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ゼロの兄貴-47 前編 - (2008/03/19 (水) 06:57:11) の1つ前との変更点

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グッタリしたオスマンを引きずるように連れて行くフーケを見送ったが、どうやったもんかと少し考える。 直限定となると、いきなり食堂に行ってもどうしようもないし、魔法なんぞ使えないので老化して人質に紛れる事もできない。 なお、モンモランシーも食堂行きだ。スデに一人始末したので、 それが帰ってこないのは拙かろういうことで、まだメイジが居たから探しに行った。という事にするらしい。 こうなれば、隙を見て一人一人順番に順番に始末していくしかない。面倒だが、それしか無い。 一先ず、塔から出て別の広場に来たのだが、意外なヤツがそこに居た。 「……邪魔だ」 正面に立ち塞がるようにして、シルフィードがそこに居た。 「きゅい」 「……オメーの相手してる暇ねーんだよ。隠密性もクソもありゃしねぇ」 邪魔だと言っても、退かない。夜とはいえこんなんが居た日にゃあ一発で補足されるに決まっている。 そんなわけで、どっか行けという具合に手を払いながら後ろを向き別の場所に行こうとしたが、その手を捕まれた。 「きゅい!」 「ちょっと待て、てめー…何のつもりだ!?」 その疑問に答える間も無く、シルフィードの翼が動き飛んだ。 さすがに、速い。一気に50メイルぐらい上昇したのだが、無論、背に上がれるわけでもなく腕を掴まれたままだ。 「…穴開けたらただじゃあおかねーからな」 「きゅい?」 こんな状況下でもスーツの心配。さすがである。 分かってるのか分かってないのか、抜けた感じの鳴き声が帰ってきた。 もっとも、言葉が理解できる韻竜などとは思ってもないし知らないので期待はしていない。 が、一応爪は引っかからないようにしてくれたらしい。 しかし、こうして腕掴まれて宙に浮いているとビーチ・ボーイに釣られていた事を思い出す。 結構大きさのあるシルフィードとはいえ地上から結構離れている上に 日は出ていないし、月も雲で隠れ気味になっているので、発見は難しいはずだ。 ただ、シルフィードに見付かったという事は、タバサもこちらの事を知ったという事になる。 偶然か、それとも『知っていた』のか。これだけでも大分違う。 まぁ話すタイプではないと見ているのでそれ程深刻ではないが、万一がある。 そうこうしていると、下の食堂付近で音と共に閃光が奔った。 こっちからは離れているので大した事はないが、近くに居れば、どこぞの大佐のように『目が…目がぁぁ』状態だろう。 続いて、火炎と爆発を確認したが、高度が少し下がると同時に唐突に腕への負荷を感じなくなった。なんというか落ちている。 「…っ!何してくれやがんだてめェェーーーーー!」 珍しく声が出る。ここまで出したのはブチャラティにジッパーで列車外に諸共放り出された時以来だろう。 いかにスタンドを備えていようとも、この高さから落とされては死ぬ。こちとらスタンドがある他は普通の人間である。 「お姉さまが危ないの。頑張るのねー」 そんな声が聞こえてきたような気がしたが、気にしている暇は一切無い。 無論、その後一拍送れて「あ、そういえばあの人、メイジじゃなかったのね」という間の抜けた声がした事にも。 時間が少しバイツァダストしてシルフィードの下、約30メイル。 ボロボロのオスマンとモンモランシーを見つけたという事で特に怪しまれなかったフーケだが、まだ何かあると思っている。 何せ居ないのは、あのニューカッスルから脱出した二人。何らかしら行動を起こすだろうとは予想していた。 「……もう少し優しくしてくれても良かったんじゃが」 「手加減してやっただけ有難く思いな。それにしても、どう出るかだね」 見た目こそボロ雑巾だが、実際のところ中身はそれ程酷くは無い。 とりあえず、メンヌヴィルを相手にするつもりはないので、動いた時に他のメイジを始末する予定なのだが、肝心の動きが無い。 そうこうしていると、紙風船が食堂に飛び込んできた。 (少なくともこっちに人質が居る分、直接被害が出る物じゃない。……考えられる事は行動だけを無力化する事!) 全員貴族の子弟が人質となっているのに、無差別攻撃を仕掛けるはずはない。 瞬時にそう判断し、オスマンを盾にすると同時に激しい音と光が食堂を包む。 「やっぱりか……やってくれるよったく……」 「……わし学院長なんだけど、扱い酷くない?」 