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slave sleep~使い魔が来る-14 - (2007/09/16 (日) 14:21:44) のソース
遥かな国からの青年 ブチャラティは現在訳あってイタリア料理店にいる。 彼はイタリア人なのだから当然と言えば当然だが、彼が今いるのはイタリアではなく異世界なのだからそんな店あるはずない。 だが彼は今イタリア料理店にいる。彼と同じ世界の人間が賄う店に。 「まあ、座んな。ここであったのも何かの縁だ。」 長身の男が店に誘う。 「しっかしまさかまだこっちに呼ばれてた人間がいたとは驚いたぜ。[[ボインゴ]]!ちょっと水持ってこい。」 「わ、わかったよオインゴ兄ちゃん・・・。」 ボインゴと呼ばれた店員が奥に引っ込む。 「今日に限ってこんな奇跡が起きるとはねえ。あんたと…そっちの姉さんもなのか?」 オインゴがシルフィードを指差す。だが当の本人はボケた顔をしている。 「きゅい?」 「アンタいたのか…。なんでいつの間にかアンタまで店に入ってるんだ。」 シルフィードが頭をかきながら、 「えへへ…。つい空気に飲まれちゃったの。きゅい。」 「無関係なのかソイツ?」 「ついさっきそこで会ったんだ…。名前も知らない。アンタ誰だ?」 「シルフィードなの!」 「シルフィード!?“風の妖精”なんて名前なの?そんなの貴族が使い魔につけたり、偽名に使うな名前なのよ?」 あの女店長がシルフィードを見て驚いた。 「偽名か・・・・・・。」 ブチャラティがこっちに疑いの目を向けている。 (やばっ!またやっちゃったの!) シルフィードにタバサが背中をつねったような衝撃が走る。 「シルフィードか…。そういえばオレの知り合いに…そんな名前の風竜を使い魔にしてた奴がいたな…。」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・。 「そこのところ、詳しく教えてもらえるか?」 (・・・という展開にうっかりしてしまうところだったの!危ない危ない。きゅい!) 途中からシルフィードの察知した未来の想像図だった。 ちなみにシルフィードと名乗ったあたりからがシルフィードの受信した電波である。 「どうしたんだ?」 「な、なんでもないの!わ、わたしはイルククゥ!ガリア王国からきたの!」 シルフィードは自分のもうひとつの名前、風韻竜仲間の中での名を名乗った。 (こ、こっちの名前ならお姉さまと風韻竜の仲間しか知らないからシルフィとわからないはず…。きゅいきゅい。) シルフィードには即席で偽名を名乗る機転を利かせる事はできなかった。 だがそれで冷や汗をかく事になる。 「イルククゥ?”そよ風”なんて名前なの?」 (しまった!こっちもダメだったの!?もう現実にしゃべちゃったの! どうする!?どうする!?) 「…変な名前。」 と言って店長は奥に引っ込むだけだった。 「そうか。ブローノ・ブチャラティだ。よろしくな。」 「よ・・よろしく!」 ブチャラティの表情からは不審そうなそぶりはさほど見られない。 (ウソをついてるようなそぶりはない・・。やはり少し変わってるだけの貴族なのか…?) 否、疑っていたが、その名前はシルフィードの本名なので見破ることができなかっただけだった。 「み、水です ハイ。」 ボインゴが水を渡す。 「ありがとう!きゅい!」 シルフィードもといイルククゥが水を取る。 「…で、さっそくだが質問を。アンタたちはどうやってこの世界に来たんだ?」 ブチャラティが切り出す。 (もしも…こいつらの出現の方法が向こうにいけそうな物であったとすれば・・。 帰れるかもしれない。元の世界に…!) ブチャラティは息を呑んだ。 「…それが、覚えてねーんだ。」 ブチャラティから一気に力が抜ける。 「え?」 「いや、だから、スマン!オレたちは覚えてないんだ・・。 オインゴが頭をかきながら言う。 「よくわからねえんだ・・。もう2年になる。