ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ゼロの兄貴-31

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匿名ユーザー

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『息子』の能力が解除された事により、シエスタ及び村民も元に戻ったが、ルイズ達は状況説明とかをどうするのかディ・モールト心配だったが
「ねぇ…本気で夢で通すつもり?」
「スタンド使いですらなくメイジでも無い連中に、今までスタンドに別の物質に変化させられてました。つって信じるヤツが居ると思うか…?」
「………メイジでも、先住魔法って言われても納得できるかどうか怪しいってとこね」
「一応、怪我人やバラされた連中も居ないみたいだしな、事を荒立てると厄介な事になる」
とりあえず、シエスタ以外はスタンドの事を全く知らないので、夢という事で納得して貰う事にした。というか無理矢理納得させた。

駄目だった場合最悪先住魔法で通すつもりだったが、村や村民に傷一つ無い事から、どうにかなり、本命の『竜の羽衣』を見る事に漕ぎ着けた。
「こっちが寺院なんですけど…さっきのは何だったんですか?」
「あれもスタンドだ。…どういうわけか知らないが、本体は来ずにスタンドだけが中途半端な形で来て暴走してたみたいだが…迷惑をかけたな」
「え!いえ!気にしないでください!皆も無事だったんですし」
暴走状態の息子のせいとはいえ、身内のスタンドの不始末という事でそれなりに対応を取らねばならない。
それで出た言葉が『迷惑をかけた』であるが、意外な言葉にその場の全員が半ば唖然とした顔をするハメになった。
まぁ、列車で乗客を巻き込んだ立場であまり言える言葉ではないのだが、ギャングでも人の子。悪いと思えば謝る事だってある。
世話になった人間を巻き込んだのなら尚更なのだが、ルイズが魔法を成功するぐらいのありえない発言には全員ビビったッ!
「……今、なんて言ったの?」
「ダーリンが人に謝る姿なんて始めて見たわね」
「記録が必要」
「オメーら、何か人の事勘違いしてるな」

何か色々と言いたくなったが、全てメローネが悪いという事でこらえた。
(あのヤロー…戻った時に、まだ生きてたら、あいつのコレクション半分捨ててやる)
相変わらず、あの夢では仲間達の最期の姿を見るが、夢を見てあいつらが死んだなどと納得するほどドリーマーではない。
まだ生きていたらとは思うが、なるべく生きて栄光を掴んでいて欲しいと思う。
敗れていたのなら、それを捨てる事もできないのだから。

そんなこんなで草原の片隅に建てられている寺院に着いたのだが、奇妙な違和感を覚えた。
「…この寺院どっかで見た事ある形だな」
他の4人には聞こえない程度の声でそう呟く。
丸木が組み合わされた門の形。石の代わりに板と漆喰で作られた壁。木の柱。白い紙と、縄で作られた紐飾り。
確かにどこかで見た事がある。
そう思いながら、中に入った瞬間どこで見たかを思い出した。
「…あの茶と同じか」
あの時飲んだ茶と同じ。つまりこれを見たのは日本だと思い『竜の羽衣』に目をやるとそれは確信に変わった。
キュルケやルイズは、気のなさそうにそれを見て、タバサだけは好奇心を刺激されたのか、興味深そうに見つめている。
「こいつは…メローネがやってたゲームであったが…確か零式艦上戦闘機…通称『ゼロ』だったか」
「だ、誰が『ゼロ』よ!」
「オメーじゃねぇよ」
『ゼロ』という言葉に反射的反応をするルイズとそれに突っ込むプロシュートを見て、シエスタが覗き込んできた。
ちなみに、メローネがやっていたゲームは『ゼロパイロット~銀翼の戦士~』だ。
メローネが、操作をミスって建物や戦艦にぶつかる時、いちいち「ジオン公国に栄光あれーーーー!」と叫んでギアッチョにキレられていたので覚えている。
「プロシュートさん、これをご存知なんですか?」
「オレも詳しくは知らないが、五、六十年前の日本の戦闘機だったはずだな」
「せんとうき…ですか?」
「ああ、空戦を目的に作られた飛行機だな」
「これが、こないだ言っていた、ひこうきなんですか?」
「もう旧式だが……アレで見たのが確かなら、最高で時速500キロは出たはずだ」

