ゼロの奇妙な使い魔 まとめ内検索 / 「ゼロの来訪者-13」で検索した結果

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  • ゼロの来訪者-13
    学院長室の前。 育郎とルイズを後ろに控えさせ、ミス・ロングビルが扉をノックする。 「学院長、イクロー君を連れてきました。ミス・ヴァリエールも一緒です」 「うむ、入りたまえ」 その声に従っての扉を開けると、頭の剥げた教師の横に育郎の見知った顔があった。 「おじいさん!?」 「…あんた、学院長とも知り合いなの!?」 ルイズが驚いた顔で育郎を見る。 「学院長?じゃあ、おじいさんが?」 「うむ、ワシがトリスティン魔法学院学院長のオスマンじゃ!  …そういえば言っとらんかったのう」 ポリポリと頬をかくオスマン氏。 「ねえ…あんたミス・ロングビルや学院長となんで知り合いなのよ?」 ルイズが小声で、と言っても周りの人間にまる聞こえだったが、育郎に問う。 「えっと………」 別に『もっと恐ろしい者の片鱗を味わった』わけではないが、 育郎はありの...
  • ゼロの来訪者-14
    「良かったじゃねーか相棒。とりあえず出てかなくても良いみたいだぜ」 「いや、そういう訳にはいかないよ、デルフ」 育郎が首を振って手の中のデルフに答える。 「なんじゃい?遠慮なんぞせんでもええぞ」 「いえ、違うんです。さっきの決闘で…僕は意識が無いまま闘っていたんです」 その話に怪訝な顔をするオスマン氏。 「しかし君は『力』を制御できるようになったと、さっきの話で言ってなかったかの?」 「………自分でもそう思っていました」 「君は傷ついたミスタ・グラモンを癒したじゃないか?」 遠見の鏡で決闘を見ていたコルベールが、その場面を思い出して言った。 「その時は」 育郎が説明しようと口を開いた時。 「それはだな、おっさん。あん時は相棒だったけど、その前は今の相棒じゃなかったんよ  ん?なんだよおめーら、なに呆けた顔してんだ?」 意外ッ! ...
  • ゼロの来訪者-1
    「私の生み出した『バオー』よ、もう間に合わん…爆発はここまで来る…  フフフフ…わしとお前が死ねば…ドレスの研究も終わりだ…」 鍾乳石が突き刺さった老人が、血を吐きながら言葉を発する。 5                   4                   3 その後ろでカウントダウンの声が響いている。 「この神秘的な洞窟こそわしらの墓場に相応しかろう!」 2 さらばバオー! さらば少年よ! 1                       0(ゼロ)!! 辺りが光に包まれ、それと同時に洞窟が崩れていき、凄まじい勢いで水が打ち寄せてくるのを感じる。 意識が遠くなっていく、おそらくこのまま自分は死ぬのだろう。 スミレは無事逃げ出してくれたのだろうか? そう考えた次の瞬間、彼の意識は...
  • ゼロの来訪者-18
    「ああ…ッ!!」 少年、ド・ロレーヌは震えていた。 悪魔と噂される、ゼロのルイズの使い魔を退治しよう! 夕食時、誰とも無くそんな話をし始め、その意見に自分を含め7人の生徒が賛同した。 噂とはいえ、悪魔等と呼ばれる存在が、この学院に居る事が許せない者、ギーシュの仇を とらねば貴族の沽券に関わると憤る者、中にはキュルケがたぶらかされたと勘違いする、 彼女の数多い恋人の一人まで居た。 その結果、2年、3年の生徒で全員ライン以上、トライアングルも二人いるという、 彼らの頭の中では、これ以上ないという面子となった。 勝利を確信し、ゼロのルイズの使い魔をヴェストリ広場に呼び出したのだが… まず最年長で、リーダー格だったぺリッソンが、何も出来ずに変身した使い魔の一撃で 吹っ飛ばされた。次の瞬間、ぺリッソンの傍にいた2人の生徒の杖が断ち切られる。 「俺なら空から攻めるね!」そう自信満々に言って、友人に抱え...
  • ゼロの来訪者-16
    「ハァ………」 自分の部屋で、静かにため息をつくキュルケ。 彼女は今悩んでいた。 それというのも、 「平民ならまだしも、人間じゃないなんてねぇ…」 彼女の新しい恋の相手…の予定だった、ゼロのルイズの使い魔が、実は人間では なかったのである。 「それにしても…凄かったわね、あれ」 ドットとはいえ、ギーシュの作り出したゴーレムを、苦も無く一蹴する様を思い出す。 ゴーレムを溶かし、イカズチを発し、傷を治し、さらには姿まで変えるその力… 「先住魔法?でもディティクトマジックでの反応は無かったし…」 ルイズが彼を呼び出したとき、念のため魔力の反応を調べていたのだ。 彼女の家と、ルイズの家は犬猿の仲であり、彼女自身何かとルイズにちょっかいを 出している身としては、使い魔の質で負けるわけにはいかないのである。 「東方の亜人とか言ってたけど」 決...
  • ゼロの来訪者-9
    「ふんふんふーん♪」 食堂で食後の紅茶を楽しむ少女、ゼロのルイズはご機嫌だった。 今日のデザートは彼女の好きなクックベリーパイなのだ! なにやら食堂の一角が騒がしくなっている気もするが、彼女にとって今は誰にも 邪魔されたくない至高の時間なのである。 使い魔がそっちの方に行ったような気もしたが、当然無視した。 「まったく、あの馬鹿ったら…」 食堂で食後の紅茶を楽しむ少女、香水のモンモランシーは先日の事を思い出して 不機嫌になっていた。 「ギーシュ、ポケットから壜が落ちたぞ」 「おお!その香水はモンモランシーのものじゃないか!」 「つまりギーシュ、お前はモンモランシーと付き合っている。そうだな?」 「ち、違う!彼女の名誉の為に…ケ、ケティこれはその…  ヒィ!も、モンモランシー!?違う、違うんだ!」 「ヘイ!ケティ、マスク狩...
