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ゼロと奇妙な隠者-46 - (2008/04/26 (土) 10:31:42) のソース

 巨大な翼で空を我が物と舞う風竜とグリフォン。
 風竜シルフィードの背に乗るルイズは、グリフォンを駆るワルドと再度の対峙を果たす。
 最初に視認した時は豆粒程度にしか見えなかった幻獣は、見る見るうちにその姿が見えてくる。
 すぐさまグリフォンの背に乗る男の顔が見えた時、ルイズは辛そうに男の名を呼んだ。
「……ワルド……」
 ルイズは既に理解している。
 彼女の憧れの人はもう自分の前には帰ってこないのだと。
 あれは優しい子爵と姿形が同じなだけの、薄汚れた裏切り者。勇気溢れる皇太子を暗殺しようとし、大切な使い魔のジョセフを傷付けたおぞましい存在。
 それだけではない。ジョセフの視界を通して見たものは、彼が既に健全な人間でないことすらありありと示していた。どこの人間が、腕を吹き飛ばされて数秒も経たないうちに腕を生やすことができるのか。
 あの悪名高いエルフだとて、その様に怪奇な生態を持つとは聞いた事が無い。
 倒さなければならない。
 名誉あるグリフォン隊の隊長でありながら、始祖ブリミルの末裔である三王家の一つ、アルビオン王家を恐れ多くも薄汚い刃で打ち倒したレコン・キスタの走狗に成り下がった彼を。トリステイン王家に仕えるヴァリエール公爵家の三女として、討伐しなければならない。
 判っている。判っている。
 だが、心が縮こまっている。
 今、この空の中でワルドと戦えるのは自分一人。
 フーケと戦った時はタバサも、キュルケも……ジョセフも、いた。
 だが、今は自分一人だけ。
 タバサはシルフィードの操縦に神経を注がなければならないし、キュルケもギーシュもここに来るまでのフライで精神力を使い果たしてシルフィードの背に倒れている。意識があるだけでも大したものだと言うしかない。
 ゼロと呼ばれるおちこぼれメイジが、果たしてスクウェアメイジであるワルドと戦って勝てるのか? いや、そもそも戦いと呼べる行いになるのだろうか?
(それに……今のワルドを倒すと言う事は……)
 深手を負わせて戦闘不能に持ち込む、などという結末は考えられない。多少のダメージなら瞬時に再生させるワルドを倒すということは、つまり。
 ワルドを殺害するということ。
「……やら、なくちゃ……」
 知らず、言い聞かせるような呻きがルイズの唇から漏れた。
「……やら、なくっちゃ……!」
 ルイズはまだ16歳の少女でしかない。
「やらなくちゃ、いけない、のよ……!」
 手に持った杖を、固く、固く、握り締めて。
「私がやらなきゃ……誰が、するのよ……!」
 左目を占める視界。ジョセフは、空中で姿勢を立て直し、落ちていく岬に着地したようだ。落ちる地面を走るジョセフの視界は、まだ何かを試みようとしている。
 使い魔が諦めてもいないのに、主人がこんな体たらくでどうするというのか。
 なおも絡み付こうとする弱気の靄を振り払うように、叫んだ。
「私は、貴族! 名誉あるヴァリエール公爵家三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール!! 私は……目を背けない!!」
 全ての靄を振り払えた訳ではない。
 かつての憧れの人を殺さなければならないほどの覚悟を、一介の少女に持てと言うのは困難だ。しかもルイズは泥の中に浸かった人生など送っていない。
 温室育ちで世間知らずの少女でしかないのだ。
 そんな彼女が戦いを放棄せず立ち向かおうとするだけでも、多量の覚悟は必要だった。
 しかし、それでも、どちらかの殺害でしか終わらない戦いに身を投じ、相手を殺して生存するだけの覚悟には、まだ届かない現状。
 これが地球ならば、馬に跨る騎士同士が互いに馬上槍を構えているだろう。
 ハルケギニアの上空では、グリフォンに跨った魔法衛士と、風竜の背に乗った華奢な少女が、互いに杖を向け合い――
「ライトニング・クラウド!!」
「ファイアーボール!!」
 二人の詠唱が同時に完成し、空気を震わせて放たれた稲妻はルイズの失敗魔法が起こした爆発で吹き飛ばされた。その間に二騎の幻獣は猛スピードで擦れ違い、再び接近する為に大きな旋回に入る。
「……おお! 今のはいい防御手段だねミス・ヴァリエール!」
 シルフィードの背に倒れたままのギーシュが、破壊力の高いライトニング・クラウドを巧妙に防いだのに賞賛の声を上げた。
「あ、ああああああ当たり前じゃない! ままままま正に計算通りだったわね!」
「……思った通りまぐれ当たりだったわね」
 判りやすいルイズの反応に、ギーシュと同じく背の上で倒れたままのキュルケが呟いた。
 ルイズ本人はワルド目掛けて魔法を放ったつもりだったが、左目は今もジョセフの視界が占有している為、右目だけで狙いを付けなければならない。
 人間は二つの目で見ることによって遠近を測っているので、片目だけとなると途端に距離感が掴めなくなってしまう。特にもう片方の目に全く別の光景が映し出されているとなれば、狙いも何もあったものではない。
 ワルドを狙ったはずの爆発は照準より遥かに前で爆発し、そこに運良く稲妻が直撃したのが今起こった出来事だった。
「けれど今のは効果的。敵も初撃で勝負を決められなかった以上、次からはライトニング・クラウドを撃ち辛い。詠唱も長い上に精神力の消費も激しい」
 手綱を握るタバサが、風のメイジからの見解を述べる。
「敵に強力な魔法を詠唱させる時間を与えなければいい。ある程度の攻撃なら、私とシルフィードが避けてみせる」
 視線をワルドに向けたまま、振り返らずに淡々と言葉を紡ぐ。
 自分よりも小柄な少女の背が、ルイズには何故かとても大きなものに見える。何故そう見えるのか、ルイズにはすぐ思い至った。
(……そうよね、召喚した使い魔は風竜だもの。それだけ実力の高いメイジだってことだわ……)
