トニー・マイヤーズ,村山敏勝ほか訳、『スラヴォイ・ジジェク』,青土社,2005.

  • 全体的にわかりやすく、精神分析用語の解説も悪くないと思う。

  • <他者>の崩壊
再帰性が普遍化した要因のひとつは、「大<他者>」の崩壊、つまり社会的制度、習慣、法といった共有のネットワークの衰退である、とジジェクは言う。(89)

  • 享楽せよ
性的享楽のイメージにたえずさらされ、また性的享楽に溺れるようにつねに促されているために、どのような意味でも、性的快楽が禁じられているなどとは、いまや主張できない。それどころかジジェクからみれば、肉体的満足は公的イデオロギーの地位にまで高められた。われわれは、性行動を楽しむよう強制されているのだ。(95)
これはおかしい。規範としては性的快楽が禁じられていなくても、事実上禁じられている場合も多い。なぜなら相手の同意を得なければならないから(一人で行う場合は別として)。

  • ポストモダニティのパラドクス
ポストモダニティのパラドクスは、大<他者>の崩壊によって与えられた自由が、じつは重圧として経験され、それが規律への欲望として現れるということだ。(98)
最終更新:2007年02月22日 17:07