「みっつ、醜い浮世の悪を――でも、美しいひとなんて、何処にもいないじゃあないですか」
≪The purpose of business is to create a customer≫
【名前】御子柴 さつき
【性別】女
【年齢】17歳
【3S】87/59/88
【容姿】
大きく広げられた丸い両目に、黒縁の瓶底眼鏡。背中まで伸びる長い黒髪の一部を二本の三つ編みにし、それぞれ両肩に下げている。
普段着は紺色の着流し。〝拝み屋〟としての仕事着は赤黒い直裰と天蓋籠(髪は纏めて籠に押し込む)、短い錫杖と腰に携えた小太刀。在英日本人として振る舞う際には、淡黄色のワンピースと白のベレー帽を身につける。
身長は160cm前後。発育は良いようで、比較的着痩せするタイプだというのにはっきりとした膨らみを持つ。右腕から肩にかけて、恐らくは何らかの写経と思しき梵字が隙間なく記された包帯を巻いている。
【魔術】
≪泥中の枯れ蓮≫
彼女の家系が受け継いできた、〝拝み屋〟としての宿命――或いは、呪いそのもの。性質だけに着目すれば、魔術よりも呪術と呼ぶべき代物に近い。
呪物の製造や〝呪い返し〟による呪祓、更には呪詛を用いた一定程度の拘束・洗脳なども行えるが、直接的な攻撃力は高くない。
出自こそ西洋魔術とは大きく異なる代物であるが、多くの人々が信仰してきた神秘に由来するものであるという点において変わりはない。
だが、その本質は〝呪い〟である。人の不幸を願い、破滅を祈り、死して尚遺り続ける現世への怨念を無秩序に集積した〝負の感情〟の塊に、彼女の操る魔術は帰依している。
況して御子柴家は数百年と続いている家系であるが為に、その魔術刻印には「何が宿っているのか、さつき自身にも分からない」という。
嘗て被差別階級に産まれた彼女の囊祖は、神秘に通ずる何の才覚もないにも関わらず、己を〝呪いを扱う人間である〟と自称した。
多くの人々は彼の言葉を一笑に付した。だが、藁にも縋る思いで彼を頼ろうとする人々も、一握りながら存在した。そうして受け取った僅かな金銭や食物で、彼は辛うじて糊口を凌ぐことができた。
無論のこと、その対価として彼が行った〝呪い〟は、単なる迷信に過ぎない代物であった。一縷の望みを彼にかけた人々は、その多くが彼を呪いながら死んでいった。
だがある時、彼が呪ったある人間が死んだ。平民を長く重く苦しめることに愉悦するような、嫌悪される領主であった。
途端、人々は彼の〝呪い〟を信じるようになった。それはまじないと言うことさえ烏滸がましいような彼のペテンであったのだが、確かに人々の心へと信仰を産んだのである。
気付けば彼は、本物の〝呪い師〟となっていた。拝するだけで悪霊を祓い、神を宥め、人を殺す。――それだけのことができるほどに、人々は彼に縋るようになっていた。
だが水面に浮かぶ藁が、果たしてどれ程の重みに耐えられるというのだろう。己れに宿る〝呪い〟と、彼に殺されてきた死者たちの怨念となって帰結した〝呪い〟は、彼の命をひどく儚くした。
それでも彼は、畜生のように這いずり回って生きた彼の半生を、自身の子には味合わせたくなかった。死の床についた彼は、〝呪い祓い〟のためにある村人から預かっていた無銘の小太刀で、自身の腕を斬り落とした。
そしてその刀に己れの血を吸わせ、その刃に自身の骨で印を刻んだ。それが、御子柴家の魔術刻印となる。
以降の代を過ぎて、御子柴家は〝拝み屋〟として世を渡ることになる。人々の怨嗟を喰らって私腹を肥やす彼ら彼女らは、しかしその何れもが五十にも至らぬ短い生涯であった。
そうして、現当主・御子柴さつきにこの〝呪術〟は受け継がれた。元より決して頑強な身体を持たずに産まれた彼女は、その幼年から好褥の身であり――それでも尚、彼女は聖杯を掴もうとし続けている。
【礼装】
『無銘』
御子柴家の魔術刻印であり、稀代の〝呪い刀〟。艶の消えた黒い鞘に、仄かに赤みを帯びて脂に曇る刀身を納めた「妖刀」である。
鍔から鋒にかけて、震える手で為したような〝刻印〟がびっしりと刻まれている。この印は、〝御子柴家が呪い殺した〟或いは〝祓うために、御子柴家が引き受けた〟凡ゆる呪詛を封じるためのもの。
その紋様に〝傷口から流れる血〟を浸すというプロトコルにより、傷の主に少しずつ〝呪い〟を逆流させることが可能。
短時間の接触であれば殆ど影響はないが、幾度も斬りつけられれば/長く突き刺され続ければ、刀に宿る無数の怨念と悪意は確実に敵を蝕んでいく。
真に恐るべき呪いは、目をつけた相手が嬲りものにされて悶え、苦しみ、やがて死ぬ様を心から愉しむ。この刀も、その例外ではない。
『S&W M19』
アメリカ合衆国・スミス&ウェッソン社のリボルバー拳銃。使用弾薬は38スペシャル及び357マグナム弾、装弾数6発。
別名「コンバット・マグナム」。魔術礼装ではない、彼女の個人的な装備である。御子柴家のパトロンの一つである暴力団から、餞別として譲り受けた代物。
長距離攻撃手段に乏しい
サーヴァントを召喚した際の保険であったが、当然ながら射程距離も射撃精度もおよそ遠距離使用には堪えない。
まして銃器の扱いに不慣れな彼女にとっては、まさしく護身具以上の意味を持たない武器である。
【目的】
聖杯の獲得。それにかける願いを、彼女は未だ語らない。
【性格】
歳相応、外見相当に落ち着いた性格の少女。基本的には内気ながらも、内心では他人との繋がりを求めている。
こと心を許した相手の前では饒舌になり、満面に浮かべた明るい笑顔で接する。
だが、曲がりなりにも〝拝み屋〟として育てられた少女である。人間の醜さと愚かさを、彼女は余りに知り過ぎてしまった。
故に一度敵と見做した相手には、無慈悲さを以って相対することが可能な冷酷さをも胸裡に秘めている――そしてそれらは、時として矛盾と苦悩を彼女に齎す。
【概要】
日本に名高き祈祷師――〝拝み屋〟の一族である、御子柴家の27代目当主。
彼女の兄にあたる先代の当主が夭逝したため、2年前から同家の当主を務めている。
名目上はクリーンな組織であり、「解呪」や「お祓い」といった仕事を引き受けているとされるが、実際には違う。
呪術を用いることによる人物の殺害や組織の解体を、多額の報酬と引き換えに代行する――そんな「復讐業」や「殺人業」に、同家の本質がある。
故に民間人からの依頼は無論のこと、各界に複数の太いパイプを持っており、政界や暴力団などとも繋がりが強い。
そして今回の
聖杯戦争において、彼女に
マスターとしての資格があることが判明。
魔術師にとっての最も偉大なる栄光の一つ、「聖杯の獲得」を目指し、彼女はロンドンへと向かった。
最終更新:2016年07月10日 20:15