ゼロの兄貴-4 - (2007/10/14 (日) 00:36:52) の1つ前との変更点
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「レスピンジェレ(断る)」
「……はぁ?」
「聞こえなかったか?レスピンジェレ(断る)と言ったんだ」
話は多少前に遡る
「――でアンタの名前グレイトフル・デッドでいいの?」
不意に己のスタンドの名を呼ばれ警戒態勢に入るプロシュートだが思い当たる節があったのでそれを解く。
「……プロシュートだ」
「?アンタさっき『名前は?』って聞いた時そう言ったじゃない」
「オメーには関係ねぇことだ」
ここが自分が居た世界とは別の場所だと頭では理解していたが心のどこかでまだ信じきれないでいたプロシュートであったが
夜空に浮かぶ2つの月を見てそれを認めざるをえなかった。
「ここが魔法の国でオメーがオレを召喚し、ここがメイジとかいう貴族に支配されてるって事も分かった」
魔法を使えるメイジが貴族としてこの国を治めているという話を聞いたプロシュートだったが
彼に言わせてみれば『学院とやらで学べる以上メイジが貴族なんじゃあなく貴族がメイジで魔法を使えるヤツを管理して平民とやらを支配してるっつー事か』である。
「それでオレが聞きたいのは元の場所に帰れるかって事だ」
「無理よ… サモン・サーヴァントであんたを呼び出したのは私。
だけど元の場所に帰す魔法なんて知らないし聞いたこともないわ…」
一瞬怒りの表情を露にするプロシュートだがブチャラティに列車から叩き落され地面に激闘しそうになった事を思い出しそれを隠す。
(……認めたくはねぇがオレはこいつに命を救われた『借り』があるって事か)
「……それで使い魔ってのは何をすりゃあいいんだ?」
「平民を使い魔にしたなんて聞いた事無いもの…アンタでもできそうな掃除、洗濯ってところかしらね」
ここで時間が戻り冒頭の「レスピンジェレ(断る)」である。(ちなみにこの間僅か0.5秒)
「使い魔に拒否権なんてあると思ってるわけ?」
「そうなってくるとオレとしては脱走し資金・食料を得るためにどこかの貴族の館に押し入りそいつの家のベッドの上には見知らぬ老人の死体が転がってるって事になるな」
「……何が言いたいの?」
「使い魔の手柄は主人の手柄、使い魔の不祥事は主人の不祥事と言ったのはオメーのはずだぜ?」
「使い魔が貴族を脅迫する気!?」
昼間見せたこの男の不可解な能力を思い出しルイズが声を荒げる。
「交渉…と言ってもらいてぇな」
そう言い放ちプロシュートがルイズを見据える。
(こいつ…平民のくせして…でもこいつからはやるといったらやるという…スゴ味があるッ!)
「使い魔は主人を守ると言ったな、ならそれでいいじゃあねぇか。オレがオメーを『護衛』してやる」
「メイジやモンスター相手にそれがきるっていうの?」
「できねぇならできるなんて言いやしねぇ」
「……分かったわ、でも人が沢山居る場所であんな物騒な事しないでちょうだい」
何とか雑用という自分には全く向いてない仕事からは脱する事はできたが、護衛という任務に対し心の奥底で苦笑いをする。
(ボスの娘を奪おうとしていたオレがその娘と同じような歳の女を護衛する事になるたぁな)
「さて…いろいろあって疲れちゃったから寝るわ」
「それは構わねぇがオレは何処で寝りゃあいいんだ?」
ルイズが無言で床を指差し毛布を一枚投げつけてくる
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ ┣¨┣¨┣¨┣¨
「な、何よぉー」
プロシュートから発せられる妙なプレッシャーにルイズが押される。
「フン」
それだけ言うとプロシュートが毛布を使い壁に背を預け目を閉じ眠りに入る。
プロシュートが眠りに入ったのを確認するとルイズも安心したのか眠っていった。
薄暗い闇が世界を覆う。
その闇の世界の中心にプロシュートが立つ。
(何処だ…?ここは)
辺りを探ろうとし体を動かそうとするが動けない。唯一動かせるのは首だけだ。
だが闇に目が慣れてくると自分の周りに何かある事に気付く。
(アレは…ソルベ、それにジェラードッ!?)
