ジョルノ・ジョバーナのレクイエムにより、ディアボロは永遠の零となった。

 車に轢かれて死んだ。戦場で流れ弾に当たって死んだ。火事に巻き込まれて死んだ。崖から突き落とされて死んだ。解剖されて死んだ。飛行機の墜落で死んだ。
 とにかくとにかく死に続けて、あれは何度目の死だったか。

 最早数えるほども馬鹿らしい回数死に続ける日々のなか、ディアボロは偶然にもソウルジャムを手にし、この聖杯戦争に参加する資格を得た。

(これが最後のチャンス……ここで聖杯を手にいれれば、俺はレクイエムから解放され、再び永遠の絶頂へと到達できる。
 どんな手段を使ってでも絶対に俺は聖杯に至るッ!!!)

 そのためには、まずは生きねばならない。

 ディアボロは空腹に耐えつつ、路地裏でごみ箱を漁っていた。
 彼のロールは、無い。厳密に言えば不況で倒産した会社の元社長で、今では住所不定無職……つまり、ホームレスである。

(……惨めだ。何故俺がこんなことを……糞ッ、糞ッ……)

 生きるために残飯を漁る姿は、組織のボスとして君臨していた男とは思えないほど惨めなものだった。
 そこらの通行人から金を巻き上げてもいいが、予選の段階で目立つ行動はまずい。
 腐っても帝王。苦渋の決断だったが、繰り返される死の連鎖の中でディアボロの心は既に折れていたのかもしれない。

「ウイイイイイイイイイイイイ↑ッス!どうも、バーサーカーで~す!」

 偵察に差し向けていたバーサーカーが霊体化を解除し、軽快に挨拶する。
 ディアボロはオーバーグラスをつけた小柄な男を一瞥すると、気を引き閉め直して向かい合った。
 現状、唯一の手駒であるバーサーカーは上手く扱わなければならない。

「戻ったか、バーサーカー…… 他のマスターの目星はついたか?」

「参加者~は居ると思うんですけど、なぜ来なかったんでしょうかね~?不思議ですね~」

 能天気に報告するバーサーカーに苛立ちを押さえきれない。
 バーサーカーは、どう贔屓目に見ても無能であった。何故か会話はできるが、意思疏通が成立しない狂人であり、能力も貧弱である。
 サーヴァントはサーヴァントでしか倒せないという大原則を抜きにすれば、そこらのNPCにすら負けるだろう。
 唯一の利点は、バーサーカーでありながらアサシンの真似事ができることぐらいか。
 聖杯からの知識によると、サーヴァントとは過去の英雄であるという。本当にこの無能が英雄なんて大それた存在なのか、ディアボロにとって心底疑問だった。

「収穫は無し、か。……貴様、本当に偵察してきたのか?また其処らのカラオケとやらで遊んできたんじゃあないだろうな?」

 サーヴァントにとって衣食住は必要ない事もあり、バーサーカーがホームレス状態のディアボロに関しては何ら手を貸すこともない。
 それどころか数少ないディアボロの所持金を勝手に使って遊ぶことすらある。
 貴重な資金でレトルト食品を買い漁り、オリジナルメニューと称して食べ物で遊んでいたときは、本当に令呪を使ってやろうかとすら考えたほどだ。

「ほならね、自分がサーヴァント殺ってみろって話でしょ?私はそう言いたい」

「それでも俺のサーヴァントなのかッ!! 少しは役に立てッ!!」

「それは君がそう思ってるだけやでぇ。なんで俺がやらなあかんねん。 
 時分の身は、自分で守れる筈です!」

 激昂するマスターを歯牙にもかけないサーヴァントに、自らの前途多難さを再認識し、ディアボロは頭を抱えるのだった。


【CLASS】バーサーカー
【真名】Syamu-Game
【性別】男
【属性】混沌・狂
【ステータス】筋力0(E) 耐久0(EX) 敏捷0(E) 魔力0(E) 幸運0(E) 宝具0(EX)
※宝具の影響により閲覧ステータスは全て「0」と表記される。
実際のステータスは括弧内のもの。

【クラススキル】

狂化:EX
 一見、バーサーカーは理性を持って普通の言葉を話し、コミュニケーションが取れるように見える。
 しかし、彼の話す言葉の一部は、我々にとって意味不明で理解不能な物ばかりであり、肝心な部分でコミュニケーションが取れない可能性が高い。

【固有スキル】  

運命の数字:A+
 生前に固有の数字に関する逸話のある人物が希に所持するスキル。
 彼の場合、運命の数字とは零を示す。
 バーサーカーの接する『数字で表記できる事象』は高確率で0に終息する。
 同盟0人、敵対者0人、犠牲者0人、生存者0人、目撃者0人……etc。
 このスキルの影響は非常に多岐にわたり、どういった形でこのスキルが発動するのかはバーサーカー自身も予想できず、その匙加減はこの世界の観測者に委ねられる。

