遠くで雷光が見えたのは如月和輝こと和輝だけではなかった。
トンネル付近にある小屋にいたヨミもまた雷光を見たのだった。

「今の何だ……?」

突然の光に支給品の確認を中断したヨミ。
向こうで人が殺されたのを彼女は知らないし、知る術もない。
少しだけ気になったヨミは雷光が光った場所へ行きたい衝動に駆られる。

「よし、あそこに行ってみよう。もしかすると協力してくれる奴がいるかも知れない」

危険人物もいるかもしれないことを考えず、ヨミは雷光が見えた方へ行くと決めた。
と、その前に、

「えーと、中にあるのは……ん? 剣?」

ヨミは支給品のバッグの中を再び見ようとするが、その隣に一振りの剣が鞘に納められておいてあった。
何の警戒もせず、彼女はその剣を手に取った瞬間。頭の中に剣に関する情報が流れこんだ。

「ヴァル……グラウズ? ヒメルの剣?」

主催者側の気まぐれか、それとも単なる偶然か、ヨミは仲間の武器を手に入れた。
とりあえず持って行こうと左腰にそれを差して雷光が光った場所へと小屋から出て行った。


     ◆     ◆     ◆


「ぐ……」

西の病院内の手術室で、手術台の上で眠っていた剣龍帝は目覚めた。
意識が定まらず、どうして自分はこんな所にいるのかと多少の混乱はするものの、自身に何が起きたのかゆっくりと思い出す。
確か、病院に着くと同時に貧血寸前となり、覚束ない足取りで手術室を目指していた。
何とか手術室に辿り着いて室内に入ると、悪い偶然なのか水色に近い髪を三つ編みにしたメイドと出くわしてしまい、それから意識が飛んだ。

「あ、気がつきましたか? どこか痛いところありますか」

そのメイドが手術台の隣にいた。
手には包帯と自分のコートを持っていて、どうやら応急処置を施してくれたようだ。
身体の方に目を向けると両腕両足に包帯が巻かれていて、特に酷い箇所である腹に大量の輸血パック(B型)のチューブが繋がっていた。

「ああ、問題ない。礼を言う、俺の名は剣龍帝。お前の名前を教えてくれ」
「アステリアです。ええと、剣龍帝……さん?」
「言い難いのなら龍帝でも呼んでくれ」
「『剣龍さん』じゃ、駄目ですか?」

『剣龍』と呼ばれ、少し険しい顔付きになる剣龍帝。
思わず殺気を出してしまいそうだったが、何の関係ない者を殺すつもりはない。
何故なら、この名を呼んで良いのは自分自身と殺してしまった天妃だけ、他の者には絶対に呼ばせたくない、例え友人・知人・仲間でも。

「すまないが、その名を呼ぶのはやめてくれ……」
「あ……、ごめんなさい」
「気にするな。尤も、もうこの名を呼んでくれる者はいないが、な……」
「え?」

少し喋りすぎたと反省した剣龍帝は治療後、情報収集をすると決めた。


     ◆     ◆     ◆


最初に龍帝さんが手術室に入った時は、殺されるかと思いました。
身体中が傷だらけで、腹部から血を流していたから誰かと殺し合いをしていたのかと思いましたから仕方ないですよね。
それに、ここが手術室で助かりました。おかげで応急処置が出来ましたし。
あと……龍帝さんが『剣龍』と呼ばれて、その後にその名前を言わないで欲しいと言った時の表情がどこか悲しそうでした。
この後、彼はどうするのでしょうか。というか、私もこれからどうしましょう……。


【北西 森―山小屋/1日目/深夜】

【ヨミ@Vulneris draco equitis・basii virginis】
[状態]:健康
[装備]:ヴァルグラウズ
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本:殺し合いに乗らず、仲間を集める
1:さっき遠くで光が差したほうに行く
2:ヒメルのヴァルグラウズを返す(?)
3:夢はでっかく世界征服!


【西 川―病院 付近/1日目/深夜】

【剣龍帝@理由の無い日記】
[状態]:治療中
[装備]:不明
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
(基本):終盤まで傍観しつつ黄色いリボンを探す。隙あらば主催側を壊滅する。
1:アステリアに応急処置をしてもらう。
2:癒えた後はこの世界に関する情報収集 。
3:他の参加者と接触して黄色いリボンの所持をしているか聞く。


【西 川―病院 付近/1日目/深夜】

【アステリア@T.C UnionRiver】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:不明
[思考・状況]
(基本):模索中
1:そこら辺にあった手術用具で剣龍帝の傷の応急処置。
2:この後自分はどうするか考える。


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最終更新:2009年10月30日 22:41