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 私、星降そそぐ。

 私がマスターってことはクラスのみんなに内緒なの。

 色々あって脱落の危機!?

 助けて大地君!

 星色ガールドロップ 第二星『ヘルプ、そそぐはマスター』

 来週も恋にドロップ、ドロップ



   *   *   *



 投下終了します。











 投下終了しねーよォッ!!(バリバリ)



   *   *   *



 などとタイトルをバリバリ破いて出てきたところでアニメはCMに入った。
 マシュ・キリエライトは今見たアニメの番組を吟味し、論理的に考察し、そして───

「日本ではこういうアニメがポピュラーなのでしょうか」

 困惑と共に結論を下した。
 いかんせん、マシュはカルデアの外、つまり日本の世俗に関しては疎い。
 本や資料を読んだから知識として日本の風土を知っているがこういったサブカルチャーを見るのは初めてだった。

(こういったアニメが好きなら先輩はさぞカルデアで退屈されていたでしょうね)

 目を瞑り俯きながら、自分の前のマスター、藤丸立香の姿を思い浮かべる。
 とそこへ───

「歌詞が思い浮かばなーい」

 今のマスター、星降そそぐの叫び声が2階から響いた。
 二階のマスターの部屋のドアが開く音。床の軋む音。階段からの足音。
 降りてきたのは赤みがかったプラチナブロンドの髪の毛の女子だった。
 後ろ髪を赤いリボンでまとめる彼女はマシュの前までやってくると両肩を掴んでいった。

「マシュさん、たすけてー!」
「すいません、マスター。私に作詞・作曲のスキルはありません」
「新曲の発表は来週なのに」

 雨で濡れた子犬のように目を潤ませながらマシュを見つめるマスター。
 何故か罪悪感がこみあげてきて堪らずマシュはアドバイスを出した。

「マスター。これは私の経験なのですが。
 自分が何のために歌(たたか)っているか。
 その想いを形にすればよいのではないでしょうか」
「何のため……それは勿論! 大地君!!
 そうか! 私の大地君へ想いを歌詞にすればいいんだ。ありがとうマシュさん!」

 またドタバタと二階へ上がっていった。
 何故また二階に上がったか。それは彼女が見滝原に持ってきていた「大地君ブロマイド集」とやらを見に行ったからだろう。

「エリザベートさんと清姫さんを足して二で割ったような情熱的な方です。
 まさに行動力の化身。でも悪い人じゃないようで良かった」

 それにしても何故自分がここにだろうか。
 マシュの最後の記憶は冠位時間神殿で魔神王ゲーティアの宝具を防いだところまでだ。
 あの時自分は蒸発した。聖剣億本級の熱量を浴びたマシュは消滅したはずだ。
 そもそも人理焼却されたはずなのに何故人類が活動しているのか。
 その答えは決まっている──────先輩が世界を救ったんですね。

 まるで自分の偉業のように誇らしく、頬が緩む。
 自分がここにいるのはベディビエールさんみたいに座から評価されたのだろうか。
 少なくても英霊として登録されるような偉業を成し遂げた実感はマシュにない。

(この世界について、もう少し調べないといけませんね)

 テレビに視線を戻すとさっきまでアイドルをやっていた子がいつの間にか死んで、ガイアの怪物を名乗る白い大きな何かによって蘇っていた。
 マシュは目を離した数十分のミッシングリンクを埋めようとして───

「訳が分からないです。」

 考察を投げ捨てて別のチャンネルを見た。
 キャスターがニュースを読み上げている。
 武道館でヘルシェイク矢野という人物のライブで入場者数が1万人を超えたとか、将棋界でAIが反乱を起こしたとか、スケルトンというレースで優勝者がロボットだったとか。

