しかし、一つ、もし職の数が決まっていれば、ある数の人が職場に入れば、同じ数の別の人が出て行くことになる。そして、ここ[職業訓練]に加わったのは、働く(働こうとする)側を見れば、訓練のコストである。もちろん、代わりに産業が高度化するかとか、生産自体が拡大するとか、条件が変われば様々が変わる。しかし少なくともこの現状の社会にはかなり妥当する条件をおいた場合には、たいしてよいことがないことは言える。(16-7)
あなたが、それを売り払わなくても暮らせていける条件があった上で、売り払うとしたものは、あなたにとってほんとうに手元におきたいものではないとは言えるだろう。そして、あなた自身が作ったのかそうでないのか、いずれにせよそれらの事物に対する本来の所有権はない。そして、それを必要とする人はいる。ならば――次にこのことを述べるのだが――もしあなたがその財の生産に関わり苦労はしたのであれば、そのことは考慮した上で、分けるものを分けることにする。(12)