every little thing あなたがずっと追いかけた夢を一緒に見たい
every precious thing 奇跡のゴール信じて今大地を踏み出した



LINDBERG 『every little thing every precious thing』



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 何処かで見ているかも知れない父親の為に、全力で頑張ると笑顔で告げたサッカー選手。

 デブスな同僚と口汚く罵り合いながらも、プロポーズをした天使の様な瞳の巨漢。

 契約が切られる瀬戸際でも、オレ達は無敵だと嘯いて勝負に臨む二人のプロゲーマー。

 強大な王者に全く歯が立たなくとも、怯まずに向かっていくプロボクサー。

 警察学校の過酷(エグ)いシゴキにも挫けず、正義の味方を目指して励む五人組。

 ロクな男が居ないと嘆くも、自分達で結婚する?と語る二人の女性。

 詐欺じゃね?な商品売って偉大に、モテモテになろうとする二人組。


 ままならない現実に、折れる事なく、心割れる事なく、夢を目指して、諦める事なく懸命に生きていた。
 誰も彼もが思い通りにならない人生を生きているのに、誰も彼もが光に満ちて幸福だった。

 なぜだろう…
 なぜか今日は
 すごく幸せな気分が
 溢れてくる…!



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 「なぁ」

 シールダーを召喚した時に、俺は訊いてみた。

 「オレは一度死んだんだ」

 シールダーは無言、なんの反応も示さなかったが、俺の言葉を聞いている事は分かっている。
 舞踏鳥(プリマ)の様に長い黒髪を僅かにも揺らがせる事ませず。薄い紫色の瞳を真っ直ぐこちらに向けている。
 薄い紅唇に通った鼻梁の美人としか言いようが無い顔立ち、均整の取れた身体付きと相俟って、モデルかと思ってしまった。

 「その時に…さぁ……夢、見たんだ。割れた子供達(グラスチルドレン)の皆が、心…割れたりしないでさ、夢に向かって、只真っ直ぐに生きてんだ。
 勿論上手くいきっこねぇ…皆苦労していたよ。けど……けど、皆…笑ってた。

 オレは何でこんな事を話しているんだろう。
 何で初対面のこいつにこんな話ししているんだろう。


 ───私を誰だと思っている!?
 ───内閣総理大臣愛多間七である!!!


 ああ、そうか。
 コイツ───同じなんだ。同じ眼をしているんだ。
 アイツと、総理と同じ───。
 だからか、だからオレは───。

 脳裏によぎる男の顔。
 殺そうとしたオレに、殺されかかった癖に、友達(ダチ)全員殺されたのに、オレに手を伸ばした男の顔。
 アイツと同じ眼で見られたら、そりゃ吐露(ゲロ)っちまうよなぁ。

「聖杯なら…あの夢ぇ、本当(マジ)にできっかなぁ……」

 あの夢を、あの光を、オレは本当(マジ)にしたい。
 それがこのオレの願い。
 皆が成功するかはわからない。
 皆が夢を叶えられるかはわからない。
 けれども皆が夢に向かって歩き続ける───割れた子供達(グラスチルドレン)には出来なかったことが出来るならそれで良い。
 ガムテ(オレ)が皆から不要とされる。出逢うことすらないだろう。だが、それで良い。むしろそうでなければならない。
 そんなオレの願いは───。

 「無理じゃ。お前の願いは叶わない」

 初めて口を開いたシールダーにあっさり否定された。

 「一応聞いとくが、何でだよ」

 「お前も、お前の仲間達も業を重ね過ぎた。お前がここに居るのは只の偶然。本来お前はお前の仲間達同様地獄に行く定めよ」

 「そっか。そうだよな」

 当然と言えば当然の回答を得て納得する。じゃあさっさと死ぬか。オレだけ生きているわけにもいかないだろう。それが皆に対するケジメってものだ殺島の兄ちゃんだってこうするだろう。
 そう思って、関の短刀(ドス)を喉に突き立てる───切先は女の掌で受け止められていた。

