見滝原市の美術館に、1体の石像が展示されていた。
作者は不明だが、まるで生きているかのような見事な造形に多くの人々が感銘を受けた。
だがある日、その石像はこつぜんと美術館から姿を消してしまった。
警察は盗難事件として捜査を開始したが、手がかりはまったく見つからなかった。
それも当然のこと。
石像は盗まれたのではなく、自ら動いて美術館を出て行ったのだから。
◇ ◇ ◇
エシディシは、下水道の中で何をするでもなく佇んでいた。
(この俺ともあろう者が、こんな不衛生な場所に身を潜めねばならんとは……。
だが、手軽に隠れられて太陽の光を避けられる場所となれば、こんな所しかないからな……。
さっさとまともな隠れ家を見つけたいものだ……)
溜息を漏らしながら、エシディシは自分の現状を整理する。
彼は主人である
カーズや同志であるワムウと共に、ローマの地下で石化して眠りについていたはずだ。
だが運命の神のイタズラか、その空間にソウルジェムが転がり込んできた。
それが偶然体に当たったエシディシはこの世界に転移し、記憶を取り戻すまで美術品として展示されていたのである。
(聖杯戦争か……。人間も面白いものを思いつくものだ。
カーズ様以外に従うのは癪だが、聖杯というのはなかなか興味深い。
持ち帰ることができれば、「赤石」以外での我らの進化の可能性につながるかもしれん。
どのみち、ジッとしていても仕方ないのだ。
しばらく人間の戯れに付き合ってやるか)
聖杯戦争に乗ることを決意し、エシディシはどう猛な笑みを浮かべる。
そこへ、一つの影が歩み寄ってきた。
それは、筋骨隆々の老人だった。
「貴様だな、わしのマスターは」
「お前がサーヴァントというやつか」
「先に質問をしたのはわしだ。貴様は質問には質問で返せと教わっているのか?」
サーヴァントの態度に一瞬怒りをあらわにするエシディシだったが、すぐに冷静さを取り戻す。
「よかろう、先にお前の質問に答えてやろう。
他に誰もおらぬのだ、お前のマスターは俺しかいるまい。
俺の名はエシディシ。俺のような優秀なマスターを持ったこと、喜ぶがいい」
「くくく、ずいぶんとおのれに自信があるようだな。
まあよい。わしはランサーのサーヴァントだ。仲良くやろうではないか」
「ランサー? 槍使いということか? お前が?」
サーヴァントが告げたクラス名に、エシディシは怪訝な表情を浮かべる。
「おいおい~、まさかお前の槍というのは、その傘じゃあないだろうなあ?
だとしたら、くだらん冗談にも程があるぞ」
エシディシの言うとおり、ランサーが手にしているのは槍ではない。
武器にすら見えぬ、ただの傘である。
エシディシの馬鹿にしたような態度にも、ランサーは不快な様子を見せない。
ただ無言で、手にした傘を下水道の壁に向かって振るう。
轟音が響き、壁は広範囲にわたって崩れ落ちた。
「ほう……」
「見た目で侮ってもらっては困る。この傘こそが我ら夜兎族にとって最強の武器。
そして日の光を遮る、命の盾よ」
感心した素振りを見せるエシディシに対し、ランサーは自慢げに語る。
「日の光を遮る……。なるほど、お前も太陽の下では生きられぬ体か。
同じ弱点を持つ者同士を組ませるとは、気が利くのか意地が悪いのか……。
まあ、どちらでもかまわん。
ランサーよ、お前の力は見せてもらった。俺のパートナーを務めるに値すると認めよう。
存分に力を振るってくれ」
「貴様に言われずとも、そうするさ」
ここに、闇の一族と夜の王が手を組んだ。
【クラス】ランサー
【真名】鳳仙
【出典】銀魂
【性別】男
【属性】秩序・悪
【パラメーター】筋力:A 耐久:A 敏捷:B 魔力:E 幸運:D 宝具:C
【クラススキル】
対魔力:E
魔術に対する抵抗力。一定ランクまでの魔術は無効化し、それ以上のランクのものは効果を削減する。
Eランクでは、魔術の無効化は出来ない。ダメージ数値を多少削減する。
【保有スキル】
カリスマ:C+
軍団の指揮能力、カリスマ性の高さを示す能力。団体戦闘に置いて自軍の能力を向上させる稀有な才能。
ランサーの場合は、特に女性に対して強い効果を発揮する。
夜兎:―
星の彼方で生まれた、強靱な肉体を持つ種族。
ランサーの場合後述の宝具に昇華されているため、スキルとしては機能していない。
【宝具】
『夜王』
ランク:C 種別:対人宝具(自身) レンジ:― 最大捕捉:1人(自身)
吉原の支配者としての、ランサーの人生そのものが宝具と化している。
日没以降の時間であれば、Bランクの「戦闘続行」「心眼(真)」「頑健」を得る。
一方太陽が出ている間は全てのステータスが1ランクダウンし、太陽光を直接浴びると大ダメージを受けてしまう。
【weapon】
「傘」
夜兎にとって必需品である、鋼鉄製の傘。
日を避ける本来の用途の他、打撃・刺突武器としても使用される。
【人物背景】
地下歓楽街・吉原を支配する夜兎の老人。
かつて最強の夜兎と言われた星海坊主と三日三晩互角の戦いを続けたという逸話を持ち、
老いてなお凄まじい戦闘力を維持している。
しかし長年地下で暮らしていたことで他の夜兎よりはるかに日光に弱い体質となってしまっており、
吉原の天井が開けられたことで注ぎ込んだ日光にとどめを刺されることとなった。
【サーヴァントとしての願い】
太陽の下で生きられる体で、もう一度生きてみたい
【基本戦術、方針、運用法】
肉弾戦オンリーだが、その格闘能力は凄まじいので不安はない。
だが昼間はパワーダウンするというデメリットも抱えているため、強敵との対戦はなるべく夜に行いたいところ。
【マスター】エシディシ
【出典】ジョジョの奇妙な冒険 第2部
【性別】男
【weapon】
肉体そのもの
【能力・技能】
「炎の流法」
熱を操る能力を利用した戦闘スタイル。
自身の血液の温度を最大500℃まで高め、体から伸びる「血管針」で相手の体内に送り込むことで内部から溶かしてしまう。
【人物背景】
人類より以前に地球上に存在していた「闇の一族」の1人。
さらなる進化を求める
カーズに賛同し、彼と共に他の一族を滅ぼした。
その後
カーズや当時赤ん坊だったため殺さなかった同族のワムウと共にローマの地下で石化して休眠していたが、やがて復活。
彼らの進化に必要とされる「エイジャの赤石」をめぐり、波紋戦士たちと激闘を繰り広げる。
仲間たちの中ではもっとも感情が表に出る性格だが、一方で戦闘では策をめぐらす頭脳派でもある。
また大きく動揺すると、号泣して精神状態をリセットするという変わった癖がある。
【方針】
聖杯狙い
最終更新:2018年06月04日 23:33