「時速500キロ?それどのぐらい速いの?」
「1メートルが1メイルってんだったな。五十万メイルを一時間で飛ぶ事ができるって事だ」
「このカヌーに翼を付けただけのようなモノがシルフィードより速く飛んだりするの!?」
「旧式機だからな。今あるやつなら、こいつの2~3倍は速く飛ぶ」
「この翼じゃ羽ばたけないと思うんだけど…」
ルイズとキュルケはそのブッ飛んだ速度についていけないでいる。
タバサの方はこれがどうやって、そんな速度を叩き出すのか興味津々といったところだったが。
「どうやって飛ぶの?」
「…コルベールが作ってたやつがあったろ。アレが発展したエンジンを積んでいて、それでそこのプロペラが回って飛ぶ。
  まぁそれだけじゃ飛ばないんだが、翼が空気を掴んで楊力を得る。鳥でも羽ばたいたりせずに、気流に乗って滑空して飛んでる時あるだろ。アレと同じだ」
分かる範囲で説明したが、キュルケ、ルイズ、シエスタは未知の技術に頭から煙が出かかっている。
唯一タバサはシルフィードが滑空している所をよく知っているため、辛うじて理解できていたが、やはりそのとんでもない速度に驚いていた。
「ふみゅ…それでこれ、飛ぶの?」
「…話し聞いてたか?」
「こんなのが、そんな速度で飛ぶなんて急に信じられるわけないじゃない…飛べないって言ってたんだし」
「そういやそうだな…何か他に遺したもんは無いか?」
「えっと…あとは大したものは……お墓と、遺品が少しですけど」
「そいつでいい」

シエスタの曽祖父の墓は、村の共同墓地の一角にあった。他の墓が白い幅広の石でできている中、ただ一つだけ黒い石で作られた墓石があり目立っている。
「ひいおじいちゃんが、死ぬ前に作った墓石だそうです。異国の文字で書いてあるので、誰も読めなくって。なんて書いてあるんでしょうね」
「『海…少………木……、……ニ…ル。』…駄目だな。メローネなら読めるんだろうが…オレじゃあ少ししか無理だ」
「この文字が読めるんですか?」
「ああ、行った事はあるから少しはな。こいつは日本語だ」
「日本語…ですか?」
「オレんとこの世界の国名だな。まぁ文化的に東から来たと言えばそうなる。
  …こっちじゃあ見ない色だったから珍しいと思っていたが、オメーの髪と目の色はひい爺さんから受け継いだもんだろ」
「は、はい! どうしてそれを?」
「日本に住んでるヤツらは基本的にその色だ」

再び寺院に戻り、プロシュートは『竜の羽衣』に触れると左手のルーンが反応して光り出した。
「なるほどな…確かにこいつも武器には違いないか。しかし…便利っつーか無茶苦茶っつーか何でもアリだな」
操縦法やシステム、構造まで瞬時に理解できたのだが、何故飛ばなかったかということまでは分からない。
「ベイビィ・フェイスを燃やすんじゃあなかったな。…いや、メローネが居ないのに制御できるわけねぇか」
壊れているのなら、『息子』にパーツを作らせようかと思ったが、スデに終わった事なのでそんな事を考えても意味は無い。
散々探り燃料タンクを開くと、飛ばなかった原因が判った。
「そりゃあ飛ぶわけねーな。残量『ゼロ』。ガス欠ってわけだ」
「ゼロって…何が入ってないの?」
「燃料、こいつの場合ガソリン…まぁこっちで言う風石が無いってこった」
「それじゃあ、そのガソリンってヤツがあれば飛ぶのね?」
無言でそれを肯定すると遺品を取りに行っていたシエスタが戻ってきた。

その古ぼけたゴーグルを受け取る。あのゲームでも確かこんな感じのゴーグルを着けていたはずだ。
「ひいおじいちゃんの形見、これだけだそうです
   日記とか、あればよかったんですけど、残さなかったみたいで。ただ、父が言っていたんですけど、遺言を遺したそうです」
「まぁ、下手に遺書にされて日本語で書かれて読めないとかじゃあ話にならないからな」
「それで遺言なんですけど、あの墓石の銘を読めるものが現れたら、その者に『竜の羽衣』を渡すようにと」
「全部読るわけじゃあないが、一応その権利はあるってことか」
「管理も面倒だし……大きいし、拝んでる人もいますけど、村のお荷物らしいんです。少しでも、読めるって言ったら、お渡ししてもいいって言ってました」
「ガソリンをどうにかしない事には荷物には変わりないんだが…何時か使う機会があるかもしれねぇし、ありがたく貰おう。オメーにもまた貸しができたな」
「それじゃあ、それが飛んだらそれに乗ってこの村に来てください。
   あ、それともう一つ、『竜の羽衣』を陛下にお返しして欲しい、だそうです」
「そういや、日本にも確か『テンノー』ってのがいたな。まぁ多分それだろ」
「ひいおじいちゃんは、『竜の羽衣』は二つあって、一つはこの村に。もう一つは日食の中に消えたって言ってました」
「消えた…?こんな目立つもんなら他に見付かってるはずだが…日食か…可能性はあるな」
「へ?どういう事ですか?」
「消えたって事は、日食の中に向かって飛べば、イタリア…いや地球に戻れるかもしれないって事だ。まぁ日食なんざ、そうそう起こるもんじゃあないが」
それを聞いてからシエスタが後悔した。『竜の羽衣』が飛び、日食が起これば戻ってしまい二度と会えなくなるかもしれないのだから。