ある日目が覚めたら突然オレたちはこの世界に来ててさ・・。 本当にわからねえ。思い出せねえんだ・・・。それどころか、その後この店長と会うまで俺たちはまず生きる事の心配をしなきゃいけなかったからそれどころじゃあなくってよ・・・。」 ブチャラティはオインゴたちのその様子がかなり情けなく見えた。 (ふりだしに戻ってしまった・・。) 「あなたは…どうなんですか? ハイ。」 ボインゴが聞いてきたので、ブチャラティは自分がルイズに召喚された件の話をする。 ちなみに自分が死んだあたりの話は伏せた。 「ハイ、これ。しばらく食ってないんでしょ?」 店長がスパゲッティを差し出す。 「これは…。いいのか?オレには金が・・。」 「いいのよいいのよ!せっかく久しぶりに会えた同じ世界から来た人間、仲間じゃないの!それに10年以上も一人で世界中旅してただけあって金のない奴の苦労がよくわかるのよ!遠慮はいらない!さあ食べな!」 ブチャラティは一瞬その気さくさに一瞬うなずきそうになったが踏みとどまる。 「いや、そんな事でいただくわけには…。」 グゥーーーーーーーーッ。 腹の音が鳴る。 その後照れながら頭をかいたのは 「・・・・・・・・・おいアンタ、えっとイルククゥだったか?騎士としての威厳とかは見せたりしないのか?」 「てへへ・・。きゅい。このイルククゥもスパゲッティをもらいますがかまいませんねっ!!」 ブチャラティが溜息をつく。そしてどうにも危なっかしくてほっとけない女だとブチャラティは思った。 「はぐ、むぐ、おいしいのー!きゅい!」 シルフィードもといイルククゥが子供のようにガツガツとブチャラティに分けてもらったスパゲッティを食べる。 「そりゃよかったな。ところで、お前貴族のようだが金あるんだよな?」 ドキン!! イルククゥが笑顔のまま固まっている。 「・・・・・・・・・・お金?」 「おい、お前・・・・まさか?」 しばらくイルククゥが(やべー、マジに緊急事態だわ。)とか考えているのが手に取るようにわかったが・・・。 「・・・・・・あ、お金はあるの。ゴメン今のなし!」 トランクの中に金があるのを発見したようだ。だがこれはちょっと見逃せない。 そもそもさっきからおかしい。主に言動が貴族のそれじゃあない。 最初に見たときは地べたに膝で座ってたし、スパゲッティの食い方がマナーもクソもない。 というか完全に子供の食い方である。 そもそもコイツ一体何歳なんだ?というのがブチャラティの一番の疑問だった。 見かけは自分と同じくらいに見えるが、案外ルイズより下だったりするのかもしれない。 それに加え口調や行動のせいでさらに幼く見える。 とりあえず確信したのは、こいつは貴族でないと言うこと。 そのトランクや服は確実に貴族から盗んだものだと考えた。 だが盗品のわりにトランクを調べるまでずっと無一文だと思っていたようだ。つまり金目当てではない点が府に落ちないのが気に入らない。 とにかくブチャラティはここでビシッと「お前貴族じゃないだろ。」と言ってやるつもりだった。 だが現実はそうはならない。 「お前貴族じゃな「ところでさ!アンタちょっと聞きたいんだけどさ…。」 店長が横槍を入れた。現実は非常である。 だが衝撃がブチャラティを襲ったのは次の瞬間だった。 「アンタってさ、『スタンド使い』でしょ。」 「何ッ!?」 バァーーー―――z______ン!!! 「スタンド…使い。と言うことはあんたたちも!?」 だが店長は慌てて手を振る。 「あ、違うよ。あたしはスタンド使いじゃあないんだ。現に見たことあるのは何かと同化して実体化するタイプの奴だけだからね。ホントにスタンド使いなのはその二人。」 店長が二人を指したらボインゴが物陰にさらに隠れた。 「・・・・・・・・?」 「・・もう12年くらいになるかな。そう。その頃にあたしは旅を始めたんだったな・・。 その頃のあたしはまだ子供でね、親父たちと喧嘩になって家を飛び出したのがすべての始まりだったんだ。」 店長が遠い目になっていた。 