7/19(木曜日)

今日は普通に目が覚めた。
遊佐「くぁあぁ……」
とりあえずベットから出て着替える。
遊佐「飯……、げっ」
ずっと前に買い置きしてたのが腐ってる。
遊佐「……暑かったからなぁ」
今度は気をつけよう。
遊佐「食うもんなくなった」
仕方が無いので諦めて学校へ向かうことにした。

遊佐「来たな……」
横へさっと。
霞「甘いよ! 横だまー!」
避けたと思ったのに霞が踏みとどまって俺の横へ突っ込んでくる。
遊佐「なんじゃそれー!」
バッターン!!
遊佐「……あのさ、これって何?」
霞「スキンシップ」
遊佐「スキンシップは普通にしてくれ、頼むから」
霞「むー」
俺が倒れてうつぶせになってるだけでなく勢い余って霞が馬乗り状態。
遊佐「……とりあえずどいてくれ」
霞「はーい」
霞がどいて開放される。とりあえず服をはたく。
遊佐「霞に倒されたのは何度目だろうな」
しかも最近はレベルアップしてる。
霞「わかんない」
遊佐「はぁ」
霞「ほら、さっさと行こう」
さっさと行けなくしたのは誰ですか。
遊佐「へいへい」
俺はカバンを拾い上げる。
早乙女「おはよう二人とも」
遊佐「おはよう」
霞「おはようございますー」
早乙女「霞、前をしめろ。まったく……」
霞「あ、本当だ」
遊佐「…………」
早乙女「ん、どうした遊佐」
遊佐「慣れって怖いなと思って」
早乙女「?」
遊佐「いや、なんでもない」
慣れてしまった自分が怖い。
霞「それじゃあ失礼しまーす」
遊佐「じゃあ教室で」
早乙女「ああ」

中島「……本当すいませんでした。反省しています」
床に転がった中島に連続スタンプをかましておいた。
遊佐「お前はもう来るなよ」
ましろ「や、やりすぎだよ」
聖「わからんでもないが、確かにやりすぎだ」
昨日の恨みを晴らさずにいられるか!
ましろ「でも、似合ってたと思うよ」
聖「悪くは無い」
遊佐「それならいいだけど、からかいに来るのはやめてくれ」
ましろ「わたしたちはからかってないよー」
聖「そうだぞ。中島だけだ」
遊佐「そっか。よしわかった」
中島「ノォーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
遊佐「まぁ、中島イジメはこのくらいにしておいてだな」
ましろ「ん?」
遊佐「慣れって怖いな。自分が恐ろしいぜ……」
ましろ「何に慣れたの?」
聖「慣れか……」
中島「俺は殴られるのに慣れそうだよ……」
遊佐「殴られないように生きろ」
中島「俺は悪くねぇー!」
十二分に悪いだろ。
ましろ「確かに慣れると気付かないことってあるよね。固定観念とかそんな感じかな?」
遊佐「近いものはあるな」
絶対そうだと思ってるので違うことに気付かないってやつだ。
ましろ「何で急に?」
遊佐「うーむ、前はすっごく気になってたことがいつの間にか普通になっていて気にならなくなってしまったんだ」
ましろ「何に?」
遊佐「胸に」
……………………はっ、普通に言ってしまった!
遊佐「……今のは無しで。聖さんにらむのはやめてください、いやマジで」
ましろ「……」
聖から何か恐ろしい波動を感じる。
中島「お前、もう終わったな」
遊佐「お前ほどじゃあない」
ましろ「何でまた……」
遊佐「もうつっこまないでくれ……」
後ろの人が怖いから。

