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L・I・A 第16話 - (2007/09/25 (火) 20:42:49) のソース

第16話  復讐者~ギーシュ~ 


あの事件から1週間が過ぎた。 
ギーシュは授業にも出ず、ましてやルイズや仗助の前に現れる事は無かった。 
周りの方も、事の顛末を見ていた者も多く、ギーシュの自業自得と思うか、仗助の背から揺らめく人型、クレイジー・ダイヤモンドが一瞬見えた事や、純粋にあの一撃に恐れを覚えたらしく、ちょっかいを出す者は皆無であった。 
今日もまた、皆が一同食堂に会し朝食をとる。平民としては破格の待遇を約束されている仗助も、ルイズの隣で食事中だ。流石にあの貴族達のハイカロリーメニューはキツいので、トニオ手製の軽めのラインナップではあるが、味は全くもって申し分無い物だった。 
 ・・ざわ・・・ざわ・・・・ 
その時突然、食堂内にざわめきにが起こる。その中心、皆の視線の先にはあのギーシュ・ド・グラモン。傷は完治したのか顔には痕一つ無い。 
「ギーシュ・・・・・・」 
ルイズの顔が青くなる。仗助は彼を殴ったのだ。何を言われるか分かったものではない。 
無論、家の力はルイズの方が圧倒的だが、仗助は人間とは言え、ルイズの中では自分の下僕たる使い魔、との認識であり、たかが平民の使い魔の為に御家騒動に出来るわけもないと思っていた。 
とは言ったものの、オスマンが仗助とトニオの後見人になっておりある程度の客人待遇になっている事でそんなことにはならないのであるが、ルイズは気付いていない。 

ゆっくりと、そしてしっかりとした足取りで近付いてくるギーシュ。やがて、仗助の前で立ち止まり、 
「決闘だ、平民」 
静かに言い放った。 
「ちょっとギーシュ・・・・」 
ルイズが抗議するも 
「ルイズ、まさか平民を庇って、彼の行いを正当化するつもりかい?」 
こう言われてはぐうの音も出ない。こういう展開になるのが嫌だったのだ。 
「ったくよォーーー人の事平民平民言いやがってよォーー、『アンシャン・レジーム』って言ったっけか?ガッコの授業でよォーーー。俺は経済大国日本人だっつの。基本的人権尊重に反してんじゃあねぇーのかァーー?」 
なんだかギーシュを見てからどんどんと機嫌が悪くなっている仗助である。 
「何をぶつぶつと・・・勿論、受けてくれるんだろうね?」

邪悪な笑みを浮かべて問う。そこに一種のキナ臭さを感じた仗助だったが、後に引く気も無かった。 
「いいゼェーーー。頭を馬鹿にしやがったオメーからなら遠慮なく買うっすよォ~~」 
既に仗助、臨戦態勢。 
「そんなみっともなくいきり立たないでくれたまえ。・・・昼食後、ヴェストリの広場で待っている。逃げるなよ?」 
そう言い残し、身を翻し去っていくギーシュ。依然としてざわめきは大きくなるばかり。 
モンモランシーは不安そうに見ていた。邪悪な笑みに固まったギーシュの顔に・・・・・ 



「ジョースケさん・・・・」昼、約束の時間の少し前。仗助は厨房に呼ばれ、マルトーから豪華な食事を振る舞われていた。 
そんな中、シエスタは不安そうに仗助を見詰めていた。 
「貴族の方を怒らせてしまったら・・・・殺されちゃう」 
しかし、虚しくもその呟きは喧騒の中に消える。 
「おう!我らの拳よ!喧嘩前の食事だ!沢山食え!」 
「何スかァ~?マルトーさん、我らの拳ってよォー」 
やたらと鼓舞、というかここまでくるともはや煽っているのでは?と思える状態のマルトーが豪快に笑う。 
「お前さんはあのクソ生意気な貴族のガキに一発喰らわしてやった。俺たちゃぁ立場上マトモに逆らえねーからよ、一撃でのしたってのは痛快愉快なのさ!はははははは!!!だがら『我らの拳』だ!」 
成る程、人型スタンド使いは時たま、スタンドと同じ様なモーションをするときがある。彼らからしてみれば仗助が直接殴った様に見えたのだろう。実際、仗助も直接殴っていたから事実ではある。 
「お前さんは敗けやしねぇ。何となくだがそう感じるんだ!まぁ、負けてもらっても困るがよ!!」 
料理人達が一斉に笑う。その様子に仗助は「ちょっとばかし強めにボコッてもいいんじゃあねーか?」と感じた。

