B0006 酒場へようこそ!


ミッション№
名前 特殊条件 人数 戦利品
中級
№B0006
09 / 11 / 25 ~ 12 / 12 / 31
09 / 11 / 25 ~ 15 / 12 / 31
09 / 11 / 25 ~ 30 / 12 / 31
酒場へようこそ!
特になし 3人 水のリングLv2
(1ポイント)

プロローグ
「はーい! ビールお待たせしましたー」

ティターノ基地内の酒場では今日も看板娘のリズが元気に接客をしていた。

カロン

店の入り口の鐘が鳴り、客の来店を知らせる。

リズ
「いらっしゃいま…せ」

愛想のいい笑顔で入り口を振り返るリズだったが、入ってきた人物を見てその顔が固まる。
そこにはおおよそこの場に似つかわしくない様な人物が立っていた。
危険度
★★

LC0087
看板娘リズ

900 / 190 / 190
3/9/3/5/5
敵サポカ
水のリングLV1×2
土のリングLV1
リズ
「いらっしゃい。ビックリしちゃったわ、グラウコがこんな所に来るなんて。どうかしたの?」

騒々しい場所を嫌うグラウコを角の席へと案内し、リズが小声で尋ねる。
しかし、先程のリズのただならぬ反応に周りの客は全員耳を済ませて会話を盗み聞こうとしていた。

グラウコ
「……」

リズ
「え? そうなの? 私の働いてる姿を見に?」

周りの客が一斉に固まる。
リズの言葉の内容にではない、二人の〝会話〟に驚いているようだ。

グラウコ
「……」

リズ
「そんな! やめてよ、恥ずかしいなぁ、もう…」

更に続く〝会話〟に、周りの客達は完全に口を閉ざしてしまっていた。
沈黙が場を支配する。
やがて一人の客が誰ともなしにボソリと呟いた。

「今…アイツ喋ってたか?」

ブンブンブンブン
その一言に周りの客達は一斉に首を横に振る。
更に他の客が口を開く。

「リズちゃん…何でアイツと会話が成立してるんだ…?」

うーーん

他の客が一斉に首をひねる。

「あ! もしかしたら、リズちゃん、人の心が読めるんじゃ…!?」

一人の客がおもむろに考え付いた事を口にする。

「なに!? だったら…ヤバイじゃないか! 俺達リズちゃん目当てで来てんだぞ!」

「そうだ! あんなことこんなこと考えてたのがバレちまう!!」

焦った客達が一斉に騒ぎ始める。

「ああもう! だったら一層のこと想いを伝えちまえばいいんだ!」

一人の客がリズに向かって駆けていった。
残った客達が「俺も、俺も」とその後を追う。


「リズちゃん!!」

リズは自分を呼ぶ声で振り返った。
そこには――

ジィィィーーーーーーー

眉間にシワを寄せて自分を凝視する無数の男達の姿があった。

(リズちゃん、俺達の想い)

(読み取ってくれ!!)

心の声で想いを伝えようと必死に念じる男達。
その異様さに、

リズ
「なに…? こわい…い…い…いやぁーー!!」

スパーーーーン

脅えて混乱したリズのお盆の一撃が炸裂した。
危険度
★★

LC0126
沈黙の魔導士グラウコ

1100 / 200 / 200
4/4/6/11/4
敵サポカ
土のリングLV1
土のリングLV2×3
それぞれ顔に一発ずつお盆アタックを食らい、
反省を強いられた男達はすごすごと各テーブルへ帰っていった。

「泣かせちゃったぞ、オマエちょっと過激な事考えすぎたんじゃないのか?」
「いや、お前の考えてた事よりはきっとマシだったと思うぞ」

何がいけないのか理解できない男達は各自意見を持ち寄り反省点を探る。

「もしかしたら、リズちゃんが心が読めるんじゃなくて、グラウコの方が考えた事を他人の脳に直接伝える能力を持ってるとか…」

「スゲェ! アイツそんなスゲェ奴だったのかよ!?」

「いや、一応クローチェ隊員なんだからスゲーことはスゲーだろ…」

何気に失礼極まりない事を口にしながらも一つの結論に達する男達。

「よっし、じゃぁ、いっちょ確かめてやろーぜ。リズちゃーん!」

男はそう言うと、おもむろにビールを注文する。
程なくして出されたビールを手に男はグラウコの許へと近づいていった。

「よぅ、グラウコ。珍しいなこんな所に来るなんて」

男はグラウコの隣の椅子に腰を下ろしながら話しかける。

「…」

もちろん返事はない。
ちらと一瞥をくれた後ひとつ頷いただけで、その後はまた黙ってテーブルを見据えている。
しかし男はめげずに話を続ける。

「いやー、俺お前と一度酒を酌み交わしてみたいと思ってたんだー」

すると、どうしたことかグラウコが凄い勢いで男の方に顔を向ける。
その顔には驚いたような表情が浮かび、心なしか頬が赤く染まっていた。
予想外の反応に男は若干動揺するも、すぐに気を取り直し話を続けた。

「お…お前っていっつも図書館にこもってるからさ、なかなか誘い辛くって。今日はホント嬉しいぜ。ささ、折角だ、飲めよ」

男は手にしたビールをグラウコへと勧める。
グラウコはビールジョッキを前にしばらく何事か考えた後、意を決した様に一気にジョッキを煽った。
その飲みっぷりに周りからおおーっ、と歓声が上がり、周りに人が集まりだす。