光をモロに受けたオスマンが目を押さえながら抗議してきたが、フーケにとってはあまり関係ない事だ。 「手加減した分、まだ貸しが残ってたみたいだから返して貰っただけじゃあないか。気にしない」 そう言ってイジけ気味の爺さんを無視すると、銃士とキュルケにタバサが飛び込もうとしているのを見た。 「これで終わってくれれば楽でいいんだけど……」 本当にこれで終われば楽でいいのだが、相手が相手だ。 「そうもいかないんだよねぇこれが」 メンヌヴィルが居た所から炎の弾が銃士やキュルケ達の所に飛ぶと爆発を起こす。 「所詮、素人が勝てる相手じゃないって事か。あいつもまだみたいだし、このままじゃあいつら死ぬよ」 無論、ここで自分がしゃしゃり出てもどうしようも無いので出て行く気はない。 だが、教え子が危ないというのにオスマンは落ち着き払っている。 「コルベール君があの中に居らぬから、まだ大丈夫じゃ」 「そういや、さっきもそんな事言ってたね。宝物庫の弱点をわたしに言った時はそんな感じはしなかったけど」 「……減給じゃな」 数ヶ月越しに秘密が暴露され、安月給がさらに下がったコルベールに少し同情したが 表では倒れたキュルケにメンヌヴィルが杖を向けていた。 白炎からすれば、炎の女王でもまさに微熱程度であるらしく、笑みを浮かべている。 それにしても、どうしてこうわたしが関わった男はこうもアレなヤツが多いんだろう。 エロジジイに、ロリコン子爵に、今まで見た事の無いのようなドS。そして焼ける臭いが好きだという白炎。 いい加減ウンザリしてきたが、今は死ぬかどうかの瀬戸際なので何とか己を保っていると、本当にメンヌヴィルの前にコルベールがやってきた。 「へぇ…あいつの炎を防ぐなんて確かにやるじゃないか」 キュルケを包もうとしていた炎を最小限の炎で押し戻したあたり、その実力が伺える。 だが、そうであるのならば疑問が一つだけある。 「それにしたってあれだけの実力があるなら、わたしだって危ないかもしれないのに」 オスマンが捜索隊を募った時、あの場にコルベールも居たが手を挙げなかった。 分からない事を考えても仕方ないので、二人の方を注視したが、メンヌヴィルはさらに嬉しそうにし、コルベールは対照的な顔をしている。 馬鹿笑いしながら話しているのでメンヌヴィルの声だけは聞こえてきたが、どうやら知った間柄らしい。 「本当に久しぶりだ!隊長殿!二十年か!教師をしているとは驚いたぞ!人の焼き方でも教えているのか?はははははははッ!」 そんな心底可笑しそうな声を聞いて、一つ思い当たることがフーケにある。 出撃前に、隊長を攻撃して返り討ちに遭い目を焼かれたと言っていたのを思い出した。 ……てく……がん……めェ……… 「……何か言ったかい?」 「わしはまだボケとらんよ」 メンヌヴィルの声に紛れて何か聞き覚えのありすぎる声が聞こえてきたので、オスマンかと思ったが違うらしい。 どこからだろうかと思っていると、また聞こえてきた。 このク…カス…ァ……ァア…ア メンヌヴィルとコルベールの上の方から聞こえてきたのだが、暗闇であまりよく見えない。 だが、もの凄く聞いたことあるだけの声だけに、その方向を見つめていると 二人の上にある大木の枝が揺れると同時に、見覚えのありすぎるヤツがメンヌヴィルの頭を踏んだ。 「このクソカスがァァァァアアア」 どこぞの手首フェチの殺人鬼が乗り移ったが、テンパっている場合ではない。 地面まで10メートルの時点で、庭に植えられた無駄にデカイ木の枝をグレイトフル・デッドで辛うじて掴む。 素手なら掴みきれずそのまま落下だろうが、幸い一応人型スタンドを備えている。脚が無いとはいえあるだけマシだ。 なお、グレイトフル・デッドのデサインについてメローネがしきりに 『足なんて飾りだ。偉いヤツにはそれが分からんのだ!』と連発し非常に鬱陶しかったので殴り飛ばした事の詳細は割愛しておく。 だが、いかにご立派な木とはいえ所詮は枝。当然折れる。 それでも、続け様に太目の枝を掴んでいくと落下速度が落ちてきた。 地面まで4メートルぐらいになると、そのまま降りても一応死なないぐらいになっていたが 視界に眼帯かけてバカ笑いしている無駄にデカイやつが目に入ったので、頭を思いっきり踏むと綺麗に着地した。 「本当にオシマイかと思ったよ…クソが…!」 あのクソ竜、いつかブッ殺す。と言いそうになったが耐えた。言えば色々と全否定してしまう事になる。 というか、こういう厄介事はミスタでいいからマジに変われと最近の胃へのストレスから、少々そう思う。 何かもう、胃の中から『ロオォォォォドオォォォォォォ』という呻きが聞こえてきそうなぐらいに。 