ルイズもルイズで結構テンパっている。
最後の最後で帰還手段かもしれないものが見付かってしまっただけに、どう反応していいのか分からないでいる。
(え…?帰っちゃうの…?)
思考が少しばかりアレになるが、日食が来る時がまだ分からないので何とか持ち直し、とりあえずシエスタの家に行く事になった。

その日、プロシュート達はシエスタの生家に泊まることになった。貴族の客をお泊めすると言うので、村長までが挨拶にくる騒ぎになった。
シエスタの家族を紹介されたのだが…何故か、シエスタの弟達から『プロシュート兄ィ』と呼ばれるハメになった。
ペッシやデルフリンガーから兄貴と呼ばれてはいるが、昔、イタリアで暮らしていた時の家族構成では一番下だったりする。

弟分の面倒を見る事は慣れているが、本物の弟の扱いには慣れていないので
正直言うと撤退決め込みたかったのだが、ベイビィ・フェイスの負い目があるので、とりあえず相手した。
だが、相手をしている姿を他3人に思いっきり見られている事に気付いた時には、天井にブチャラティが居た時の気分になった。
「……なに、全員でこっち見てやがる」
「…い、いや、凄く馴染んでるなーと思って」
「その、たまに見せる意外さがたまんないのよね」
「長兄」
一瞬、全員老化させて忘れさそうかと思ったが、さすがに久しぶりに家族に囲まれ幸せそうなシエスタを見て空気を読んだ。
(オレも結構丸くなったもんだな…)
そう思うが、ルイズが聞いたら
「まだ十分すぎるぐらい尖ってるわよ」
と言われる事間違い無しなのだが。

適当に相手し終えると、外に出てシエスタが話していた草原へと向かった。
まぁ特に何もする事が無かったし、身の振り方も考えて起きたかったからだ。
夕日が差す草原の中、一人腕を頭の下に組みそこに寝転ぶ。
「しかし、日食か…自然現象頼りってのが痛し痒しってとこだな」
地球でも十年単位でしか見る事のできない現象なのが辛いところだった。
まして、天文学なぞが存在するかどうかすら怪しいここでは、次に日食が起こる時期すら分かったものではない。
星間連動の結果起こる現象なので、どう足掻こうとそれが変わるものではないため、半分は諦めかけていたが、すぐにそれを否定した。
「どうにも、この事になると違和感があるな…」
その原因が分からないのがイラつくとこだ。

「ここにいたんですか。お食事の用意ができましたよ。弟達もプロシュート兄ぃと一緒に食べたいと言ってます」
クスクスと笑いながら後ろからシエスタが声を掛けられるが
その服装は、いつものメイド服と違う、茶色のスカートに、木の靴、そして草色の木綿のシャツという格好だった。
「懐かれるようなガラじゃあないとい思うんだがな…」
まぁ職業暗殺者であるからしてそうなのだろうが、どうもルイズ達の影響を受けて雰囲気というか滲み出る気配の質が変わったらしい。
イタリアに居た時なら多分泣かれてもおかしくはないのだが
こっちに来てから、殺した事はあれど状況で殺ったという事だ。仕事として暗殺をした事はない。
そのせいなのだろうとは思うが、あまり納得したくないのが本音だ。
「そんな事ないですよ?わたしも、色々と助けてもらってますし」
一瞬だが保夫やってる姿を想像して頭痛がした。どう見てもそんなキャラはしていない。
そんなのはペッシあたりが適任だと本気でそう思った。

