現実の競争社会が効率的になっているかどうか、あるいは今めざしている競争社会が効率的な社会かどうかに関しては、疑問がある。どうやら今日本がめざしている競争社会は、その競争に参入する人としない人、あるいは参入できる人とできない人が、相当若いときから選別されてしまっていて、少数の人にしか開かれていない競争であるようだ。(26-7)
この対人コミュニケーション能力は、不平等という観点から見ると、きわめてやっかいな性質を持っています。自分がいじめられた、不当に恵まれなかったと感じると、この能力は損なわれやすい。不当に何かを奪われたという自己認識を持つと、強い自己不安を抱えたり、他人に対する攻撃性を持ってしまう。優しさとか、人当たりのよさを身につけにくいのです。だから、優しさや人当たりのよさを重視する集団からは排除されやすい。今の若者言葉を使えば、とても「イタい人」として嫌がられ、人格的に評価されなくなるわけです。(50)
アメリカでは現実にかなりコネ社会の部分があって、クビになった後でこそ学歴の高さが効いてくる面もあるわけですよね。一時点ではなく、一生単位でみた場合、アメリカでは日本よりも大きな機会の不平等が発見できると思います。それに関しては、全財産を賭けてもいい(笑)。[佐藤俊樹発言部分](67)
現在では税と社会保障の再分配への貢献比率は、七%対九三%という数字になり、圧倒的に社会保障制度のほうが所得の再分配に貢献しているのである。(158-9)
わが国の最低賃金は、OECD諸国の中でそのレベルに関して、相当の下位にある点である。(170)
最低賃金のほうが、生活保護制度による支給額よりも低くなっていることがわかる。(171)
後者に関して、生活保護の支給を減らすべきなのではなく、最低賃金を上げるべきであることは論を待たない。
最終更新:2007年03月24日 20:20