も犯罪を起こしていないという風に結びつけることが可能であるということ。
ただ、日本における遵法精神から考えるにやはり許されるべきではないという意見も根強く見られる。


次に行きたいと思います。

法律は守るべきか守らなくてもいいのか

お題(03)

○法律は守るべきか守らなくても良いのか。

ちょっと極論になりますが、入国管理法を違反しているカルデロン一家ですが、マスコミ各社の論調はこぞって中学生がかわいそうだとか言っておりますが、それよりも法律は守るべきものじゃないのですか?法律守らないでそのような浪花節みたいなことはいえるものじゃないと思うのですよ。
法律を守って物をいって欲しいものですが、彼女がどうかなるなら法律なんかクソクラエなのか、やはり法律は守るべきものであるか、ご意見を賜ります。。

seijigakuto(10)

赤池議員の認識へのダウトと、次のテーマについて返信します。
それにもかかわらず、法務省が娘さんだけには在留特別許可を出そうと、最大限の配慮をした』というのは、法の番人である法務省として、裁量権の逸脱ではないかと言わざるを得ません。

基本的な事ですが、殆どの法律には裁量事項があります。
他の法律にも様々な裁量事項が存在し、その範囲は「裁量の余地のない狭い裁量」~「無限に近い広い裁量」まであります。
入管法50条4項の在留特別許可は後者の典型であり、行政がおこなう処分としてここ20年余りで在留特別許可ほど基準が揺れ続けたものは滅多に存在しないのではないかと思います。

肝心の裁量範囲ですが、裁判においてこれが違法とされる場合は、
①その判断が全く事実の基礎を欠く場合
②社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるなど
上記のように、法務大臣が裁量権の範囲を逸脱し、又は濫用した場合に限られており、裁判での勝率は1%以下という極端なものになっています。
その一方、その広範な裁量権を行使して不許可になるはずだった一家を許可に振り向けるという事も行われています(前述した行政が行う処分としての基準の拡大)ので、事実上法務大臣(入管)は無制限に近い裁量権をもっていますので、これを使って許可・不許可のどちらかに振り向けても「裁量権の逸脱」という事は滅多におこりません。

そして、今回の事例のように、ブローカーによる他人名義の旅券で不法入国し、外国人登録法まで違反し、両方の家族も常習者となるような悪質な人間でも、子供には罪はないとして、子には在留特別許可を出すとなると、今後そのような事態が多くなることが当然予想されます。日本人は子供には甘いとして、不法入国して子供さえをつくれば、子供たけは日本にいることができるという悪しき前例をつくったことになります。

国会で質問するなら、最低限の事は調べるべきです。
極々基本的な事として、不法滞在者数は1994年のピーク時から1/3程度に減っています。
子供さえ作れば~という点も、このカテゴリの外国人が許可されるようになったのは1999年からであり、そこからの推移で見ても不法滞在者数は半分以上に減っています。

「これを認めらたら~」式の論法は、人々の不安に訴える俗流の「倒れるドミノ理論」ともいえますが、法務省にはそれをさせなかった10年分以上の実績があり、それを調べればこの発言は事実の基礎を欠いたものであるという事がいえます。

1994年 293,800人
1995年 286,704人
1996年 284,500人
1997年 282,986人
1998年 276,810人
1999年 271,048人
2000年 251,697人
2001年 232,121人
2002年 224,067人
2003年 220,552人
2004年 219,418人
2005年 207,299人
2006年 193,745人
2007年 170,839人
2008年 149,875人
2009年 113,072人

seijigakuto(11)

○法律は守るべきか守らなくても良いのか。

元々、在留特別許可は前述したように法務大臣(入管)に広範な裁量権があり、許可したとしても法律の範囲内です。
また、法律といっても入管法だけが法律ではありません。本件事となる退去強制令書発付は、児童の権利条約3条、9条1、B規約17条に違反しているとも解釈できます。

日本の場合、国際条約(国際人権も含む)は公布により条約にそのまま国内法的効力を認める方式(受容型)を採用しています。
内容に関しても、「B規約委員会やCRC、各国の裁判所の努力により明確化がはかられているのであるから、国内法として法律に優位する直接的効力を有すると解するのが妥当である(徳島地判平成8年3月15日判時1597.115」という判例も存在します。

その上で、入管法違反と、国際条約・憲法上保障された外国人の権利・人権などの様々な要素を天秤にかけた結果、入管法違反よりも退去強制させられる外国人の不利益(人権保障)を重くみた場合は、在留特別許可を与えるという論理構成をとれば、この命題自体が妥当なものではないのではないか?といえるのではないかと思います。

ネトウヨ(02)

72
seijigakutoさん

赤池議員の認識へのダウト

こちらのダウトの意味がよく分りませんのでもう少し明確に教えていただけませんか?事実認識が違うと仰るのですか?
実に明瞭な説明だと思いますが。。
事実が違うというのであれば、それなりに考えも変わってきますのでまずは真実を解明すべきであると考えます。

赤池議員が発言したものは動画を見る限り法務省担当官が真実であるとしていますが、あなたが赤池議員発言の何処が真実とは違うのですか?