「まずは夢の海外進出をしようと思ったんだけどそのころのあたしは無一文だったからさ、密航する事にしたんだ。…まさかその密航した船の中でスタンドの存在を知るとは思ってなかったんだけどね。 いやー、いろんなスタンド使いを見たよ。船そのものを操るオランウータンとか、肉を被って別の人間にばける能力とか、変形する暴走車のスタンドってのもあった。その後当時の連れに母国の香港に送り返されそうになったけど、なんとか巻いてむしろ逆方向に飛んでやったけどね。」 店長が一気にまくし立てた。ところでさっきから兄弟が目を話し中、意図的に目を逸らしているのが気になった。 「それでアンタも『スタンド』の存在を知ったと言うことか?」 「そゆこと。ちなみに3年前、アンタの母国でイタリア語やこの料理の作り方を教えてくれた恩人も確実にスタンド使いだったね。だって食べただけで体の異常が直るのよ?その過程とか見て、ああ、確実にスタンド使いだなと思ってた。」 「そうか・・。だが待ってくれ。仮定するならともかくいきなりスタンド使いと決定するのはどうかと思うぞ?ただの人間かもしれないじゃあないか。実際スタンド使いだが・・・。」 「それから先はオレたちが教えてやるよ。オレたちはスタンド使いだからさ。」 オインゴとボインゴが会話に加わる。そしてオインゴが顔を抑えながら言う。 「お前もスタンド使いの端くれなら知ってるだろ?『スタンド使いとスタンド使いは引かれあう』というルールを。」 『スタンド使いとスタンド使いは引かれあう』このルールはポルポから聞いて知っていた。 「ああ、そのルールは知っている。だがそれが何の関係がある?」 「あのな、こっから先すっげー重要だから聞き逃すんじゃねーぞ?実はおれ達なりにこの世界の歴史とか最近の奇妙な噂とかをすでに調べておいたんだ。そしたらな、おまえみたいにサモン・サーなんとかだか、おれ達みたいに目が覚めたら飛んでたかは知らねーがな、それまで表ざたになっていなかっただけで、実は俺たちの世界の住人らしき疑いのある奴の情報が結構な数耳にすることができたんだ。」 ブチャラティは胸の辺りに悪い予感が重くのしかかっているのに気が付いた。思わず体が前にのりだしている。 「このトリステインのタルブって言う地方に、翼のついた鉄製の舟がかなり昔に落ちたって話も聞いたし、この世界の文化と完全にかけ離れているような行動をした変わり者が『俺は別の世界から来た』って言ってたらしい奴もいるし、あと奇妙な魔法がらみの術を行う平民っていうのが各地で増えつつあるらしい。」 「術を使う平民…。ハッ!」 「そこで思い出してほしいのが『スタンド使いとスタンド使いは引かれあう』という絆の…『引力』の法則だ。もしこのルールが異世界にいっても適用され続けるとしたら?」 その声が急に自分の声になった。そして次の瞬間オインゴの顔が自分と完全に同じになっていた。 「オイ、あんた達は…あんた達は何を言おうとしている?まさか…。」 「なんらかの拍子にこの世界に呼ばれたスタンド使いがまたこのルールに乗っ取ってスタンド使いをこちらに引き寄せる。それを何度も何度もやっている内にやがてネズミ算の要領でこの世界が俺たちの世界から来たスタンド使いだらけになるという仮説に至ったというわけだ。」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・。 「そして俺たちはそいつら全員がみんなして友好的だと言う甘い考えは抱かなかった。 だからもし何の前触れもなく突然おれ達の世界の人間に会ったら、それはもしかしたらスタンド使いかもしれないとあらかじめ店長に言っておいたのさ。」 「・・・・・・・・・・・・。」 ブチャラティは絶句している。その顔にはいやな汗がにじみ出る。 「それは・・・・やはり悪い知らせなんだろうな・・・オインゴさん。」 「だな。すでにアルビオンでは不穏な空気が漂いつつあるみたいだしな。」 「不穏な空気?」 「クーデターの・・・話ですか?オインゴ兄ちゃん。」 ボインゴが割り込んだ。 