因縁――定まった運命とは殺し合いの世界に来ても、その縁は切っても切れないモノ。
皇帝と剣龍帝、この2人以外にも因縁のある者たちがいる。
こことは違う、自分達がいた世界で殺し合いをした2人が……。

「……武器や能力の没収は本当らしいな」

西にある病院とは別の病院の屋上で、偶々見えた雷の閃光を見て呟く銀に近い灰色の頭髪の男。
霜月 翔也――アグニ02。如月 和輝こと和輝と同じアグニシリーズという造られた人間の1人。
彼が没収された武器は手甲、雷が付属されて感情によって威力が上がる代物だ。
そして自身の能力である死龍の印も。

「が、ここで奴を殺せるのなら文句はない」

参加者名簿に【如月 和輝】という名前が記載されているのを確認した翔也はどこか高揚していた。
憎き相手を殺せる興奮と歓喜が全身に駆け巡る。
支給品一式と共にバッグに入っていた銀のガントレット。
使い方は触れた瞬間に覚えた、『風を起こす、操る』。
朧気だが、自分が装備していた手甲と使い方が同じだと感じた。
試しに風の刃を形成させて病院の手摺に向けて放つとあっさり切れた。

「調子は上々だ、奴を探して殺す。その後は……まぁ良い、今は奴だ」

翔也は和輝に対する憎悪を胸に秘めて、屋上から夜の病院の中へと歩を進めた。


     ◆     ◆     ◆

「ッ! 今の光は……!」

和輝は遠くで一瞬の光を見て、目の前にいるかもしれない敵から注意を逸らしてしまった。
普通だったら直ぐに気のせいだと無視するはずだが、光の形に見覚えがあったため、和輝の思考は別の方向に行ってしまったのだ。
そして前方から葉が擦れる音が聞こえてからアグニは直ぐに相手が動いたことに気付く。

(ッ、前に集中しろ俺! ここで死んだら元も子もないだろ!!)

気がそれたことを反省しつつ、兎に角生き残ることを考える和輝。
すると彼の想いに応えたのか、リボルバー式の大型拳銃――ティアマットに宿されている能力が発動する。
和輝の髪が赤から黄金へと染まり、眼も人間の眼から肉食獣の眼へ、爪も鋭利な刃物のように変貌する。
最後に、彼の額から龍の眼が開かれる。
『龍眼発狂』、彼がこの世界だけ得た能力。そして発動されたこの能力は和輝の身体能力と肉体能力を大幅に上昇させ、先ほど負傷した左腕が徐々に治っていく。

(? 急に暗闇が見えるように…………、って左腕の傷が多少治ってきている!?)

突然の変化に驚く和輝だが、今はそれどころではない。
暗闇が見えるようになったらこちらから仕掛ける事が出来るが、生憎相手が遠距離の武器を持っていて下手に動くとなると確実に死ぬ虞がある。
和輝の取った行動は――、

「逃げるしかないなッ!」

ティアマットを前方の木の上目掛けて発砲する。
相手が怯んだ声が聞こえたが、それを無視して和輝は龍眼発狂で上昇した身体能力を駆使して全速力で逃げた。
コンパスと地図を確認する余裕はなかったが、取りあえず東へ走った。
逃げながら彼は早く知り合いと合流したいこと切に願う。
その途中、川が見えてそれの流れに沿って道路のある方へ向おうとする。
しかし、タイミング悪く龍眼発狂の効力が切れて疲労が一気に出始め、和輝はそのまま川の中へと倒れこんでしまいそのまま流されてしまったのだった。


【北東 病院 トンネル東口付近/1日目/深夜】

【霜月 翔也@希望と絶望の協奏曲】
[状態]:良好
[装備]:銀のガントレット@INACTIVE OF SAFEHOSE(アージェント・クロノクル)
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
(基本):如月 和輝を探し出して殺す。
1: 病院から出る。
2:殺し合いに乗るか乗らないかは気分次第。でも和輝を見つけたら殺す。


【北 山小屋西側の川/1日目/深夜】

【如月 和輝@希望と絶望の協奏曲】
[状態]:極度の疲労
[装備]:ティアマット@理由のない日記(皇帝)
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
(基本):生き残るため、最低限の戦闘は行う。
1:ティアマットに宿された能力『龍眼発狂』を使用、その後倒れて川に流される。
2:知り合いとの合流 (切望)

(備考)左腕負傷が治ってきたのは龍眼発狂の肉体能力上昇によって、自然治癒力も強化されたため。





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最終更新:2009年09月12日 03:21