そして次の朝。
目を開く。部屋が横になって目に写る。
息をしているのかすらわからない。
ぐおぉおおぉおぉお。また金縛りか……!半分起きて半分寝ているといった状態。
俺は体に力を込めようとする、が動けない。
早く目覚めろ俺の脳!!
そのときふと霞の声が聞こえたような気がした。
遊佐「ぐおっ!」
何とか体が動いた。
遊佐「あー、疲れた」
朝から(というか朝だからなんだけど)止めて欲しいよ。
遊佐「何か不健康だったりするとなるのかね……寝不足?」
俺は適当に用意をして部屋を出た。
ここで霞とぶつかりそうになったんだよな。
俺はふと霞がいつもやってくる方向を見る。
そっちには霞の姿は見えなかった。
遊佐「まだ、調子悪くしてるのかな」
早く元気になって走ってるところを見せて欲しい。
遊佐「行くか……」
カバンを持ち替えて振り返る。
中島「何だ? 元気なさそうだな」
遊佐「そうか?」
中島が席に既についていて俺に話しかけてくる。
中島「さてはお前……」
遊佐「……」
中島「恋の病かっ!」
………………
遊佐「一生悩んでろ」
中島「あながち間違って無いと思ったんだが」
それに近いものはあるかもしれないけど。
遊佐「はぁ……。そうだとしたら何だよ」
俺は投げやりに聞いてみる。
中島「霞ちゃんのこと好きなのか?」
遊佐「なっ……」
ずばり的中。
中島「やっぱりな。ふふん、俺を舐めてもらったら困る」
遊佐「で、何が言いたいんだ」
中島「告ったのか? いや、告ってはないか」
遊佐「何で分かるんだ」
中島「やっぱり好きなようだな」
遊佐「ぐ、中島なんかにはめられるとは……」
中島「お前の雰囲気だよ。多分どうしようか悩んでるんじゃないのか」
ここで
店長の質問を思い出した。
遊佐「いや……そのつもりはあるんだが……、踏み出せないっつうのか」
何でこんな青春ど真ん中の話を教室でせにゃならんのだ……。
中島「…………」
遊佐「どうした?」
中島「いや、戦慄を覚えたぜ」
遊佐「意味わからないからな」
中島「それはいいとしてだな、何を悩んでいるんだよ」
具体的な事は何も無いけど。
遊佐「霞ちゃんのことまだ全然知らないし、正直このまま告白しちゃっていいものか」
中島「ばっか、お前。告白してから進展するんだろうが」
うーん、そういうものなのかね。
中島「それで、勝率はどのくらいの見込みなんだ?」
………………
遊佐「自惚れていいのか?」
中島「おう、言ってみろ」
遊佐「ほぼ10割……だと思う」
中島「マヂ!?」
そんな驚かなくてもいいだろ
遊佐「いや、やっぱ9割。うん」
中島「大してかわんねえよ。伝説のバッターか」
遊佐「いや、だってなぁ」
まさか、既にキスしてる……(と思う)なんて言えねえよ。
中島「のろけやがって」
遊佐「お前が聞いてきたんだろ」
中島「くっそー、俺も彼女欲しいぜ!」
遊佐「まだ、俺もいないからな」
それにしても、告白かぁ。あんまり考えてなかった。
店長の質問の意味が何となく分かってきた気がする。
まさか、こんなとこまで考えてた?
遊佐「んなわけ無い……よなぁ」
放課後になってまだ時間も余裕あるし霞の家にお見舞いに行くことにした。
遊佐「んー、インターホンを押すだけなのに緊張する」
拓也「あれ、遊佐先輩」
どうやら拓也が帰ってきたようだ。
遊佐「や、ちょっとお見舞いに来たんだけど」
拓也「それはどうも」
拓也が鍵を開ける。
拓也「ちょっと姉ちゃんの様子見てきますから」
拓也が家に上がっていく。そしてちょっとすると玄関が開く。
霞「遊佐君、来てくれたんだ」
パジャマ姿の霞が出てくる。パジャマはまずいでしょう。
まぁ、しょうがないか……。
遊佐「調子はどう?」
霞「うん、明日には元気になると思うよ」
遊佐「そっか、それは何よりだな」
霞「心配してくれて
ありがとう」
遊佐「よし、元気なとこ見たし、時間もきびしいから行くわ」
霞「わざわざごめんね」
遊佐「いんや、んじゃな」
そして喫茶店へ俺は走り出した。
遊佐「いつの間にか俺が走る立場に変わってるな!」
最終更新:2007年02月08日 23:09