「この草原、とっても綺麗でしょう?わたしも一緒に横になっていいですか?」
無言で、肯定しながら沈みかけている夕日を見る。
しばらく、無言の時間が続いたが、少しばかり言いにくそうにシエスタが口を開いた。
「……もし日食が起こったら…やっぱり元の世界に帰っちゃうんですか?」
「帰れるかどうかは分からねぇが試す価値はある」
「…誰か待ってる人でもいるんですか?」
少し考えたが、ルイズにも話している事だと思い話す事にした。
「生き残った仲間が居るが…こっちに来てから大分時間が経ってるからな…
  全員くたばってるか、生き抜いて栄光を掴んでるかのどっちかだろうが…栄光を掴んでいたとしても、そこにオレが入る資格は無いな」
「それなら、帰らずにこの世界に居ても…
   父も、ひいおじいちゃんの国を知っている人と出会ったのも何かの運命だろうから、よければこの村に、その…住んでくれないかって」
シエスタがそういい終えると、プロシュートが寝ている周りの草が音をたて枯れ始めた。
「結果がどうあれ、それを最後まで見届けないってのはオレ自身の心が『納得』できねぇんだよ。
   万が一、あいつらが全滅してた時は、敵討ちって殊勝なもんでもないが…チームの最後の一人として報いを受けさせる必要がある」
周りの草が枯れている様子を見て、唖然としているシエスタに構わずさらに話を続ける。
「それに、こいつは周りの生物を無差別に老化させ朽ち果てさせる力だ。本来ならオレの周りに人が居ていいはずがねーんだよ」
氷という抜け道はあるが、無差別である事は変わり無い。パッショーネに入団し暗殺チームに属していなければ未だ一人だったろうと思う。

草を枯れさせる中、これで、シエスタが逃げるなりしてくれればいいと思い、周りを老化させているのだが…手をシエスタに握られた時は、さすがに焦った。
広域老化ではないが直で枯れさせている。直はグレイトフルデッドの手で触ったものが瞬時に老化させられる。
つまり、本体であるプロシュートの手を掴めば、少なからずその影響は出る。
「何やってんだオメーはッ!」
老化を解除するが、人間なら僅か数秒で寿命一歩手前まで追い込む直触りだ。
解除すれば姿は元に戻るとはいえ、髪や歯などの戻らないものも当然ある。
「………ふぅ…周りに人が居ないなんてことないじゃないですか」
「…無茶しやがる…髪や歯が抜けるだけならまだマシな方だが…下手すりゃあ死んでんだぞ」
元に戻ったシエスタを一瞥するが、髪や歯が抜け落ちた様子は無い。
老化させた事はもう数え切れないが、老化中に氷も持たず直に自ら飛び込んできたヤツは初めてだ。
その行動に今度はプロシュートが唖然とする番だったが、そこをシエスタに小突かれる事になった。
「……ッ」
「プロシュートさんはもっと『自信』を持ってください!
   わたしを二回も助けてくれたじゃないですか…人を助ける事ができる力を持った人の側に誰も居ないって事なんて無いんですから」
その言葉にまた、沈黙が続いたが、今度はプロシュートがそれを破った。
「クク…ハハハハハハハハ!」
笑った。パッショーネに入団してからは無かったが、ここに来て久しぶりに本気で笑った。
チームのヤツらと居るときも笑った事はあるが、ここまでは無い。
まして、ハルケギニアに来てからは薄く表情に出した程度だ。『魅惑の妖精亭』のアレは営業スマイルなので数に含まれてはいない。

シエスタもシエスタで面食らっている。今までの行動からして、まさか笑われるとは思っていなかったからだ。
「その…す、すいません…わたし、何か拙い事を言ってしまったんじゃ…」
「ハハ…いや…まさかオメーに『自信を持て』なんっつー事を言われるたぁ思わなかったからな」
ペッシにもルイズにも言った言葉が、自分に向けて。しかも、最も戦いと掛け離れたシエスタに言われるとは思いもしていなかった。
一頻り笑った後、笑った姿を見て、心なしか少しだけ明るくなった声でシエスタが答えた。
「もし…もしですよ?日食の中に入っても戻れなかったり
   イタリアって所に戻って『納得』する事ができれば、この世界に戻ってきてくれますか?わたし、何もできないけど待つことぐらいはできますから」
「日食で戻れなかったとしても、戻る事を諦めるわけはねぇし、戻ったらこっちに来る方法が無いからな。そいつはオレよりルイズに言ってくれ」
「それでも、待ってますから」
「アテが無いのに待たれても困るんだが…まぁそいつはオメーの自由だ。好きにしろ」
「そう言えば、さっき学院から伝書フクロウが届いて、サボりまくったものだから
   先生方はカンカンだそうですよ?ミス・ヴァリエールやミス・ツェルプストーは顔を真っ青にしてました」
「タバサの鉄仮面っぷりはリゾットといい勝負だな…一度会わせてみたいもんだが…日食が起こったらあいつを連れて行くか」
「そそ、それなら、わ、わたしを連れて行って、く、ください!」
「…本気にするとは思わなかったが、冗談だ。他の世界のヤツを連れてく程、堕ちちゃあいねぇよ」
「え、あ…そうですよね!冗談ですよね、驚かせないでください。わたしの事も書いてあって
   学院に戻らず、そのまま休暇をとっていいですって。そろそろ、姫様の結婚式ですから。だから、休暇が終わるまで、私はここに居ます」
「アレはオメーの家のもんだからな。ガソリンをどうにかしたら、飛んできてやるよ」
「『ゼロ』でしたっけ、その時はわたしも乗せてくださいね」
「そいつに関しては…まぁ一応約束はしといてやる」

