《うろ彫りの聖堂、レス=ファラス/Leth=phaleus,Hollowbored Cathedral》
賢精イズの古屋の近くにある、ごく小さな遺跡。
エルフの
マナによる力によって彫られた構造物。
周りに浮かんでいる発光体は、マナによって励起されている飛甲虫の一種だと推測される。
元々は癒しの場所だったとも、メディテーションの場所だったとも伝えられているが、
その実、エルフたちでさえ、レス=ファラスが何を授ける場所なのか、判然としてはいない。
ただひとつ言えることは、この構造物は完全に『継ぎ目のない一本の木』から掘り出されていると言う事
――巨大な板根を持つ樹がそこに存在した事――だけだ。
まるでずっと遠くの未来へと引き継がれるものを守るようにその構造物は立っている。
名前は探検家
ゴッヘルザッホが付けたもの。
もともとエルフの文化圏には聖堂というものは存在しない。
「……私達でさえ、私達の祖先が作ったものを十全には理解できぬのですよ。残念ながら」
エルフの青年は私にそう説明する。
朝霧の中、私は頷く。私の背より少し高いくらいの『聖堂』は、極めて精巧に彫られているようだった。
森の湿っぽい空気をかき分けて、その聖堂の根本にたどり着く。
足元には一輪の花が何かの目印のように咲いていた。
私がその薄青の花を指さすと、エルフの青年はにっこりと微笑んで、口を開いた。
「珍しいですね。朝顔です」
最終更新:2015年06月04日 22:34