もっともそのミスタは追い込んだせいで素敵なお友達と共に入院中であるが。 「なぁ、No5…俺間違ってないよな…?」 「元気出シテクレヨォ…ミスタ~ジョルノダッテ、ソノ内分カッテクレルサ」 「ああ、俺の味方はお前だけだぜNo5…」 ヴェネツィア国際病院精神科において、そんな会話をするミスタとNo5だったが 「先生、ミスタさんが、また独り言を…」 「この調子だと、まだ時間が掛かりそうだな…」 その様子を偶然見た医師と看護婦にはピストルズは見えないので、精神面がやはりアレと思われ入院期間が延長となっていた。 方膝付いて立ち上がったが、呆然としているキュルケと気絶しているタバサ。そして、自分達と同じ空気を纏うコルベールを見た。 が、そのコルベール先生だが、それがベチャリという音を立てて地面に突っ伏したような感じだ。 空から人が降ってきた上に、メンヌヴィルの頭をイタリアが誇る赤と緑の配管工のように踏んだのだから無理も無いが。 「意外と派手な登場したね」 「若いんじゃろう」 そんな、のおほんとした会話をするのはフーケとオスマン さすがのフーケも空から降って、配管工よろしくメンヌヴィルを踏むとは思ってなかったらしい。 何か間の抜けた雰囲気だが、実際のとこそこら辺に指を吹っ飛ばされた銃士とかが転がっているので。結構な惨状である。 本人にしても、想定外だけにどうしたものかとちと悩む。 踏んだ事は特に気にしていないが、何の準備も無く敵のド真ん中だ。 いつもなら牽制も兼ねて広域老化を叩き込むとこだが、オスマンと話つけてるので使うわけにもいかない。 とりあえず、まず視線がタバサに向けられた。気にかけているというより、ガンを付けていると言った方が正しいかもしれない。 「こいつ…人をあんな目に遭わせといて呑気に寝てんじゃねえッ!!」 ルイズのような例外を除き、使い魔は大抵主人の命令で動くと認識している。 つまり、高度30メートルから落とされたのもタバサがやったのかと思っているわけで、少々ヒートアップしております。 この男、基本的に己に攻撃を仕掛けてくる相手は誰であろうと徹底的に叩き潰すタイプである。 まぁ暗殺チーム全体がそうなのだが。G・デッドのように能力上で巻き込むのならともかく、メイジで無いという事を知っている上でやったならアレだ。 例えどれだけ幼く見えようとも性別が女だろうと容赦しない。またまたスト様もビックリだ。 反応が無いので、蹴りの一発でもくれてやろうかと近付き、杖を軸に座るようにしているタバサを少し脚で揺らしたが、またしても反応は無い。 普通なら気絶していると思いそうなものだが、元暗殺者といえど人間である。心拍数絶賛上昇中で少しばかり動揺しているのだ。 本気で『罰』と書かれた紙でも貼り付けてやろうかとも思っていたりする。 イタリア人なのに『罰』とか突っ込んではいけない。そんな事をすれば、職業漫画家の吸血鬼がどこからともなくやってくr… WRRRYYYYYYYYYYYYYYYYY!!! 「ちッ…寝てるってわけじゃあねぇな」 少しすると、まぁ落ち着いたのか気を失っている事に気付いたが、とりあえず状況確認をせねばならない。 「おい、てめー敵か?」 頭を押さえながら立ち上がった眼帯の男に質問したが、この際ついでに首ヘシ折っときゃよかったかと、少し考える。 明らかに悪党面してるので敵だろうと思っているが、元とはいえ人の事言えない職業に就いていたのに随分と酷い。 「ああーーーーーーーッ!!」 そこまですると、今まで呆けていたキュルケが叫んだが、こちらも何時もどおりで何も変わってないらしい。 「よぉ、相変わらずだな。ちったぁ静かにしろよ」 「で、でも何で…!?」 「そりゃあこっちが聞きてーよ。言っとくが、ツケ利かねーからな」 「ぐが…何者だお前」 「質問に質問で返すんじゃあねぇ。今、質問してんのはオレだぜ。敵ならそのままくたばってろ。ボケが」 やっとこさ立ち上がったメンヌヴィルに向け吐き捨てるかのように返す。 味方だったらどうすんだと突っ込みが入りそうだが、例え味方であっても 『死んでないんだから文句無いはずだ。んなもん無いよな?ベネ(良し)、無いな』的な考え方である。 自己完結三段活用という非常に自己中心的な思考だが、それがギャング。 「あいつホント敵無しだね…」 少し離れた所でフーケが本気でそう思う。 こいつ、どこまでこの態度を保てるのか知りたくはあるが、知ればそれはそれで怖い。 何かもう、始祖にすらタメ口使って気に入らなければ、空気を吸うように自然体で『ブッ殺した』と過去形で言いそうだ。 