 「だから、私が居る」

 シールダー真っ直ぐにオレの眼を───あの総理と同じ眼で見て、言った。

 「私がお前とお前の仲間達の罪を背負う。お前の仲間達を地獄から引き上げる。だからお前は仲間達の未来を祈れ」

 コイツは嘘を言っていない。極道(きわみ)を誰よりも見てきた俺だから分かる。コイツは本気だ。なんでも願いが叶うとかいう代物を、本気(マジ)で俺の為に使う気だ。

 「全ては手遅れだったかも知れない。だが、まだ間に合う。私が間に合わせる。だから、お前は自棄になるな」

 コイツが何でそこまでするかは分からない。けど、こいつの眼は、こいつの声は、あの総理と同じだ。同じなんだ。だからこそ思っちまう。頼って良いのかと、信じて良いのかと。

 「良いのかよ」

 「何がだ」

 「お前も願いがあるんじゃないのか?俺の為に使って良いのかよッ!」

 ああ。らしくねぇ。本当(マジ)にらしくねぇ。何でこんなに熱くなってんだ。
 聖杯とやらでやり直せるからか?
 総理(アイツ)は確かに遅かった。俺たちみんなどうしようも無く割れちまった後だった。
 けど、今度は違う。早いとか遅いとかじゃねぇ。割れずに済むかも知れないんだから。
 だけどよ、何でコイツ(サーヴァント)が、ここまでオレに都合よく動くんだ?

「私の願いはお前の願いだ」

 大真面目に、サーヴァントはそう言った。

 「私の願いは子供達が健やかに育つことだ。だからお前の願いは私の願いだ。我が名、鬼子母神の名に掛けて誓う。必ずお前に聖杯を齎すと、必ずお前達に未来を齎すと」

 そう言ったシールダーの姿は、何処までもアイツ(総理)を思わせるものだった。




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every little thing かけがえのないあなたのことをここで見ていたい
every precious thing 止まらない時の中の1秒にきざみつづけて いつまでも


LINDBERG 『every little thing every precious thing』




【CLASS】 
シールダー

【真名】
鬼子母神@仏教説話

【性別】

【身長・体重】
174cm・60kg

【属性】
中立・善

【ステータス】
筋力: B 耐久:B 敏捷:B 魔力:A. 幸運:C. 宝具:A+


【クラス別スキル】

対魔力:A
A以下の魔術は全てキャンセル。
事実上、現代の魔術師ではシールダーに傷をつけられない。

騎乗:A
幻獣・神獣ランクを除く全ての獣、乗り物を自在に操れる。

自陣防御:EX
味方、ないし味方の陣営を守護する際に発揮される力。
防御限界値以上のダメージ削減を発揮するが、
自分はその対象には含まれない。
また、ランクが高ければ高いほど守護範囲は広がっていく。

A+ランク相当の効果を及ぼすが、対象となるのは子供と子を持つ親のみであり、これらの条件に当てはまらない者は対象外となる。
なお毒親は対象外である。


【固有スキル】


本願:EX
シールダーが過去に釈尊に対して立てた誓い。
一切の不幸や災厄から子供を守り、健やかに育つ事を守護するという誓約。
極めて高ランクの信仰の加護及び鋼鉄の決意の効果を併せ持つ。


女神の神核:C
生まれながらにして完成した女神であることを現す、神性スキルを含む複合スキル。
神性スキルを含む他、精神と肉体の絶対性を維持する効果を有する。あらゆる精神系の干渉を弾き、肉体成長もなく、どれだけカロリー摂取しても体型が変化しない。
シールダーは本来は鬼神である為にランクは低い


鬼種の魔(守護):C+
鬼の異能、魔性を現すスキルが変質したもの。
天性の魔、怪力、カリスマ、魔力放出等との混合スキルでもあるが、効果が調整されている。
子供を襲う不運・災厄およびその類似物に対する特攻効果、特防効果を有する。
子供に対して病気や呪いを払う効果を持つ他、怪我を癒やし、身体能力を向上させる効果を持つ。
シールダーは鬼神である事をやめた為にランクは低い。が、子供を害する者には鬼神であった頃を取り戻す。
マスターに対しては常時使用しており、この為マスターはサーヴァントに襲われても、直ぐには殺されない身体能力を獲得している。


狂化:A+
全パラメーターを2ランクアップさせるが、マスターの制御さえ不可能になる。
通常時は封じているが、守護るべき対象である子供を守護る為に使用する場合がある。
この場合、子供を守護る、子供に危害を及ぼすものを打ち払う事以外の一切の行動をしなくなる。
一応子供の声ならば届く。


【宝具】
本願・厄払い
ランク:A+ 種別:防衛宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:1000人