ホルマリン漬けにされたソルベ、猿轡を喉に詰まらせ窒息して死んだジェラード、ボスに殺されたはずの二人の死体がそこにあった。
唯一動かせる首を動かし周囲を探るプロシュート、だがその行為も彼を驚愕させるに足る物を発見させるだけのことだった。
(ホルマジオ!イルーゾォか!?)
つい先日ブチャラティ達に挑み敗北していった仲間達
そして彼の網膜に彼にとって信じたくないもの、認めたくないものが映る。
(バカなッ!?ペッシ…!メローネ…!ギアッチョ…!)
バラバラに解体されたペッシ、舌を毒蛇に咬まれ絶命したメローネ、首に鉄棒を生やし倒れているギアッチョ。
そして彼の前にプロシュートが最も信頼していた人物が立つ。
(リゾットか!?これは一体どういう―――)
だがリゾットも体中に銃弾を撃ち込まれ倒れていく。
(く…一体どういう事だッ!?)
周囲に散らばるチームの仲間達の死体、だがそのかつての仲間達の死体の目は全て等しくプロシュートに向けられている。
あまりともいえる光景に思わず後ろに下がろうと力を込める、だが体は動かない。
そうしている間に後ろから誰かに肩を掴まれる。
(何だとッ……!?)
首を向け後ろを見る、だがその目に映ったものは――――ボロ雑巾のように成り果てた己の姿だった。
この世界に入ってから唯一の音が聞こえる。それも自分の声でだ。
幽鬼のように立ち己の肩を掴むもう一人の自分から
オメーハイッタイナニヲヤッテイル?――と
もう一人の自分から滲み出るようにして現れる己の分身、無数の眼を持つ異形の悪魔―グレイトフル・デッドが自身の首を掴もうとその手を伸ばす。
己のスタンドが持つ最も威力がある攻撃『直触り』がプロシュートを襲おうとした。
「うおぁあああああああああッ!!」
飛び起き周りを確認する、異常は無い日が昇っている事以外は昨日と同じだ。
心臓の鼓動が早い、呼吸も荒い、立ち上がりスタンドを出す。
変わりない何時もと同じだ、何時もと同じように己の傍らに立つグレイトフル・デッド。
「夢……だと……?」
(あいつらがくたばる夢なんぞ見るなんて冗談じゃあねぇ!)
あのしぶといヤツらがそう簡単にやれるとは思ってはいないが、あの夢はリアリティがありすぎた。
そのリアリティさがプロシュートの心に一抹の不安を残す。
「んふふふ……ざまぁみなさいキュルケぇ~」
不意に気の抜けた甘ったるい声がプロシュートの耳に届く。
その声の主に近付く。どんな幸せな夢を見ているのか知らないがモノスゲー笑顔で眠っているルイズがそこに居た。
「……起きろ」
一言声をかける、だが帰ってきた返事は
「そこに土下座すれば許してあげてもいいわ…zzz」
自分はこれ以上考えられないぐらいの悪夢、それに対しこいつはのん気に幸せそうな夢を見寝言までもたれている。
正直に言う「ムカついた」
近くにあった枕をルイズの顔に被せる、無論口と鼻が隠れるようにしてだ。
椅子に座り様子を見る。
5秒後―特に変わりなし 10秒後―少し動き始めた 15秒後―少し痙攣している
20秒後―「苦しいって…言ってるでしょうキュルケェーーーーーッ!!」
少しだけ笑いながらプロシュートが「起きたか」とルイズに言う。
「あれ……夢?」
(……キュルケを使い魔にしてたのに何で途中からアイツの胸に押し付けられて死にそうになんのよ!)