 だがルイズはそこで落ち込むようなことは無い。
 自分が召喚した使い魔は、ジョセフ・ジョースターなのだから。
「お願いするわ」
 一つ、唾を飲み込むと杖を構え直す。再び接近していくワルドに対して爆発魔法を放っていくが、高速で飛行するグリフォンに狙いの定まらない爆発を命中させるのは至難の業だった。
 詠唱時間がほとんど必要ないルイズの爆発魔法を武器として、シルフィードの素早い旋回と高速移動を駆使してヒット&アウェイを繰り返す――のがルイズ達の基本戦術だったが、片目しか使えない為に照準が殆ど合わないのが致命的だった。
 数打てば当たる、とばかりに魔法を連発しても、ワルドの付近に爆発を集中させるのも一苦労と言う始末。
 それだけでなくワルドからの攻撃をかわすためにシルフィードは高速機動を繰り返している為、体中の血と内臓が上下左右へと振り回されるのも命中を阻む要因だった。
 時折グリフォンやワルドに爆発が掠りはするものの、ワルド自身は多少身体が爆ぜた所で何事もないように再生する。グリフォンも元とは言え魔法衛士隊グリフォン隊隊長の乗騎だけあり、多少の負傷では怯みもしない。
 数十秒も経たぬ内に渇き始めた喉に唾を飲み込ませ、恐れにも似た焦りをルイズは感じた。
(まずい……このままじゃ、そのうち……押し負けるかもしれない……)
 決定力不足はどちらもあるにせよ、操縦者の強靭さの利は圧倒的にワルドに分がある。
 こちらは下手に魔法の直撃を受ければ命の危険があるが、ワルドは完全な直撃を受けない限りは倒せないのは数度の交差で証明されている。
 せめて両目が使えれば狙いも定めやすいが、今も左目はジョセフに占有されていた。
(ああ! もう! ジョセフ、アンタ邪魔よ! ちょっと引っ込んでなさいよ!)
 不満を声にしないのは、せめてもの情けだった。
 しかし次の瞬間、左目に映った光景に僅かに言葉を失った。
「……どうしたのよ?」
 呪文の詠唱が止まったルイズに、訝しげな声を掛けるキュルケ。
 だがルイズはキュルケの疑問に答える事無く、タバサに声を投げた。
「――ミス・タバサ。ワルドのスピードを……少しでも殺せるようにして」
「了解。全員、落ちないように気をつけて」
 何故、とは聞かずにすぐさま呪文を唱えてシルフィードの背の上に半円状の風のバリアを張り、シルフィードをグリフォン目掛けて接近させる。
「え!? ちょ!?」
 タバサに頼んだルイズ本人ですら、突然のスピードアップに驚きの声を上げた。
「少しの怪我を躊躇っては勝てる相手ではない……『突っ切る』しかない。貴方達も腹をくくって」
 突如突撃してくるシルフィードに、好機と見たワルドは風の刃を連射する。
 当たれば掠り傷では到底済まない刃の嵐の中を凄まじい加速で敵騎に突撃させられ、きゅい!? きゅいーーー!! とシルフィードが懸命に抗議らしい鳴き声を上げるが、タバサは一向に気に介さない。
 数秒も要さず互いの表情の変化が見える距離まで近付いたその時、無理矢理にシルフィードを下降させる。
 体長6メイルもある巨体が高速で移動することにより、シルフィードの付近に存在した大気は塊となり、シルフィードの周囲に纏わり付く。しかしシルフィード本体が突然進行方向を変えてしまえば、大気の塊は慣性の法則に従わざるを得ない。
 ワルドが駆るグリフォンも、風竜が突撃する速度で巻き起こされた大気の塊の直撃を受けては機動を狂わせざるを得なかった。
 グリフォンに命中した大気は爆発するような勢いで拡散して不可視の渦と変貌し、巨大な身体を持つグリフォンを揺さ振っていく。
 渦に巻き込まれ大きく体勢を崩したにも拘わらず、それでもグリフォンは再び翼を大きく広げで揺らいだ態勢を立て直す。
 こんな状況ですら、ワルドはグリフォンから落ちてはいなかった。
 片手で手綱をしかと握り締め、両足は鐙から外れてもいない。
 それはワルドの騎乗技術の高さを如実に示すものだった。
「この程度で何がどうなるという訳でも――」
 ワルドの言葉はそこで途切れた。
 何故なら、彼の両目には見えてはいけないものが見えていたからだ。
「馬鹿なっ! そんなっ……そんなことが……っ、あって、たまるか!!」
 思わず漏れたのは、シェフィールドより二度目の生を与えられてからは口にしなかった、明らかな焦りの叫び。
「貴様は……貴様は! 一体何者なのだ!? 貴様は一体何なのだ、ガンダールヴ!!」
 青い空と白い雲を突き上げて伸びてくる紫の奔流――ハーミットパープル。
 まるで滝が天に遡るようなハーミットパープルは誰の目にも違う事無く、ワルドを目標として迸っていた。
 シルフィードに乗ったルイズの存在を、一瞬だけとは言え完全に思考から消し去ったワルドは必死にグリフォンを上昇させて茨を回避しようとするが、茨は凄まじい勢いを僅かにも減ずるどころか、むしろ加速度的に勢いを増してワルドへの距離を縮めていく。
「ち……近付くなっ!!」
 風の刃が何振りも生み出されては茨を鋭く切り刻んでいくが、幾ら切り刻んでも茨を駆逐することなど出来はしなかった。
 それどころか、時間が経つごとに刃は茨を傷つける事が出来なくなっていく。
 最初は一振りで何本もの茨を切っていた刃が、一振りが三本、二本、と切る数を減じていき、やがて一本の茨を断つのに数本の刃を要するほどになっていた。
 ワルドの精神力が枯渇しているわけではない。
 ハーミットパープルが、さしたる時間も要さないうちに進化を遂げていたのだ。
 ワルドが高速で逃れようとすれば追う速度を増し、切り払われれば耐久力を上げる。
 ワルドは知る由もない。
 スタンドとは生命エネルギーが作り出す、パワーを持つヴィジョンということ。精神力次第で能力が高まるということ。ハーミットパープルの能力は遠隔視、念写、探索ということ。
 それらをワルドは知らない。知るはずもない。
 今、ジョセフが落ち行くニューカッスルの岬に両足でしかと立ち、右手を空に向けて振り上げている事など、判るはずもなかった。


