霞「それじゃ、先輩失礼しまーす」
校門まで来ると霞は走り出していった。
遊佐「さてっと」
俺も教室へ向かうことにした。
中島「よー、遊佐。昨日はどうだったんだ」
中島がにやにやしながら聞いてきた。
遊佐「あ、あぁ。何かあっさり決まった」
中島「え? まじかよ」
遊佐「受かったら何か問題があるのか?」
中島「いや、だってよ」
少し中島が真剣な顔になる
中島「昨日は黙ってたけどあそこのバイトの面接行った奴何人か知ってるけど、みんな落ちてるんだよ」
全員あそこの面接に落ちた?
遊佐「店間違ってないよな?」
中島「ポロゴだろ?」
あー、確かにそんな名前だったな。
遊佐「確かな」
中島「うーん、何か裏がありそうだな」
遊佐「失礼な、俺の実力だっつうの」
いや、でもあの質問に実力も糞も無いような気がするな
遊佐「ま、決まったものは決まったんだよ」
中島「そりゃそうだな。まーがんばってくれ」
遊佐「言われなくてもな」

今日からのバイトの事を考えながら授業中を過ごした。
何をするんだろうな……。まぁそこから教わってもらうしかないだろうけど
遊佐「はぁ、緊張する」
意外と俺って小心者。
昼休憩になって今日は一人で食堂に行く。
中島はというと
中島『すまん、今日は無理』
だそうだ。理由はしらない。
遊佐「今日はパンにするかなぁ」
たたたたたた!
その足音が聞こえると同時に俺は振り向く。
霞「先輩ー!」
やっぱり霞だった。
霞「わわわ!」
霞がつんのめって突っ込んでくる
遊佐「うわ!」
俺はそれを抱きとめる形になった上に勢いに負けてしりもちをついてしまった。
遊佐「いてて」
何かやわらかい感触を胸に感じる
そして目を開けると目の前に霞の顔が……!
霞「あはは、ご、ごめんね」
遊佐「いや、いいから。と、とりあえず上からどいてもらえるかな」
やばい、やばい。早くどいてくれないと!
霞「う、うん」
霞が俺の上からどく。
霞「スリッパが脱げちゃって、こけちゃった」
遊佐「ま、まぁ走るのを止めなさい……」
霞「う、うん。でも……」
遊佐「ま、いっかな……食堂食べに行こうか」
恥ずかしくなってこの話題を変えたかった。
霞「うん」
遊佐「弁当大丈夫だった?」
霞「うーん、ちょっと寄っちゃったかも」
まぁ、あれだけの勢いで突っ込んできたら……ってまた思い出してしまう。
遊佐「それじゃあ、行こうか。俺は今日もパンなんだ」
霞「あ! 早く行かなきゃ!」
遊佐「お。おう」
霞「それー!」
また走り出していく。
遊佐「は、走るなってばー!」
走ってる姿が一番霞に似合ってるんだけどね。

遊佐「さて、それじゃあパン競争突っ込む!」
霞「いっくよー!」
俺達は作戦を立てていた。既にかなりの人がいて簡単にはパンが手に入りそうになかったからだ。
俺がパンへの道をこじ開けるうちに霞がそこに突っ込んでいってパンをゲットするというものだった。
まずは俺が突撃する
遊佐「うおぉおおぉ!」
そして人を右側に押しやる。
霞「えい!」
そこに霞が突っ込んでいく。霞を見送った後俺は力尽きた。
遊佐「うわぁああぁ!」
人ごみに流されて俺ははじき出された。
なんてすごいパン競争なんだ……!?
霞「ただいまー」
遊佐「おかえり」
霞が戦利品を抱えて戻ってきた
霞「ちゃんと買ってきたよー」
遊佐「おう、お疲れ様」
霞「それじゃ、食べに行こう」
遊佐「おう」
霞「そうだ! 今日は食堂じゃなくて屋上で食べよ」
霞がそう思いも寄らなかった提案をしてきた。
遊佐「え? まぁいいけど……」
俺は断る理由もないしむしろ人目が付かない屋上もいいかとおもって承諾した。
最終更新:2007年01月29日 19:56