そもそも問題なのは、求職者に対する求人が少ないこと、言い換えると、失業率が高いことである。生活保護などの社会保障があるとはいえ[*5]、基本的には働かないと生活ができないのであるから。求人数の減少は1990年代初頭のバブル崩壊の影響が大きいであろう[*6]。全年齢で失業率は上昇しているが、とりわけ若年層でその傾向が強い[*7]。小杉や橘木俊詔が指摘するように、日本ではとりわけ一旦採用した人を解雇するのは困難であることに加え、技術を身に付けた労働者を失いたくないので、どうしても新規採用の抑制に傾きがちなのである[*8](小杉編 2002: 187; 橘木 2004: 142)。先に見たように、失業者の一部または全部が「フリーター」として数えられており、失業者の中で求職をあきらめてしまった人たちが「ニート」に含まれている。「フリーター」や「ニート」のかなりの部分が従来から存在していた失業者というカテゴリーで説明できるのである。
この失業という問題は古典的な問題である。景気循環による失業への対策はジョン・メイナード・ケインズ(John Maynard Keynes)の理論が代表的である。ケインズ理論では構造的に失業者が存在するとされるので、個々の失業者の責を問うのではなく、政府がその対策をすべきだとされる。
[*5]
近年では生活保護でさえ切り詰められつつある。
[*6]
1980年代における女性の労働力化の影響のほうが大きいかもしれないが、本論文では触れない。
[*7]
巻末資料の図2「年齢別完全失業率の推移」を参照。
[*8]
アメリカでは再雇用を前提として一時解雇するレイオフという慣行がある。
最終更新:2007年05月02日 18:40