そして、肝心のメンヌヴィルだが、何か知らないが嬉しそうだ。 「血と死の臭い。俺たちと同類か」 そう言うと、香りを吸い込むように鼻腔を広げたが、それを見てプロシュートの眉が若干歪む。 「惜しいな。隊長どのさえ居なければ、真っ先にお前を焼いてその焼ける香りを堪能してやるというのに」 その言葉を聴いてさすがのプロシュートも少し引いた。 ――こいつ変態か…!?そういう意味ではメローネと同類だが…… 無論、ビビったわけではない。しかし、事前に聞いていたとはいえ、いきなりそんな事をカミングアウトされればさすがに引く。 まして、人が焼ける臭いを好んで嗅ぎたいなど変態以外の何者でもない。誰だって変態の相手はしたくないのである。 なお、メローネと同タイプと評したが、あれだって任務以外でベイビィ・フェイスの息子を作ったりしない。 なにせ、上半身をピッチリとした袖の無い服で覆い、無駄に割れた腹筋とかが露になったその上にマントを羽織っている。 色々思い出したくない物を思い出させてくれやがったので少々気分が悪くなってきた。 したがって、現段階における目の前の眼帯男のプロシュートの評価は 『放火魔で臭いフェチの、隊長(多分コルベール)に異様なまでに拘ってるガチムチのキレてるド変態』 という極めて散々なものである。 「で、何だ。こいつ敵でいいのか?おい」 早いとこカタ付けちまおうと、意識が半分飛んでいるキュルケとコルベールに一応敵かどうか確認を取る。 もっとも、例え味方であっても排除したい気分にはなっていたのだが。 「え、ええ。そのはずだけど…」 「君、これは…」 「ああ、気にすんな。もう『終わる』からよ」 まだ何か言いたそうなコルベールの言葉を遮ったが メンヌヴィルまで距離およそ2メートル。辛うじてグレイトフル・デッドの手が届く距離だ。 問答無用の直触り。これで一気にケリを付ける。 スタンドが見えない以上、本体が動きを見せなければ対処のしようが無い。 まして、自分よりコルベールに目が行ってるので避る事などできはしない。 だが、掴もうとした時メンヌヴィルが一歩下がった。 …偶然か? そう思いもう一度仕掛けたが、やはり避けられた。 人間、不可視の物を回避する事は極めて難しい生物である。つまり『見えている』という事になる。 「てめー…見えてんのか?」 こっちでスタンド使いが出たというような情報は入っていないだけに自然発生したとは考えていないが ベイビィ・フェイスの息子、猫草、猿のような例がある。 ポルポのブラック・サバスあたりも一人歩きしているかもしれないという事も想定せねばならない。 『チャンスをやろう………向かうべき『2つの道』を………!!』 そんな事をのたまいながら矢を人の頭にブッ刺していくサバスが記憶の中から浮かんだが、そうなれば最悪だ。 グレイトフル・デッドの場合、どちらかを相手にするだけでも結構キツイのだが メイジ兼スタンド使いなぞが量産された日には、さすがに手に負えなくなる。 そもそも、スタンド使いがメイジと相対するにあたって、最大のアドバンテージが 一部の例外を除きスタンド・ヴィジョンが『見えない』という事である。 スタンド・ヴィジョン自体は近距離型であるが、あくまで老化込みなので接近戦はどちらかというと不得意な部類に属する。 相手に補足されない距離から老化を叩き込み、行動不能に陥った敵に接近してトドメを刺すというのが本来のやり方だ。 なにより致命的なのが、グレイトフル・デッドの機動力の無さにある。 脚が無いだけにスタンドそのものの移動は手で行うのだが、攻撃するとなると移動が不可能になる。 迎撃だけなら、ステッキィ・フィンガースクラスのラッシュをある程度捌けるが、中距離から攻撃されるどどうしようもない。 つまり、見えているのであれば、少なくとも広域老化抜きで勝てる相手ではないという事になる。 とんだ貧乏くじ引いちまったか?と思うがもう遅い。フーケはビビって出てこないし キュルケは精神的に、タバサは物理的に戦闘不能みたいなものだ。 残ってるのは…コルベールぐらいだが、フーケ追撃の時に手ぇ挙げなかった事を覚えているので、戦闘要員としては使えないと判断している。 仕方ねぇ、事後承諾だ事後承諾。使わなけりゃあこっちがヤバイ。使い魔が死んでも本体が生きてりゃ問題ねーだろ。 と学院を阿鼻叫喚の老化地獄に巻き込んでケリ付けようかと考えを改めたが、それをやる前にメンヌヴィルが口を挟んできた。 「ワルド子爵から聞いた事がある。妙な力に掴まれるなと。よく分からんが、空気の温度の変化で何をしようとするかぐらいは分かる」 それを聞いて若干拍子抜けした。