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使い魔は手に入れたい-4 - (2007/07/20 (金) 23:53:52) の1つ前との変更点

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次の日、私はまた薬を飲んでいた。 飲む。ひらすら飲む。ただ飲む。とにかく飲む。 そしてついに飲みきった。 私は打ち勝ったのだ。緑色の秘薬に!何一つ顔色を変えず飲みきったのだ! その後すぐに渡されたさらに色の濃い秘薬はポンフリーに投げつけたくなった。 ポンフリーが言うにはこれを飲まないと衰えた筋肉や傷ついた筋肉が元に戻らないらしい。 もう一回薬を見る。濃い、色がさっき飲んだ薬より濃い。毒薬にしか見えない。 ……我慢だ。これを飲めば明日から普通の生活に戻れるのだ。ここは我慢して飲むべきなのだ。『幸福』になるためには健康な体が必要不可欠だ。我慢するしかないのだ。 口元に近づける。匂いがしない。入っている容器を揺らしてみる。波紋一つ起こらない。 容器を傾けるとゆっくりと垂れてきた。おい。おいおい、これって、 「粘液じゃねえか!」 ねっとりした濃緑の粘液だよ!本当に薬かよ! ポンフリーのほうを向くともういなくなっていた。 「おい、デルフリンガー。ポンフリーは何処に行った……」 デルフに聞いてみる。 「知らね。気がついたらいなくなってたぜ。それより相棒、昨日みたいにデルフって言ってくれよ」 デルフの言葉を黙殺し部屋を見回すが誰一人いなかった。まるで初めからいなかったかのように。無責任すぎないか? 畜生ッ!飲むしかないのか!?飲むしかないんだろうな…… 死なねえよな?医者が患者殺したりしないよな? 「飲まねえのか相棒?それ飲まないとダメなんだろ?」 「お前はこれをどう見る?」 デルフに見せ付けるように容器傾ける。やはり中の液体はゆっくりと垂れる。 「……粘液だな」 「だろ?」 「でも飲まないと治らねえんだろ」 これを飲む私を励ましてくれよ。そんなことは口が裂けても言えないが。 「一気にぐっと飲んじまえば大丈夫だって」 言ったからな。大丈夫じゃなかったら投げつけるからな。 「一気!一気!一気!一気!一気!」 畜生ッ! 大きく口を開きいっきに薬を呷った。       ・       ・       ・       ・       ・       ・ 「あ゛~~~~~~~~~~~~~……!」 窓が割れる音とデルフの悲鳴が響き渡る。結果:デルフは窓の外に投げられました。 何が大丈夫だあの駄剣がッ!死ぬかと思ったぞ!吐かなかったのが奇跡みたいなものだ! まず薬はねっとりしている。つまり口の中にまとわりつく。しかも咽喉に流れるのが遅い。ゆっくりと流れ落ちていくから咽喉越しは最悪だ! そして味だ。薬は苦い。それは初めに渡された薬からわかっていたことだ。 しかしこの薬はあの苦味を軽く超越していた。まさに苦味レボリューション。これ以上に無いというくらい苦かった。 それが水のようにスルッと口を通り過ぎるのではない。ねっとりと口の中や咽喉にへばりつくのだ。あまりの酷さに涙が零れ落ちたほどだ。 絶対苦くない薬があったに決まってる!趣味を押し付けやがって! 口の中から粘液が全てなくなるのに1時間、苦味が消えるのにさらに1時間かかった。 二度と意識があるときに飲みたくない。 ベッド寝転んで気分を落ち着かせる。気分が悪すぎる。それに腹も気持ち悪い。 寝転んでいれば楽になるだろう。 そう思い寝転んでいるとドアが開く音が聞こえた。ドアのほうに顔を向けるとそこにはルイズがいた。 手にはちょっと大き目の小包を持っている。 「調子はどう?」 あのときのように目の下に隈はなかった。それでも泣き疲れたような顔はしていた。 「ちょっと!すごく顔色悪いじゃない!大丈夫!?」 私の顔を見ると駆け寄ってきて小包を足元に置く。 「心配ない。薬が苦かっただけだ」 やはりルイズらしくない。こちらの心配なんてするような奴じゃなかったのに。 「薬?」 「そこの容器に入ってた薬だ」 ルイズが容器を手に取りまだ中に残っていた少量の残りを見る。 そして何かに気がついたのか容器を傾ける。そして驚いた顔でこちらを見る。 「ヨシカゲ!あんたこれ飲んだの!?」 「あ、ああ」 いきなり大声を出し容器を突きつけてくる。何だって言うんだ? 「信じらんない。これふつう意識があるときに飲むもんじゃないわよ。