「訳が分かりません」

 ますます世俗との距離を感じつつ、そっとTVの電源を切った。

 2階からできたーというマスターの嬉々とした声が聞こえた。



【サーヴァント】
【クラス】
シールダー

【真名】
マシュ・キリエライト

【属性】
秩序・善

【パラメーター】
筋力:C 耐久:A 敏捷:D 魔力:B 幸運:C 宝具:B+++

【クラススキル】
対魔力:A
 どのような大魔術だろうとA以下の魔術を無効化する。

騎乗:C
 正しい調教、調整がなされたものであれば万全に乗りこなせる

自陣防御:C
 味方、ないし味方の陣営を守護する際に発揮される力。
 防御限界値以上のダメージ削減を発揮するが、自分はその対象に含まれない。
 ランクが高くなるほど防御範囲は広がっていく。

憑依継承:
 サクスィード・ファンタズム。
 憑依した英霊のスキルを自己流に昇華する。
 マシュの場合は『魔力防御』。
 魔力放出と同じタイプで魔力を防御力に変換する。

【保有スキル】
誉れ堅き雪花の壁
 パーティ全体にかかる防御バフ。使用者の精神力を防御力に変換させるもの。

時に煙る白亜の壁
 時に煙るという名の通り、対象の時間軸を一時的にずらして攻撃を回避させる。
 ランクが上がれば高次元の攻撃も無効化する。

奮い立つ決意の盾
 一時的に自身の防御力を上げ、敵の攻撃を引き付けるスキル。

【宝具】
『いまは遥か理想の城』(ロード・キャメロット)
 ランク:B+++ 種別:対悪宝具 レンジ:??? 最大捕捉:???
 白亜の城『キャメロット』を展開し、その城壁で攻撃を防ぐ。
 マシュの精神が折れない限り白亜の城壁は如何なる攻撃からも対象を守り切るが、
 だれよりも前に出て攻撃を受け続けるマシュにその絶対防護は届かない。

【weapon】
巨大な盾。

【人物背景】
Fate/Grand Orderより。
最終章にて藤丸立香を守り切った後~第四の獣に逢う前のマシュ。

【サーヴァントとしての願い】
自分が何故ここにいるのか。
マスターを守るべきなのか。
それとも願いを叶えるべきなのか。




【マスター】
星降そそぐ

【出典】
星色ガールドロップ

【マスターとしての願い】
大地君のところへ帰りたい

【weapon】
なし

【能力・技能】
アイドル:
 歌って踊れるアイドル。

ストーキング:
 隠密的にすら見える献身的な後方警備。

【人物背景】
星色ガールドロップに登場するヒロイン。
主人公の平大地の幼馴染。銀河原高等学校の学生。
某事務所にスカウトされ、同級生の月野しずくと先輩の夕陽ころなと共にアイドルグループ『ドロップスターズ』を結成。秘密裏にアイドル活動を始める。
そんなときにマネージャーの病気より急遽として平大地をマネージャーに抜擢。
その間、デビルボルケーノとの対決や同じアイドルグループの二人と音楽性が違う事で解散しそうになるなど多くの苦難に晒される。
だがそれも平大地と乗り越え、共にアイドル活動をしていくうちに秘めていた愛情が暴走していった。


*   *



 人々は星に願い、それを夢見る。

 極天の流星雨。最終星。
 星の内海。白き花が咲き乱れる白亜の■■の前。
 彼女は魔術礼装『天の衣』を身につける。
 魂の物質化を、つまり願望を成就させる魔術礼装はホムンクルス以外の装着を許さない。
 体の端から黄金化していく中、■■■は■■■の■■を願う。



 ガイアの怪物。霊長の殺戮者。■■■■■■■は賞賛する。

 ───本当に、美しいものを見たと

 かくして星降そそぐは復活した。
 かつての約束が成就されることを夢見て




 Fate/Grand Order ~Cosmos in Girl Drop~

 最終章『星降る大地、大切な約束』






 いや、そうはならんやろ。



【方針】
君だけに教えねーよ。
最終更新:2018年04月26日 16:45