リキエルは個人宅にラーメンを配達すると、スマホで次に届ける商品を確認する。彼に割り当てられたロールは、業務委託配達員。仕事をしなければ1円たりとも貰えないが、時間の自由はかなり効く。安定した生活は難しいが、聖杯戦争のマスターに集中できる為、今回に限ってはありがたい。

≪ロッズはいないみたいだな。俺のスタンドは、戦いの役には立たないらしい≫
≪……≫

記憶を取り戻してすぐ、リキエルは街に繰り出すと池袋駅に向かった。百貨店の前を行き交う人の波を横切り、手首を体で隠しながら自らのスタンドを展開する。
翼竜のような頭部と甲虫のような胴体のヴィジョンを持つ異能、その中でも体温を喰う未確認生物ロッズを操る"スカイ・ハイ"を出現させているが、呼びかけに応えるものはない。

≪なぁ、ライダー。お前は聖杯に何を願うんだ?それだけは聞かせてほしい≫

自宅に歩いて戻る道すがら、リキエルは尋ねる。

≪…私は、他人に運命を委ねたくないだけです≫
≪運命…≫

ライダーは生前、一軍を率いる将であった。サーサーン朝ペルシア、ヴァンダル王国、東ゴート王国との、多くの戦に勝利してきたが、栄華とは無縁だった。長年の忠勤に、仕えた主君は皇帝暗殺容疑による逮捕と拘禁によって報いた。死後の名声だけは辛うじて残り、ライダーはこの場に招かれる資格を得た。

≪地位も財産も無くなって、死ぬ間際に思ったのです。運命は自分の選択にのみ、委ねるべきなのだと≫
≪つまり、幸せになりたい?≫
≪そうですね。幸せになりたい。ですが、富豪や権力者になりたいわけじゃない。誰かの為に働いたなら、その功績と労苦を労ってほしい、覚えのない罪で私を非難しないで欲しい、それだけです≫

あなたは聖杯に何を望むのですか、ライダーはリキエルに尋ねる。触媒によらず自分を呼び出すマスターが、いかなる心持ちで戦いに臨むのか?ライダーは知りたかった。

≪俺はここに来る前、一度死亡している≫
≪…≫
≪全てを絞り出した上での敗北だ。後悔はないが、せっかくのチャンスだ。捨てる気はない。俺は空条徐倫に敗北した自分を乗り越えて成長する!この戦いを勝ち抜いた後は、元の世界に帰るよ≫
≪勝ち残ることが目的、という事でしょうか?聖杯に望むものはないと?≫
≪魅力は感じているけどな、今はまだ何もない。精神を成長させる事だ。それが大事なんだぜ、ライダー≫

リキエルはかつて人生に絶望しており、高速道路を逆走して分離帯に突っ込み、病院に運ばれてすぐにプッチ神父と出会った。そして彼がスタンドの存在と、生きる目的を持つ事を教えてくれた。欠けた心を満たしてくれた彼の為に働く、それを目的としていた。

≪運命は空条徐倫を神父の元に運んだ。だから、あの人の為に聖杯を使う必要はないんだ≫

神父は運命に押し上げられ、天国に辿り着くだろう。俺は俺の人生を祝福する為の戦いをする、リキエルはそう締めくくった。断言するリキエルの話は所々理解できない箇所があったが、その心に燃える情熱だけはライダーにも見てとる事ができた。

羨ましい、と素直に思う。二度目の生に焦がれる程、彼は早逝ではない。大半を戦いの中で過ごした60年とその結末が、ライダーの心を疲弊させている。マスターについて行けば、自分も彼のようになれるだろうか?少しだけ、心が震えたようにライダーは思った。





【サーヴァント】
【CLASS】
ライダー

【真名】
フラウィウス・ベリサリウス

【出典】
東ローマ帝国

【性別】

【ステータス】
筋力C 耐久B 敏捷B + 魔力D 幸運D 宝具B

【属性】
秩序・中庸

【クラス別能力】
対魔力:C
第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。
大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。

騎乗:C
騎乗の才能。大抵の乗り物、動物なら人並み以上に乗りこなせるが、野獣ランクの獣は乗りこなせない。

【保有スキル】
少数精鋭:B
相手のステータス値のいすれかが自身のステータス値を上回っていた場合、魔力消費がランク分軽減され、格闘ダメージも向上する。
勝利した多くの戦闘において、敵軍よりも味方の数が劣っていた逸話から。

軍略:B
一対一の戦闘ではなく、多人数を動員した戦場における戦術的直感力。自らの対軍宝具の行使や、逆に相手の対軍宝具に対処する場合に有利な補正が与えられる。

籠城戦:B
籠城戦の巧みさを表すスキル。防衛戦の際、スキルランク分、物理ダメージ値を軽減する事で継戦能力が強化される。低ランクの陣地作成を内包しており、拠点の要塞化が可能。