「仗助サン」 
そこにトニオが大鍋を持って現れる。 
「昨日から仕込んでいたスープデス。皆サンで食べテもらおうト思ッテタンデスガ、丁度イイ時に出せマシタ!」 
ぞろぞろと皿に盛って食べ始める皆。 
「グレート!何時もながらトニオさんの料理は最高だゼェ!」 
他の者も各々に、旨い等と口にする。 
「余りケンカは好キじゃあアリマセンが、彼は態度が悪スギマス!イタリア人ナラッ!女性をアノ様に悲しまセル真似はしまセンよ?」 
皆の激励を一身に受け、満腹の仗助は席を立つ。 
「そんじゃ、行ってくるッス」 
やけにデカイ声援に送られ、約束のヴェストリの広場へと仗助は赴くのだった・・・・・ 


魔法学院内、風と火の塔の間にある中庭。それがヴェストリの広場。 
「諸君、決闘だ!」 
声高々に叫ぶギーシュ。しかし見物人は多いこそすれ、歓声を上げるのは半分。 
残りはあの現場を目撃し、仗助を恐れているか、興味を持っている、若しくはギーシュがぶちのめされる光景が見たい連中だ。 
やれ先住魔法だの霊を操る禁呪だの囁かれているが、仗助には何の事かサッパリだった。 
「よく逃げないで来たね。誉めてあげるよ」 
相変わらず邪悪な笑みを崩さないギーシュ。 
「御託はいいからよォーさっさと始めようゼ」 
「ふん!その余裕もここまでさ。では始めよう!」 
開始宣言と共に手にしたバラの花を振るうギーシュ。宙に舞った一枚の花弁は 
「グレート。ゴーレムって奴か」 
 ・・・甲冑を着込んだ女戦士の姿になった。

「僕の二つ名は『青銅』。青銅のギーシュだ。君の相手はこの『ワルキューレ』がするよ。メイジが魔法を使うのに文句はないだろう?」 
RPGもよくやる仗助には然程驚くものでもなかった。それに、遠隔操作型スタンドだと思えばますます彼にとっては馴染みのあるものの様に見えた 
「ワルキューレ・・・ヴァルキリーか。こないだやったプレステのゲーム思い出しちまうじゃあねェーかよォーーー」 
さっさと順応したとは言え、元の世界が恋しいのは変わらない。ワルキューレの登場はむしろ仗助を少しプッツンさせる結果となった。 
「行けェ!ワルキューレ!」 
「クレイジー・ダイヤモンドッ!」 
己がスタンドを出す仗助。その瞬間やはりざわめきが起こるが戦闘中の二人には関係が無かった。 
「ドラァッ!!」 
難なくワルキューレを打ち砕く仗助。 
ギーシュは一瞬眉を潜めたが、妙な力を持っているとは聞いていたので動揺はしなかった。 
ニヤリ・・・・ 
いやッ!この男ッ!笑っているッ! 
「そろそろか・・・・」 
遮るものが無くなった仗助が一直線に向かってくる。クレイジー・ダイヤモンドを背に。 
「フルボッコにしてやんゼェーーー!!」 
誰もが迎撃は間に合わないと確信していた・・・・・ 





「グァァァァァァァッ!!いてェーーーーッ!!!」・・・・しかし、それは仗助が苦しみもがいて倒れるという現実に覆された・・・・ 


To Be Continued・・・・・⇒
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