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「黄金の使い魔-02」(2007/12/16 (日) 06:03:15) の最新版変更点
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「魔法…って!ジョ、ジョルノさん、いえジョルノ様って貴族の方だったんですか!?
そうとは知らず無礼な真似をして申し訳ございませんっ。」
「いや、貴族であるかないかと聞かれたら僕は貴族ではありません。
説明しにくいのですがこれは魔法ではなく……」
どう理解できるように説明すればいいか考えているとさらなる訪問者が。
「朝から騒がしいわよ、あなた達。」
部屋を覗き込んだトカゲの風貌をしたモンスターを従えるその女はキュルケという名。どうやら彼女にも僕のG・Eは見えていないようだ。
ではこの生物はどう説明できる?スタンドでは無いとすると…しかし大柄なトカゲと言い切るには尻尾の先に灯る炎が余計だ。
絵本や漫画で見るようなファンタジックなモンスターが目の前にいる。
G・Eで確認すると確かに生物としての器官や骨格を持っていることが分かる。
どうにもスタンド能力としては説明できない結果。
「へぇ、改めて見るけどなかなか整った顔をしてるわねぇ、貴方。」
なんだこの女。僕の嫌いなタイプだ。
「で・も。やっぱりアタシのフレイムの方がよっぽど使い魔として使えそうよね。
平民の使い魔なんかで役に立つことなんてあるのかしら?身の回りのお世話 意・外・に。
まぁルイズにはお似合いだけど。」
やはりこのトカゲは彼女達に“見えて”いる。
「何よ、ジョルノには物を生きも…もがもが」
ふぅ、あぶない。すんでのところで口を塞ぐことが出来た。
スタンド能力を不特定多数に知られるということは弱点を作ることに繋がる。
「ご主人様に向かって何をしてるのよ、この、馬鹿犬!」
「痛ッ!」
容赦なく向う脛を蹴り飛ばされる。酷い女だ。
「へぇ、ジョルノって言うんだ。またね、ジョルノ。」
「は、はぁ…」
キュルケという女はそのまま階段の方へと向かっていったようだ。
朝食、の時間か。そういえば昨日から何も食べていないな。
故郷ネアポリスに帰ってピッツァが食べたいな……シンプルなマルガリータを…
「あ、仕事に遅れちゃいますのでこれで失礼します、では。」
シエスタも続けて去っていった。
「ッ!何をしているんだ君はッ!?」
「何って着替えよ、着替え。あなたが着替えさせてくれないから仕方なく自分で着替えてるんでしょう。」
問題はそこじゃない、僕は一応男なんだ。その目の前でいきなり裸になる女性がいるかッ?
「別に使い魔に見られたって何も恥ずかしくは無いわ。」
ああもうッ!こいつと話していると神経が磨り減る。
バタンッと扉を閉めて廊下に出て待ってみたが、別に待つ必要も無いことに気づいたので勝手にあちこちを見て回ることにした。
G・Eを出現させたまま廊下で人とすれ違ってみるがやはり何の反応も無い。
拳を顔の前で寸止めさせても不自然な瞬きさえしない。
やはり…スタンド能力として片付けられないものなのだろうか。
ふと上着の中に何か物体の感触があることに気づく。
そうだ、携帯電話を持っていたんだった。
その方面に仕事を持つファミリー員から送られた、試作機ではあるがGPSによる位置情報確認も出来る代物だ。
最近公的利用に向けた衛星を使ったサービスの実用化が進められているという話。
そのテスターとして作られたこの携帯ならば、今いる場所がどこなのか容易に分かるはずだ。
「…おかしいな、地図のどこにも表示されないぞ…?」
ひょっとしたら電波が不安定なのかもしれない。
中庭に出てみれば少しはマシになるか?
ここに来て幾度と聞いた使い魔、魔法、貴族といったふざけた単語。
そのせいでスタンドとスタンド使いの概念を他所へ一時保管して置かざるを得なかった僕の頭。
多数生まれたあらゆる疑問は中庭に出て一瞬で吹き飛んだ。
ようやく上り始めた太陽と空に淡く残る月。
この目は異常を来たしていない筈だが月は確かに二つに見える。
携帯の画面にはやはり自分の現在地は表示されていない。
ともすれば。
僕は、紛れもなく異世界に迷い込んだ訳だ。
使い魔、魔法、貴族。
その言葉は新興宗教故に拾ってきた言葉ではない。
この“世界”に在るべくしてある言葉だったのだ。
「何を空なんて見上げているのよ。珍しいものでも無いでしょうに。」
いつのまにか傍にルイズが到着していた。
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「ふ~ん。月が一つで、貴族と平民という概念が無ければ魔法さえ存在しない世界、ね…
面白い作り話ね。小説にすればどこかの偏屈な人間なら買っていってくれるんじゃない?」
まぁ想像通りの返答か。いや仕方ないさ、逆に彼女が一人で僕の世界に迷い込んでしまったとしたら、
誰も彼女の言う話など本気にする訳が無い。
「大体ね。あなた、あんな凄い魔法が使えるじゃない。何故隠そうとするのか理解できないけど。
でもあなたの世界には魔法なんて存在しないなんて言っておきながらいきなり矛盾してるじゃない。」
ここでルイズにスタンドの詳細を教えた方がいいのだろうか。
いや、ここが異世界であるとしても敵がいないという訳ではない。
スタンド使いだけが脅威ではない。使い魔と呼ばれるモンスター達を見れば分かる。
そしてスタンド能力を魔法と呼ばれた、ということはスタンド能力に近い何か、がこの世界にはある。
そう考えればここは黙っていた方がいいだろう。
「それにしてもさっきの魔法、一体どの系統に属するのかしら。
召喚……とはまた違った感じよね。物質自体が変化してたんだから。それにしても謎よね…」
「そんなことよりも。何故僕は床の上で食事しなければならないのです?」
「あなたは貴族じゃないから。
魔法が使える=貴族って訳じゃないし、それに自分でもそう言っていたでしょう?
平民が貴族と一緒に椅子に座って食事するなんてあり得ないことよ。
あなたは私の使い魔だから特別に床の上で食べさせてあげてるの。それが嫌なら──」
指差す方向は中庭。見れば使い魔達が揃って餌を食べている。
僕はアレと同類、ッて訳ね……
「はぁ…大体、使い魔の能力の凄さは主人の能力の凄さってことの証明になるのに……
なんで隠したがるのかしら…ブツブツ……
むしろ無理やりにでもさっさと披露しちゃうのがいいわね…ブツブツ……」
となんだか厄介な事を言い出したが、ここは無視しておこう。
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