無数の歯車が、ぎぎぎと耳障りな音を合ってて回っている。ひとつの歯車が回ると、隣接した歯車が周り、また別の歯車へと回転を伝えていく。その回転の連鎖で、時計は周り、時を刻む。けれども、その回転になめらかさはない。どこかで、なにかが上手く噛み合っていないのだろう。
 気が付くと、レミリア・スカーレットは十九世紀の英国風の屋敷の中にいた。部屋の中には誰もいない。ただ、部屋の中心のテーブルに、懐中時計がひとつ、ぽつんと放置されている。歯車の耳障りな音は、その懐中時計から聞こえていた。
 つくりの細かいその懐中時計は、貧民が容易く手に入れられるものでもない。世が十九世紀の英国ならば、まさしく上流階級の人間が持っていたものであろうことはすぐに察しがついた。
 ぎぎぎ、ちく、たく。歪な音を刻む懐中時計に、レミリアは歩み寄る。そっと手に取ると、懐中時計はぴたりと時を刻むのをやめた。壊れてしまったのだ。
 秒針の動きが止まる。歯車の耳障りな音もやんだ。世界は、しんとした静謐に包まれた。
 レミリアには、時計が壊れたというよりも、壊れるべき運命にあった時計が、今ようやくあるべき姿を形どったように感じられた。壊れて、時を刻むことをしなくなった懐中時計の中身の歯車は、すべてがきれいにガッシリと噛み合っていた。なにゆえか、暗闇に光が差し込むような晴れ晴れとした気分になった。

 閉じられていたまぶたをそっと開けると、レミリアは見滝原に用意された屋敷の一室で、安楽椅子に深く腰かけて微睡んでいた。サーヴァントは夢を見ない。レミリアが見ていたのは、誰かの「運命」だ。それが誰の運命であるかは、すぐに察しがついた。


 ――ディオ。なにがあろうと気高く、誇り高く生きるのよ。そうすればきっと、天国に行けるわ。

 どうしようもなく愚かな女の言葉が、ディオの心に呪いのようにこびりついている。
 地獄のどん底のような貧民街で、それでも誰かのために生き、決して報われることなく落命した母親を、まだ幼いディオは心底から蔑んでいた。
 あの母親が本当に天国に行ったとは、ディオには思えない。自分の息子ひとり満腹にしてやれなかった母親が、天国になど行けるものか。その点で言うならば、最後の最後、死の間際、ディオに人生を変えるきっかけをくれた父親の方が、よほど天国に行った可能性が高い。少なくともあのクズのような父親の方が、幾分ディオの役には立った。
 だが、もしもあの父親が天国に行ったとするならば、それはそれで、やはり許せない。あのクズのような父親に救いがあってはならない。母親を見殺しにし、ディオを虐待したあの父親に、安住の地などがあっては困る。
 もしも天国というものが本当にあって、いつかそこへ行けるとするなら。
 ディオは、天国でもう一度あの父親を殺してやりたいと思う。


 見滝原に用意された屋敷の一室で目覚めたディオは、睫毛に残った涙を拭い、窓の向こうから射し込む朝の陽射しを全身に受ける。本来朝の陽射しは気持ちのよいものである筈だが、この日は些か、気分が優れなかった。なにか気分の悪い夢を見た気もする。こういう日は、虫の居所も悪くなる。ディオは肺に溜まった息を大きく吐き出すと、ぐっと伸びをして、ベッドから足を降ろした。
 身だしなみを整えて、廊下に出た。ディオの自室は二階に位置しており、扉を開けると一階へと続く大階段が見える。屋敷の構造は概ねジョースター邸と同じだった。日本の家屋としては異質であるようにも思うが、元より洋風建造物が立ち並ぶ見滝原の中ならば、さして浮きもしない。
 ディオには元来、この見滝原における現代の知識はなかった。十九世紀の英国と比べれば、この見滝原の技術はどれも目を見張るものがあったし、最初は驚いた。だが、すぐに慣れた。ディオが暮らした貧民街と比べれば、天国のような環境だったからだ。
 欲しいものは望めばなんでも手に入るし、食いっぱぐれて餓死する浮浪者もいない。外を歩けば物取りに出くわして金品を奪われるということもない。どの死に方が最もリスクが小さいか、そういうことを考えながら生きねばならない貧民街と比べれば、この時代に生きる現代人はどいつもこいつもなまっちょろい。
 生ぬるい温室で暮らしてきたジョナサンが許せなかったように、ディオはこの時代の人間のことも毛嫌いしている。窓の向こうに目を向ければ、往来にはそういう手合いの人間が無能なツラをさげて腐るほど歩いている。

(フン! 平和ボケしてぬくぬく暮らしてきたクズどもがッ……今に見ていろよな。利用できるものはなんでも利用して……おれは必ず誰にも負けない男になってやるぞ!)