  • ゼロの来訪者-5
    トリスティン魔法学園のとある教室。 そこに2つの人影入ると、それまで雑談していた生徒達が一斉に好奇の視線を向ける。 朝食を終えたルイズと育郎である。 二人を確認するとくすくすと笑い出す生徒達を、無視して席に座ろうとするルイズに 一人の生徒が声をかける。 「あらルイズ、貴方本当に平民が使い魔なのね」 燃えるような赤い髪に豊満な肉体、褐色の肌を持つその生徒を、ルイズは苦々しく見た。 「キュルケ…なによ、何か用なの?」 「用事って程じゃないわよ、貴方の噂の使い魔を見たくてね。へ~」 そういって育郎をじろじろと見る。 「中々いい男じゃない…でも、やっぱり使い魔って言ったらこういうのじゃないと」 キュルケの横から、真っ赤な巨大トカゲがのっそりと身を乗り出してくる。 「これって、サラマンダーじゃない…」 「そうよー、火トカゲよー。見てこの尻尾!」 ...
  • ゼロの来訪者-10
    「何考えてんのよ、あいつは!」 ルイズが廊下を走っている。 「私が…ご主人様が心配してあげてるっていうのに…」 いくら腕力が強かろうと、ギーシュの操るゴーレムの前ではひとたまりも無いだろう。 「何のために剣を買ったと思ってるのよ!」 剣を使えば勝てないまでも、一矢報いることが出来るかもしれない。 そうしたらあの使い魔も、臆病者と呼ばれる心配もなくなり、素直に謝るだろう。 「ボロ剣!あんたの出番よ!!」 勢いよく自分の部屋の扉を開けて、デルフリンガーが置いてある場所に向かって叫ぶ。 「あ~ん?出番…いいよ、相棒には俺なんていらねーんだ。もう実家に帰る!」 しかしデルフリンガーはすっかり駄目になっていた。 「実家ってどこよ!?」 「武器屋。だいたい俺が必要な相手ってなんだ?ドラゴンの大群でも湧いたか?」 「なに大口叩いてんのよ!貴族よ、貴族!...
  • ゼロの来訪者-6
    結局爆発がルイズの魔法の失敗による物とわかり、マリコルヌが呼んで来た先生達は ルイズに罰として教室の片づけを命じた。 当然の如くルイズは、平民であり使い魔の育郎におしつけようとしたのだが、 「怪我は無いみたいだけど、念のため休んでいた方が良い」 と先に言われてしまい、やることもなく育郎を眺めているのであった。 変な奴… なんで文句一つ言わないのよ? 魔法を失敗して教室をこんな風にしたのは自分なのに… 押し付ける気だったのに、ついそんなことを考えてしまう。 「ねえ、あんた…何か言う事は無い?」 「?」 声をかけられた育郎が、手を止めてルイズの方を向く。 「ほら、あれよ…その…私の魔法…」 「ああ、誰だって失敗ぐらいあるさ」 一瞬わかってて言っているのかと、頭に血が上りかけるが、この従順な使い魔が そんな事を考えるわ...
  • ゼロの来訪者・外伝 デルフリンガーの憂鬱
    「…なあ、相棒」 「なんだいデルフ?」 早朝、ルイズの服&下着を洗濯する育郎に、傍に立てかけてあるデルフリンガーが 話しかけた。 「ちょっと俺を振ってみねえか?」 デルフリンガーはここ数日、不安で不安で仕方が無かった。 自分の今回の『使い手』は、彼を今まで手にしてきた人間達の誰よりも強力なのだ。 どれぐらい?と言うと 自分を使わなくてもいいんじゃない? そんな感じなのである。 そこで彼は考えた! ここで『使い手』、『ガンダールヴ』に選ばれた人間全員にプレゼントされる特典を 展開すっ飛ばして教えてしまおうと! 「かまわないけど…何故?」 「いや、ちょっと良い事思いだしてな。教えてやろーって思ったんよ」 そして育郎がデルフリンガーをつかんだ瞬間、彼の左手のルーンが輝きだした! 『ガンダールヴ』のルーンを持つ者が武器に触れた...
  • ゼロの来訪者-12
    「…………」 「…………」 学院長室にて、オスマン氏とコルベールが遠見の鏡を呆然としながら眺めている。 「…………」 「………み、ミスタ・ココペリ」 「…………」 「…ミスタ・コエムシ、聞いとるのかね?」 再度オスマン氏がコルベールに呼びかけるが、まったく反応が無い。 「……おい、毛根全滅男」 「誰の毛根が全滅しているんですか!まだサイドは生き残ってます!」 「もういっその事、そっちも剃った方がすっきりするような気もするが…」 「私は諦めません!諦めは何も生まないという事を、私は知っています!」 「まあ、それは良いとして。見たの?」 「ええ見ましたとも!彼は…彼はやはり『ガンダールヴ』なんでしょうか?」 「どうじゃろうな…」 オスマン氏が口髭をいじりながら答える。 「それにしては……『ガンダールヴ』は始祖ブリミルが、呪文詠唱中...
  • ゼロの来訪者-19
    「きゅい!そうなの、あの使い魔が死にそうなギーシュ様を治したのね!」 「そう…」 育郎とギーシュの決闘があったその日、魔法学園の上空でタバサが自分の使い魔の竜、 周りには風竜と説明してあるが、実は伝説とまで言われる、人の言葉や先住魔法まで操る風韻竜と呼ばれる種族のシルフィードに、決闘の顛末を聞いていた。 キュルケからほとんど同じ内容の話を聞いていたが、それでも彼女にとって、 最も重要な事が確認できたので無駄にはならなかった。 だがまだまだ確認すべきことはある。簡単に喜ぶわけにはいかない。 「先住魔法?」 「うーん、ちがうと思うの。精霊の力は感じられなかったの」 先住魔法とも違う力…彼女の瞳に小さな希望が宿る。それは彼女のもっとも大切な人間、先住魔法の薬で、心を狂わされてしまった母を治す可能性。 だが簡単に喜ぶわけにはいかない。相手が自分の頼みを簡単に了承するとは限らない...
