ふ、ふふふ……
ふは、はははは!!!
ついに、つ・い・に!! 遅刻しなかったぞ!!
俺:ヒャッホーイ!!
???:なんだ、無駄に元気だな。
ましろ:おはよー。
俺:おはやう。ふっふふ。
聖:どうしたのよ。気味悪い。
俺:遅刻しなかったんだぜ!!
聖:……プ。しょーもない。
ガーン!!! 何その反応!
聖:行こう、ましろ。バカが伝染る。
ましろ:う、うん。
あ、遊佐君。
俺:なんざましょう……
ましろ:転入早々からの遅刻魔脱却、おめでとう!
俺:……
ありがとう。
何だか、余計惨めになったぞ。遅刻しなくて損した気分。
肩を落としながら二人の後ろをついていく。
聖:おう?
そんな俺の足を止めたのは、聖の素っ頓狂な声だった。
二人の向こうを、別の少女が歩いていた。
少女はこちらに気づく様子も無く、屋上へ続く扉を潜って行った。
遊佐:どうしたんだ?
聖:何でもないさ。……行こう。
いや、どう見ても何でもあるぞ。
ましろ:ごめんね。
俺:君が謝ることじゃないよ。
ましろ:ん、でも、遊佐君になら言ってもいいかな。
思わせぶりでとても気になるぞ!
ましろ:さっきの子、『月島杏』 ちゃん、っていうの。
俺:へぇ……
って『月島』!!?
ましろ:うん。聖ちゃんの妹なの。双子の。
俺:はぁ~、妹がいたなんてな。
ましろ:でも……色々あって仲が良くないというか。
聖ちゃんは時々声をかけてるんだけど、杏ちゃんは徹底して無視。
俺:いけない子だな。
ましろ:ううん。どちらも悪くないの。
とゆことで、そんな子がいるってこと。
別のクラスであまり会うこと無いだろうし、気にしないでね。
俺:うむ。
ましろ:じゃ、行こ。また遅刻しちゃうよー。
気にするな、と言われてもな。余計気になっちゃうよな。
まだ始業までは少しある。屋上へ行ってみよう。
ましろ:あ、行っちゃった。
聖:ましろ、余計なこと言ってないだろうな。
ましろ:んー……
多分大丈夫!
聖:……まったく。
白く濁った空の下。始業直前ということもあり、そこには一人しかいなかった。
――月島杏。なるほど、その漆黒に染まった髪は姉と同じ遺伝子を持つ証か。
少女はフェンス越しに町を見下ろしたたずんでいた。
俺:何やってるの?
杏:別に。あなたこそ何を?
俺:……俺も別に、だな。ただちょっと、君が気になっただけ。
怪訝な表情で見つめられた。俺のこと知らないんだし、そりゃ滅茶苦茶怪しいよな。
俺:えと、遊佐っていうんだ。月島聖の教室に転校してきて、それで……
杏:そう。
……壁だ。茜とはまた違った壁を感じるぞ!
俺:……
ダメだ。話題を見失ってしまった。
杏:早く教室にいったら?
俺:まぁ、そうなんだけど。別にホームルームくらいサボってもいいかな、なんて。
遅刻魔転校生伝説は続くぜちくしょうめ!
杏:……
とりあえずフェンスの向こうを見渡してみる。
俺:いい眺めだ。
杏:眺めは良くても、この町でいいことは何もないのよ。
俺:そう……なのかな。
何か引っかかる言い方だ。
(チャイムの音)
俺:始まったか。
杏:……行かないの?
俺:君はどうなのさ。
杏:……適当に帰る。
不良だったのか!
俺:んー、じゃあ行くよ。そろそろ親にも連絡されちゃいそうだしなー。君も、せっかく学校来たんなら、授業出た方がいいよ。
杏:……
聖の双子ということで油断してたけど、どうも別人として見た方がよさそうだな……
最終更新:2007年01月22日 23:44