分りにくい法律用語ではなく分りやすい言葉で宜しくお願い致します。
もし、事実であることを前提に次に進めるのであれば進んでいただいて結構です。

seijigakuto(12)

ネトウヨさん
赤池議員の、カルデロン一家に対する裁判関係の「事実(裁判認定事実)」以外の解釈・認識は間違いだという事です。
法務省担当者が認めた「事実」は、カルデロン一家という個別事例に関する裁判認定事実であり、その事が事実であるからといって、その「事実」を元に赤池議員が解釈・認識した法務行政の現状や将来の不安が正しい訳ではありません。

1段落目
法の番人である法務省として、裁量権の逸脱

裁量権の定義や運用実態くらい調べてから質問するべきでは?という意味です。

2段落目
子には在留特別許可を出すとなると、今後そのような事態が多くなることが当然予想されます。日本人は子供には甘いとして、不法入国して子供さえをつくれば、子供たけは日本にいることができるという悪しき前例をつくったことになります。

不法滞在者数の推移を調べれば、悪しき前例~は間違い。
だいたい、自分の党が2003年に不法滞在者半減計画を出して不法滞在者への締め付けを大幅に強化し、外国人の情報の一元管理を意図した入管法改正も準備(先日成立)しているので、そこらへんの勉強くらいはするべき。


なお、赤池議員の発言のうち、カルデロン一家という個別事例に対する裁判認定事実が「事実」である事に対する異議を申し出るものではありません。
ですので、カルデロン一家に対する裁判認定事実だけを「事実」というのであれば、そのまま進められて結構です。

ネトウヨ(03)

74
seijigakutoさん

私が特に申し上げることは裁判記録が事実であるかどうかですよ。
あなたが漠然とダウトといういい加減な言葉を使用することが相応しくないため何が真実かをお聞きしたまでです。

カルデロン一家の裁判記録は事実であることを前提に話しを始めるべきです。
その認識が違うのかとさえ感じた次第ですが、それはご理解いただけたようで良かったと思います。

最高裁判決まで行って、何故カルデロン一家はその判決どうりに行動できなかったのですか?法律は詳しくありませんので何故できなかったのか知りたいのです。
それから、不可解なのは一外国人が最高裁まで闘うにはそれ相当のお金が必要だと思うのですが、何処かの団体のバックアップがあったのだろうと思います。
どういう組織が擁護していたのでしょうか?

判決どうりに行動できなかったこと、バックアップ組織は何処?この二点、宜しくお願い致します。

seijigakuto(13)

ネトウヨさん
赤池議員に関しては、国籍法の時も入管法改正案の時も基本的な概念や事実関係を踏まえていない発言が目立ったので、率直な感想を述べました。
これ以上の突っ込んだコメントは控えますが、質問された点にお答えします。

最高裁判決まで行って、何故カルデロン一家はその判決どうりに行動できなかったのですか?法律は詳しくありませんので何故できなかったのか知りたいのです。

裁判で争ったのは退去強制処分という「行政処分」の違法性で、 裁判所の判断はカルデロン一家に「退去強制令書を執行せよ」と命じているわけではありません。
法律にある在留特別許可という制度は、 最高裁で負けた段階での一家に在留資格を与えても与えなくても法律の枠内です。

それから、不可解なのは一外国人が最高裁まで闘うにはそれ相当のお金が必要だと思うのですが、何処かの団体のバックアップがあったのだろうと思います。

まずは、一般論から。
弁護士は、民事や企業法務などの「儲かる」仕事以外に、持ち出しでボランティア的に取り扱う分野がある場合が多いです。それは刑事事件であったり、研修所や大学などでの行進育成であったり、日の当たらない人の支援だったりします。
この割合は人によって違いますが、刑事事件の場合は、自分の取扱い事件の10%程度だったら「かなり頑張っている」といわれるようですので、殆どの人はそれ以下の割合で出来る範囲でやっているのだと思います。

次に個別論になりますが、そういった日の当たらない人の支援の中で、外国人事件(不法滞在者や外国人の子供等)を趣味やライフワーク的に選ぶ弁護士もいます。
1999年にこの種の外国人事件で有名な在特一斉行動というのがありましたが、その時に集まった弁護団(弁護士)は32人で、その資金の大半が弁護士の持ち出しで残りはカンパで賄ったようです。

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最終更新:2009年07月16日 08:22
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