ルシファー
ルシフェルがその総力を挙げて建造した、超弩級次元航行戦艦。
当時の
次元科学の技術の結集、圧縮した十一次元の空間が元に戻ろうとする際に発生するエネルギーと、
元々十一次元に含まれるエネルギーを同時に利用する次元圧縮炉を主機に据え、
圧縮した次元空間をそのままエネルギーバレットとして発射する『次元砲』を始め、数多くの
次元兵器を装備する。
当然の様に次元空間の航行能力を備え、更に次元空間を取り込む際に空間を歪めることで、
物理的な攻撃を遮り光学兵器等の射線を僅かにずらすこともできる障壁を展開できる。
Creqrat Viorlとの主戦場になると思われる十一次元で戦闘を行う限り悪魔的なまでの威力を誇る、
正に神へ背く者《ルシファー》の様な兵器であった。
しかし、この艦が威を振るう事は無かった。
『神』の襲撃と、誰にも知られない犠牲によって、艦は眠りについたからだ。
彼女が夢に漂う内に、世界は崩壊し、大きく姿を変えて再生し、
そして繁栄を迎えたが、それを彼女が知ることもなかった。
ある時……
賢者が現と幻を分け隔つ結界を張り、幻である彼女がその中へ現れるまでは。
彼女は眠りから醒め、旧りし時は急速に進みだす。
そして、反逆が始まった。
『思い出した。私は、全てを思い出した。
次元科学。精神トランス装置。奴ら。仲間達。教授……そして、月美。
あの時の
魔術は、成功していた。この艦は、存在し続けていた。
何故かは分からないけれど、私は生まれ変わった。そして思い出した。
この奇跡に縋らずして、何とするか。
やってやる。世界を狙いつづけている奴らを……いいえ、これは綺麗事ね。
皆を殺した奴らを、許してなるものか。
傲りに堕ちた愚かしき偽神よ。
お前が塵芥とも思わぬ矮小が如何程の力を持つか。
その妄たる信の拠る辺が如何程に弱く脆いものか。
その身を以て、知るがいいッ……』
―――とある『賢者』の手記
最終更新:2025年01月01日 13:59