感じているという事で見えているわけではないようだ。 「ああ、目が見えてないって事か。それだけってんなら安心だ。少なくともオレらの領分には踏み込んでないって事になる」 だからと言って不利な事には変わりないが、当面スタンド使い相手を想定しないで済みそうだ。 もっとも、直接見えないと言っても、感じ取られてしまうのであれば、そうそう接近戦に持ち込ませないだろうし メイジは元から中距離タイプだ。近距離パワー型であれば強引に突っ込んでもいいが、先のとおりそうではない。 正面から突っ込むのは下策というものだ。策を使う必要があるだろうが 普段から老化を使い盛大に正面から突っ込んでいるだけあって、やはりそう得意なものでもない。 そもそも、暗殺チームで策なぞ使ってるヤツが居たかどうかと聞かれれば、居ないと答えたくなる。 精々ホルマジオぐらいだが、あれにしても能力の応用というぐらいで、大概、各メンバー全員が能力を使って正面から突っ切るタイプだ。 さっきのでケリ付けたかっただけに、一度距離を取られるとやはり厳しい。 こいつ一人だけなら、火出した時に合わせて老化を使えばいいが、生憎まだ敵が他にもいる。 デルフリンガーが無い以上魔法の集中攻撃を受ければどうしようもないのだ。 ボスのような大物ならともかく、使い捨ての傭兵如きに相打ち狙いというのも釣り合わない。 策を弄する時間も無いだけに、どうすっかと、辺りを一瞥したが、コルベールが杖を出して割り込んできた。 「ミス・ツェルプストーとミス・タバサを連れて、下がってくれ」 「確かにまだ夜だがな。寝ボケてんのか?誰に物言ってるつもりだ」 邪魔だと言わんばかりに言い放ったが、本人からすれば実際邪魔なので仕方ない。 「これはわたしと彼の問題なんだ。頼むよ…」 かみ締めた唇の端から血が流れていたが、やはり纏う空気が違う。 そこに食堂から二人を狙うようにしてマジック・アローが数本放たれた。 それが勢い良く飛んで行ったが、二人の2メイル先で何かに弾かれたように消えたと同時に コルベールの杖の先から炎の蛇が飛び出し、そのメイジの杖を燃やし尽くす。 「これでも駄目かね?」 冷たい笑みを浮かべたコルベールがそう言ったが、その眼は腐るほど見てきたそれだ。 「…とんだ皮被ってやがったか?リゾットならとっくに見破ってたんだろーがな。つか撃たせる前に燃やせ。ダメージはねーが衝撃は来るんだからな」 纏めて食らえば、衝撃で骨が折れるだろうが、拳で弾く限りは魔法の矢の2~3本程度なら問題無いのだが、痛いものは痛い。 とにかく、こいつは自分たち暗殺チームと同じか、それに類するヤツだと認識した。 「オメーは立てんだろ?そいつ連れて行くぞ」 どういう理由で皮被ってたのかは知らないが、本性見せてやるというのであれば別段邪魔はしない。 こいつがやられても、終わった後の隙を突いて直をブチ込めば済む。 「待って!ミスタが…」 「本人がそう言ってるんだから助けなんていらねーだろ。第一オレが見たところいるようにも思えないがな。そんぐらい分かんだろーが」 キュルケがコルベールを見たが、プロシュートと同種のスゴ味を感じ頷く。 「それにしても…」 「何だ?」 「憎たらしくなるぐらい冷たいけど、周りの事を分かってるのは変わってないわね。ルイズに会ってもそうなのかしら」 「言ってろ。リゾットに比べりゃオレなんざ微温湯だ。オメーが暑苦しすぎんだよ。んな暇があんならさっさと立て」 さっき利用した木に背を預けると、観戦と洒落込む。 再び月が雲で隠れて闇の中になったが、職業柄夜目は利くので特に問題は無い。 しばらく見ていたが、戦況はメンヌヴィルが有利というところか。 互いに炎を飛ばしあっているが、コルベールの防戦一方だ。 「にしても、五月蝿いヤローだ」 馬鹿笑いしながらメンヌヴィルが魔法を飛ばしているのだが、非常に五月蝿い。 鉄砲玉にはなれても暗殺者にはなれない。そういうヤツだ。 そもそも、この任務自体が使い捨てなんじゃないかと思えてきた。 メイジと言っても金で雇われた傭兵だ。成功すれば良し、しなくても使い捨てる、そういう作戦だろうこれは。 経験上、流れのチンピラに仕事をさせるのは大抵が鉄砲玉なのでそう判断した。まぁ暗殺チームも組織から見れば似たような物だったのだろうが。 そうしていると、戦闘場所が広場の真ん中に移ったようで、よく聞こえないが何か話をしているのが分かる。 どうでもいいので特に聞こうとしなかったのだが、コルベールが膝を付いて頭を下げたのが見えた。 「てめーから仕掛けといて降参か?……いや、そうでもねーか」 何かある。 そう思うと同時に、コルベールが上空へ向けて杖を振ると小さな火球が飛び出る。 