【クラス】
キャスター
【真名】
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン@史実、クトゥルフ神話
【属性】
秩序・中庸
【ステータス】
筋力:E 耐久:E 敏捷:E 魔力:A+++ 幸運:E 宝具:B+++
【クラス別スキル】
道具作成:D+++++
キャスター自身に、魔術的な道具の作成能力はない。
代わり、彼は楽譜の作曲に特化している。人心を震わせ、魂すら掌握する程の名曲を、彼はその手で作り上げる事が出来る。
陣地作成:B+
上述の道具作成スキル同様、本職の魔術師ではない為このスキルも通常持たない。
代わりに、キャスターは、タクトを構える、或いは、鍵盤に手を当てる事で、音が届くその範囲内を『ステージ』へと変えてしまう。
【固有スキル】
難聴:A
耳が聴こえない事を証明するスキル。ランクAは、一切の音を拾う事が出来ないレベル。
現在の説では、キャスターは辛うじて音を聞き取る事が出来たのではと言う可能性も示唆されているが、世界的に著名な音楽家であり、
かつ、難聴でありながら数多の名曲を輩出して来たと言う事実に一切の揺るぎがない。従って、後世の人間の、『本当に耳が聞こえないのにあんな名曲を作ったんだ』と言う幻想がモロに反映される形となってしまった。有体に言えば、生前よりも難聴の度合いが酷い。真実、全く音が聞こえない。
演奏続行:EX
難聴と言うハンディを背負ってなお、音楽家であろうとし、権威や名声の失墜や、愛する女との破局等を味わってすらも、折れず、名曲を作り続けた、その証明。
世界的にも有名な、交響曲第5番『運命』や、交響曲第9番は、キャスターが難聴を患ってから作成された曲であり、真実、障害を彼は克服してしまったのである。
高い精神的強度を保証するスキルであり、一度、これと言った曲を作り上げると決めたのなら、命を奪われない限りその曲を作ろうとし、指揮棒を握らせ指揮を執らせたのなら、内臓が体外に弾き出され、心臓を抉り出されても、タクトを振る手を止めはしない。
楽聖:EX
キャスターの、異名。語るまでもなくキャスターは著名な音楽家であり、事実、音楽史に於いて彼が刻んだ業績は計り知れぬ物であり、後世の音楽家にも絶大な影響を与えている。
キャスターの作曲した音楽、奏でる音楽は、震える人心を捕らえ、感動の境地に忽ち達させてしまう力が内在されている。
この力と言うのは、一切、魔力や特別な力が内在されていない、『音楽』と言うものそれ自体が含んでいる、人を感動させる強大なエネルギーそのものの事を指す。
哀しみの音楽を奏でれば相手は忽ちそう言った気分になり戦意を喪失し、激情の音楽を奏でれば意気軒高の状態になり勇猛果敢な戦士と化す。要約すれば、味方陣営を鼓舞する為のスキルである。
狂える音の神:EX
――キャスターが悪霊、タチの悪いパトロンと称する、彼に付きまとう謎の存在。即ち、『トルネンブラ』に纏わりつかれているかどうかを証明するスキル。
ランクEXはもうゾッコンもゾッコン。べた惚れマジ惚れガチ恋【推しの子】状態である。無論、トルネンブラがベートーヴェンに送る感情が、である。
音見の魔眼:A
上述のトルネンブラが、耳の聞こえないキャスターに送り給うたスキル。ランクは黄金。
キャスターは音が聞こえないが、発された音が『視認』出来る。どれだけ感情を押し殺し、欺いていようが、言葉を発してしまえば、最後。
キャスターはその視覚化された声から、嘘を吐いているのか、真実を話しているのかを明瞭に察知出来る。また、卓越した読唇術の技と、この魔眼の合わせ技で、耳が聞こえないにもかかわらず、健常者と同じような会話を交わす事が可能となっている。
【宝具】
『苦悩よ、歓喜と化せ(ベートーヴェン・ヴァイラース)』