  • ゼロの来訪者-11
    ウォオオオオオオオオオオオオーーーーーーーム!!!!! 『動物は危険を感じたり、怪我などをすると副腎髄質という内臓器からアドレナリン  という物質を分泌し、体を緊張させるッ!  このアドレナリンの量を脳に寄生する「バオー」が感知し…………………………  「寄生虫バオー」は宿主である橋沢育郎を、生命の危険から守るべく  無敵の肉体に変身させるのだッ!』               こ れ が ッ !               アームド・フェノメノン      『 バ オ ー 武 装 現 象 』 だ ッ !! 異形の咆哮が終わり、呆然としていた回りの生徒達が騒ぎ出す。 「あいつ、亜人だったのか!」 「傷がふさがってるぞ?」 「ひょっとして先住魔法か!?」 『視覚も、聴覚も、嗅覚も「バオー」には関係ない!  感覚はす...
  • ゼロの来訪者-17
    「ほら、朝だよ」 育郎がベッドの中で丸くなっているルイズを揺さぶる。 「うにゅ~もうちょっとー」 「もうそろそろ準備しないと遅れるよ」 「むー」 仕方なくベッドから離れるルイズ 「ほら、顔を洗って。着替えはいつも通りそこにあるから」 「ふぁ~い」 「着替えはおわったね、はい鞄」 「うん」 「それじゃあ行こうか…ど、どうかしたのかい!?」 見るとルイズが頭を抱えてうずくまっている。 ルイズは先日の一件で色々考えた結果、もう育郎を召使のように扱うのはやめようと 決心したのであった。それは単純に、育郎の境遇に同情したと言うだけではないのだが、 とにかく、今日からはそれまでのように、自分のことは自分でしようと、 そう考えていたのである。 ち、ちがう…こんなはずじゃなかったのに! 平民に何もかもやらせる事は、貴族を人間的...
  • ゼロの来訪者-15
    「ところで少年よ、君が来た魔kゲフンゲフン異世界の事なんじゃが……  実はワシに心当たりがある」 「「「「本当ですか!?」」」」 長い握手が終わり、オスマン氏が手の痺れを隠しながら、放った言葉で、その場にいる 全員がオスマン氏に詰め寄った。 育郎の場合 「まさかこんなに早く帰る手がかりが見つかるなんて!」 コルベールの場合 「魔法が無くとも使える技術がある世界…まさしく私の夢ッ!」 ミス・ロングビルこと土くれのフーケの場合 「感じる!お宝の気配をッ!」 ルイズの場合 「まさか…いや、でもひょっとして………このジジイついにボケちゃったの!?  だって異世界よ?うわーこの学院どうなっちゃうんだろ?」 「うむ、とりあえずついてきなさい」 そう言って部屋を出るオスマン氏についていくと、オスマン氏は一つ下の階の 鉄の巨大...
  • ゼロの来訪者-2
    橋沢育郎、17歳。 彼は半年前まで、ただの高校生だった。 だがあの日、家族旅行で交通事故にあったあの日から彼の人生は一変した。 秘密結社ドレス 彼の体に何らかの処置を施し、恐ろしい力を与えた存在。 生物兵器、サイボーグ、超能力者…それまで現実に存在しているとは思いもよらなかった存在が、 ドレスの命で彼に襲い掛かってきた。 たった数日の事である。 故に彼はある程度非常識な事に耐性があった、しかし 「つまり…ここは地球じゃなく、魔法使いが住んでいる国という事か…」 非常識にも程がある そう思わずにはいられない育郎であった。 「それ、本当なの?あんたが異世界から来たって」 目の前のピンク色の髪をした少女が胡散臭げに口を開く。 彼女の名前はルイズ、魔法を使える一族、すなわちこの世界の支配者階級である貴族であり、 育郎を『召...
  • ゼロの来訪者-3
    育郎が目を覚まし、窓の外を見てみると、どうやらまだ夜明けと言った様子である。 ベッドの方を見ると、ルイズがすやすやと寝息を立てている。 「こうしている、と普通の女の子なんだけどな…」 この少女が魔法使いで、しかも自分をこの世界に呼び出したとはとても思えない。 だが事実は事実。 「とりあえず洗濯でもしよう…」 昨日ルイズが脱いだ下着を、服でくるんで持ち、部屋の外に出る。 ちゅうちゅう(大佐、侵入に成功した) 「うむ、よくやった。そのままミッションを遂行するのじゃ」 職員用宿舎の、とある一室の前で、窓から部屋の中を伺う老人がいた。 その視線の先には、彼の秘書たるミス・ロングビルの部屋に潜り込んだ、 彼の使い魔のネズミがいる。 ちゅうちゅう(大佐、目の前に齧りかけのチーズがある。食べてもいいか?) 「ふむ、時間をかけたかけたくない、無視...
  • ゼロの来訪者-7
    その日の朝、 「う~ん、もうちょっと~」 「はやく起きないと遅刻するよ」 「何いってんのよ~今日は虚無の曜日だからやすみ~」 等と言う事があった2時間後、 「何で起こさないのよ!今日は買い物に行くつもりだったんだから!  これじゃ帰る頃には真っ暗になってるじゃない!」 育郎は馬に乗りながら、何時ものようにルイズの理不尽な怒りを受けていた。 「それで、買い物って?」 3時間程馬に乗った後、ついた街の門のそばにある駅に馬を預け、 映画のセットのような街並みを歩きながら、育郎が隣を歩くルイズに尋ねる。 「剣よ」 何故か80年代なビキニアーマーを纏ったルイズが、剣を抜く様が頭をよぎった。 何かが色々足りない気がした。何が足りないかはよくわからなかったが。 「…似合わないんじゃないかな、君には?」 「はぁ?なんで貴族の私が剣なんて持たな...