照明代わりかと思ったがそうでもないらしい。 その火球を見ていると、小さな爆発が起こり、それが広がっていくと巨大な火球が出現した。 これと似たような光景を一度見たことがある。 生で見たわけではないが、メローネがネットをしていた時に気化爆弾というのを一度だけ見たのだがそれとよく似ている。 気化燃料を空気中に撒き散らしながら周囲一帯を焼き尽くすというえげつない兵器だっただけに記憶にあった。 メンヌヴィルが倒れた後、静かになりコルベールの呟きだけがよく聞こえてきた。 「蛇になりきれなかったな。副長」 倒れたメンヌヴィルに向けて近付いたが、少々息苦しい。 さっきの炎のせいで酸素濃度が低下してるせいだろうが、息ができないというわけでもない。 隊長が倒されたのを見た他の傭兵が動揺しているがその程度の相手なら他に任せていいと思い、とりあえずはこちらの用を済ます事にした。 無事だった銃士やキュルケにタバサ。おまけに味方と思っていたはずのフーケが攻撃を仕掛けてきたのですぐにカタが付いたが 前に目をやると少し離れた所でアニエスがコルベールに掴みかかっている。 まだ『戦闘中』にも関わらず何やってんだと言いそうになったが、それより先に慣れた気配を感じた。 「てめーらボケっとしてんじゃあねーぞッ!!」 二人の後ろに、どこからか放たれた炎が迫る。 あんな気配を出したのだ。発せられた場所は分かっている。 だが、それでも二人にとってはスデに至近距離の上体勢も悪い。魔法で防御は不可能だ。 咄嗟にコルベールがアニエスを突き飛ばし、身代わりになろうとした。 「貴様…!」 「……すまなかった」 直撃する。そう思いキュルケが目を反らせたが、それより先に誰かが割り込んできた。 「…ッ!馬鹿が!あんなもんで人一人殺れると思うんじゃあねぇ!」 その叫びと共に炎の中に紫がかった半透明の左腕を突っ込む。 「~~~~~ッ!ってぇだろクソがッ!!」 火球が空中で燃え上がったが、元々の射程距離がそう長くないだけに本体の左腕に余波を受けた。 すぐさまグレイトフル・デッドの右腕で炎を消したが スタンドで本体をある程度防御したとはいえ、本来なら鉄をも溶かす温度だ。 当然ながら左腕に相応のダメージはある。魔法か何かで治さない限り当分使い物にならないだろう。 火が放たれた先を見たが、メンヌヴィルが立ち上がっている。 「『爆炎』を受けてまだ…」 「知らねーようだから教えといてやる…!   人間ってのは5分ぐらいなら息が止まっても蘇生できるんだとよ。てめーの温いやり方のせいで予想外のダメージ貰っちまった…ッ!」 それにしたって何らかの蘇生処置が必要だが、傭兵として鍛えていただけの事はあるという事か。 「大体、何だありゃあ?部屋ん中ならともかく、あんなもん外でやったら意味ねーだろうが」 いかに巨大な火球が酸素を燃やし尽くそうとも、消えれば周りから自然に集まってくる。 ついでに説明を加えるなら、威力こそ遥かに上だが、同じ原理の気化爆弾にしても周囲に居る人間を酸欠にするのではなく 一酸化炭素中毒と、爆風を受けた時に起こる急性無気肺との合併症による窒息である。 まして、火球が作られていたのは僅かな時間にすぎない。 致死量の一酸化炭素ぐらいなら作れるとは思うが、それを相手が吸い込むかどうかは別問題だ。 ミスタの頭に三発弾丸をブチ込んで、まだ生きていたというのを体験している身だけあって、あんな程度で死んだと思い込む方がどうかしている。 それでトドメ刺そうとメンヌヴィルの所に行こうとしたのだが、揉めている二人に気を取られたせいで後手に回ってしまった。 「ガハッ!…ハッ!…ははははは!さすがだ!さすがオレが惚れただけの事はあるな隊長殿!」 ok。それを聞いてプロシュートの中で『ガチホモ』という項目が新たに追加されメンヌヴィルの評価が落ちるとこまで落ちきった。 これ以上下がるなら、マンモーニぐらいだろうが、それは望めそうに無い。 「終わるまでそこで見てろ。テメーもだ。恩には恩を、仇には仇を。このダメージは倍にして返すッ!」 左腕を焼いたのはこれで二度目か。上着は脱いでいたから前とは違って無事だが、シャツが少し焼けた。これだって高かったから余計ムカついている。 「しかし、平民に助けられるとは運が良かったな。さぁ続きだ隊長!」 「悪いな。あのハゲは女とよろしくやるらしいから忙しいらしい。選手交代させてくれ」 コルベールとアニエスから離れたプロシュートがメンヌヴィルに近付いたが、メンヌヴィルは興味無さそうにしている 「邪魔だ。平民が、まして左腕を焼かれたお前に何ができる」 「ッ…!