ランク:B+++ 種別:固有結界 レンジ:音楽の届く範囲 最大補足:音の届く範囲にいる人間全て
物心ついた時より、音楽と共に在り、耳が聞こえなくなって尚、音楽に寄り添い続けたキャスターのその道程や生き様が、宝具となったもの。
指揮棒を構える、或いはピアノの鍵盤を投影する事が発動の条件であり、宝具の真名を解放すると同時に、宮廷音楽を披露するコンサート場が展開される。
このコンサート会場は、キャスターが指揮或いは演奏する演目、その音が届く範囲でしか展開出来ず、例えば、ピアノ単体しか使わない物を演奏するのであれば、
その固有結界範囲はこじんまりとしたものになり、逆に、極めて大規模な交響曲を演奏するのであれば、固有結界の規模は跳ね上がる。
宝具としての効果は、スキル・楽聖の最大開放。極めて強力な精神感応或いは鼓舞であり、固有結界内にいる、キャスターが味方と判定した物には特大級のバフを与え、
反対に敵対する者には特大級のデバフを付与させると言うもの。宝具の起点は、言うまでもなくキャスター自身であるのだが、この宝具を発動している間、
キャスターはスキル・演奏続行により、演目が終了し終えるまで一切演奏を止める事がなく、無我夢中で曲の終わりまで突き進み続ける。
演奏規模が大きいものであればある程、バフの効果量も凄まじいものとなって行き、最大級のバフが掛かるものは、交響曲第5番と第9番となる。勿論、そう言う曲になればなる程に、多大な魔力が入用になる。
『エリーゼのために(フュール・トルネンブラ)』
ランク:EX 種別:自律宝具 レンジ:- 最大補足:-
キャスターに取り憑いている、悪霊。自律行動をしている存在。これが、宝具として登録されているもの。
その正体は外なる神の一柱、トルネンブラである。姿としては、五線紙を大量に巻き付かせた、豊満な肉体の女性をとる。
神性ないし特別な魔眼の持ち主でもない限り、彼女は最低でも、キャスターレベルの音楽的才能を持った人物でなければ視認する事は勿論、気配を感じ取る事も出来ない。
キャスターの音楽が齎す精神操作や感応は、魔力などの力を介さないものであるが、トルネンブラが使う物は正真正銘本当の魔力現象。
極めて強力な精神操作を可能としており、強固な自我を持っていようが、判定次第で彼女の言いなりになるレベル。
また、彼女の囁きや奏でる音は、耳を塞いでいようが、心を閉ざそうが、耳が初めから聞こえなかろうが、脳の中枢、心の深奥を掌握する。
戦闘時に於いては、トルネンブラは音の速度で移動する事が出来、また、強烈な音波を発し相手を爆散させる事も出来る他、音とは空気の振動現象でもある為か、簡単なものであるが風の魔術の行使や現象すらも引き起こす事も可能となっている。
トルネンブラが持つ中で最大の大技は、心を掌握した人物の精神を、強制的に、『大いなる神・アザトースに接続させてしまう』事であり、これをやれば最後。
接続された者は発狂の後、消滅する。超大技だが、ダウンスケールされた現在では大幅に魔力を喰うものになっている他、キャスターを推す時間を増やしたいが為、滅多な事では使う事がない。
【weapon】
タクト
投影可能な物品その1。指揮棒
鍵盤
投影可能な物品その2。鍵盤のみを投影させる事が出来、これを弾く事で、ピアノの音色をどこでも奏でさせられる。
本人曰く、味気ないらしく、どうせやるなら本物のピアノの方が良い、との事。
【解説】
偉人としてのベートーヴェンの知名度は、今更語るまでもない程に有名なそれである。
古典主義とロマン主義のはざまに産まれ、その橋渡しをし、難聴でありながら様々な曲を手掛けた彼の業績は、まごう事なき偉人である。
――トルネンブラとは、強大な力を持つ存在である外なる神に分類される。姿形を持たずに生きる音そのものであり、恐怖に満ちた音楽として現れる。