  • ゼロの来訪者-8
    「少年よ、ある種の事柄は死ぬことより恐ろしい…」 闇の底から声が響いていた。 「お前の『肉体』やわたしの『能力』がそれだ………」 闇の一点が蠢き、人の形が現れる。 巨大な男の影、恐るべき力を持った魔人。 「わたしも、おまえも同じだ………」 男の姿が闇に溶け、そして次の瞬間そこには蒼い異形が立っていた。        『 化 物 』 だ ! ! 「……………ッ!!」 育郎が尋常でない勢いで飛び起きる。 「夢か…」 荒い息を整え、右腕の袖を肘辺りまで捲り上げると、そこには爛れた肌が見えた。 青い、そこは人間の肌にはありえない色をしている。 「どうした相棒?」 すぐ傍に立てかけてあった剣、意思を持つ魔剣デルフリンガーが育郎に声をかける。 「デルフ…いや、何でもない」 「そうかい?のわりには...
  • ゼロの来訪者-4
    「ほら、朝だよ」 育郎がベッドの中で丸くなっているルイズを揺さぶる。 「うにゅ~もうちょっとー」 「もう登校してる人達もいるようだし、早く起きないと」 「むー」 仕方なくベッドから離れるルイズ 「そこに洗面器がおいてあるから、顔を洗って。制服はそこ」 「下着…そこのー、クローゼットのー、一番下の引き出しー」 「これだね、授業に必要な物は?」 「鞄に入ってる…」 「着替えはおわったね、はい鞄」 「うん」 「じゃあ、いってらっしゃい」 「いってきます…」 寝ぼけ眼をこすって部屋から出るルイズを見送ってすぐ、 「ってなんか違うでしょおおおおおおおおおおお!!!」 叫びながら部屋に戻るルイズを見て、育郎は (忘れ物でもしたのかな?) 等と呑気に考えた。 「貴方は使い魔なの!使用人じゃないの!そりゃ…似たような事させ...
  • ゼロの来訪者-39
    「あの、大丈夫ですか?」 「…ほっといてよ」 育郎に一通りの殴る蹴るの暴行、さらには首を絞めようとしたり、最後には月に 向かって叫んでみたり、一通りヒートアップしたエレオノールであったが、酒が 抜けてきたのか、今ではすっかり部屋の片隅でうずくまる負け犬となっていた。 あるいは酒が回りすぎているのかもしれない。 「そう言われても…」 まさかエレオノールを部屋に鎮座させたまま寝るわけにもいかないので、正直 気は進まないが、とにかくエレオノールを説得というか、とりあえず話を 聞いてみる事にする育郎であった。 「あの、こんな事を聞くのは失礼だとは思うんですが…何故そんな頼みを?」 問いかけには答えず、しばし恨みがましい目で育郎をじっと見るエレオノール。 いっその事廊下で寝ようかと考え始めた時、エレオノールがやっと口を開き、 ボソリと一言呟いた。 「…結婚したいのよ」 ...
  • ゼロの来訪者-27
    「ではモット伯、私はこれで」 「へ?」 笑顔でそう告げるミス・ロングビルに、思わずマヌケな顔で返事をしてしまう。 「もう夜も遅いですし、学院に帰らないと…」 「いやいやいやいや!夜道は物騒ですし、是非我が館にお泊りください!」 モット伯も必死である、なにせおっぱいメイドに手を出せないだけでなく、秘蔵のコレクション2冊+2千エキュー相当の貴金属を渡すハメになったのである。 これでミス・ロングビルのおっぱいを堪能できないとあれば、もう泣くしかない。 「あら、護衛の実力は十分に理解されたと思ったのですが?」 「う…は、はい…」 しかし現実は非常である。 モット伯は自分の部屋に行き、2時間ねむった…そして……… 目を覚ましてからしばらくして、寂しさを紛らわすためエアおっぱいを揉み… もう、いろんな意味で悲しくなったので……泣いた…… 後日この時の虚しさを、オー...
  • ゼロの来訪者-40
    燃え盛る廊下を走りながら、今自分が夢を見ている事を認める。 そもそもこの館、自分が生まれ育った館は4年前に燃え尽きているのだ。 さらに言うなら、ところどころに転がっている見知った人間達…物言わぬ 骸となって転がっている者達も、その時一緒に灰となっている。 だがそれでも、父と母の部屋に向かう足は止まることはない。 たとえ夢の中であろうとも、あの瞬間を回避できるなら、彼女にそれ以外の 行動をとることなどできようもない。 「父さん!母さん!!」 力任せにドアを開けた彼女の目に飛び込んできたのは、血まみれの… 「………ッ!!!」 飛び起き、ここが自分の学院内であてがわれた部屋である事に気づき ミスロングビルは安堵した。 「馬鹿だね…夢だってわかってたじゃないか…」 そう言って苦笑すると幾分か気持ちが落ち着いてきた。 乱れた寝間着を調え、机の下に仕掛けておいた罠を...
  • ゼロの来訪者-29
    「おや、君達どこかにでかけるのかい?」 広場にやってきたギーシュが、シルフィードに乗ろうとする育郎達を見つけた。 「この娘の家に遊びに行くのよ」 竜の背にのるキュルケが、タバサを指差して答える。 「それなら明日にすればいいいいじゃないか?虚無の曜日なんだし」 その言葉にニヤリと笑うキュルケ。 「それがね…タバサの家に泊まって、次の日はヴァリエールの家に行くのよ!」 「…確か君たちの実家は、宿敵同士じゃなかったっけ?」 「だから……… い い ん じ ゃ な い の !」 「なにがいいのよ…あんたどんな神経してるの?」 シルフィードの傍らに立つルイズが、信じられないと言う目をキュルケに向ける。 「あら、いくらラ・ヴァリエール家でも、客をいきなりとって食べるような真似は  しないでしょう?」 「当たり前じゃない。例え相手がツェルプストーでも…...
