ムアンタレー/鵡庵多麗 Muang-Tha-lay
上天共和国南部ムラユ双島を領土とし、
久平に「大泰国」もしくは「サヤーム国」として加盟する小国。
その内の大きい方の島・大ムラユ島にある、小さな船の町。
島全体に張り巡らされた運河・水路に沿うように発展してきたこの町は
その中心を、上天を出生地とする「上商(Shang Shang)」という商人達が担ってきた。
彼らは、抑圧の帝国時代の反動を開放するかのように、共和国建設後、久平の各地へと渡り、精力的に商いを始めた。
その過程で、彼らの商店を核として発展してきた町の一つが、ムアンタレーであった。
嘗ては、現地のサヤーム人との軋轢もあった。しかし今となっては、それも過去のこと。
ムラユの、そして旧世界からの伝統を僅かながらに引き継ぐサヤームの文化と
上天の商売人特有の熱気が混じり合って出来た町は、今日も賑やかである。
手漕ぎの船が水路を行き交い、上天語とサヤーム語の入り混じった方言を交わしながら夜の町を提灯で照らす。
露天から漂う香ばしい匂いは、ムアンタレー名物のフィッシュサンドであろうか。
夕宵の朱い光が夜闇を招きながら静かに消えていった。
最終更新:2025年01月01日 13:35