「……ガラスの向こう」
「あなたが見てる世界は……本当にみんなと同じ世界……?」
「〃」
「あなたの前にいる人は……本当に、あなた以外にも見えるのかな……」
「〃」
「あなた……確かめたことある?」
「〃」
「あなたの前を歩くひと……振り向いたら、どんな顔をしてるのかな……」
「〃」
「あなたに言ってるのよ」
「………………」
「……わたし リコリス」
「〃」
「……しってる? 彼岸花のこと」
「〃」
「花言葉はね ……『また会う日を楽しみに』」
「〃」
「そう……会えない人なんていないの……」
「……あなたには」
「また会いたい人がいるの……?」
「会わせてあげようか?」
「…すごいね。」
「10回も来てくれた……」
「ねぇ、わたしは……」
「あなたにとって……何度も会う価値があるニンゲンなの……?」
「………………」
「……わたしには」
「そんな価値……ないよ……」
「………………」
「……わたしは悪い子なの」
「ひとりでいなくちゃいけないの……」
「……また来たんだ」「………………」
「……ここもわたしの居場所じゃないよ」
「ここは……ただ、ほんの少し居心地がいいの……」
「……また来たんだ」「………………」
「……わたしは別の国で生まれたの」
「今いるべき場所も、ここじゃない」
「どっちにしろ……わたしは、ここにいちゃいけないの……」
「……そろそろ帰るね。バイバイ……」
「………………」
「……わたし リコリス」
「ねぇ、わたしは……」
「あなたにとって……何度も会う価値があるニンゲンなの……?」
「………………」
「……もっと早く……あなたに会えていたら……」
「……大事にしてね」
「わたしの…… たからもの……」
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