 他人からなにも奪わずとも生きていける甘ったれたボンボンが、ディオは許せない。叩きのめさなければならない、痛めつけなければならないと、強く思う。

(お前らもそうだ……なまっちょろい感情で、このディオに施している気になってんじゃあないぞ……下っ端のカスどもが!)

 怪談を下りながら、すれ違いざまに微笑みを浮かべ、うやうやしく礼をした使用人に流し目を送る。こいつらも所詮はディオにとって駒のひとつに過ぎない。聖杯戦争も、サーヴァントも、すべては飢え続けてきたディオがまともな人間世界への切符を手に入れるための道具だ。とことん利用してやる。
 階下に降りたディオが食堂の扉を開けると、既に薄桃色のドレスを着た少女が、長方形のテーブル席に着席していた。窓はすべてカーテンで閉め切られており、朝だというのに電気の灯りで室内は照らされている。吸血鬼であるランサーの指示だろう。
 使用人たちがテーブルへ食事を運んで行く。食事は、二人分用意されていた。白米に味噌汁、納豆、目玉焼きという、和風の献立だった。

「また和食か。ぼくは久々にパンが食べたいんだけどね」
「パンは飽きたわ。長い人生で、この私がいったい何枚のパンを食べてきたと思ってるの」
「きみは今まで食べたパンの枚数を覚えているのかい」
「覚えてないわ。私は和食派だから」

 ランサーのくだらない冗談を聞き流しながら、ディオは着席した。この屋敷は一応、レミリアお嬢様の屋敷というていになっているらしい。そのため、出てくる食事は彼女の好みに寄り添って作られている。というよりも彼女が作らせている。
 料理を用意したり、身の回りの世話をする使用人らは、みなランサーの魔力によって操られた小間使いらしい。時たま使用人が減ったり、増えたりしているものの、その理由を探る気にはならなかった。大方ランサーの機嫌を損ねて消されたか、餌になったか、それを補充するためにまたどこからかさらってきたか、そんなところだろう。細かい部分にまで突っ込んで面倒ごとに関わる気にはなれず、ディオはその辺りの話題に触れたことはない。なんにせよ、使用人たちの人権をさほど気にする必要がないことは、ディオからしてみれば都合がよいのだった。

(所詮は家畜ほどの役にも立たないクソのような命よ……だが、我が使い魔の魔力の足しになって死ねるなら、間接的にではあるがこのディオのために死んだことにはなる。その一点において褒めてやってもかまわん)

 表情には出さず、心中のみでディオは冷たく笑う。
 最終的にディオが優勝して、願いを叶えられるのならばなんだっていい。それまでの間、利用できるものはとことんまで使い倒してやるだけだ。目の前の図に乗りやすいサーヴァントも、令呪があるかぎり、所詮はディオの駒だ。いかな強大な吸血鬼といえども、所詮はただの道具にすぎない。
 実のところディオは、己のサーヴァントに対し敬意を抱いたことなど一度たりともなかった。適当におだてていればご機嫌がとれるのだから扱いやすい。

「ところで、ディオ」
「なんだい、ランサー」
「あなたは、聖杯戦争で頂点を極めたら、なにを願うの」

 ディオは箸に伸ばしかけていた手を止めて、ランサーを見た。ランサーは質問を投げるだけ投げて、既に食事に手を付け始めている。

「どうしたんだい、藪から棒に」
「さっき、あなたの運命を覗いたわ」
「ほう」

 ディオの表情からすっと笑顔が消えた。しかし、それでも最低限の愛想は表情に張り付かせたまま、ディオは視線を伏せた。

「それで、なにかぼくの望みでも見えたっていうのかい」
「そういうわけじゃないわ。ただ、懐中時計が見えたのよ。古いつくりの懐中時計だったわ」
「懐中時計? ああ、そういえばジョジョのやつから借りたっけなあ……とっくに壊れちまったがね。それがどうかしたのかい」
「いいえ。それがどうということはないけれど……ただ、あの懐中時計が刻む『時が止まった』とき、あなたの進む運命が決まった……ように感じたのよ。奇妙なことを言っているようだけど、私にもどうしてそういう風に感じたのかはわからないわ」
「時が止まった、とは……また、奇妙な表現をするじゃあないか。ただ壊れただけだろうに」
「あら、そうかしら。身内にひとり、時を止めるヤツがいるものだから、ついそういう表現を取ってしまったみたい」