「クーデター?アルビオン?スマン、オレはこっちに来てそう間もないんだ。詳しく教えてほしい。」 「・・・白の国、アルビオン。今そこで大多数のアルビオンの貴族が王党に反旗を翻したという噂があちらこちらではびこっているんです。 ハイ。」 オインゴが変身を解除して言う。 「最もアルビオンは遠い。新鮮な情報もなかなか入ってきやしねーが、その反乱した貴族派の連中がその平民、つまりスタンド使いの疑いのある人間を数少ないが雇ったらしい。まあ・・・今の所わかっているのはそれだけだ。」 ブチャラティは考えた。もしそのスタンド使いを雇った貴族派が人々の犠牲も問わないような過激で非情な輩だったら。 例えば以前戦ったあのカビを操るスタンド使いのように、周囲を無差別に攻撃し、それによって何の罪もない人々が巻き込まれたら。 「だ、大丈夫ですか・・・・・・? ハイ」 ボインゴが心配そうに覗き込む。 「ん、ああ、大丈夫だ・・・。」 店長がオインゴを睨みつけながら言う。 「全くオインゴ!せっかくのお客さんをいやな気分にさせたりして! ゴメンなさい、うちの店員が・・・・。」 「いや、ここでの話はとても無視できない重大な問題だ・・・。ここで知っておいて良かった。」 ブチャラティが立ち上がる。 「グラッツェ。世話になった。また来るよ。」 店長が後ろから声をかける。 「ありがとうございました!なんか苦しい事があってもいつでも来てねッ!! ウチの店はあんたの味方だからさ!」 ブチャラティは手を振った。 店を出る時イルククゥは頭の上に?マークを浮かべていた。 (あの人達の話・・・。さっぱりわかんなかったの・・・。スタンドって先住魔法とどう違うの・・・?シルフィには全くわからなかったの・・・。) 人間よりはるかに長い時を生きていて、人並みの知能があるとはいえ、所詮幼竜の彼女には難しい話だった。 (とりあえずとても遠い所から来たのはわかったの・・・。) 「さて・・・すっかり忘れていたが、ルイズを探しに行かないといい加減やばいかも知れないな・・・。」 ブチャラティは一人取り残され怒りに震えるルイズの顔が頭に浮かんだ。 「ところでアンタは結局なんなんだ?」 ドキッ! イルククゥが再び焦りだす。 (わ、忘れてたの!どうしよう。本当の事をいうわけには行かないし…。) 本当の事を言えば真っ先に困ることになるのはタバサだ。 風韻竜である自分の話が公になれば、タバサも困る事になるに違いない。 (お姉さまの使い魔として一応困る事は避けたいの…。) だがブチャラティから発せられる威圧感は異常ッ!彼女は目をそらす! 「いや、やっぱり止めておく。」 「きゅい?」 疑いで鋭くなっていたブチャラティの表情ががいつしか緩んでいた。彼はふっきれたように優しく笑いを浮かべていた。 「たとえお前が何であろうとオレが横から口を出す問題じゃあないからな。お前もオレにとやかく言われるすじあいはないと思ってるだろう。」 イルククゥがポカンと口を開けている。 「な、何も聞いたりしない?」 「しないさ。」 「怒ったりしない?いじめない?」 「しない。」 ま、これからは気を付けな。と言って去ろうとした時だった。 ガッシャッーーーン!!! キャアアアアアア!!! 絹を切り裂くような叫び声!! 「きゅい!誰かが叫んでたわ!!」 「ただごとではなさそうだな・・・。」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・。 一方ルイズ。 「ブチャラティーー!!どこ行ったのよ!!ブチャラティーー!!」 先程ブチャラティとはぐれたルイズ。一人でずっと彼を探し続けていた。 「も、もうダメ…。疲れた…。」 その場にへたれこむルイズ。箱入り娘の彼女に町中探し回る体力はなかった!! 「つ…使い魔のくせに私を置いてきぼりにして…何でわたしがこんな目に…。」 疲れきった顔で立ち上がる「どこかで休むわもう…。えっと財布…。」 だがポケットを探って気付いた!財布がないッ! 「えっ!?