効果はすごいけど意識がないと飲めたもんじゃないし」 ポンフリー、ここまで徹底的にやられるとある意味清々しいよ。だからといって許すわけではないが。 「で、何しに来たんだ」 それにしてもルイズを見ると後悔の念が沸々と湧き上がってくる。 どうしてもっと早く殺さなかったんだろう。どうしてワルドに拘っていたんだろう。ルイズを殺してからワルドを殺してれば今頃自由だっただろうにな。 これで明日から雑用に逆戻りか。 「ご主人様が使い魔の心配をしたらいけないの?」 「いや、そんなことは無いが」 「それに渡すものがあるのよ」 そういうとルイズは足元においていた小包を開ける。 そこから出したのは、 「私の服じゃないか」 言葉通り私の服だった。そういえば別の服になってるな。そこまで気が回らなかった。 「破けたりこげたりした場所を直しといたわ」 そういって服を渡してくる。偉そうに言うがどうせお前が直したわけじゃないだろ。 そう思いながら服を受け取る。見た目は殆ど変わってない。ちょっと光の跳ね返り具合が変わっているだけだ。 その部分を触ってみる。凄くスベスベしていて明らかに材質が違うことがわかる。もっと材質を近づけようとは思わなかったのだろうか。 懐の部分を探ってみる。あれ?銃はどこだ? 「それとこれ」 そういってルイズが渡してきたものは銃だった。 「服の中に入ってたわよ」 「ありがとう」 そう言って銃を受け取る。これが無くなっていたらどうしようかと思ったぞ。 「それって何なの?」 「お守りさ」 ルイズの問いに適当に返す。 これが何なのか知らせる必要はない。そういえば弾はどうした。これアルビオンに行くときに敵に撃ったはずだから弾を補充しなけりゃいけないんだぞ。 まさかあの道中どこかで落としたのか!? ん?よく考えてみればもっていった記憶が無い。つまりルイズの部屋にあるのか。よかった。 でももしルイズ殺しが成功していたら弾はごっそり無くなっていたという事か。その点については失敗してよかった。 「そ、それでね。あのね……」 ルイズは何かを言おうとして口ごもる。 何だよまだあるのか?もう渡すもん渡しただろう、だったらさっさと帰ってくれないか? 「き、聞きたいことがあるのよ!」 「聞きたいこと?」 ルイズの瞳を見る。顔は赤かったが、その眼は真剣なまなざしをしていた。 ……どうせ碌な事じゃないから帰ってくれ。 ----
次の日、私はまた薬を飲んでいた。 飲む。ひらすら飲む。ただ飲む。とにかく飲む。 そしてついに飲みきった。 私は打ち勝ったのだ。緑色の秘薬に!何一つ顔色を変えず飲みきったのだ! その後すぐに渡されたさらに色の濃い秘薬はポンフリーに投げつけたくなった。 ポンフリーが言うにはこれを飲まないと衰えた筋肉や傷ついた筋肉が元に戻らないらしい。 もう一回薬を見る。濃い、色がさっき飲んだ薬より濃い。毒薬にしか見えない。 ……我慢だ。これを飲めば明日から普通の生活に戻れるのだ。ここは我慢して飲むべきなのだ。『幸福』になるためには健康な体が必要不可欠だ。我慢するしかないのだ。 口元に近づける。匂いがしない。入っている容器を揺らしてみる。波紋一つ起こらない。 容器を傾けるとゆっくりと垂れてきた。おい。おいおい、これって、 「粘液じゃねえか!」 ねっとりした濃緑の粘液だよ!本当に薬かよ! ポンフリーのほうを向くともういなくなっていた。 「おい、デルフリンガー。ポンフリーは何処に行った……」 デルフに聞いてみる。 「知らね。気がついたらいなくなってたぜ。それより相棒、昨日みたいにデルフって言ってくれよ」 デルフの言葉を黙殺し部屋を見回すが誰一人いなかった。まるで初めからいなかったかのように。無責任すぎないか? 畜生ッ!飲むしかないのか!?飲むしかないんだろうな…… 死なねえよな?医者が患者殺したりしないよな? 「飲まねえのか相棒?それ飲まないとダメなんだろ?」 「お前はこれをどう見る?」 デルフに見せ付けるように容器傾ける。やはり中の液体はゆっくりと垂れる。 「……粘液だな」 「だろ?」 「でも飲まないと治らねえんだろ」 これを飲む私を励ましてくれよ。そんなことは口が裂けても言えないが。 「一気にぐっと飲んじまえば大丈夫だって」 言ったからな。大丈夫じゃなかったら投げつけるからな。 「一気!一気!一気!一気!一気!」 畜生ッ! 大きく口を開きいっきに薬を呷った。        ・        ・        ・        ・        ・        ・ 「あ゛~~~~~~~~~~~~~……!」 