腕一本で勝った気になってんじゃあねーぞッ!」 まだコルベールの方を向いたメンヌヴィルの後ろから、かなりイラついた感じの声がかかる。 左腕が使い物にならなくなったとはいえ、その眼は依然として死んでなどいない。 「どいつもこいつもナメた真似してくれやがる……ギアッチョじゃあねーがいい加減イラついてきたぜ」 腕や脚の1~2本が千切れても食らいついたら離さないというのが暗殺チームだ。 この程度で参ってるようでは話にならないのだが、この目の前のクソッタレのデカ物は、それだけで相手にしようとしなくなっている。 まぁ、その、なんだ。 用は早々に戦力外扱いされた事にスッゲェムカついているわけである。 ペッシとかなら間違いなく額に浮かぶ青筋を見ているはずだ。 「今はお前ごとき平民に構っていられんのだ。隊長どのをじっくり炙ってやらねばならん」 目に見えはしないが、語気から判断したのかメンヌヴィルが後ろを向いたまま話してきたが、明らかにナメている。 暗殺チームは組織の脅威となる者は政治家だろうと、アメリカのギャングだろうと全て取りのぞいて来た。 そしてその任務達成率は100%である。暗殺という過酷な任務からして、その達成率は他に類を見ない物だろう。 パッショーネ内ですら、本来なら敬遠されている方々なのであるのだが、それをこうもナメてかかられているというのはワルド以来久しぶりだ。 こうも調子付かれると、やはり気に食わない。 「素人風情が……調子乗ってんじゃあねーぞ」 暗殺任務に必要なのは、冷静かつ素早く確実に対象を始末するかという事が必要だ。(ギアッチョは例外としても) フーケのように盗みなどならともかく、殺しの中で愉しむなぞド素人もいいとこである。 そんなド素人にナメられるなぞ『侮辱』とも取れる行為であり、普段冷静な判断が出来る方のプロシュートとはいえ、かなりムカついている。 まぁ、残った冷静な部分で、スタンドを知らんので仕方ねーわな。 とも思っているのだが。 しかし、こうメイジを相手にするとなると、こちらとしてもスタンド使いの相方が欲しい。 フーケでも特に問題は無いっちゃあ無いのだが、隠密性や即効性が高いだけにスタンド使いの方が適している。 猫草を思い出したが、0.1秒で却下した。 アレはフリーダムすぎて扱いきれる代物じゃあない。というか奇妙な植物が生えた鉢植え持って戦うのは無理がありすぎる。 あのエテ公を殺すんじゃあなかったなとも考えたが、スデに終わっているので考えても仕方ない。 無い物強請りをしてもしゃーないので、精々フーケをコキ使ってやるかと結論付けたのだが 知ったらフーケは間違いなく泣くはずだ。……いやもうスデに泣いているか。 「たかが腕一本で能書き垂れてんじゃあねぇ。どこ見てやがる」 「調子付くな。体温が上がっている上に息も荒い。隊長の焼ける香りをたっぷり味わってからゴミのように殺してやる」 メンヌヴィルがそう言った瞬間、プロシュートからため息が出る。 「…ったく。少しはマシなのが出てきたと思ったが…お前もそうか」 思わず右手を額に当て、落ちてきた髪を戻す。 『殺してやる』。これを聞いた瞬間、イラつきが全てフッ飛びどうでもよくなった。 「『殺してやる』なんて言葉は…終わってから言うもんだ。オレ達『裏の世界』では特にな」 思わず説教(あくまでギャング的な意味の)染みた言葉が出たが、無理も無い。 向こうでは『最も』使う必要の無かった言葉を言ってきたので、一種の条件反射というやつか。 ――ああ、クソッ!こいつブン殴って説教してェーーーー。 そう思ったか定かでは無いが、とりあえず終わったらフーケにギャング的心得を叩き込む事に決めた。 多分、抵抗されるだろうが知った事か。 犯罪者としての自覚があるなら、覚えておいて損はない。 なお、暗殺チームにおいてこの講習を受けたのはやはりペッシだけである。 対象は、問題児(児って歳でも無いが)三人組のメローネ、ギアッチョ、ペッシなのだが ギアッチョはスーツ装備して聞いてねーし、メローネは早々に逃げ出したので、三人分纏めてペッシが受ける形をなっている。 この場合、ものスゴク八つ当たりに近い物があるのだが関係ない。 序盤で三人娘もろとも始末するつもりだった己の過去を存分に呪うがいい。 ギャングスターというものは恩も忘れないが、仇も決して忘れないという難儀なナマモノなのである。 「急に何やっとるんだね」 「ちょっと敬虔なアルビオン人の血が騒いで…」 そして、フーケが何かこう5ページにも及ぶ『無駄』とか『マァヌケめぇ』とか 『老化しよ、ねッ!背中見せよ、ねッ!ねッ!』