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今日でバイト三日目。だいぶ慣れてきた。
遊佐「と言ってもまだ皿洗いしかさせてもらえないけどね!」
今日も一日中皿とカップと向かい合わせ。
霞「まだちゃんとできるかどうか不安だもん」
そりゃそうだろうけど。
遊佐「はやく霞を助けられるようになりたいものだ」
店長「おいおい、こっちも助けてもらわないとね」
遊佐「が、がんばります」
早く仕事を覚えないと……。
そうして今日も閉店まで皿と格闘を続けた。
遊佐「ふぅ」
食器を片付けながらため息をつく。
霞「おやおや、もう疲れたのー?」
遊佐「まぁ、ね」
悔しいけど疲れたのは確か。
霞が少しふらっとする。
遊佐「おいおい。疲れてるのは霞ちゃんの方じゃない」
霞「うーん、そんなことは無いよ。それより、今日はオーダーの取り方」
んー。本人がそう言うならこれ以上は聞かないけど……。大丈夫かなぁ?
遊佐「はいよ」
霞「まずね、テーブルの番号を覚えないと駄目なんだけど」
入り口側の窓側から一番……
遊佐「覚えやすいな」
霞「厄介な形には並んでないからね。それで次はこの紙ね」
遊佐「ふむ」
よく見るやつ。正直今まであんまり興味が無かったからそんなに見たことは無い。
霞「でこっちをこの丸っこいのに挿しておけば大丈夫」
遊佐「なるほど」
霞「あとは注文を」
伝えないとそりゃ駄目だわな。
霞「それでお客さんがこの紙を持ってくるからそしたら昨日のレジね。ちょっとレジもやってみよ」
遊佐「おう」
こーやって、こうして
遊佐「こうかな」
霞「お、合ってるよ。飲み込み早いね」
遊佐「そう?」
霞「うんうん」
店長「それは助かるね」
遊佐「あんまり期待しないでくださいよ」
店長「いやいや、きっと明日から忙しいから」
明日? 何かあるんだろうか。
店長「さて、今日は掃除は私がやるから、二人は帰りなさい」
遊佐「え? 流石にそれはできませんよ」
まだ、時間来てないし。
霞「……」
店長「いいから」
遊佐「は、はい。それじゃあ失礼します」
店長「霞ちゃんをしっかり送っていってあげてくれ」
霞「もー、大丈夫だよ」
店長「そんなことないだろう?」
会話がつかめない。
遊佐「あ、あのー?」
霞「それじゃあ、帰るね」
店長「そうしてくれ」
なんだか置いていかれた気分だ。
店長「時にはゆっくりしたほうがいい」
霞「はーい」

霞「……ふぅ」
ふらふらしている霞。
遊佐「あのさ」
霞「ん? 何?」
俺は霞の額に手を当てる。
遊佐「あー、やっぱりか」
もう一方の手で自分の額と比べる
遊佐「熱あるんだろう?」
霞「……えっとー、ちょっとふらふらするくらいだよ。大丈夫」
遊佐「だーめ。それは熱があるの。店長も言ってたけど明日は学校休んだ方がいいんじゃない?」
霞「そんなに大げさにするほどじゃないよ」
あんまり心配させないで欲しい。
遊佐「今日は家まで送っていく」
霞「いいよぉ、そこまでしなくても」
そんなふらふらなりながら言われても説得力ない。
遊佐「ふらふらしてる人が何を言う」
霞「でも、迷惑だし」
ふぅ。これはちょっとびしっと言うか……。
遊佐「あんまり俺に心配させないでくれよ」
霞「うん……」
遊佐「ほら、荷物貸して」
ちょっとためらう霞。だからちょっと強引にもぎ取る。
遊佐「こういう時は甘えるの」
霞「……ありがとう
遊佐「そうそう」
俺はいつも霞が曲がっていく道を一緒に歩く。
遊佐「結構遠いんだな」
霞「いつもなら走って5分くらい」
遊佐「走ってばかりだな、霞ちゃんは」
霞「そう、なのかな」
遊佐「そうだよ。俺の中ではいつも走っているイメージだよ」
霞「変?」
遊佐「全然。むしろその方が霞ちゃんっぽいよ」
これは俺の本心。
霞「あ、わたしの家ここ」
遊佐「そっか。んじゃ俺の役はここまでか」
霞「それじゃあまた、明日ね」
遊佐「霞ちゃんの調子がよかったらな」
霞「うん」
俺は来た道を引き返していった。
最終更新:2007年02月06日 20:17