 ランサーはなんでもないように笑った。
 かつて懐中時計を忍ばせていた胸に内ポケットには、今は緋色の輝きを宿した宝石が入っている。ランサーのソウルジェムだ。時の止まった懐中時計をいつまでも持ち歩く必要はない。

「思うに……時を止める、などといった能力があれば、なんだってできるんじゃあないだろうか。それこそ、世界を支配することだって」
「いやいや、それはないものねだりの小者の考えだね」

 嘲るような声。
 ぴくりと、ディオの眉根が動いた。

「このディオが……小者、だと」
「ええ。アイツはそんなことはしない。第一、そういうのはアイツには向いてないわ」

 ディオは眼を伏せ、黙考する。
 世界を支配する能力。時間を止める能力。
 すばらしい力であることは間違いないが、少年ディオが本当に望むものはなにかと問われれば、そんなものではない。どん底の世界で生きてきたディオだからこそ、富も名声も欲しい。けれども、どんな願いでも叶うというのならば、もっと欲しいものがあるのではないか。
 事実、ランサーの知る時間を操る能力者は、それがくだらないことだということを理解しているからこそ、そういうことをしなかったのだろう。ならば、このディオはもっと上を行かなければならない。世界を支配するだけでは、足りない。

「そうかもしれないな」
「あら、意外ねえ。認めるの」
「ランサー……きみは、天国の存在を信じるかい」
「は?」

 ここではじめて、ランサーが顔を上げた。くりくりとした人形のような瞳が、余計に大きく見開かれている。
 会話の流れを断ち切ったようなかたちになることは、ディオも承知している。けれども、それが先のランサーの問いに対する答えに繋がるとディオは思った。

「世界を支配するなんてのは……確かに、過程でしかないのかもしれない。ぼくは、もしも本当に天国というものがあるのなら……誰も生きては辿り着いたことのないその世界に、行ってみたいと思う」
「お前、気は確かか? 仮に確かだとしたら、私が悪魔で吸血鬼だってことは理解して言ってるんだろうな」

 あからさまに声のトーンが下がったランサーを真っ向から見つめ返し、ディオは決然と頷いた。
 ランサーは諦念の溜息を零した。

「……そんなとこ行ってどうするの」
「会いたい人がいる」

 母さん。
 聖母マリアのような、慈愛に満ちたあの母の顔が、一瞬脳裏によぎった。
 けれども、それ以上に大きな闇が、ディオの心に影を落とした。それを思い描いた瞬間、ディオのつくられた愛想笑いが消し飛んだ。胸の内で燻っていた憎悪が、増幅して表へと現出する。

「ダリオ・ブランドーッ! ぼくの父だった男だが……あいつがもしも天国にいるなら――」

 母への暴力、息子への虐待、……死んだ母への/奴が死なせた母への侮蔑の言葉、
 そして、クズのような男の人生の中、最後の最後にディオへもたらした施し、その屈辱。
 生きる価値のないこの世の毒虫のような男の存在を思い出した時、ディオの喉はふるえた。

「今度こそ、地獄に堕としてやらねば気がすまないッ!」

 それは、ディオがはじめてランサーに打ち明けた嘘偽りのない本心だった。
 この数日ふたりで戦って来て、はじめて、己の心からの願いを明かしたのだ。後悔はない。あの父のことを話題に出して、それでもまだ優等生でい続けることの方が、ディオにとっては苦痛だった。

「それがお前の本音か、ディオ・ブランドー

 ランサーは、にい、と頬を歪めた。口元から見える尖った糸切り歯を隠しもせずに、歯の隙間からきししと息を漏らす。人形のように小さく可憐な少女は、今、正真正銘の化け物の笑みを浮かべていた。

「よく聞かせてくれた。このままずぅっと本音を隠し続けるつもりかと思っていたが……いや、その方が私もやりやすい。子供みたいに世界を支配したいなんて待望抱くよりも、ある意味ずっと純朴で、面白みがある……まあ、生憎と私はゴッドにもヘブンにも興味はないが」