窓が割れる音とデルフの悲鳴が響き渡る。結果:デルフは窓の外に投げられました。 何が大丈夫だあの駄剣がッ!死ぬかと思ったぞ!吐かなかったのが奇跡みたいなものだ! まず薬はねっとりしている。つまり口の中にまとわりつく。しかも咽喉に流れるのが遅い。ゆっくりと流れ落ちていくから咽喉越しは最悪だ! そして味だ。薬は苦い。それは初めに渡された薬からわかっていたことだ。 しかしこの薬はあの苦味を軽く超越していた。まさに苦味レボリューション。これ以上に無いというくらい苦かった。 それが水のようにスルッと口を通り過ぎるのではない。ねっとりと口の中や咽喉にへばりつくのだ。あまりの酷さに涙が零れ落ちたほどだ。 絶対苦くない薬があったに決まってる!趣味を押し付けやがって! 口の中から粘液が全てなくなるのに1時間、苦味が消えるのにさらに1時間かかった。 二度と意識があるときに飲みたくない。 ベッド寝転んで気分を落ち着かせる。気分が悪すぎる。それに腹も気持ち悪い。 寝転んでいれば楽になるだろう。 そう思い寝転んでいるとドアが開く音が聞こえた。ドアのほうに顔を向けるとそこにはルイズがいた。 手にはちょっと大き目の小包を持っている。 「調子はどう?」 あのときのように目の下に隈はなかった。それでも泣き疲れたような顔はしていた。 「ちょっと!すごく顔色悪いじゃない!大丈夫!?」 私の顔を見ると駆け寄ってきて小包を足元に置く。 「心配ない。薬が苦かっただけだ」 やはりルイズらしくない。こちらの心配なんてするような奴じゃなかったのに。 「薬?」 「そこの容器に入ってた薬だ」 ルイズが容器を手に取りまだ中に残っていた少量の残りを見る。 そして何かに気がついたのか容器を傾ける。そして驚いた顔でこちらを見る。 「ヨシカゲ!あんたこれ飲んだの!?」 「あ、ああ」 いきなり大声を出し容器を突きつけてくる。何だって言うんだ? 「信じらんない。これふつう意識があるときに飲むもんじゃないわよ。効果はすごいけど意識がないと飲めたもんじゃないし」 ポンフリー、ここまで徹底的にやられるとある意味清々しいよ。だからといって許すわけではないが。 「で、何しに来たんだ」 それにしてもルイズを見ると後悔の念が沸々と湧き上がってくる。 どうしてもっと早く殺さなかったんだろう。どうしてワルドに拘っていたんだろう。ルイズを殺してからワルドを殺してれば今頃自由だっただろうにな。 これで明日から雑用に逆戻りか。 「ご主人様が使い魔の心配をしたらいけないの?」 「いや、そんなことは無いが」 「それに渡すものがあるのよ」 そういうとルイズは足元においていた小包を開ける。 そこから出したのは、 「私の服じゃないか」 言葉通り私の服だった。そういえば別の服になってるな。そこまで気が回らなかった。 「破けたりこげたりした場所を直しといたわ」 そういって服を渡してくる。偉そうに言うがどうせお前が直したわけじゃないだろ。 そう思いながら服を受け取る。見た目は殆ど変わってない。ちょっと光の跳ね返り具合が変わっているだけだ。 その部分を触ってみる。凄くスベスベしていて明らかに材質が違うことがわかる。もっと材質を近づけようとは思わなかったのだろうか。 懐の部分を探ってみる。あれ?銃はどこだ? 「それとこれ」 そういってルイズが渡してきたものは銃だった。 「服の中に入ってたわよ」 「ありがとう」 そう言って銃を受け取る。これが無くなっていたらどうしようかと思ったぞ。 「それって何なの?」 「お守りさ」 ルイズの問いに適当に返す。 これが何なのか知らせる必要はない。そういえば弾はどうした。これアルビオンに行くときに敵に撃ったはずだから弾を補充しなけりゃいけないんだぞ。 まさかあの道中どこかで落としたのか!? ん?よく考えてみればもっていった記憶が無い。つまりルイズの部屋にあるのか。よかった。 でももしルイズ殺しが成功していたら弾はごっそり無くなっていたという事か。その点については失敗してよかった。 「そ、それでね。あのね……」 ルイズは何かを言おうとして口ごもる。 何だよまだあるのか?もう渡すもん渡しただろう、だったらさっさと帰ってくれないか? 「き、聞きたいことがあるのよ!」 「聞きたいこと?」 ルイズの瞳を見る。顔は赤かったが、その眼は真剣なまなざしをしていた。 ……どうせ碌な事じゃないから帰ってくれ。 ----

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