無力の殻:A+
 サーヴァントとしての戦闘力を零にする代わりに、他者にサーヴァントであると認識されなくなる。
 サーヴァントでありながらそこらのNPCよりも存在の格が低く、彼をサーヴァントであると看破することはほぼ不可能に近い。

無辜の土竜:EX
 大物YouTube r 『Syamu-Game』
 趣味人により素材として培われたイメージにより存在が変貌している。
 このスキルは外せない。

【宝具】

『零の加護を受けた男(Syamu_Game)』
ランク:0 種別:対人(自身)宝具 レンジ:0 最大捕捉:0
 存在そのものが零という概念を内包しているため、外的要因による状態変化を受け付けない。
 0×0が変わらず0であるように、劣化も進化もせずそこに存在し続ける。
 例え大軍宝具の直撃を受けようとも傷すら負わずに変わらず現界し続けるだろう。
 よってバーサーカーを消滅させるには、マスターを殺害するか、何らかの方法で"真実を上書きする"しかない。
 また、零の概念を相手に用いることで「動作や意思の力をゼロにする」といったレクイエムの真似事が出来る。

『伝説の始まり』
ランク:0 種別:対人宝具 レンジ:0 最大捕捉:0
 特定のエリアを自らのオフ会の開催地と定義し、そこから強制的に自身を除く全ての人間(NPC、サーヴァント、マスター)を退去させる。
 因果が確定されているため、何者であろうともオフ会が開催されている限りはそのエリアに近づくことはできない。
 本来なら自身のマスターも弾き出されるのだが、後述の宝具による影響でディアボロに限りオフ会に参加する事ができる。

『ほならね理論』
ランク:0 種別:対人宝具 レンジ:0 最大捕捉:0
 バーサーカーが攻略できない/打破できない困難に遭遇したときに発動可能な宝具。
 聖杯戦争での敗北という結果にいたる過程を、第三者におっかぶせる事ができる。
 例として強敵に遭遇→敗北→『ほならね』→自身と『困難そのものに該当する者以外』の誰かに敗北への過程を体験させる。
 対象がその困難を打破できなかった場合、それは元からその人物による敗北であったとして因果を塗り替える。
 なおこの宝具の発動には条件があり、
1)バーサーカーの敗北への過程と結果を直接目撃している
2)自分ならもっとうまく対処できる(~がつまらない)』と考えてる
3)令呪を1画使用する
この三つを満たして初めてほならね理論は完成する。 
なお、発動させても相手が正攻法で困難を打破すれば逆に論破されたとして、以後この宝具は使用できなくなる。

『順平新説シリーズ』
ランク:0 種別:対人宝具 レンジ:0 最大捕捉:0
 同質の宝具をもつ男優と異なり、万物に変身はできない。
 今回はバーサーカーと同一存在であると考察された三人のスタンド使いの概念を礼装とし、空条徐倫の『ストーン・フリー』、吉良吉影の『キラークイーン』、そしてマスターでもあるディアボロの『キングクリムゾン』を限定的に使用できる宝具となっている。
 なお、ストーンフリーの展開にはバーサーカー自身の肉体がスタンドに変化する。
 ただし、三体のスタンドを同時に展開したり、能力を併用して使用することはできない。また、成長性も0(なし)となっているため能力の成長は見込めない。
 数字の零を内包したバーサーカーは時間に関連する能力と相性が良く、時の静止/消し飛ばされる世界を認識できる。
 しかし新説で提示された通り、時を飛ばす能力は使用できない。
 観測世界においてバーサーカーと同一の存在と語られた影響により、
マスターであるディアボロは徐々に"Syamu-Game"に侵食されつつある。
 (具体的に言うと突然オフ会を開きたくなる、オーバーグラスを着けたくなる、など)

【Weapon】

【人物背景】
 人生の30年間を消し飛ばした男にして、日本一有名な無職件大物YouTuber。
 無辜の土竜とバーサーカーで呼ばれた事が合わさった結果、彼はSyamu-Gameという存在が動画内で放った台詞や取った行動をトレースし続け、『Syamuさんが聖杯戦争で言うであろう事』を喋り、『Syamuさんがするであろう』行為をするだけの存在となっている。

【サーヴァントとしての願い】
聖杯で助詞とコイニハッテンシテ…  素敵なことやないですかぁ


【マスター名】 ディアボロ
【出展】ジョジョの奇妙な冒険 第五部 黄金の風
【性別】男
【能力・技能】
スタンド『キングクリムゾン』

【人物背景】
 巨大ギャング組織「パッショーネ」の元ボスにして、レクイエムにより『「死んだ」という結果』にすら到達出来ず、永遠に「死に続ける」事になってしまった男。
 世界のどこかで死に続けている最中にソウルジャムを拾ったことでこの聖杯戦争に参戦した。

【聖杯への願い】
 レクイエムから抜け出し、再び永遠の絶頂を目指す。
最終更新:2018年05月08日 00:58