ああ、屈辱だ。


僕の名は岸辺露伴。
「ピンクダークの少年」を代表作に持つ漫画家だ。
この度、何の偶然か異世界に呼び出され「聖杯戦争」なる命がけのゲームに参加を強制させられてしまった。
まあ、そこまではいい。
これまでも、理不尽に命がけの状況に追い込まれたことは何度もある。
それにこの聖杯戦争、ノリは僕の作風とはちょいとずれているが、興味深い取材対象であることは間違いない。
聖杯なんてうさんくさいものに願いを叶えてもらうつもりはないが、この体験は確実に僕の作品の役に立つだろう。

だというのに!

僕はここに来てから、漫画を描けていない。
厳密に言えば、「自分の漫画を描けていない」。
あろうことか、僕が召喚したサーヴァント……バーサーカーのアシスタントをさせられているのだ。
これが屈辱以外の何だろうか!
むろん、僕にこれまでアシスタントの経験なんてない。
僕は自分が最高の漫画家だと確信している。
先輩だからといって、自分より才能のないやつの使い走りにされるなんて考えるだけで虫唾が走る!

だが、それが通用するのは僕も他の漫画家も生きた人間だからだ。
僕が生きている限り、「死んで神格化された人間」にはかなわない!
非常に不本意だがね!
さすがの僕も、「彼」が残した偉大な伝説の数々は脳に深く刻まれている。
「漫画家」である以上、「彼」に逆らうことなど出来ない。
原稿を渡され「ベタをお願いします」と言われれば、体が勝手に従ってしまうのだ。
だがこのままおとなしく使われてやるほど、この岸辺露伴は諦めのいい性格じゃあない。
神の支配から逃れたいのならば、神を超える存在になればいい!
もちろん、そんなことが簡単にできるのなら苦労はない。
それでも、やるしかない。
神に頭を垂れ続けるなど、岸辺露伴の生き方じゃあないからな!
この岸辺露伴が倒すべきは、他の聖杯戦争の参加者じゃない。
自分のサーヴァントだ。

僕の視線の先で、彼は鬼気迫る表情で漫画を描いている。
僕の心の内など、まったく気づいていないだろう。
それ以前に、漫画のこと以外は頭にないに違いない。
その漫画への執着心、正直に言えば敬意を抱いている。
だがそれでも、負けるわけにはいかないんだ。

神よ、僕はあなたを超えてみせる。



【クラス】バーサーカー
【真名】手塚治虫
【出典】史実
【性別】男
【属性】混沌・善

【パラメーター】筋力:E 耐久:E 敏捷:E 魔力:C 幸運:C 宝具:B

【クラススキル】
狂化:E
理性と引き換えに驚異的な暴力を所持者に宿すスキル。
だが彼の場合、戦闘力を上昇させる効果は一切ない。
ただ、思考が暴走するのみである。

【保有スキル】
エンチャント:A
概念付与。他者や他者の持つ大切な物品に、強力な機能を付与する。

漫画の神様:EX
漫画という、一つの創作を極めた者。
創作に携わる者が彼を目にしたとき、経緯や畏怖を抱き、敵対する意思がそがれる。
特に同じ漫画家の場合、服従に近い状態となってしまう。

【宝具】
『心優しい科学の子(アトム)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1-50 最大捕捉:10人
彼が生み出したキャラクターの中でもっとも有名な少年ロボット、「アトム」を具現化する。
戦闘力を持たない彼にとって、このアトムがほぼ唯一の戦闘手段である。
アトムは本来魔術と相反する科学の化身であるが、人々からの絶大な信仰により高い戦闘力を得ている。

【weapon】
ペン

【人物背景】
「漫画」という文化の発展に、多大な功績を残した偉大なる漫画家。
苛烈なエピソードが数多く残っている頃から、今回の聖杯戦争ではバーサーカーとして召喚された。

【サーヴァントとしての願い】
漫画を描く。


【マスター】岸辺露伴
【出典】岸辺露伴は動かない(TVドラマ版)
【性別】男

【マスターとしての願い】
漫画の神を超える(聖杯の力ではなく、自分で叶える)

【weapon】
なし

【能力・技能】
『ヘブンズドアー』
天から授かった贈り物(ギフト)。
他者を本に変え、それまでの人生を読むことが出来る。
さらに余白に書き込みをすることで、自分の命令に従わせることも可能。
怪異に対して使用した場合、自力で解除されたりそもそも効かなかったりすることが多いため、サーヴァント相手に使えるかは疑わしい。

【人物背景】
若いながらも抜群の知名度を誇る、人気漫画家。
漫画のネタを求めて様々な事柄に首を突っ込み、そのたびに恐るべき怪異と遭遇してきた。
最終更新:2022年04月03日 16:35