財布は!?何でないの!?…ハッ!」 ―――――――まさかお前の体内にジッパーで隠したとは思わないだろ…。 「そうだ…。ジッパー!」 ルイズはマントをめくり、窓を鏡にして背中を見る。確かにジッパーがブラウスの背中の所についていた。だがっ! 「あ、あれ?届かない?ちょっと!?何これ!?何で持ち手がこんなに小さいのよ!」 ブチャラティはジッパーを貼るとき、ジッパーの大きさも自在に設定出来る。だ が今回はジッパーの持ち手が小さく、ルイズの手の届かない所にあるのだ。 「もう!何よこのマヌケな状況!!財布を持ってるのに取り出せないなんて!!やっぱアイツ後でとっちめてやるわ!!」 疲れ果てたルイズ。だがその耳に駆け足の音が聞こえてくる。 タッタッタッタッタッタッタッ 「あ、あれはッ!!」 その二人は!誰もが愛すその二人の名はッ!! 全国の女性と『ギーシュさん』信者の味方!ギーシュ・ド・グラモン! 全国のモテない男と変態紳士の味方!マリコルヌ・ド・グランドプレ! その二人が…こっちに全力疾走してくる。というか明らかに何かから必死に逃げている! 「あ!アンタ達!ちょっとお願いがあるの!背中のジッパー下ろしてほしいの!!」 「「そんな言葉に惑わされるかぁーーーーーーーッ!!!」」 よくわからないが確実に錯乱している。 目が血走っていて直視すると身震いしてしまう。 「状況がぜんぜん見えないって言うかアンタ達何やってんの!?」 「「逃げてんだよォーーーーーーーー!!!!貧乳(ゼロ)のルイズーーーーーーーッ!!!」」 残念。それは私のNGワードだ。 「アンタたち・・・。言うに事欠いて貧乳と書いてゼロとはね…。ハハハ。言ってくれるわね・・。ハハハハ・・・。」 殺意ッ!!今ルイズが目から発しているものを何と呼べばいいかと聞かれたら『殺意』としか答えられないッ!! 「キザ男にフトッチョがっ!!この手で殺してやるッ!!」 だが杖を抜こうとした瞬間ッ!! 「『うわああああああああああああああああああ!!!!!」』 さらに一人男が後ろから全力疾走で駆けてくるッ!! カウボーイ風の男が一人…いや一人で間違いないはずだが、気のせいか今二人分の悲鳴が聞こえた。 「テルゥーーー!!!無敵の『エニグマ』でなんとかしてくれぇーーーーーーーッ!!」 『無理だぁーーー!!!!今やったら『エニグマ』が斬られてしまうぅーーーーッ!!』 「あの娘ごと閉じ込めろぉーーーーー!!!」 『”恐怖のサイン”が見つからないんだよぉーーー!!多分精神を操られてるせいだぁーーーーッ!! …てかあんたの『エンペラー』を使えばいいじゃないか!!』 「俺は女は殴らないし撃たねぇ主義なんだよぉーーーー!!任務どころじゃあねぇ!!まともにやったら俺たちじゃアイツには勝てねぇんだよ!だから逃げの一手だッ!!」 いや間違いないッ!!いま確かにその男は見えない何かと『会話』していたッ!! 「な、今確かに二人分の声が・・!!いやそれよりあの連中一体何から逃げてんのよ!?」 その方向を向くと、見慣れた二人が向かい合っている。 片方は赤髪、長身、褐色肌、あのうらやま、いや忌々しい巨乳ッ!!キュルケで間違いない。 もう一人は青髪、小柄、眼鏡に確実に私より小さそうな貧乳ッ!!こっちもタバサで間違いないだろう。 だが何事かと駆け寄ろうとした時だった。 「『フレイム・ボール』ッ!!」 「『ウィンディ・アイシクル』。」 ヂヂヂッ!! 二つの呪文がぶつかり合って相殺するッ!!その衝撃で遠くのルイズも吹っ飛びそうだッ!! 「な、何アレ・・・。なんであの二人が本気で戦ってんの・・?」 そして片方が聞きなれた声でもう片方にこう言った。 「フフフ…。今の攻撃、確かに覚えたぞッ!!」 ギーシュ&マリコルヌ 参戦 一方ブチャラティとイルククゥ。 その悲鳴の原因は男二人の喧嘩だった。 「こんな街中で喧嘩か?もっと裏通りとか人気のないところでやるもんじゃあないのか?」 目が血走ってツリ目気味な男がバンダナを目元まで深く被った男を殴りつける。 