【宝具】
『逆襲の駿馬(スルマ・デ・スコーピ)』
ランク:C+ 種別:対人宝具 レンジ:2~99 最大捕捉:1000人
サーサーン朝ペルシアとの戦闘の逸話が宝具となったもの。鉄色の毛を持つ駿馬であり、
その時速は新幹線に等しい。真名を解放する事でレンジ内に敵を分断する濠、Dランク相当の単独行動スキル、連携スキルを持つ無銘の弓兵と騎兵をベリサリウスの指定した場所に出現させる。

濠は敵全体の精神に重圧を課し、精神抵抗に失敗した場合、近づく事に強い忌避感を抱く。成功した場合でも、敏捷判定にマイナス修正が入る。
これらの兵士、濠は単体でも出現させることができ、その際は負担が軽くなる。一度敗北を喫した相手に対して発動する際、宝具の質が向上。兵士のステータスや攻撃威力が上昇する。

『荒廃もたらす戦の王(デポプラタ・チビタス)』
ランク:B 種別:対城、対軍宝具 レンジ:1~70  最大捕捉:レンジに入る限りの人数
ゴート戦争の際、ナポリ、ローマ、メディオラヌスなどの街に疫病や飢餓などの災いをもたらしてしまった逸話が宝具となったもの。レンジ内に数十枚の城壁を展開、その内側にいる敵全員の生命力、魔力を時間経過により枯渇するまで減少させ、さらに高熱と腹痛のバッドステータス判定を毎ターン発生させる。
この城壁は極めて強度が高く、同ランクの対城宝具以上の攻撃でなければ傷をつけることができない。城壁は1枚から使用する可能。その場合は盾として機能するが、上記の効果は発生しない。

【weapon】
無銘:槍、無銘:剣

【人物背景】
東ローマ帝国の将軍。
諸説あるが、バルカン半島東部トラキア地方の農民出身とされる。ユスティヌス1世時代に兵士となり、次代ユスティニアヌス1世の頃、帝国軍の司令官の1人となる。サーサーン朝ペルシアに対抗するべく戦線に派遣された彼はタンヌリスの戦いにおいて敗北を喫するも、ダラの戦いにおいて勝利を収める。
首都にて発生したニカの乱を鎮圧、ヴァンダル王国との戦争に勝利した彼は西暦535年、東ゴート王国が治めるイタリア半島への侵攻を命じられる。一時は東ゴート王国をローマから追い出すもフランク族と同盟を結んだヴァンダル王国に籠城戦を強いられると状況は悪化。同盟部族を率いる宦官ナルセスとの対立、フランク軍の侵攻などにより膠着状態に陥った戦線を戦い抜くも、ユスティアヌス帝がベリサリウスを無視して講和を交渉。ベリサリウスはイタリアを去る事になる。
トーティラの元で東ゴート王国が盛り返すと、彼に嫉妬していたユスティアヌス帝は失脚していたベリサリウスを再び指揮官に任命。しかし資金や兵力の援助を黙殺されたベリサリウスは苦戦。苛立った皇帝に召還されると以降、歴史の表舞台から姿を消す。
晩年は、皇位暗殺の陰謀に加担したとしてユスティニアヌスの命令で逮捕されるが、無実と判明し釈放。間もなく憤死する。財産を没収され、乞食に身を落としたとする伝説もある。
軽装の鎧に身を包んだ欧州系の男性。戦場の英霊としては長生きだった事に加え、その人生が報われないものだった事もあり、物静かで淡々とした性格をしている。

【サーヴァントとしての願い】
幸せになりたい。自分の選択で進む道を決め、自分の選択の結果によって死にたい。

【方針】
優勝狙い。



【マスター】
リキエル

【出典】
ジョジョの奇妙な冒険part6

【性別】

【能力・技能】
スカイ・ハイ:
破壊力-なし スピード-なし 射程距離-肉眼で届く範囲 持続力-C 精密動作性-なし 成長性-なし
手首に装着される、未確認生物ロッズ(スカイフィッシュ)を操る能力を持ったパワーあるヴィジョン「スタンド」。スカイフィッシュは体温を食う事で相手に様々な不調をもたらすが、会場内には生息していない。

【weapon】
なし。

【人物背景】
DIOの息子の1人。瞼が急に閉じてしまう、汗が止まらなくなるというパニック障害を16歳の頃から患っており、学校に行けなくなるほど生活に支障をきたしていた彼は人生に絶望していたが、プッチ神父にスタンドの存在を教えられる事で障害を克服。神父が対立する空条徐倫の前に刺客として現れるが、紙一重で敗北した。価値のあるものは精神の成長、という持論を持つ。

【マスターとしての願い】
勝利。徐倫に敗北した自分を乗り越えて、成長する。

【ロール】
デリバリー業務委託配達員
【方針】
優勝狙い。
最終更新:2022年04月16日 09:31