昼休憩になって俺は教員室へ行った。
息苦しい場所なのであんまり長居したい場所ではない。
担任「アルバイトがしたい?」
担任が驚いて尋ねてくる
遊佐「はい」
担任「どうしてだ?」
遊佐「いえ、ちょっと使いすぎたっていうか生活費が無くなって……」
実際遊びすぎて無くなったわけですが。
担任「親御さんに頼んでみてはどうだ」
当然そう来るだろうなぁとは思っていた。
遊佐「あー、月いくらって決まってるし頼むのは心苦しいかなぁと」
担任「うーん。まぁ、本人がやる気なら止めないが」
遊佐「それで申請書をもらえませんか?」
担任「おう、そうだったな。ほら」
やっと申請書がもらえた。申請書に目を落とした。

申請書には氏名・本人と親。印鑑(印鑑か……偽装すればいいや)
連絡先、アルバイト先の住所と電話番号
アルバイトする理由にアルバイトの内容と働く時間に時給
アルバイト先の責任者の直筆氏名を書く欄があった。

遊佐「これってアルバイト先が決まったら書けばいいんですか?」
担任「あー、そうだったかな」
曖昧な返答が帰ってくる
まぁ、めったにアルバイトする人いないだろうし知らないのも当然かも。
担任「ま、決まったらでいいよ」
適当すぎる。はっきりいって不安。
遊佐「それじゃ失礼します」
担任「おう、まぁがんばれよ」
遊佐「はい」

中島「戻ったな。申請書はもらえたか」
今日は用事があったので中島も俺もパンで済ますことになっていた。
遊佐「ああ、もらって来た」
中島が帰ってくるなり面白そうに話しかけてくる
中島「見せろ」
俺は申請書を差し出す。
中島「ふーん。親の印鑑はどうするんだ」
遊佐「偽装するから大丈夫」
たぶん大丈夫だろう。
俺は買ってきたパンの袋をあける。
中島「で、今日駅前の喫茶の面接いくのか?」
遊佐「ああ、そのつもり」
今はあてがそこしかないしなぁ。
折角霞が教えてくれたんだし行くつもりだった。
中島「ふーん、まぁがんばれよ」
中島が申請書を返してくる。
遊佐「お金を使いすぎたのは俺だが、原因はお前にもあるからな」
中島「……ごめんなさい」
中島「ってなんでだよ!!」
謝ったり怒ったり忙しい奴だなまったく。
遊佐「お前と遊んだからだよ。ま、別にいいけどな」

午後の授業は面接ってどんなこと聞かれるんだろうとか考えてすごした
理由を聞かれたらなんて言おう。
生活費を稼ぐため……これでいいや。社会生活云々とかは全然関係ないし正直に行こう。
意欲はもちろんバッチリのはず。本当だぜ?
なぜこの喫茶店って聞かれたら、うーん
友達に薦められたから……っていうかここしか候補がない。って言えるかよ
友達に薦められたでいいや。
座右の銘は?
こんなん聞かれるわけが無い。一富士二鷹三茄子、一日一善
面接を受けたことが無いので何を聞かれるのかよくわからん。
まぁ何とか適当に答えればいいや。
こんな事をずっと考えていて授業が終わった。

階段を中島と一緒に下りていく途中。
遊佐「さて、これから面接に行くわけなんだが」
正直いって少し不安。
中島「ま、がんばれよ」
中島が応援するがそんなんで安心はできない。
遊佐「やるだけやって落ちたら諦めるよ」
たんったんったんっ!
階段を一段飛ばしで下りてくる音がする
霞「あ、先輩」
降りてくる人は霞だった。
遊佐「やぁ」
中島「霞ちゃんじゃないか」
霞「どうも~」
霞「そういえば先輩、バイトどうするの?」
遊佐「そうそう、バイトの事なんだけど今から霞ちゃんが教えてくれた喫茶店行ってみようかなと思って」
霞「本当? そっかー。がんばってねー。それじゃ!」
霞は笑顔でそう答えてまた一段飛ばしをしながら階段を駆け下りていった。
中島「うーん」
遊佐「どうした?」
中島「いや、放課後になったらいっつも走って帰ってないかと思って」
言われてみればいつも走ってるから忘れてたけど放課後いつも走って帰ってるよな。
遊佐「家の手伝いで忙しいとか……?」
中島「どうだろうな。何かで忙しいのは確かだろうけど」
遊佐「また今度聞いてみるかな」
この前聞いたときは忙しいとしか言ってなかったし、あんまり言いたくないことかもしれないな。
中島「まぁお前は面接の心配でもしてろよ」
遊佐「そうだな」
最終更新:2007年01月26日 19:59