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胎で眠る恐怖


胎で眠る恐怖《ハジマリデミルアクム》

古今の凡ゆる芸術家に求められ、そして手にした者全てに狂気を振り撒いてきた、『禁忌』の絵画。
何時、何者が描いたのかは一切不明だが、言及のある最も古い関連資料が
era2最初期のものであることから、少なくともその頃には存在していたと見られる。

これを見たものは、例外無く狂気に呑まれて死を遂げている為に、
両の手に収まる程しかないとされる小さなキャンバスに、一体何が描かれているかを知る者はいない。
唯、ある死者の遺した手記には、その片鱗を思わせる様な記述があった。
曰く、「それは『究極の罪』であり、『原初の記憶』の体現である」……と。



「おぉ、そうだ。私は胎児であったのだ。
 全てを包み込む安らぎで、全てを支配された安らぎで人へ至る夢を見る、胎児であったのだ。

 凡そ善などというものは、人の虚構に過ぎない。悪だ。醜く憎むべき概念と、
 我々がそう思い込むそのものが、或いはそれに対する恐れが!
 それこそが、人がハジマリとする唯一のものなのだ。これが、世界の理なのだ。

 その咎尽きる事無く、その罪果てる事無し。
 生は輝かしいものなどではない。それは、死という最後を迎えるまで、我らが受けなければならぬ罰なのだ。
 命が命としてある限り途絶え得ぬ、大いなる愚行に対する罰なのだ。
 それを知る……否、思い出すにこそ、真の美を現す術は唯一成るのだ!

 私は還らねばならない。あの胎に眠る恐怖を__人となってしまった私には眠る事の出来ない、
 あの胎の恐怖を、この魂に刻み込む為に。

 それが、芸術家として私が出来る最高の美の追究であり、人として私が出来る最後の生の贖罪だ」

―――源泉派水彩画家 ヴィンセント・ノイマンの手記より
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最終更新:2014年07月03日 06:14
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