勿論、コンプレックス丸出しの夢を見た原因が枕で口と鼻を押さえられてたという事に気付く由も無い。
ボーっとした目でプロシュートを見ているが酸素が供給され脳も起きたのだろうが不意に
「服」
と言い出した。当然プロシュートには何の事かさっぱり分からない。
「何の事だ…?」
「着替えさせて」
「そのぐらいテメーでやりやがれ!」
「使い魔なんだから身の回りの世話もするのが当然でしょ?」
これ以上言っても無駄だと悟ったのか渋々着替えさせる。
ただ一つ、ほんの小さな声で
「マンモーニが」
という言葉を残して。
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#center(){[[戻る<>ゼロの兄貴-3]] [[目次>ゼロの兄貴]] [[>続く>ゼロの兄貴-5]]}
//第五部,プロシュート
「レスピンジェレ(断る)」
「……はぁ?」
「聞こえなかったか?レスピンジェレ(断る)と言ったんだ」
話は多少前に遡る
「――でアンタの名前グレイトフル・デッドでいいの?」
不意に己のスタンドの名を呼ばれ警戒態勢に入るプロシュートだが思い当たる節があったのでそれを解く。
「……プロシュートだ」
「?アンタさっき『名前は?』って聞いた時そう言ったじゃない」
「オメーには関係ねぇことだ」
ここが自分が居た世界とは別の場所だと頭では理解していたが心のどこかでまだ信じきれないでいたプロシュートであったが
夜空に浮かぶ2つの月を見てそれを認めざるをえなかった。
「ここが魔法の国でオメーがオレを召喚し、ここがメイジとかいう貴族に支配されてるって事も分かった」
魔法を使えるメイジが貴族としてこの国を治めているという話を聞いたプロシュートだったが
彼に言わせてみれば『学院とやらで学べる以上メイジが貴族なんじゃあなく貴族がメイジで魔法を使えるヤツを管理して平民とやらを支配してるっつー事か』である。
「それでオレが聞きたいのは元の場所に帰れるかって事だ」
「無理よ… サモン・サーヴァントであんたを呼び出したのは私。
だけど元の場所に帰す魔法なんて知らないし聞いたこともないわ…」
一瞬怒りの表情を露にするプロシュートだがブチャラティに列車から叩き落され地面に激突しそうになった事を思い出しそれを隠す。
(……認めたくはねぇがオレはこいつに命を救われた『借り』があるって事か)
「……それで使い魔ってのは何をすりゃあいいんだ?」
「平民を使い魔にしたなんて聞いた事無いもの…アンタでもできそうな掃除、洗濯ってところかしらね」
ここで時間が戻り冒頭の「レスピンジェレ(断る)」である。(ちなみにこの間僅か0.5秒)
「使い魔に拒否権なんてあると思ってるわけ?」
「そうなってくるとオレとしては脱走し資金・食料を得るためにどこかの貴族の館に押し入りそいつの家のベッドの上には見知らぬ老人の死体が転がってるって事になるな」
「……何が言いたいの?」
「使い魔の手柄は主人の手柄、使い魔の不祥事は主人の不祥事と言ったのはオメーのはずだぜ?」
「使い魔が貴族を脅迫する気!?」
昼間見せたこの男の不可解な能力を思い出しルイズが声を荒げる。
「交渉…と言ってもらいてぇな」
そう言い放ちプロシュートがルイズを見据える。
(こいつ…平民のくせして…でもこいつからはやるといったらやるという…スゴ味があるッ!)
「使い魔は主人を守ると言ったな、ならそれでいいじゃあねぇか。オレがオメーを『護衛』してやる」
「メイジやモンスター相手にそれがきるっていうの?」
「できねぇならできるなんて言いやしねぇ」
「……分かったわ、でも人が沢山居る場所であんな物騒な事しないでちょうだい」
何とか雑用という自分には全く向いてない仕事からは脱する事はできたが、護衛という任務に対し心の奥底で苦笑いをする。
(ボスの娘を奪おうとしていたオレがその娘と同じような歳の女を護衛する事になるたぁな)
「さて…いろいろあって疲れちゃったから寝るわ」
「それは構わねぇがオレは何処で寝りゃあいいんだ?」
ルイズが無言で床を指差し毛布を一枚投げつけてくる
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ ┣¨┣¨┣¨┣¨
「な、何よぉー」
プロシュートから発せられる妙なプレッシャーにルイズが押される。
「フン」
それだけ言うとプロシュートが毛布を使い壁に背を預け目を閉じ眠りに入る。
プロシュートが眠りに入ったのを確認するとルイズも安心したのか眠っていった。
薄暗い闇が世界を覆う。
その闇の世界の中心にプロシュートが立つ。
(何処だ…?ここは)
辺りを探ろうとし体を動かそうとするが動けない。唯一動かせるのは首だけだ。
だが闇に目が慣れてくると自分の周りに何かある事に気付く。
(アレは…ソルベ、それにジェラードッ!?)