 *


 ルーンが太陽の如く輝く左手にはデルフリンガーを固く握り締め、空高く掲げた右腕からは大木と見紛う大量の茨がワルドへ向かって奔っている。
 無論、何の代償も払わないままでは、例えガンダールヴの能力を駆使したとしてもハーミットパープルがこれだけの劇的な効果は発揮できない。
 ジョセフは自らの生命エネルギーと精神力を、絞り出せる限り搾り尽くしていた。
「逃げ足だけは……大したモンじゃあないかッ……この、若造が……ッ!」
 先程受けた挑発を不敵な笑みの形に歪めた口から吐き出す。
 ジョセフは自分のスタンドがどのような能力を持っているか、何が出来て何が出来ないのかをよく理解している。
 だから彼は、ニューカッスルに降り立つとすぐさま一縷の望みを賭けた博打として、その場所へ走った。
『昨夜切り落としたワルドの左腕があるはずのゴミ捨て場』へ。
 結果、ジョセフは賭けに勝った。
 屋根付きのゴミ捨て場は崩壊した城に巻き込まれず、捨てられていた左腕もゴミに混ざって残っていた。
 後はワルドの左腕を媒介とし、ハーミットパープルでワルドを『探索』させるだけ。
 左目に映るルイズの視界には、必死にハーミットパープルから逃れようとするワルドの姿がはっきりと見えている。
 僅かにでも油断すればハーミットパープルに巻き付かれる状態では、ルイズ達にも満足な攻撃を仕掛けることは出来ない。
 必然的に、少しずつ、しかし確実に包囲網は狭まっていく。
 ハーミットパープルがワルドの身体を掠める回数は間隔を縮め、ルイズの爆発もまた段々とワルドを捕らえる様になっていき――
 デルフリンガーが、いつもの飄々とした語り口ではなく、興奮を隠さない叫びにも似た声を上げ、鍔口をけたましく鳴らしていた。
「いいぜ相棒ッ! そうだ、俺は六千年前にもお前に握られていた! 今、俺が見ているのは間違いなくガンダールヴの姿だッ!
 神の左手ガンダールヴ、勇猛果敢な神の盾! 左に握った大剣と、右に掴んだ長槍で、導きし我を守りきる……そのままだ! 俺は、お前と一緒に戦ったッ!」
 デルフリンガーの言う通りだった。
 左手に剣を握り締め、右手からハーミットパープルを伸ばすその姿。
 遥か上空へと伸びる紫の茨は、巨大な槍を掲げる姿を想像させた。
「だがッ! そんな伝説の使う技に名前がないんじゃ締まらないッ! だから俺がお前の技に名前を付けてやるッ!」
 熱狂したような叫びに、今まで返事をしなかった……いや、することの出来なかったジョセフがやっと口を開いた。
「奇遇じゃなッ……わしもずっと考えてたッ……じゃが、叫ぶタイミングがなかったッ……」
 今、ワルドは巨大な掌にも似た茨の中に囲まれていた。
 遂に一本の茨が風の刃を耐え凌ぎ、ワルドの脚を捕らえた。
 逃げようとするグリフォンと絡め取ろうとする茨に引っ張られ、ワルドの身体が凄まじい勢いで折れ曲がる。

