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DIOが使い魔!?-12」を以下のとおり復元します。
--夢、夢を見ていた。私は相変わらず『ゼロ』で、他人にバカにされてばかりだったが、夢の中の私は、虚勢こそ張るものの、現実の私と違って、いつだって明るくて前向きだった。 
現実の私はいつだって暗い意趣返ししか考えていなかった。 
夢の中の私は『サモン・サーヴァント』で平民を召喚していた。 
自分と同年代の男の子に、恥ずかしがりながらキスをする私。 
冷やかされる私。 
腹いせに男の子に八つ当たりする私。 
キュルケに言い寄られた男の子に意地を張る私。男の子と一緒に冒険をする私。 
男の子に抱きかかえられる私。 
………幸せそうな私。 
私私私私私----!!!全ては起こり得なかった泡沫に過ぎない。 
ルイズはその有り得なかった可能性に背を向けて、今間近に迫る現実に足を踏み出した。 

「…………ぅ、あ…」 

酷く体がだるい。 
再び意識を手放しそうになるが、必死に抵抗する。 
まだ生きているらしかった。 
ボーっとする視界を動かしてみる。 
どうやらここはシルフィードの背中の上で、自分はキュルケに抱きかかえられているらしかった。 
(キュルケ……無事だったんだ…) 

自分のように触手の餌食になっていないキュルケに、ルイズはほっとした。

2人とも、視線を下に向けて固まっている。 
一体何を見ているのだろうと思い、ルイズは2人が見ている方向に頭を向けた。 
見れば、自分の使い魔が……さっきまでバラバラメチャメチャグッチャグッチャだったはずのルイズの使い魔が……、それこそジグソーパズルを組み立てたみたいに『完成』しているのが見えた。 
この世の存在とは思えないほどの美の具現。 
あれが私の---そう思ったルイズだったが先ほど自分がその使い魔に殺されかけたことを思い出し、歯噛みした。 
使い魔を御せられない主人など、主人であるはずはなかった。 
自分が『ゼロ』だからなのか、それともあの使い魔が強力過ぎるからなのか微妙なラインだったが、どちらにせよルイズはまだ諦めるつもりはなかった。 
--最後の最後、とっておきの秘策を、ルイズはまだ試していなかった。あの禁じ手を…。 
しかし、それに失敗しようが、このまま逃げようが、結果は変わりはしないとルイズは感じていた。 
--どうせなら万策尽くしたかった。 
せっかくこの日のために勉強を重ねてきたのだから。 
ルイズは1人、シルフィードから飛び降り--転げ落ちたといった方が正しかったが---た。

ルイズは抜けるような青空を、自分の使い魔めがけて落ちていった。 
指一本動かさなくたって、かってに頭から落ちていってくれるのが、ルイズには有り難かった。 
こんなこと前例はない。空前絶後の大召喚劇に、ルイズの心は激しく震えた。 
落下しつつ、呪文をとなえる。 

「我が名は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール…!」 

男がグゥゥゥウウンと立ち上がった。 

「五つの力を司るペンタゴン…!」 

男の頭が宙を仰いだ。 
落下していくルイズは、男と目があった。 
血に染まったように真っ赤な目だった。 

「彼の者に祝福を与え…ッッッ…!」 

ギラリ、と男の目が光ったと思ったら、肩にポッカリ穴が空いた。 
それ以前に大量の血液を失っていたので、血はあまり出なかったが、直後に想像を絶する痛みがルイズを襲った。 
痛みを気にする暇もなく、ルイズは男めがけてレビテーションを唱えた。空間が集束して、爆裂する。 
だが、それはダメージを狙ったものではなく、男の視界を惑わすためだった。 
煙の中をくぐりながら、ルイズは最後の一節を紡ぐ。 

「我の、使い魔と為せ!!!!」 

ルイズは再び男の唇に、己がそれを重ねた。 

男は思わぬ目くらましに、顔をしかめていたが、目前に迫るルイズに気づき、身をかわそうとした。 
しかし。 
(---もう遅い、脱出不可能よ!!) 
ルイズは心のなかであざけった。 
いつぞやのおかえしとばかりに、今度は唇を自分から無理やり重ねる。 

"ズキュゥウウウン!!" 

また変な音が頭に響いた。 
シュゴォォオオ!と、男の片手の甲がまばゆい輝きを放った。 
使い魔のルーンが、そこにハッキリと刻まれていた。 
ルイズは自分の切り札がうまくいったことを知り、ニヤリと笑った。 

"ズドグァオオン!" 

次の瞬間、ルイズは男を下敷きにする形で地面に到達した。
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