子供を襲う一切の不幸・厄災・災禍を払い、自身の身に不浄として引き受ける宝具。
レンジ内の子供に対して発動し、大型トラックに100km超の速度で轢かれようが、猛毒を摂取しようが、何事も無く無事に済ませ、死病に冒されていようが健康体にし、犯罪や毒親に晒されている場合は、速やかに救いの手が伸びる、若しくは害意を消滅させる。
子に不幸を齎さないというシールダーの祈りの結実である。
なお不浄として溜め込む為、使用し過ぎると許容量を超えて自壊する。
死んでしまった子供には無力。

子に慕われている親も又、子を悲しませない為にこの宝具の恩恵に預かれるが、毒親は当然の如く排除される。


厄払い・人形流し
ランク:A. 種別:対軍宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:1000人

本願・厄払いで自身に不浄として集めた厄災を、魔力の奔流として撃ち放つ。
放たれた不浄は、暴風の態をとって吹き荒れ、シールダーが取り込んだ不浄の全てを対象に叩きつける。
焼かれた子供が居れば熱を、刺された子供が居れば刃物の痛みを、溺れた子供が居れば息のできない苦しみと水の冷たさを。
それら全てを同時に体験した対象は、大抵の場合即死する。
取り込んだ不浄により、威力は上下する。

【Weapon】
無し

【聖杯への願い】
全ての子が健やかに暮らせる事。今回は地獄に落ちたであろう割れた子供達(グラスチルドレン)の魂を地獄から引き上げる事


【解説】
元は自身の子を養う為に、人間の子を攫って与えていた鬼神であったが、その行為を見かねた釈尊により末の子を隠されてしまい、世界中を探しても見つからず嘆き苦しんでいるところを、釈尊に諭され、三宝に帰依して子の無病息災と安産を司る存在となった。


今回の聖杯戦争には、マスターの末期の夢を叶えるべく参戦。マスターに合わせて10代後半の外見にしている。
子供にはサッカリンよりも甘く、その為子連れにも甘い。なお童貞には凍りついた塩となる。差別である。
子供を害する者には容赦も慈悲も無く、鬼神であった頃に戻る。この時口が耳まで裂けて、血色の口腔にサメみたいな歯がぎっしり生えた凄まじい形相となる。
子供を殺せという命令には絶対に従わない。令呪を使っても一画では言うことを聞かせられない。
外見は黒いセーラー服着た黒髪で薄紫色の瞳の美少女。



【マスター】
輝村照(ガムテ)@忍者と極道

【人物背景】
割れた子供達(グラスチルドレン)のガムテープになろうとした少年

【能力】
殺し屋としての冠絶した技量。道化た振る舞いと組み合わせて、対象の心身の隙を突き、必ず殺す。
あらゆるものを殺す短刀(ドス)の技を習得していて、地獄の回数券(ヘルズ・クーポン)使用時には、音速を超える速度と、突進してくる極道車を宙に舞わす威力の、忍者の暗刃の威力を殺し切って、受け止める。

疒(やまいだれ)
肝臓を少し切ってずらす事で、末期の肝臓癌や肝不全と同じ症状を引き起こせる。
極限まで心身を鍛え上げ、人を超えた域にある忍者ですら、瞬時に戦闘不能に追い込む技。

禁断の地獄の回数券(ヘルズ・クーポン)二枚服用(ギメ)時には割れた子供達(グラスチルドレン)の極道技巧も使用(つか)えるが、地獄の回数券(ヘルズ・クーポン)自体を所有していない。

【武器】
関の短刀(ドス)
人間国宝(ニンコク)別注品。禁断の地獄の回数券(ヘルズ・クーポン)二枚服用(ギメ)した輝村照の身体能力と、忍者の暗刃の威力に耐えうる逸品。
輝村極道(きむらきわみ)からのクリスマスプレゼント
刀身の根元には『忍者全殺』と彫ってある忍殺刀である
入手経緯から『心底反吐(マジムカ)つくとの事であまり使いたがらない。

【ロール】
港区のタワマンに一人住まい。母親は死亡済みだが、遺産が大量に有る。
父親?知りませんね。

【聖杯への願い】
末期の(あの)夢を本当(ずっと) ───。

【参戦時期】
死亡後
最終更新:2022年05月15日 23:01