「うがぁぁ!!テメェよくもやりやがったなぁ!!」 「何の話だ!オレがおまえに何をしたって言うんだ!?」 ツリ目の男は支離滅裂に見える。バンダナの男のほうは冷静のようだ。 体に切り傷、後ろの窓が割れているという事は何かが割れた音はあのバンダナの男がブチャラティは近くで震えていた女性に話しかける。 泣きべそをかいてたらしく目元が赤い。そしてガラスで切ったような跡があるようで、どうやらバンダナの男が投げられた時に飛んできたガラスが少し当たったらしい。 「ヒドイの・・。大丈夫?」 イルククゥが駆け寄って身を案じる。 「一体なにがあったんだ?アイツら何を揉めているんだ?」 「何も…やってないの…。あの目の尖った男が突然怒ってきて…。バンダナの人がかばったら喧嘩になってたんです…。」 「そうか・・・。」 ブチャラティが二人に近づいた。 「お、おかっぱさん?何をするの・・?」 バンダナの男がブチャラティに注意する。 「お、おい!!何やっているッ!!その男は・・・。」 「あんだぁ?テメェは!!テメェも殺されてぇのかコラァ!!」 ツリ目の男がブチャラティに襲い掛かる。 ズッキャア!! 「ブゲッ!!」 ブチャラティが返り討ちにしたッ!! 流石はギャングあがりのブチャラティ!!スタンドを使わなくても腕っ節は強かったッ!! 「てめぇよくもやりやがっ・・!」 バキッ!ドカッ! 間髪いれずにブチャラティがぶん殴るッ!! その場にいた人間は呆然とした。 「テ、テメェ・・・。よくもやりやがったなぁ・・。」 懐からナイフを取り出す。 「どてっ腹に突き刺してやら・・。」 ガシッ!! その行動より早くブチャラティがナイフを持った手を掴み、もう片方の手で・・・。 ズシィッ!! 相手のほうのどてっ腹に拳をねじり込んだッ!! 「ぐええええッ!!」 チンピラはそのまま気を失った。 (この『症状』…。まさか?) ブチャラティが気を失ったチンピラを見ている間、イルククゥがバンダナの男に駆け寄る。 「だ、大丈夫なの?」 「ああ・・・どうやら無事みてーだぜ。」 ブチャラティが倒れた男に近づく。 「おかっぱさん、危ないの…。」 「黙ってろ!!」 注意を促したあと、彼は男の腕を見る。 そこには何かの跡が多くあった。 「コイツ・・。やっぱり・・・!」 「『麻薬中毒者』だったようだな。」 バンダナの男が立ち上がる。 「クソッ!こんな傷をおわせるまで暴れやがって・・・!」 「あんた大丈夫か?その傷どうやらだいぶ切ったようだが・・・。」 「へっ!これくれーの傷ほっときゃあなおるっつーの!」 そう言って男がポケットからハンカチを出して口を拭く。 「よおアンタ、助かったぜ。巻き込んで悪かったな。 見ず知らずのアンタを巻き込んでしまって、マジ悪かったぜ。」 男が傷を抑えながら言う。 「…何者だ?」 「…何者ってオレに聞いたのかい?」 ブチャラティがバンダナの男を見る。 「いや、オレはただの観光客にすぎねーよぉ~~~? だから巻き込まれて迷惑してんだ・・・。」 「ほう、ただの観光客か。ならなんでおまえの汗は『ウソ』だといってるんだ?」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・。 「…もしかしてバレていたりするのかな?」 「完璧に『平民』になりすましたつもりだったようだが、不自然さが拭いきれてないぞ? …どこから来た貴族だ?」 バンダナの男が「まいった」といわんばかりの顔をして立ち上がる。 「ハハ、見破られていたか。『平民』で間違いなさそうだけどただものじゃあないねキミ。」 「きゅい?」 男がバンダナをはずす。 その下から出てきたのは短く切った金髪と、傷だらけながらもどこか高貴な風格をかもしだしている 青年の顔だった。 ブチャラティ、きゅいきゅい 貴族の青年と出会う。 ルイズ キュルケとタバサの戦闘に巻き込まれる? ギーシュ、マリコルヌ、ホル・ホース 逃げるんだよォーーーーーーー!!! To Be Continued =>