遊佐「
ありがとうございました!」
試合を終えて礼をする。
雷太「うむ、良い根性じゃった」
俺の根性を試すというのはこういう事だったのだ。
晶子「洲彬君!」
晶子がかけよってきた。
遊佐「ははは、かなり緊張した」
雷太「ふん、仕方が無いのう」
大地「親父、わざと打たれたんだろう」
雷太「当たり前じゃ」
大地「遊佐君は熱い男だったな」
雷太「うむ、思ったより熱血な奴じゃった。まだまだじゃがの」
晶子はもう泣いていた。俺も視界が潤んでいた。
夜風が気持ちよかった。
隣には晶子がいて、一緒に歩いている。
晶子「えへへ」
遊佐「どうした?」
晶子「うん、なんだかうれしくなっちゃった」
遊佐「何が?」
晶子「こんなにすごい洲彬君の傍にいるんだな、って思って」
遊佐「……恥ずかしいこと言うな」
晶子「うん……」
すっと手を差し出す。
晶子「あ……」
きゅっと俺のマメだらけになった手を握り返してくる。
晶子「お疲れさま……」
遊佐「ありがとう」
言葉少なく歩いていくと学校の前まで来ていた。
遊佐「ここに来てからもう??が経ったんだな。何だかそんなに昔のことじゃない気がする」
晶子「私、それでもこの学校に馴染んでる洲彬君がすごいと思ってたの」
遊佐「そ、そうかな」
晶子「うん、私、人と仲良くなるのってなかなか出来ないの」
遊佐「……」
晶子「だ、だけどね。私も遊佐君のようにみんなと仲良くなりたいな、って思ったの」
ぎゅっと握られる手
晶子「だから、ずっと洲彬君のこと憧れて見てたの」
晶子「そうしてずっと見てて、洲彬君と話て、一緒にいたら憧れが、好きに変わったの」
遊佐「ああ、俺も晶子と居て楽しくなって、だんだん好きになっていった」
俺も手を握り返す。
遊佐「出会えてよかった、心の底からそう思う」
晶子「うん、わたしも」
そのまま晶子を抱き寄せて……。
晶子「ん……」
目をつぶった晶子とキスをした。
ざざざー。
ん?
楓「ちょっと、お母さん! 押し過ぎだってば」
涼子「あらあら、楓ったら」
えーっと、お姉さんとおばさんが草陰から出てきましたよ。
大地「いかん! 逃げろ!」
雷太「もっと気配を消さんか!」
もうばればれデスヨ。
晶子「み、見てたの!? 今の見てたの!?」
楓「あ、あははー」
お姉さんが駆け出していく。
涼子「私達もかえりましょうか?」
大地「うむ」
雷太「やれやれじゃ」
三人そろってぞろぞろ去っていく。
遊佐「晶子って、あの家族呼び出せる、とかないよね」
晶子「よ、呼び出せません……よ?」
遊佐「だよね」
そして俺達は顔を合わせて笑いあった。
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最終更新:2007年01月16日 00:11