  • ゼロの来訪者-21
    「駄目かな?」 「そりゃ駄目って事は無いけど…」 昨夜タバサに母の治療を頼まれた育郎は、朝の食堂で、食事をとろうとするルイズに、タバサと供に、昨夜の事を話していた。 といっても、タバサが呼び出して襲い掛かった?辺りの話は伏せてだが。 「でも、あんたに治せるかどうかはわからないんでしょ?  えっと、タバサだっけ、貴方はそれでも良いの?腕の良いメイジに見せた方が」 「かまわない」 タバサが何時もと変わらない無表情で即答する。 「それなら良いんだけど………そっか…ひょっとして…」 しばらくブツブツとつぶやいたルイズが、一度育郎を見、そしてタバサの方に向き直る。 「ねえ…あなたの使い魔って風竜よね。家に帰る時は使い魔に乗ってくの?」 その質問に頷くタバサ。 「じゃあさ…帰りでいいから、私の家に寄ってくれない?」 「わかった」 「じゃあ家に連絡入れないといけないから、出か...
  • ゼロの来訪者-37
    「彼をお願い」 タバサの言葉に、シルフィードがその巨大な頭を縦に振る。 「でも大丈夫なの?あなたがいなくても」 ルイズの問いに、タバサが頷く。 「シルフィードなら大丈夫だよ」 育郎の言葉に、シルフィードは前足で自分の胸をたたいて、まかせなさいと 一声きゅいと鳴いた。 晩餐が終わり、いざ帰ろうという時になって、タバサがシルフィードの疲労を 理由に、ヴァリエールの所有する竜で帰りたいと申し出た。シルフィードなら、 一匹でも学院に帰ることが出来ると言うので、ついでに育郎を乗せて学院に戻る という事になったのだ。 「えーっと…お父様、お母様それでは学院に戻りますね」 キュルケたちに続いて、ヴァリエール家の竜にのったルイズが広場に集まった 家族達に声をかける。 「うむ。身体に気をつけてな」 重々しく頷く父。 「先生のいう事は...
  • ゼロの来訪者-24
    「おう、聞いたぜ兄ちゃん!貴族にケンカ売ろうなんて、大した度胸じゃねえか」  育郎をモット伯の所にまで案内するよう命じられた、如何にもベテランといった容貌の衛兵が、感心したように話しかけてくる。 「しかも女の為だって?あのおっさん、俺らも呆れるほどのドスケベだからな。  そりゃ兄ちゃん、押しかけてきて正解だぜ」 「んなに酷えのか、モット伯てぇのは?」 「あん?こりゃインテリジェンスソードか?変わったもん持ってるな兄ちゃん……」  育郎の背中のデルフをじろじろ見る。 「にしても……ほかに剣はなかったのか?ボロすぎるだろ、錆びも浮いちまってるし」 「……こう見えてもいい奴なんです」 「相棒、ボロって言われた事のフォローにはなってねえぞ」 「え?いや……」 「おもしれえ奴らだな……なあ、兄ちゃん」  それまでどこか楽しげだった衛兵の顔が、唐突に真剣なものに変わる。 「相...
  • ゼロの来訪者-31
    「こりゃひょっとして…」 「何かわかるのか、デルフ!?」 タバサの母の様子に、育郎の背のデルフが何かに気付いた。 「ああ、こりゃたぶん水魔法だな…なあ、母ちゃんがこうなったのはいつからだ?」 「…5年前」 デルフが母の症状について、何か知っている事に少し驚ろきつつもタバサが答える。 「じゃ間違いねぇ。そこまで効果が長く続くのは先住魔法、それもエルフどものだ」 やはり、とタバサが頷く。 今まで腕の立つ水魔法の使い手に見せたり、水の秘薬などを母に試してきて、 全て効果がなかったのだ。エルフの先住魔法である事は予想はしていたが、 それでも断定されるのはショックだった。 エルフの先住魔法…その力の前には、貴族の操る系統魔法など、子供の遊戯の ようなものだとさえ言われている。 「デルフ…どういう事なんだ?」 一人何も分からない育郎に、デルフが言...
  • ゼロの来訪者-23
    「と言うわけですが…よろしいでしょうか?ミス・ヴァリエール」 「……それは、かまいませんけど」  朝にもこんなやり取りしたなような……等と思いながら、ルイズはミス・ロングビルに返事をする。 「すいません、守衛の誰かに頼もうかとも思ったのですが、私事ですし……」 「い、いえ最近は土くれのふ、フランケン?そんな盗賊も出ると聞きますし」 「土くれのフーケです」  モット伯の屋敷に誘われたので、育郎を護衛に貸して欲しい。  ミス・ロングビルにそう頼まれたルイズは、特に断る理由も無かったので 了承したのだが……  なーんか気になるのよね……この人。  知らないうちにイクローと仲良くなってるし……  そりゃ、文字を教えてもらってるんだから、親密になっても不思議じゃないけど……  別にこいつがミス・ロングビルと仲良くしてたからって、私には関係無いけど。  関係ないんだけど...
  • ゼロの来訪者-35
    「…というのが、カトレアお嬢様のご病状です」 「はぁ」 育郎が初老を迎えたカトレアの主治医の説明に、生返事で答える。 そもそも育郎は医者でもなければメイジでもないのだ。その二つを要素をまざった 説明などされても、理解できるはずもない。 「どうかしましたか?」 「あ、いえ、凄い部屋だなと思って」 そう言ってごまかす。しかし、実際部屋の様子が気になっているのも確かだ。 治療はカトレアの部屋で行う事になったのだが、その部屋がまた凄いのだ。 ただ豪華だと言うのなら、育郎もそろそろなれてきたのだが、この部屋は それだけではなかった。 「ほら、この子が貴方が学院に行く少し前に、道で倒れてたあの子よ」 「お、大きくなったのね…倒れてた?」 カトレアが頭をなでる蛇の大きさに、少し驚いた様子を見せるルイズ。 周りを見れば、他にもさまざまな動物の姿があっ...
  • ゼロの来訪者-30
    「と言うわけで、フォン・ツェルプストーは家は、代々ヴァリエールの領地を  治める貴族にとって、不倶戴天の敵なのよ!」 「ほら見てイクロー!あれがラグドリアン湖よ」 「なつかしーな…俺も昔あそこに10年ばかし沈んでたんだよ。  あの時漁師の網にひっかからなかったら、あともう10年はそのままだったな」 「それは大変だったね…」 「いや、あれはあれで結構楽しかったぜ。人の世界にあきあきしてた頃だったし。  それにそん時のあそこのヌシがすげー奴でな、サンペーって釣りキチとの勝負は」 「ってちゃんと聞きなさいよ!?」 学院を出発した直後、ギーシュがルイズとキュルケの家が宿敵同士と言ってた事が 気になった育郎は、早速ルイズ達にその事を聞いてみたのだが……… 今の今まで延々と両家の因縁というか、愚痴と言うか、まあそんな事を延々と 聞かされる事になったのだ。...