とか『オーノーだズラ』とかいう無数の幻聴が色々聞こえてきて なにやら何とも言えない微妙な気分になり泣きそうになりながら信じた事の無い神様に祈っていた。 ディ・モールト疲れてるんです、ねッ!この人(23歳)。 「仕方ない。五月蝿い蠅から焼くことにしよう」 やれやれと言わんばかりにメンヌヴィルが首を振ったが、ようやっと杖がプロシュートに向けられる。 それと同時に横に避け回避。今まで居た地面に炎の弾が飛び爆発した。 「ほう、よく避けたな。だが、続けてどうだ?」 「馬鹿の一つ覚えが…」 続けて回避行動。さっきの戦闘を見る限り、ホーミングもするようだが、それをしないあたりやはりナメている。 爆発で地面に穴を開ける事数度。至近で受けた爆風で体勢を崩したのかプロシュートが膝を付いた。 「どうした、もう終わりか?やはり、平民は平民か」 「強いな…確かに強い。一つ聞くが、お前とあのハゲとはどういう関係だよ」 「この際だ、説明してやろう。あの男は魔法研究所実験小隊の元隊長で、オレから両目の光を奪った男だ。オレは隊長殿にぞっこん惚れた。   あいつみたいになりたいってな。そう思ったら背中目掛け杖を振った。その結果がこの両目だ。さぁお喋りの時間は終わりだ。燃やしてやる」 メンヌヴィルの杖の先に炎が巻き起こったが、対するプロシュートの発する声は極めて落ち着いている。 「ああ、そうだな。オレをナメきってくれたおかげで助かったよ。こうして話していた間にも時間が稼げた」 「時間だと?隊長殿の怪我を治す時間稼ぎか?なら礼を言おう。また隊長殿と戦えるのだからな」 「目が見えないってのは大変だな。人の温度の見分けは付くらしいが、他はどうだ?植物とかよ」   植物ってのは何年経とうが温度が一定だからな。オレの能力も利き辛いんだが…直は別なんだぜ?グレイトフル・デッドの直触りはよォ~~」 「植物だと?極上の香りというものは生物を燃やしてこそだ。植物など燃やして何になる」 どうやら、直という意味を理解していないらしい。どうやら、あのヒゲはこいつには老化の事は伝えていないようだ。 まぁ、知っていようがいまいが、手遅れだ。もうスデに『終わって』いる。 「温度には敏感でも音はどうだ?気付いたか?あの音に。ま…もう遅いんだがよ」 「何?何だ、この音は?」 「その位置だ。お前のその位置が、ディ・モールト良い」 今までこそ小さかったが、今ではハッキリと聞こえる。何かがひび割れたりするような音だ。 メンヌヴィルが魔法で地面に空いた穴。プロシュートが片膝を付きながらそこに手を突っ込んでいる。 「遊んで適当に狙いを付けてくれたお陰だ。手間が省けただけ礼を言うぜ。こんだけデカイと適当に穴開けるだけでもすぐ見つかるもんだ。根ってのはな」 穴から引き抜くように手を出すと、木の根がその手に掴まれていた。しかも、スデに枯れ始めている。 スタンドを展開しているだけあって爆風でのダメージなぞ無いに等しいのだが、良い感じにナメていただけあって勘違いしてくれた。 「今日二度目の頭上注意だ。本日の天候は晴れ。……所により倒木にご注意下さいってか」 言い終えると同時に老木がメンヌヴィルの後ろから倒れ込んできた。さっきの木が老化でボロボロに崩れ幹が折れたのだ。 根を介しての直触り。いかに寿命が人のそれより長いとはいえ、直ならば容易く枯らす事ができる。 「うぉぉぉぉおおお!馬鹿なァァァアア!こ、この木は!この木はこんな…!」 「オレに対しての情報不足だな。文句あるならワルドかフーケに言えよ。おっと、ただし地獄でだ」 倒木にメンヌヴィルが巻き込まれたが、杖の先に出ていた炎が燃え移った。 メンヌヴィル自身の魔法の火力が高いだけに倒木が一瞬にして燃え上がり、身体を包む込んでいく。 「自分の火で焼かれちゃあ世話ねぇぜ。クソみてーな臭いだが、オレからの礼の代金だ。そんなに好きなら死ぬまでじっくり味わえ」 「………貴……ァ……」 炎の中でメンヌヴィルが何か言っているようだが、大して聞こえはしないし、何より興味が無い。 何時の間にか晴れた月と燃え上がった倒木を見て一息付く。改めて自分の能力の使い辛さを認識した。 だからといってこればかりは、本人の精神の表れなのでどうしようもないのだが。 「にしても…焚き火ってのはもう少し情緒があるもんだが…こりゃあいいとこゴミの焼却ってとこか。後始末が大変だ…」 なにしろ、デカイ。デカイだけに火の勢いも結構なものだ。まぁ火の始末は他のヤツに任せるとしたが、キュルケの怒鳴り声が届いた。 ----

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