シエスタは先に戻ったがプロシュートはまだ残った。
「……3秒やるから出て来い」
そう言うと、草原からルイズが顔を出した。
「…いつから気付いてたのよ」
「そりゃあ、最初からだ」
うぐ、と言葉が詰まり何も言えなくなる。
最初からというと、プロシュートとシエスタが草原に横になっているのを見つけた時からという事だ。
「……それじゃあ…なんで、今まで何も言わなかったのよ」
「用があるなら出てくると思ってたが、出てこなかったんでな。それで放っといても出てこねぇから呼んだってわけだ」
「気付いてるなら、言いなさいよ…わたし一人バカみたいじゃない…」
「しょお~~がねぇだろ、オレはリゾットみてーに洞察力が高いわけじゃあねぇんだからな」
また、『リゾット』という名前が出て、前々から名前だけは聞いていただけに、プロシュートの仲間がどういう人達なのか聞きたくなった。
「ねぇ…前から言ってるあんたの仲間の事教えなさいよ。べ、別に深い意味は無いわよ!ちょっと気になっただけなんだから」
「ま…どうせ、あいつらはこれねぇからな。そうだなまずは……」

出来てるんじゃあないかともっぱらの噂のソルベとジェラード。
『しょぉおお~~~がねぇ~~~なぁ~~~』が口癖でスタンドの使い方を最も良く知っているホルマジオ。
鏡の中に入る事ができ、能力的にはほぼ無敵を誇るイルーゾォ。
自分の弟分で、スタンドは強力だが、まだまだ精神的にマンモーニなペッシ。
趣味は変態的だが、情報処理と追跡能力に関しては皆に頼られていたメローネ。
キレやすく手に負えない事が多いが、その実、仲間のために真っ先に動こうとしたギアッチョ。
そして、自らが最も信頼し、クセのありすぎるチームを纏め、タバサの如く表情を崩さないリゾット。

全員の事を話すと、黙って聞いていたルイズが話し始めた。
「…それで、やっぱり日食が起こったら…帰るの…?」
「そりゃあな。聞いてたとは思うが、試すだけの価値はある」
「…帰って何があるのよ…!仲間が生きてたら、姿を消すんでしょ!?
 全員…死んでるなら、一人で組織ってのに戦いを挑むんでしょ!?死んじゃうかもしれないのに…何でよ…!」
半泣きでルイズが喚きたてる。
「諦めが悪いんだよ…オレはな。つーか何でオメーが泣く必要があんだ」
「あ、あんたはわたしの使い魔なんだから、心配するのは当然じゃない…!」
「少なくとも日食が来るまでは居てやっから泣くな。このマンモーニが」
「…マンモーニって言わないって約束したじゃない。なにもうあっさり破ってるのよ、馬鹿ハム」
「ウルセー、マンモーニにマンモーニと言って何が悪い」
「ま、また…!馬鹿ハム!」
「ハッ…!マンモーニのルイズが」
「馬鹿ハム!」
「マンモーニが」
「この…ば……ばばば馬鹿ハムーーーー!躾けてやるーーーーー!!」
「やれるもんならやってみやがれ」
「うるさーーーーーい!ファイトクラブだッ!!」
そう叫んだルイズが鞭を取り出し振り回すが、それを全て避ける。
「よ、避けるなぁーーーーーー!!」
「避けないでどうする。オメーはサボった事でも心配してろ」

その様子を少し離れた場所から、キュルケとタバサが見ていた。
キュルケが何か微笑ましいものでも見るかのような笑みを浮かべながら
「やっぱり、あの二人って、兄妹みたいよね。目的は達成できなかったけど…あたしの入る余地はまだ十分って事よ」
タバサはキュルケを見て、少し考えたが聞こえない程度の小さい声で
「七転八起」
と呟いた。

プロシュート兄ィ ― ヤバイ『アニメルート』へIN!


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