  • ゼロの来訪者-26
    「なんという事だ…」 目の前が真っ暗になったモット伯がうめく。 「約束を…守ってくれますね?」 自分を打ち破った平民を忌々しげに見る。 一瞬衛兵達を呼び、目撃者共々消すと言う選択肢が頭に浮かぶが、すぐにメイジが一人もいない衛兵達では、逆に返り討ちにあうだけだと思い直した。 こうなったら、せめて潔い態度を見せ、少しでも貴族の矜持を見せようと観念する。 「わかった…約束どおり私のコレクションの一冊を君に」 「え?僕はシエスタさんを」 「も、モット伯!ちょっと、ちょっとこちらへ!」 二人の間に割り込んできたミス・ロングビルが、モット伯を部屋の隅に連れて行く。 「み、ミス・ロングビル?先程あの平民が、何か気になる事を」 「いいですかモット伯!このままではモット伯の立場が非常に悪くなります!  王宮勅使にまで抜擢される貴族が平民に敗れるなんて…と!」 「ま、まぁ確かに…」 ...
  • ゼロの来訪者-41
    「ほほう、東方産の品々をコレクションしとる貴族か。  君にそんな知り合いがおったとはのう」 「昔請け負った生徒が、そんな話をしていたのを思い出して。  彼の祖父がずいぶんと熱を上げていたとか。  なんでも本当に東方産なのか、よくわからない品も多いそうです」 コルベールの言葉にうなずくオスマン氏。 「そりゃ好都合じゃな。少年の求める掘り出し物がその中にあるかもしれん」 「では早速準備を…明後日にもイクロー君を連れて出発する事にします」 「あー、ちょっと待ちたまえ」 急いで学園長室を出て行こうとするコルベールを、オスマン氏が呼び止める。 「なんでしょう?」 育郎から聞かされた異世界の優れた技術の品を見てみたいのだろう、いますぐに でも出発したそうな様子の、コルベールに告げる。 「一緒にミス・ロングビルも連れて行ってもらえんかの」 「それはかまいませんが…何故ミス・ロ...
  • ゼロの来訪者-38
    「はい?」 エレオノールの言葉に世にもマヌケな声をあげてしまう育郎。 「だから、私の胸をもうちょっと大きくできないか聞いてるのよ!」 エレオノールは、いわば才色兼備を地で行く女性である。 魔法の腕は言うに及ばず、学問を良く修め、若くしてアカデミーの研究者として その非凡な才を発揮している。容姿に関しても、特殊な趣味の人間でもない限り、 彼女が美しくないと言う者はいないだろう。 無論、それは生まれついての才だけでなく、彼女自身の努力によるものも大きく、 それゆえに揺ぎ無い自信と誇りを培っていた。 だからこそ、とある事を成せぬ理由が     『 結 婚 で き な い 』 のが何故か、彼女にはわからなかった。 ただ単に性格が半端なくきついからだけなのだが、残念ながら彼女はその事に 気付いていない。 己を完璧とまでは言わずとも、そこらの淑女になど劣ら...
  • ゼロの来訪者-33
    「そういえば聞いてなかったけど…ルイズ、あなたは何しに実家に行くの?」 ワインを飲みながらキュルケがルイズに問いかける。 「それは…その…」 ハシバミ草のサラダを食べるタバサを見ながら、どこか後ろめたそうな声で答える。 「私のお姉さまが病気がちで…」 「ふ~ん…でイクローに治してもらおうってわけね」 朝食をとってすぐ、育郎達はルイズの実家に向かうべく出発し、昼過ぎには領地に つくことが出来た。ヴァリエールの領地は広いとはいえ、竜ならすぐの距離である。 しかし、そこで軽く食事をしたいというキュルケの提案があった。 「だってずっとシルフィードの背中でお腹が空いたじゃないの。  ヴァリエールの屋敷についても、すぐに食事というわけにはいかないでしょ?」 まったくその通りで、さらには自分もお腹がなり始めていたいたので、ルイズは 文句を言いながらも...
  • ゼロの来訪者-28
    唐突だがトリスティン魔法学院の風呂について説明しよう。 貴族が入る風呂は大理石でできた、ローマ風呂のような作りで、香水が混ぜられた 湯が張られた豪華なものある。もちろんライオンの口から湯が出ている。 「ギャーたべられるー!」 と、湯が止まっている時に、マリコルヌがふざけて頭を入れたところ、キレイに ハマって抜けなくなった事もある。 ちなみに湯が出てきて、窒息しそうになるまでマリコルヌは放置されていた。 さらに女子風呂は特別仕様で、対覗き用に各種魔法によって厳重に守られている。 その威力は凄まじく、年に4回はオールド・オスマンが磔になっている程だ。 対して学院内で働く平民用の共同風呂は、掘っ立て小屋のような作りのサウナ風呂だ。 汗を流し、体が温まったら、外にでて水を浴び、汗を流す簡素な物である。 さて、異世界から来た育郎は、いったいどうしているのか...
  • ゼロの来訪者-20
    「ルイズ、起きてる?」 「ん……ふにゃ……」 育郎はルイズが寝ている事を確認すると、音を立てないように気をつけながら部屋を出て、今日キュルケの友人のタバサに渡された手紙に書いてある通り、ヴェストリ広場に向かった。 「相棒!俺!俺忘れてる!」 その前にもう一度部屋に戻った。 「またなのか…」 「相棒も忙しいね」 先日、同じように呼び出され、何人かの生徒に戦いを挑まれた事を思い出す。 まさかあの小さな少女、タバサが自分と戦おうとするとは思えないが、誰かに頼まれて自分を呼び出したのかもしれない。どちらにしろ戦いを好まぬ育郎にとって、心の重くなる話である。 育郎が広場に着くと、そこに居たのはタバサ一人だった。 周りからも敵意のにおいはしない。 安堵するが、しかし疑問も湧き上がってくる、何故彼女は自分を呼び出したのだろう? バババババッ! そんなことを考えていると、タバサが奇怪な踊り?を始め...
