昼休憩。
遊佐「晶子」
晶子「あ、洲彬君」
かわいいお弁当箱を出している晶子。
遊佐「昼飯、よかったら一緒に食べない?」
むちゃくちゃ恥ずかしい。
晶子「……はい。お、お願いします」
遊佐「で、俺パン買ってこないといけないんだけど、一緒に食堂にする?」
晶子「あ、そうします」
さて、食堂へ行く前に。
遊佐「あの、早乙女さん」
早乙女「ん、なんだ遊佐」
遊佐「あ、悪いんだけど食事のあと剣道のこと聞いてもいいかな?」
早乙女「ああ、かまわない」
遊佐「
ありがとう。それじゃあ後で」
遊佐「一緒に食事するの、この前家に行った時以来だね」
晶子「そ、そうですね」
遊佐「そんな緊張せずに気楽に食べようぜ」
まあかく言う俺もかなり緊張している。
晶子「は、はい」
遊佐「ところでさ、そのお弁当自分で作ったの?」
晶子「あ、いえ。これはお母さんが作ったんです。私、料理ってあんまりやったことないので……」
遊佐「なるほどね」
晶子「本当は自分で作ったほうがいいのかなぁ?」
遊佐「まぁ、そんなに自分で作る人は少ないんじゃないかな」
実際はよく知らないけど。
晶子「うーん、私も料理やってみようかな……」
遊佐「あ、いいねいいね。やってみなよ?」
晶子「えへへ、考えてみます」
遊佐「そうそう、前向きに行こうぜ」
だから俺も前向きにがんばる。
晶子「はいー」
晶子「あ、そういえばですね。今日リヴァ君が多分うちに来ます」
遊佐「リヴァ君……っていえばあの犬か」
晶子「はい、昨日電話があってもういいだろうって」
いい笑顔を見せてくれる。
あぁ、俺はこの子の笑顔が好きだ。
晶子「洲彬君?」
遊佐「あ、ごめん」
晶子「それで一緒に引き取りに行きましょう」
遊佐「ああ、もちろんだ」
早乙女「いいか、まず剣道は構えが重要だ。この構えを中段の構えという」
食事の後教室で剣道を早乙女さんに教わる。
早乙女「この構えを崩したらまず打たれると思ったほうがいい」
早乙女「そして次は足さばき、つまり足の動かし方だ。足は通常右足が前、左足は後ろで左足のかかとは少し浮かせる」
俺は真似をして構える。
早乙女「前に出るときは前足から動かし次に後ろ足、そして後ろに行くときは……」
そうやって教えてもらって真似をする。
早乙女「これが足さばきの八方向前、後ろ、右前、左後ろ、左前、右後ろ、左、右」
遊佐「なるほど」
早乙女「この動きは相手を打つ、相手の攻撃をかわす、受け止める等重要だ」
早乙女「次にさっきの中段の構えだが、少し構えてみろ」
遊佐「えっと、こう?」
早乙女「もちょっと上だ、そう。そこから少し下にしてみろ」
言われたとおりにする。
早乙女「すると、小手を打たれる」
実際に木刀を俺の手首寸前まで振る。
遊佐「うわ!」
俺は驚いて木刀を左に傾ける。
早乙女「横にすると面を打たれる」
目前に木刀が振られる。
早乙女「つまり、中段の構えを崩すな、ということだ」
遊佐「わ、わかった」
これだけされれば身をもって知るといものだ。
早乙女「で、胴は通常相手の左側を打つ、右側は難しい逆胴と言われる。そして突き。これは危険だからやめておけ」
遊佐「そんな木刀を突きつけながら言われると怖いんですが」
早乙女「そうか、それは悪い。まず基本は面、小手、胴の3つ。これを意識しながら木刀の
素振りからだな」
面、小手、胴か。
早乙女「面10本、小手10本、胴10本を1セットとして振るがいい」
早乙女「それに慣れたら実際に打つ相手が居るほうがいいのだが」
遊佐「まあ、
剣道部のみんなは部活で忙しいだろうしな……」
中島「その役目やってもいいぜ」
その声が聞こえた。
遊佐「中島、お前、まさか見てた?」
中島「ああ、何故剣道を始めたかは知らないけどそのくらいなら俺受けてやるよ。授業で剣道は少しやったしな」
遊佐「でも、お前部活あるんじゃ」
中島「まあ部活のある放課後はあんまり付き合えないけどよ、昼休憩なら付き合うよ」
遊佐「す、すまん。助かる」
早乙女「ふ、いい友を持っているな遊佐」
遊佐「あ、ああ。初めてこいつが友人だと思った」
中島「それはひどい!!」
遊佐「まあ、冗談だ。本当に感謝している」
中島「で、それはいいとして理由は聞かせてもらうからな。なんだかおもしろそうじゃないか」
早乙女「二人とも、そろそろ昼休憩が終わる」
遊佐「あ、本当だ。んじゃ教室戻るか」
中島「スルーですか!」
最終更新:2007年01月15日 23:42