 ぶつぶつと呟きながら、まあいい、と一言、ランサーは上目遣いに不敵な笑みを向ける。肩肘をついて、手の甲に頬を乗せながら、ランサーは可憐な外見の印象とは裏腹に、どこまでも艶やかに笑った。

「我こそは最強にして最速のランサー、その真命はレミリア・スカーレット。喜びなさい、ディオ・ブランドー。夜の女王(ノーライフクイーン)たるこの私が、お前の手に聖杯を約束してやろう」


【出展】東方Project
【CLASS】ランサー
【真名】レミリア・スカーレット
【属性】混沌・中庸
【ステータス】
筋力B 耐久A 敏捷B 魔力A 幸運EX 宝具C

【クラススキル】
 対魔力:B
 魔術詠唱が三節以下のものを無効化する。
 大魔術・儀礼呪法などを以ってしても、傷つけるのは難しい。

【保有スキル】
 吸血鬼:B
 吸血行為による体力吸収&回復。
 ランクが上がるほど吸血による回復力は上昇するが、ランサーは一度に多量の吸血をすることはできない。よって、本物の吸血鬼でありながらランクダウンしている。
 また、対象が魔力や神秘を纏わないNPCに限り、簡単な暗示にかけてある程度は操ることもできるが、戦闘に融通が効く程の精度で操ることはできない。

 戦闘続行:A+
 日光には弱いが、肉体は非常に頑丈に出来ている。
 蝙蝠一匹分でも残れば、魔力補給と時間経過次第で万全の状態まで再生可能である。
 ランサーの場合は『仕切り直し』と同様の戦闘から離脱するスキルとしても作用する。

 変化:C
 霧や無数の蝙蝠などに姿を変化させる。
 近接戦闘においては極めて有用だが、広範囲攻撃に対しては効果が薄い。

 運命を操る程度の能力:EX
 周りにいると数奇な運命を辿るようになり、ランサーに一声掛けられただけで、そこを境に生活が大きく変化することもある。
 ただし「運命」などという実体のない不確定要素を扱う能力であるため、自力で行使できない部分も大きい。
 ランサーの「幸運」ステータスはこのスキルによってその時々で大きく変動する。
 また、他者の運命が見えることもあるらしい。どの程度まで使いこなせるのかは誰にもわからない。

【宝具】
『鮮血奔る紅魔の神槍(スピア・ザ・グングニル)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1〜10 最大補足:5人
 ランサーの魔力で精製された長大な槍。魔力の塊であるため槍自体が真紅に発光しており、注ぎ込む魔力次第で形はある程度融通が効く。
 ランサーの運命操作の能力を最大限発揮させれば、「心臓に槍が命中した」という結果を作ってから「槍を放つ」という原因をもたらし、必殺必中の一撃を可能とする。
 ただし、スキル「運命を操る程度の能力」によってランサー自身の幸運の数値が常に変動しているため、攻撃対象の幸運ランク次第では能力を十全に活かし切れない場合もある。

『鮮血翔る紅魔の神槍(スピア・ザ・グングニル)』
ランク:C+ 種別:対軍宝具 レンジ:5〜40 最大補足:50人
 ランサーの魔力で精製された長大な槍。魔力の塊であるため槍自体が真紅に発光しており、注ぎ込む魔力次第で形はある程度融通が効く。
 ランサーが全身の力と全魔力を使った上で相手に投擲する特殊使用宝具。放てば一撃で一軍を吹き飛ばす威力を誇る。
 運命操作による必中効果は健在であるものの、概念的な特性がないため必ず心臓に当たるわけではなくなっており、あくまで単純威力系の宝具に分類されるが、スキル「運命を操る程度の能力」の判定次第では何度かわされようと標的を捕捉し続ける特性は維持している。

『永遠に赤き紅霧の世界(エンボディメント・スカーレットデビル)』
ランク:C+ 種別:大界宝具 レンジ:??? 最大射程:ー
 かつて幻想郷を覆い尽くした赤い霧を発生させ、周囲を闇夜へ変性させる固有結界。
 結界内に陽の光は届かず、ランサーは吸血鬼・悪魔としての全能力を発揮出来る。また、結界を満たす紅霧そのものがランサーの魔力で精製されたものであるため、空間内での戦闘において、ランサーはあらゆる魔力消費が軽減され、全能力が僅かに向上する。
 ただし、そもそも宝具の発動に多大な魔力が必要であるため、結果的には消費の方が大きい。