天才的な才能を持つ音楽家に関心を持ち、音楽家の下に現れて歌いかけるとされている。トルネンブラにとり憑かれた音楽家は音楽の技量と知識を得るが、その代わりに正気を失っていく。
最終的にその魂は肉体を残したままトルネンブラによってアザトースの宮廷に連れ去られ、そこで永遠に音楽を奏で続ける事になる。
……ベートーヴェンも、トルネンブラに目を付けられた音楽家だった。
ベートーヴェンのエピソードの中に、明らかに、正気のものとは思えない狂行が混ざっているのは、このトルネンブラに纏わりつかれていたからであり、
何とか正気を保とうとしていてノイローゼになっていたからである。彼の難聴の原因こそが、このトルネンブラであり、正義と狂気のはざまに揺れ動き、
トルネンブラの声を聞きたくないと、自ら、タクトで鼓膜を穿ってしまい、そのやり方が悪かった為、ベートーヴェンは死の際まで難聴に悩まされる事になってしまった。
狂える醜い神の為に、音楽を捧げ続けたくないと、一度期は自殺を思い立とうとするも――敬愛する師であるハイドンや、サリエリ、尊敬する偉大な音楽家だった、
モーツァルトとの思い出が、過ちを踏み止まらせた。其処からベートーヴェンは、トルネンブラの誘惑に負けない、自分だけの音楽を作ろうと決意した。
当初は自ら破った鼓膜の影響で、思い通りの曲を作れずにいたが、そうした逆境を跳ね除け、様々な名曲を彼が手掛けた事は、歴史が証明する通り。
そうして――ベートーヴェンと言う人物が、自らの想像を超えた人物であり、最早自分の力の及ばぬ人物になった事を悟ったトルネンブラは、
彼から身を引こうとする。そのころにはベートーヴェンは、疑いようもない最高の音楽家としての名声と地位を得ていた。
だが――彼は、自らを堕落させようとした、トルネンブラをも救おうとした。
――お前も、曲がりなりにも音楽を司るのだろう――
――お前は酷い奴で、心底許す気にもなれないが、今の僕がいるのはお前のおかげでもある――
――僕はお前の名前すら知らないが、つい最近フラれてしまった女の名をくれてやる――
――この曲を、お前に捧げてやるよ。エリーゼ――
トルネンブラの去り際に、ベートーヴェンは、狂える音楽の集合体に、一つのピアノ曲を捧げた。それが、『エリーゼのために』であった。
その曲を聞いた瞬間、トルネンブラの理性は蒸発・崩壊。一気に彼に夢中になり、彼以外に一切の浮気をしないと決意。
また、アザトースにもくれてやらないし、そもそもアザトースの下に帰還する事すら、トルネンブラは拒否。
最後まで所帯を持てなかったベートーヴェンの事を思い、女性の姿を真似、トルネンブラは生涯彼に添い遂げた。かくて、彼は恐るべき音楽の神を人知れずに封印した、偉大なる人物ともなったのだった。
【特徴】
神経質で、不健康そうな出で立ちの男。くすんだ様な銀髪は伸び放題のボサボサで、櫛も通してない事は一目瞭然。
気難しそうな、険の強い顔立ちで、目の下には不健康の象徴のような隈が出来ていて、大変に人相が悪い。ついでに目つきも鋭い。
よれよれのカッターシャツを袖口まで巻き上げ、同じく、アイロンを掛けていないのが明白な黒ズボンを穿いている。
トルネンブラは上述のように、五線紙を身体に巻き付けた、豊満な女性の姿をしている。解りやすく言うなら、漫画・キガタガキタ!に出て来る恐怖新聞みたいなもの。
このベートーヴェンは、難聴を患い初めて数年、交響曲第5番を作成した、38歳ごろの姿で召喚されている。
自分の全盛期が、自業自得とは言え耳を悪くした時期である事には、正直言いたい事が山ほどあるらしい。でもやったのはお前だしね、殴りたくても殴れないよね。
【聖杯にかける願い】
マスター、
胡蝶しのぶの為に曲を作る
トルネンブラちゃん「アイツ 殺ス」
最終更新:2022年05月27日 00:04