果たせない願い


果たせない願い

「また生きて会おう」

「そろそろ子供の誕生日で……」

「この戦いが終わったら結婚するんだ」

嘗ての創作物において、発言者が非業の死を遂げる前振りとして多用されていた言葉を、皆口々に告げる。

偽りの神と呼ばれる未知の敵との戦争が始まり早四年。
既に国家という国家、軍隊という軍隊がその体を成さず、戦争初期に立ち上がった『人類同盟』の残滓の下に集った人々は
人類全体の『勝利』ではなく、目先の『生存』を守る為に抗っていた。

ある者は愛する者の為、ある者は生きる場所を守る為、死の約束された戦場へ行く前の最後の言葉を口にする。

星の生命が枯渇しつつあるこの世界で、もはや有効な対抗手段であった魔力と、それを操る魔術師のほとんどが失われた。
脆弱な身に、広く普及している同盟製の自動小銃を担ぎ、彼らは死地へと向かう。

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最終更新:2025年01月01日 13:12