勝負の時間までレベル上げでしようかと思っているとスネ夫が俺の名前を呼んだ
「なんだ?」
「君の策なら確かにあの二人の裏をかく事はできるよ。」
「ああ、だろうな」
「でも、それはジャイアンが君の言う通りに動いた場合だろ?」
確かに、あのジャイアンが素直に俺の言う通りに動くとは考えにくい……だが
「安心しろ、あいつの勝負への思い入れは本物だ、それに……」
「それに?」
「今、こうして勝つ為にあいつは走っている。」
スネ夫はふぅと息を吐いて
「OK、なら僕も協力させてもらうよ
あと、さっきから気になってたんだけど……」
「何がだ?」
スネ夫はドラえもんの方を見て。
「ドラえもんが放心状態なのとのび太がいないのは関係があるのかい?」
………とりあえず、いきさつでも話すか
「実はクロガネシティに入った時………」
大まかに事情を説明した
「へぇ、あののび太がねぇ……」
スネ夫は意外だと言わんばかりに驚いていた。
「それで、ドラえもんがこんな状態に…」
「……… 君も苦労してるんだね」
「………お前もな」
俺とスネ夫はガシッと握手した
「お~い、遊~」
ジャイアンが帰ってきた
「どうだった?」
ジャイアンはグッと親指を立てて
「バッチリ、イシツブテを捕まえてきたぜ!」
「よし、俺はレベル上げでもしてくる、スネ夫後は頼んだぞ」
「任せといてよ」 俺は町の外の草むらに足を運んだ
そして、時は満ちた
「よし、いくか」
ポケモンセンターで回復をして、万全の状態でさっきの場所に向かう。
「遅いぞ!遊!」
ジャイアンとスネ夫は既に到着していた(ドラえもんも)
あの二人はまだ来ていない。
「やあ、てっきり逃げ出してると思ってたよ。」
やって来たしずかと出来杉
「それはこっちの台詞だな」
俺も負けじと言い返す
「ねぇ、さっさとやりましょう、無駄な時間は使いたくないわ」
しずかがさらりと言う。
「そうだね、さっさとやろうか」
二人がボールを構える
「ああ、俺達が」
俺とジャイアンがボールを構える。
「勝つに決まってるからな」
俺はグレイシア、ジャイアンはリーフィア
しずかはベイリーフ、出来杉はサンダースだ
「へぇ、剛田君のリーフィアは20レベルか流石に一匹しか育ててなかった事もあるね」
出来杉が図鑑を見ながら言う。
(おい、わかってるな?)
俺はジャイアンを肘でこずく
(わかってる、挑発に乗るなだろ?)
よし、とりあえずはまだ冷静だ
(とりあえずサンダースを倒すぞ)
(わかった)
俺の策にはとりあえず出来杉が邪魔だ
「作戦会議は終わったかい?サンダース、グレイシアに電気ショック!」
サンダースの電撃がグレイシアを襲う。
いきなり来たか!
「グレイシア、かわせ!」
横跳びでグレイシアが電撃をかわす
「次はこっちね、ベイリーフ、はっぱカッター!」
跳んだ後を狙ってベイリーフのはっぱカッターがグレイシアに当たる
「グレイシア!」
どうやらダメージはそこまで重くない
「今度はこっちの番だな、こごえる風!」
「リーフィア!リーフブレードだぁ!!」
尻尾が草の剣に変わったリーフィアがサンダースにつっこむ
「それを受けるのはまずいね、しずかちゃん、よろしく」
「ベイリーフ、攻撃を受け止めて」
ベイリーフが横からサンダースのかわりにリーフブレードを受ける、タイプは同じだからダメージは少ない
「だけど、こごえる風は当たるぜ」
グレイシアのこごえる風がサンダースに当たる
「まあ、この程度は……あれ?」
サンダースの体力はごっそりと削られていた
「……ラッキーだね遊君」
「まあな」
ジャイアンが肘をつついてくる
(何があったんだよ?)