【Weapon】
『サーバントフライヤー』
 蝙蝠型に精製された魔力を飛ばす。
 同時に複数展開可能で、標的に向けて軌道を操ることで指向性を持たせられる。

『スペルカード』
 本来所持している各種スペルカード。
 宣言と同時にその能力を発揮する。

【サーヴァントとしての願い】
 ディオが進む運命に興味がある。
 彼はきっと、数奇な運命を辿ることになる。

【基本戦術、方針、運用法】
 吸血鬼として破格の身体能力を誇るレミリアと、狡猾なディオによる戦略が肝。
 昼間は『永遠に赤き紅霧の世界』で敵を己の有利な空間に引きずり込み、夜間ならば闇夜からの奇襲を仕掛けるというのが基本戦術なのだろうが、
 マスターであるディオはまだ経験を積む前の子供時代からの参戦のため、結局レミリア主導の脳筋戦術が主になる可能性が高い。

【人物背景】
 かつて幻想郷を妖気を帯びた紅い霧で包んだ、紅霧異変の首謀者。誇り高き紅魔館の当主にして、吸血鬼である。
 異変を起こした理由は、幻想郷全体を紅い霧で覆ってしまえば、日光が遮られ、昼間でも騒げるようになるんじゃないか、とのこと。
 吸血鬼としては少食で、一度に人間から多量の血を吸えない。また、吸いきれない血をこぼして服を真っ赤に汚してしまうことから「スカーレットデビル(紅い悪魔)」の異名を持つ。
 本人はワラキア公国君主、ヴラド・ツェペシュの末裔を名乗っており、自らのスペルカードにも彼の名を冠するものがあるが、別にヴラド・ツェペシュの末裔ではない。血縁関係もない。
 その本質は尊大かつ我が儘で、非常に飽きっぽいという見た目通り少し幼い思考。常日頃から退屈しており、気紛れで突拍子も無いこと(ロケットを造って月に行きたい、など)を思いついては周りを振り回している。
 また、運命を操る程度の能力を持っているとのことだが、それが有用性を見せたことはないため、どのような能力であるかはイマイチ不明。

 その本質は、目にも留まらぬスピード、岩をも砕くパワー、思い通りに悪魔を使役できる莫大な魔力といった反則的な身体能力にあらわれており、小手先のテクニックを無視する戦法を好む。
 また、防御面においても優秀で、自らの身体を霧や蝙蝠に変えることも可能。頭以外が吹き飛ぶ怪我を負っても、一晩で元通りになる。
 ただしその反則的な身体能力に比例して弱点も多い。
 日光に弱い、流れ水を渡れない、にんにくを嫌う、鰯の頭なんて持っての他、と散々だが、十字架には強い。というか彼女は、なんでそんなもんにやられなきゃいけないのか常々疑問に思っている。

【出展】ジョジョの奇妙な冒険 Part.1 ファントムブラッド
【マスター】ディオ・ブランドー

【人物背景】
 ジョジョの奇妙な冒険における、伝説のはじまりにして、諸悪の根源。その子供時代からの参戦。
 まだ吸血鬼とも波紋法とも関係を持つ前からの参戦だが、それでもディオは生まれついての悪。ジョナサンへの悪辣な嫌がらせの数々は子供ながらに徹底している。
 父を憎んでおり、母を否定している。
 ダリオが母のドレスを売れと言った折、涙を流しながら父の殺害を心に誓った。また、酒を飲まずにはいられなかった夜更けも、母を侮蔑するような言葉を受け、激怒し酒瓶で男の頭をぶん殴っている。
 宿敵ジョナサンから父の名誉に誓えと迫られた折にも激怒したことを思えば、多分両親を引き合いに出すと割と簡単にキレる。

【能力・技能】
 幼き日々を貧民街で生き抜いてきた知恵と技術。

【ロール】
 金持ちの家のおぼっちゃま。
 だが、今は実質レミリアお嬢様の屋敷という扱いになっている。

【聖杯にかける願い】
 誰にも負けない男になり、天国へいく。
 そこにダリオがいたなら、もう一度殺し、地獄に堕としてやる。
 母がいたら、その時は――?
最終更新:2018年06月03日 22:48