ホルマリン漬けにされたソルベ、猿轡を喉に詰まらせ窒息して死んだジェラード、ボスに殺されたはずの二人の死体がそこにあった。
唯一動かせる首を動かし周囲を探るプロシュート、だがその行為も彼を驚愕させるに足る物を発見させるだけのことだった。
(ホルマジオ!イルーゾォか!?)
つい先日ブチャラティ達に挑み敗北していった仲間達
そして彼の網膜に彼にとって信じたくないもの、認めたくないものが映る。
(バカなッ!?ペッシ…!メローネ…!ギアッチョ…!)
バラバラに解体されたペッシ、舌を毒蛇に咬まれ絶命したメローネ、首に鉄棒を生やし倒れているギアッチョ。
そして彼の前にプロシュートが最も信頼していた人物が立つ。
(リゾットか!?これは一体どういう―――)
だがリゾットも体中に銃弾を撃ち込まれ倒れていく。
(く…一体どういう事だッ!?)
周囲に散らばるチームの仲間達の死体、だがそのかつての仲間達の死体の目は全て等しくプロシュートに向けられている。
あまりともいえる光景に思わず後ろに下がろうと力を込める、だが体は動かない。
そうしている間に後ろから誰かに肩を掴まれる。
(何だとッ……!?)
首を向け後ろを見る、だがその目に映ったものは――――ボロ雑巾のように成り果てた己の姿だった。
この世界に入ってから唯一の音が聞こえる。それも自分の声でだ。
幽鬼のように立ち己の肩を掴むもう一人の自分から
オメーハイッタイナニヲヤッテイル?――と
もう一人の自分から滲み出るようにして現れる己の分身、無数の眼を持つ異形の悪魔―グレイトフル・デッドが自身の首を掴もうとその手を伸ばす。
己のスタンドが持つ最も威力がある攻撃『直触り』がプロシュートを襲おうとした。
「うおぁあああああああああッ!!」
飛び起き周りを確認する、異常は無い日が昇っている事以外は昨日と同じだ。
心臓の鼓動が早い、呼吸も荒い、立ち上がりスタンドを出す。
変わりない何時もと同じだ、何時もと同じように己の傍らに立つグレイトフル・デッド。
「夢……だと……?」
(あいつらがくたばる夢なんぞ見るなんて冗談じゃあねぇ!)
あのしぶといヤツらがそう簡単にやれるとは思ってはいないが、あの夢はリアリティがありすぎた。
そのリアリティさがプロシュートの心に一抹の不安を残す。
「んふふふ……ざまぁみなさいキュルケぇ~」
不意に気の抜けた甘ったるい声がプロシュートの耳に届く。
その声の主に近付く。どんな幸せな夢を見ているのか知らないがモノスゲー笑顔で眠っているルイズがそこに居た。
「……起きろ」
一言声をかける、だが帰ってきた返事は
「そこに土下座すれば許してあげてもいいわ…zzz」
自分はこれ以上考えられないぐらいの悪夢、それに対しこいつはのん気に幸せそうな夢を見寝言までもたれている。
正直に言う「ムカついた」
近くにあった枕をルイズの顔に被せる、無論口と鼻が隠れるようにしてだ。
椅子に座り様子を見る。
5秒後―特に変わりなし 10秒後―少し動き始めた 15秒後―少し痙攣している
20秒後―「苦しいって…言ってるでしょうキュルケェーーーーーッ!!」
少しだけ笑いながらプロシュートが「起きたか」とルイズに言う。
「あれ……夢?」
(……キュルケを使い魔にしてたのに何で途中からアイツの胸に押し付けられて死にそうになんのよ!)
勿論、コンプレックス丸出しの夢を見た原因が枕で口と鼻を押さえられてたという事に気付く由も無い。
ボーっとした目でプロシュートを見ているが酸素が供給され脳も起きたのだろうが不意に
「服」
と言い出した。当然プロシュートには何の事かさっぱり分からない。
「何の事だ…?」
「着替えさせて」
「そのぐらいテメーでやりやがれ!」
「使い魔なんだから身の回りの世話もするのが当然でしょ?」
これ以上言っても無駄だと悟ったのか渋々着替えさせる。
ただ一つ、ほんの小さな声で
「マンモーニが」
という言葉を残して。
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//第五部,プロシュート
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