  • ゼロの来訪者-42
    「ここが私の研究室だよ」 そう言ってミスタ・コルベールが粗末な掘っ立て小屋の扉を開ける。 「ここ…コルベール先生の小屋だったんですか」 「ん?」 「あ、いえ。変わったにおいがする小屋があるなと思っていたもので。  てっきり薬か何かの倉庫だと」 確かに小屋の中は、コルベールが実験に使用する、薬品やら、実験器具やら古びた書物、さらには蛇やトカゲが入れられた檻までも、所狭しと置かれなんともいえない異臭を漂わしている。 「いや、実験に騒音と異音はつきものでね。最初のうちは自分の居室で研究していたのだが、すぐに隣室の連中から苦情が出てしまってね。  それにしても…そんなに臭うかね?  外にはそれほど漏れないように、気をつけているつもりなのだが」 「いやその、においに敏感な体質なんです」 育郎の脳に寄生するバオーには、聴覚や視覚は存在しない。その代わりに発達...
  • ゼロの来訪者-32
    緊張した面持ちのペルスランが、目の前の扉をノックする。 「お嬢様、奥様のお食事をお持ちいたしました」 「入ってきて」 タバサの声に従い、部屋に入ったペルスランはタバサの母の姿に目を見開く。 その顔が喜びにほころびそうになった時、しかしその腕に彼女の狂気の証たる、 人形が抱かれている事に気付いた。 「……そうでしたか」 「すいません…」 「い、いえ、そんなお顔を上げてください」 謝る育郎に驚きながらも、すぐにペルスランは自分の頭を下げる。 「遠い場所からこられた方を、しかも奥様のお身体は良くなられたというのに、  お礼を申し上げる事も無く、失礼な態度をとってしまった私が悪いのです!」 「そんな、僕の力が足りないばかりに…」 「いえいえ、私がいたらぬばかりに…」 二人が五分ほどそのようなやり取りを繰り返すのを眺めた後、タバサは口を開いた。...
  • ゼロの来訪者-22
     モット伯の屋敷に向かう馬車の中、窓の外に目を向けるシエスタの顔は沈んでいた。  自分がどのような『仕事』を申しつけられるかはわかっている……  自分の胸を凝視するモット伯の顔を思い出し、嫌悪に震える身体を抱きしめる。  だが同時に、自分にはどうにも出来ないのだと、彼女は諦めていた。  自分は平民であり、貴族の要求を拒む事など出来はしない。  そう考えていると、先日の食堂での出来事を思い出した。あの時自分は貴族という絶対的な存在を前に震えていた。そして恐怖に震えながらも、どこかで諦めていた。  ただの平民である自分を、誰が助けてくれるというのか?  貴族にとって平民など家畜に等しい。  そして、貴族に歯向かってまで自分を助けるような平民などいはしない。  その事に腹が立つという事も無い。  それは当然の事であり、仕方が無い事なのだ。  だからあの時、自分を助けてくれた...
  • ゼロの来訪者-34
    旅籠から飛び立った2匹の竜、シルフィードとヴァリエール家所有の竜は、 一時間もしないうちに屋敷についた。もっとも屋敷と言うより、その威容は 城と呼ぶほうが相応しいものだったが。 「エレオノール姉さま、それにわたしの小さいルイズ、お帰りなさい!」 城の前庭に降り立ったルイズとエレオノールに、桃色がかったブロンドの、 ルイズと同じ髪の色をした女性が駆け寄る。 「カトレア」 「ちい姉さま!」 顔を輝かせ、ルイズがその女性の胸に飛び込む。 「あらルイズ、暫く見ない間に背が伸びた?」 「はい!ちいねえさま!」 「私には全然かわってないように見えるけど…」 そうは言うが、嬉しそうに抱きあう二人に、エレオノールの顔が弛む。 「ねえ…ひょっとしてあの人も、ルイズのお姉さんなのかしら」 エレオノールとルイズのやり取りの時以上に、唖然とした顔をするキュル...
  • ゼロの来訪者-25
    なんとか決闘のやり直しにこぎつけたモット伯だが、その心は重く沈んでいた。 まず勝っても負けても、あのおっぱいメイドを手放さなければならないのだ。 ミス・ロングビルが立会人としている以上、この男を殺しても、約束を無かった事に することは出来ない。 さらにはもし、この平民に負けでもしたら… その話が広がれば、貴族としての名誉が地に堕ちるどころの話ではないだろう。 にしてもこいつ…危ない秘薬でも使っているのか? 先程のこの平民の速さは尋常ではなかった。 さらにここは食堂だが、決闘を行うという事で、机や椅子を片付けるよう命じた おかげで、障害物になるような物はほとんどない。本来ならこちらが有利に なりそうな状況なのだが、下手に魔法を避けられでもしたら、次の瞬間自分の杖が、 先程と同じように弾き飛ばされかねない。 癪に障るが、本気にな...
  • ゼロの来訪者-36
    「…何も問題はありません。健康そのものです」 「本当か?本当なのか!?」 カトレアを診断した主治医に、ヴァリエール公が詰め寄る。 「はい…薬を使った形跡すら感じられません」 力なく首を振る主治医の姿に、がっくりと肩を落とす公爵。 「あらあら、心配しなくても私はほら、こんな事も出来るようになりましたわ!」           グオン    「「座ったままの姿勢でジャンプを!?」」 育郎の治療を受けてすぐに、カトレアはルイズが止めるのも聞かずに、 その健康体がどれ程のものかを試しだした。 「ブラボー!おお、ブラボー!」と叫びながら突如浮き上がったり、 「かけよトロンベ!」と叫びながら自分の愛馬で屋敷中を走り回ったり、 その他諸々、その様はミス・アンチェインとでも呼びたくなるほどだった。 「何故…こうなってしまったのだ?」 ...