(急所に当たったんだよ)
それだけの事だ
まあ、それだけで十分だがな
「あーあ、サンダースの素早さが下がっちゃったよ。」
出来杉が余裕そうに言う
「いいハンデじゃない」
……そろそろ、動くか
「ジャイアン、そろそろ行くぞ」
「おう!」
「こごえる風!」
グレイシアが攻撃を仕掛ける対象は……ベイリーフだ
「何っ!?」
予想外の攻撃に反応できずにベイリーフにこごえる風は直撃した。
体力は完全に削り切れなかったが効果抜群なだけにかなりのダメージを与えれた。
「俺を忘れるんじゃねぇ!!リーフブレードだ!」
ジャイアンのリーフィアがサンダースに向かって駈ける
「避けろ!!」
珍しく声を荒げた出来杉の指示でサンダースはギリギリ避ける。
「……油断して勝てない相手だと認識したよ、リーフィアに電気ショック!」
「こっちもリーフィアにはっぱカッターよ」
「グレイシア!リーフィアを庇え!!」
グレイシアがリーフィアの変わりにはっぱカッターを受ける
グレイシアは倒れ、リーフィアの体力は少し削られた
「よく頑張ったな休憩だ、出てこい、マグマラシ!」
30分の間に進化させていたマグマラシを出す。
初めてのトレーナー戦だからか少し興奮気味だ
「マグマラシ、火の粉だ」
マグマラシの火の粉があっさりとサンダースを倒す
「リーフィアにはっぱカッターよ」
「うぉぉ!ベイリーフにリーフブレードだぁぁ!!」
はっぱカッターで切られながらリーフィアが突っ込む
ズバッとベイリーフを切るがお互いダメージは少ない
「僕が二匹目を使う事になるとはね……」
ボールからフシギソウを出す
タイプ的には圧倒的に俺達が有利だ
「フシギソウ、リーフィアにつるのムチ」
「リーフィアにはっぱカッター」
今度はジャイアンを集中攻撃か…
二連続の攻撃を受け、タイプ相性がよくてもダメージは結構でかい
「フシギソウに火の粉だ」
「ベイリーフにリーフブレード!」
ジャイアンがしつこくベイリーフに攻撃をしかける。
これは指示どおりだから問題はない
「……少し残ったか」
フシギソウは倒せなかった
「ベイリーフ!」
どうやらベイリーフは倒したようだ
「どうやら……君たちを甘く見すぎたようだね」
「なんだ、今更気がついたのか」
しずかがエーフィを出す。
「フシギソウ、リーフィアにつるのムチだ」
リーフィアに向かってつるが伸びる
「リーフィア!」
遂にリーフィアは倒れた
「とどめだ!火の粉!」
フシギソウはバタリと倒れた
これで相手はしずか一人
「念力よ!」
エーフィの念力はマグマラシに直撃し、マグマラシは倒れた
……ここで急所か
「これで勝負は決まったな」
出来杉が口を開く
「君達のポケモンは0、つまり君達の負けさ」
「何を言ってる?」
俺はマグマラシをボールに戻しながら出来杉に聞く。
「だって君達にポケモンは……」
「誰がジャイアンのポケモンは一匹って言った?」
出来杉はハッとした顔になる
「まさか、もう一匹…だが即席で用意した戦力じゃ、しずかちゃんのエーフィは倒せないよ」
「まったくね」
しずかも出来杉に賛同する。
確かに……《即席》で用意した戦力ならな
「でてこい!」
ジャイアンがボールを投げる
そこから出てきたのは
イシツブテではなく
スネ夫のブラッキーだった
「なっ… 何で君がそいつを!?」
「借りたんだよ、スネ夫から」
スネ夫は非常にムカつく顔をしながらイシツブテのボールを見せる。
そう、俺があの30分で二人に頼んだことはジャイアンには新しいポケモンの捕獲そして、そのポケモンとスネ夫のブラッキーとの交換
ここまでの展開は全て俺の計算通りだった
まさかここまでうまくいくとはな……
仮にしずかが先にエーフィを出してもすぐにブラッキーに変えて出来杉を潰せば勝てる。
この勝負で俺達が負ける要素は無かった。
二人の計算外は俺のマグマラシとスネ夫のブラッキー
あいつらは手の内をさらしすぎた
「さて、問題だ出来杉」
「…………」
出来杉は放心状態で答えない
「ブラッキーに有効な攻撃技が体当たりだけのエーフィはブラッキーに勝てるのか?」
「…………」
俺は指をパチンと弾く
「お前達の負けだ」
「噛み砕く!!」
ブラッキーがエーフィに向かって駆け出して、牙を向けた
「負けたよ、完敗だ」
出来杉が右手を差し出す
俺はその右手を握った
「いやに素直だな」
「負けは負けさ」
出来杉はふっと笑う
「剛田君も悪かったね、雑魚呼ばわりして」
ジャイアンにも右手を差し出す
「もう、気にしてねぇよ」
右手を握り、豪快に笑った
ジャイアン
原因はお前だろ
「あれ?しずかちゃんは?」
ジャイアンが当たりを見渡す、しずかの姿はない
「さっき悔しそうにポケモンセンターに走っていったよ」
出来杉がポケモンセンターを指差す。
「ジャイアン、そろそろ僕のブラッキー返してよ」
スネ夫がジャイアンにボールを見せる。
「おう、そうだったな」
ジャイアンはスネ夫にブラッキーを返した、ついでにジャイアンにはイシツブテが戻ってきた
「こいつどうするかなぁ…」
「育てたら?折角捕まえたんだし」
「それもそうだな」
こうして、天才二人との戦いは終わった
………ドラえもんは変わってなかった
のび太よ……お前は今どこにいるんだ?
遊は知らなかった、この戦いの間にのび太が
半分死にかけてる事を
最終更新:2010年04月11日 22:43