夜の繁華街。
制服姿のおとなしそうな青年が、暗い路地裏を歩いていた。
その前方に、二人組の男が現れる。
派手な色に染められた髪に、じゃらじゃらとつけられた悪趣味なアクセサリー。
いかにも「チンピラでございます」という感じの風貌だ。

「よう、ハンサムボーイ。
 ここはおまえさんみたいなお坊ちゃまが来ていい場所じゃねえぞ。
 怪我せずに帰りたかったら、財布の中身を全部……」

脅し文句を最後まで言えずに、男は突然倒れる。
横にいた相方も、同じように天を仰いでいた。
そして彼らの眉間には、銀色の食器が突き刺さっていた。

「まったく、ハズレしか寄ってこないな……」

地に伏す男たちを見下ろしながら、青年……八坂真尋はため息をつく。
彼は、聖杯戦争の参加者として選ばれた者の一人である。
しかし、彼に聖杯を使って叶えたい願いはない。
ゆえに彼は、「さっさと聖杯戦争を終わらせて帰る」という選択肢を選んだ。
そのために彼は、他の参加者をおびき出そうと夜ごと人気の少ない場所をうろついていた。
彼の両親は海外旅行中で不在という設定であり、夜間の出歩きをとがめる者がいないことから出来る芸当と言えよう。
しかし、その結果は芳しくない……というか、まったく成果が出ていない。
寄ってくるのは、今日のような聖杯戦争と関係ない小悪党ばかり。
聖杯戦争の参加者には、一人も遭遇出来ていない。

「わしのスキルが、意図しない方向に効果を発揮してるのかもしれんなあ」

突如、その場に新たな声が響く。
姿を見せたのは、ピカピカの禿げ頭とでっぷりと太った腹が特徴的な男。
真尋のサーヴァント、ライダーである。

「ライダーのもたらす幸運が、他のマスターとの遭遇を回避させてるかもしれないってことか……。
 その辺、調整出来ないのか?」
「いやー、無理だと思うぞ。
 わしらのもたらす幸運は、一般的なイメージを元にしたものだからなあ。
 そう都合よくコントロールは出来んよ」
「そうか……。まあ、地道にやっていくしかないか」

もう一つため息を漏らすと、真尋は歩を進め始めた。



もとより、両親は不在がちだった。
孤独には慣れているはずだった。
だが今改めて一人になると、さみしさを感じていることに気づいた。
もはや邪神たちに振り回される日々が自分にとっての日常なのだと、改めて思い知らされる。

「早く、戻ってやらないとな……」



【クラス】ライダー
【真名】布袋
【出典】史実、七福神信仰
【性別】男
【属性】中立・善

【パラメーター】筋力:C 耐久:B 敏捷:E 魔力:B 幸運:A 宝具:A

【クラススキル】
騎乗:C
乗り物を乗りこなす能力。騎乗の才能。
「乗り物」という概念に対して発揮されるスキルであるため、生物・非生物を問わない。
Cランクでは正しい調教、調整がなされたものであれば万全に乗りこなせ、野獣ランクの獣は乗りこなすことが出来ない。

対魔力:B
魔術に対する抵抗力。一定ランクまでの魔術は無効化し、それ以上のランクのものは効果を削減する。
Bランクでは、魔術詠唱が三節以下のものを無効化する。大魔術・儀礼呪法などを以ってしても、傷つけるのは難しい。

【保有スキル】
福の神:C
他者に幸福をもたらす者。
共に行動するだけで幸運値が大幅にアップするほか、低ランクの「神性」の効果も併せ持つ。
七福神は「七柱で一つの神」というイメージが強いため、単独で召喚されている現状ではランクが低下している。


【宝具】
『布袋』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:― 最大捕捉:―
その名の由来となった、大きな袋。
施しを受けた物を入れて持ち運んだという逸話から、どんなに巨大な質量の物でもしまうことが出来る。
また七福神としては「袋に入れた財を人々に配る」とされているため、魔力消費によりマスターが望む物を袋の中に精製することも出来る。
ただし、あまり強力な魔力の籠もった物は生み出せない。

『宝船』
ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:1-50 最大捕捉:30人
七福神が乗って現世にやってくるとされる、財宝を積んだ船。
水上だけでなく、空中も移動可能。
発動中は、本人及びマスターの幸運値がさらに大幅アップする。
船には七福神の残り6人も乗っているが、いるだけで特に何もしない。
攻撃方法? 轢け。

【weapon】
宝具以外は特になし

【人物背景】
本名は契此(かいし)。
古代中国・唐から五代の時代にかけて生きたとされる仏僧。
特定の寺に留まらず各地を放浪しており、施された物を大きな袋に入れて持ち歩いていたことから「布袋」と呼ばれるようになったという。
伝説では、弥勒菩薩の化身とされている。
日本においては、七福神の一柱として信仰されている。

【サーヴァントとしての願い】
マスターに幸運な道を



【マスター】八坂真尋
【出典】這いよれ!ニャル子さん
【性別】男

【マスターとしての願い】
生還

【weapon】
『フォーク』
ごく一般的な食器。
非常事態ということで、普段より多めに持ち歩いている。
切らした場合、ライダーの宝具で補充してもらう。

【能力・技能】
『フォーク投げ』
なぜか彼の投げるフォークは邪神に対し、激痛と大ダメージを与えることが出来る。
強靱な皮膚や鎧であっても防ぐことは出来ず、相手が邪神であれば必ず突き刺さる。
ただし彼の世界における邪神は、厳密には「ラブクラフトたちが邪神のモデルにした宇宙人」なので、
違う世界の邪神に通用するかは未知数である。
なおコントロールは、同じ場所に3連続で命中させることが出来るほど正確。
また至近距離であれば、0フレームで相手に突き立てることが出来る。

【人物背景】
北海道で平凡な高校生として生活していた青年。
しかし宇宙の人身売買組織に狙われたのをきっかけに、くだらない動機から起こされる宇宙的事件の数々に巻き込まれていくことになる。
本編終了後からの参戦。

【方針】
一刻も早く聖杯戦争を終わらせる
最終更新:2022年04月23日 13:19