  • ルイズがいっぱい!
    たいへんだ! 大統領が隣の世界からたくさんルイズを連れてきちゃったぞ! ヒロインがいなくちゃ話は続けられない! 彼女たちの話を聞いて元の世界へ帰してあげよう! (問題)次のルイズはどこの作品のルイズか答えなさい。 ルイズA「私の悩み? そうね、こうしていると時々、ひどく寂しくなるの。前はもう少し賑やかだったもの。      でもデルフもワルドもマチルダもいるから孤独とは思わないけれどね」 ルイズB「ねえ聞いて! 才人ともっと一緒にいたいのに、ううん、もっと身体も心も一緒になりたいのに、      ギーシュもエレオノールお姉さまも邪魔するの! 愛してる、私が欲しいって才人も言ってるのに!」 ルイズC「べ、別に大した事じゃないんだけど、最近、なんだかあいつタバサと仲良くしてるみたいなの。      惚れ薬のせいだけじゃなくて、それにタバサの方も少し変わっ...
  • 各部キャラ
    一部 ~ファントム ブラッド~ ジョナサン使い魔波紋疾走 ジョジョとサイトの奇妙な冒険 ジョージ逆に考える使い魔 石仮面仮面のルイズ ブラフォード使い魔は勇者 ディオ・ブランドーおれは使い魔になるぞジョジョー! 二部 ~戦闘潮流~ ジョセフジョセフ 忘れえぬ未来への遺産 カーズ究極の使い魔 ゼロの究極生命体 シュトロハイムハルケギニアのドイツ軍人 シーザー割れないシャボンとめげないメイジ 使い魔の魂~誇り高き一族~ ワムウ風の使い魔 風と虚無の使い魔 ストレイツォストレイツォ 三部 ~スターダスト クルセイダース~ DIODIOが使い魔!? 承太郎スターダストファミリアー スターダストは砕けない ゼロサーヴァント・クルセイダーズ ンドゥール見えない使い魔 ペット・ショップゼロの番鳥 花京院法皇は使い魔 ゼロのパーティ メロンの使い魔 ヴァニラ亜空の使い魔 ホル・ホース使い魔は皇帝 エン...
  • ゼロの番鳥
    ゼロの番鳥-1 ゼロの番鳥-2 ゼロの番鳥-3 ゼロの番鳥-4 ゼロの番鳥-5 ゼロの番鳥-6 ゼロの番鳥-7 ゼロの番鳥-8 ゼロの番鳥-9 ゼロの番鳥-10 ゼロの番鳥-11 ゼロの番鳥-12 ゼロの番鳥-13 ゼロの番鳥-14   ゼロの番鳥-15 ゼロの番鳥外伝 「ルイズ最強伝説」
  • ゼロの兄貴
    ゼロの兄貴-1 ゼロの兄貴-2 ゼロの兄貴-3 ゼロの兄貴-4 ゼロの兄貴-5 ゼロの兄貴-6 ゼロの兄貴-7 ゼロの兄貴-8 ゼロの兄貴-9 ゼロの兄貴-10 ゼロの兄貴-11 ゼロの兄貴-12 ゼロの兄貴-13 ゼロの兄貴-14 ゼロの兄貴-15 ゼロの兄貴-16 ゼロの兄貴-17 ゼロの兄貴-18 ゼロの兄貴-19 ゼロの兄貴-20 ゼロの兄貴-21 ゼロの兄貴-22 ゼロの兄貴-23 ゼロの兄貴-24 ゼロの兄貴-25 ゼロの兄貴-26 ゼロの兄貴-27 ゼロの兄貴-28 ゼロの兄貴-29 ゼロの兄貴-30 ゼロの兄貴-31 ゼロの兄貴-32 ゼロの兄貴-33 ゼロの兄貴-34 ゼロの兄貴-35 ゼロの兄貴-36 ゼロの兄貴-37 ゼロの兄貴-38 ゼロの兄貴-39 ...
  • 短編
    第一部ゼロの外道な初代様 逃亡した使い魔(スピードワゴン) 閃光の紳士 第二部ゼロのテキーラ酒売り シュトロハイムの野望・将星録 教師な使い魔 第三部アブドゥルさん放浪記 ゼロのタバサ(DIO) ゼロの剣 いただきマサクゥル 割れた世界 第四部ゼロの料理人 吉良 老兵は死なず(ジョセフ) シアー・ハート・アタック 望みの使い魔(トニオ) 少女よ、拳を振れ 紙・・・? うしろの使い魔 収穫する使い魔 茨の冠は誰が為に捧げられしや 茨の冠は誰が為に捧げられしや 『魅惑の妖精亭』編 猟犬は止まらない 第五部ペッシ ブラックサバス アバッキオVSギーシュ ギーシュの『お茶』な使い魔 鏡の中の使い魔 本当に良くやった使い魔(殉職警官) ゼロの鎮魂歌――黄金体験(GER) ゼロのチョコラータ 絶望の使い魔(チョコラータ) しぇっこさん 永遠の使い魔 死にゆく使い魔(カルネ) 王の中の王 -そいつの名は...
  • ゼロのスネイク
    ゼロのスネイク 改訂版-01 ゼロのスネイク 改訂版-02 ゼロのスネイク 改訂版-03 ゼロのスネイク 改訂版-04 ゼロのスネイク 改訂版-05 ゼロのスネイク 改訂版-06 ゼロのスネイク 改訂版-07 ゼロのスネイク 改訂版-08 ゼロのスネイク 改訂版-09 ゼロのスネイク 改訂版-10 ゼロのスネイク 改訂版-11 ゼロのスネイク 改訂版-12 ゼロのスネイク 改訂版-13 ゼロのスネイク 改訂版-14 ゼロのスネイク 改訂版-15 ゼロのスネイク 改訂版-16 ゼロのスネイク 改訂版-17 ゼロのスネイク 改訂版-18 ■ 旧版 ├ ...
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