「んじゃあよ、一緒に叫んでみようぜ! ここがクライマックスなんだからなッ!」
「おうよッ……それじゃいっちょ叫んでみっかァ……!」
 それを切っ掛けとして、茨達が一斉にワルドに飛び掛る。
 デルフリンガーが叫ぶ。
「行くぜッ! これが伝説の使い魔、ガンダールヴの力ッ!」
 続いてジョセフが叫ぶ。
「コオオォォォオオオッッッ!! 響け波紋のビィィィィィトッッッッ!!!」
 もはやワルドは茨から逃れることは出来なかった。
 無数の茨がワルドの全身を縛り上げ、凄まじい力で締め上げ、動きを封じられ。
 茨を伝って昇る波紋が、ワルド目掛けて疾り――

 老人と剣の叫びが、重なった。


「ハーミット・ガンダールヴ・オーヴァドライブッッッ!!!」


 *


 ルイズは見た。
 キュルケも、ギーシュも、タバサも、シルフィードも。
 遥か地面へ向かって落ちたはずのジョセフにしか出せない紫の茨。
 それは少年少女達の目には、茨ではなく、大樹のようにすら見えた。
 時間にすれば僅かな間でしかなかった。
 シルフィードが特攻じみた接近を仕掛けてから、たった十数秒のこと。
 ワルドを捕らえた茨が、太陽の光にも似た光を放つ。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッッ!!?」
 死んだ肉体に満ちているのは水の精霊の力。
 波紋は自由自在にワルドの身体を満たす精霊の力を疾走し、増幅させ……暴走させた。
 瞬間的に膨張させられた精霊の力は、器であるワルドの肉体では耐え切れず、炸裂した。
「わ……私はッ! 不死身なのだッ! こんなッ……こんな、黴の生えた老いぼれなんぞにッ!」
 ワルドの首が、空に吹き飛ばされる。
 それでもなお、ワルドは叫ぶ。
「この私が! 死ぬだと!? 有り得ない、有り得ない有り得ない有り得ないッ……」
 うわ言の様に叫ぶワルドの声は、ルイズ達に届いていた。
 ルイズは、ただ。
 一つ、深く呼吸をして。
「……貴方を殺すのではないわ、ワルドさま」
 目の端から空に飛ばされる涙の粒を拭うこともなく。
「これは、貴方を救うことなのよ」
 杖を、『ワルドだった』者へと向けた。

 ――それに人間、終わりがあるから生きてけるんじゃ。終わりが無くなれば、狂うしかないんじゃよ。狂うしか、な。

 かつてジョセフが自分に向けていった言葉。それが不意に頭の中で再生され、ルイズは深く頷いた。
「ジョセフ……アンタの思いが今、言葉でなく心で理解できたわ……私は、貴族として、人間として……」
 たった一言、呪文を唱え。
 ワルドの首は大きな爆発に巻き込まれ、アルビオンの空へ霧散した。
 彼の意識が消し飛ぶ瞬間、黄金の輝きが確かに彼の視界を満たした。
 しかしその輝きを見たことは誰にも伝えられることはない。
 誰にも知られることは、なかった。


 [[To Be Contined →>ゼロと奇妙な隠者-47]]

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