そんな中ただ一人、騒ぎに気付き顔を青ざめる人物がいた。

リズ
「ぐ…グラウコ!! なにしてんのー!!?」

その悲鳴に皆が一斉にリズの方を注目する。
リズは明らかに動揺した様子で男達の後方を指差していた。
指差す先を目で追う男達。
その先、自分達の背後に目を向けた時、そこには全身から魔力を立ち上らせ白目をむいて揺れるグラウコの姿があった。
危険度
★★★

LC0109
リズの魔導ビール

1200 / 210 / 210
5/13/5/5/9
敵サポカ
水のリングLV2×2
土のリングLV2
機のリングLV2
リズ
「はぁ、はぁ…グラウコは、とんでもなく、お酒に弱いんだから、飲ませちゃ、ダメェー!!」

「すいませんっしたぁっ!!」

息も切れ切れのリズに叱られて一斉に頭を下げる男達。
結局、酒の力に飲まれて店内で強力魔法をぶちかまそうとしたグラウコは、リズのみぞおちへの一撃により床に伏した。

「でもさぁ、リズちゃん! 俺達ホントに気になっちまって…どうしてリズちゃんはアイツと会話ができるんだ!?」

どうしても疑問が晴れない一人がリズへと問いかける。
それに同調して他の男達も次々にリズへと詰め寄っていく。

「そうだぜ、リズちゃん。アイツ喋ってないのに何で言ってる事分かるんだ?」

リズ
「そ…それはぁ…」

リズのしどろもどろの様子を目にし、男達はある仮説へと辿り着く。

「ま…まさかリズちゃん…あ…愛のパワァってやつじゃ…」
「そうなのか、リズちゃん!?」
「ショックだよ!」

男達がずずいと一斉にリズへ詰め寄る。

リズ
「いや、そんな…そんな訳じゃ…」

「じゃぁ、何で?」
「怪しいよ! やっぱり何かあるんだ!」
「ショックだよ!」

目線を泳がせ言葉をにごすリズに一層の疑惑を増した男達はその距離をどんどんと狭めていく。

リズ
「ちょっ、ちょっと! いた! いいかげ…いい加減に、」

詰め寄る男達の波がどんどんと押し寄せてくる。
もはや退路は断たれたリズは完全に壁際へと追い詰められる形となってしまった。
その状態になってやっと男達は今の体勢が非常に危険なものであるという事実に気付き固まる。

(こ…これは…この体制は…)

男達がごくりと唾を飲む。

(ちょっとイイカンジだ!!!)

まさに男達全員の思考がひとつになった瞬間、追い詰められたリズがとうとう爆発した。

リズ
「だぁぁぁぁぁーーーっ!!!」

凄まじい勢いで立ち上がり波を押し返す。
傍らには弾みで顎を打たれた男2人が痛みにうずくまっていた。

リズ
「食い逃げ、お触りお断り!!!」

そう言うとリズはビールの入った大樽に手をかける。

(これは……ヤバイ!!!)

全員がそう思うも、時既に遅し。
目の前ではうろたえるマスターの横で、リズの魔導濃縮2倍ビールが飛沫を上げていた。
エピローグ
アンナ
「ま~た派手にやったねぇ~」

カウンター席に座ったアンナがジョッキを片手に横目で周りの様子を指す。
その隣には反省した様子でうな垂れるリズの姿があった。
店内のいたる所には魔導濃縮2倍ビールを全身に浴び、幸せそうな顔で気絶する男達が重なり合うようにして倒れている。

アンナ
「んで、実際はどうなの? 本当に愛の力で脳内会話とかしちゃってるわけ?」

実はカウンターで一部始終を見ていたアンナが当初の疑問をぶつけると、リズは慌てて顔を横に振る。

リズ
「まさか! いくらあぃ…愛があっても流石にそんな事できないわよ!」

アンナ
「んじゃ、タネはどうなってんの?」

リズ
「んーと、皆誤解してるけどグラウコはちゃんと喋ってるわよ。」

リズは言葉を探す様に答える。

リズ
「すっっごぉぉぉく小っちゃな声でね、多分、普通の人には聞こえない…」

アンナ
「普通の人にはって…じゃ、リズは?」

その問いにリズはもじもじと俯きながら答える。

リズ
「私ね…すごく…耳がいいの」

アンナ
「あ、なーるほど」

タネが明かされてしまえば、不思議でも何でもない。
アンナは納得した様にジョッキを口元へと運ぼうとしたが、途中で何か思いついたように手を止めアンナの方へと顔を向け直す。

アンナ
「耳がいいって、どの位まで聞こえるの?」

リズは視線を浮かし暫し考える。

リズ
「えっと…酒場で交わされる会話は大体全部…」

アンナ
「声をひそめても?」

リズ
「…うん」

答えを聞いたアンナは周りで伸びている男達を一瞥する。
その視線には同情の念がこもっていた。

アンナ
(つまり、こいつらのリズへの想いは毎回筒抜けって事か…ご愁傷様)

心の中で男達への鎮魂歌を捧げながらビールを舐めるアンナの横で、リズが頬を染めながら思い出し話を始める。

リズ
「でも、一緒に飲もうって言われた時のグラウコ…とっても嬉しそうだったな…。ふふ、たまに子供みたいな反応するんだから」

アンナ
(こっちはこっちで…)

リズの自然なノロケに苛立ちながらアンナは残ったビールを一気に煽った。

アンナ
「あーー、ごちそうさま!」

明らかに食後の挨拶としての意味で放たれたのではないであろう言葉。
その真意に気づくことなくリズは笑顔で悪酔い寸前の友人を見つめていた。

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■最終更新■(2011-03-27)

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最終更新:2011年03月27日 15:16