いつもの恒例のお昼ご飯。今日は中島に加えてましろと聖も一緒だ。
遊佐「久しぶりだな」
中島「そうだな」
遊佐「何でついてくるのかな」
中島「最近の遊佐の行動が怪しい件について」
遊佐「何が?」
中島「昼休みになるとすぐに出て行くじゃないか」
遊佐「ぐ」
中島「ふふふ、大方霞ちゃんと食ってるんだろう」
遊佐「……」
中島のクセに鋭い。
ましろ「えー、そうだったの? 霞ちゃんってバイトの子でしょ?」
遊佐「いや、まぁその」
霞「遊佐君!」
ドターーー!!
遊佐「どぁあああぁあ!」
霞「わー!」
遊佐「もう嫌だ……」
俺は床につっぷしたまま嘆いた。
ましろ「あ、霞ちゃん」
霞「こんにちは先輩」
聖「はぁ……」
中島「いつもにまして激しいな」
遊佐「これにも慣れたさ……」
むなしいけどね……。
霞「ほら、食堂行こう」
遊佐「はいはい」
ましろ「先輩も大変だね」
遊佐「何か大変なのがおかしい」
中島「幸せものめ……」
遊佐「何でだよ」
一行は食堂へ。各々が好きなものを頼んで席へついて話をす。
聖「それで出会ったのか」
ましろ「ベタだね」
中島「ベタだな」
遊佐「俺にどうしろと言うんだよ」
霞「??」
ましろ「バイトまで一緒なんだね」
遊佐「俺もびっくりしたよ」
まぁ、霞はそれを狙ってたみたいだけどね。
中島「あれ? でも確か霞ちゃんが確か遊佐に薦めたんじゃなかったけ」
聖「そういえば」
霞「遊佐君を驚かせようと思って」
遊佐「思いっきり騙されたわけで」
霞「騙してないよぉ」
ましろ「あはは」
遊佐「だいたい霞がな、俺が入ると階級が……って中島どうした?」
中島「今何ていった?」
遊佐「だから俺がバイトに入ると霞の階級が上がってだな」
ましろ・聖「あ」
遊佐「あ?」
中島「"霞"って呼んだよな今!?」
遊佐「あ”」
ましろ・聖「まさか……」
霞「ほえ?」
遊佐「名前で呼ぶくらい普通だろ。問題ない」
先手を打つ。
中島「いや、お前はそんなことは出来ないチキン野郎だ!」
遊佐「何だと」
ましろ「まぁまぁ落ち着いて落ち着いて」
霞「わたしが遊佐君って呼ぶから霞って呼んでいいよって言っただけだよ」
中島「ぅ……」
遊佐「ぁ……」
ましろ「……」
聖「やれやれ……」
霞「?」
この後霞の発言で荒れた中島を説得するのにはかなり時間がかかった。
霞は自分の発言した重さがあまりわかっていなかったらしい。

遊佐「……ああいうことは人前で言わないの」
霞「何で?」
遊佐「恥ずかしいから」
霞「えー、そんなことないよ」
遊佐「霞はそうでも俺は駄目なの……」
一緒に今日もポロゴへ向かう。
よく考えると一緒に向かうこと自体恥ずかしいことであって。
遊佐「……うーん」
霞がそういう素振りしないからなぁ。俺もつい気付かないわけで。
遊佐「まぁいいか」
霞が気にしないから俺も気にしないでいいよな。
霞「それじゃー今日も働こうー」
遊佐「おう」
ドアを開けると涼しい空気が顔に当たる。
霞「はぁー涼しい」
遊佐「うーん、確かにいいな」
店長「外は暑いからね。今日もよろしく」
遊佐「はい、お願いします」
霞「んじゃ今日は先に着替えるね」
遊佐「おう」
今日は客が既に居るようなので先に霞が着替える。
遊佐「で、今日は俺もレジ打ちに挑戦したほうがいいかな」
霞「そうだね、やってくれると助かるけど、皿洗いの位置からは見えないよね」
遊佐「確かに……」
霞「まあまあ、接客はわたしがやるから。遊佐君は皿洗いがんばってね」
遊佐「了解」
とにかくやれることをがんばろう。
店長「遊佐君ももう少し練習してからのほうがいいだろう」
遊佐「そうですね。今はやれることやります」
相変わらず客足は悪くないようで、霞が忙しそうなのだ。
遊佐「喫茶店っていうより、軽い食事するところって感じだしな」
コーヒーがうまいのは確からしい。どちらかというと女性客も多いようだし。
遊佐「ただ……」
時々、明らかに男性が霞の姿目的で来ているんだよな。
遊佐「……」
むぅ……。

霞「お疲れ様ー!」
店長「はい、お疲れさま」
遊佐「お疲れ様でした」
はー、終わった。
霞「さー、遊佐君は次の仕事を覚えてね」
遊佐「わかってますよ」
店長「ははは、すぐ覚えられるさ」
遊佐「がんばります」
霞「はーい、それじゃあこっちへ来て」
今日は注文の取り方を霞に教わる。
遊佐「ほうほう、こうやってメモするのか」
実際にやってみないとわからないものだ。
その後は昨日やったレジ打ちの練習。
遊佐「ふむふむ」
レジ打ちなら明日からでもやれると思うんだけどね。
遊佐「レジ打ちだけ出来ても実際注文と一緒じゃないと難しそうだな」
霞「確かにねー」
としたら俺がレジ打ちする日が来るのはいつだろうな。
霞「でも、覚えといて損はないし。いつか必要になるよ」
遊佐「そうだな」
店長「確かにその通りだ」
店長はコーヒーポットを拭いている。
霞「よーし、次は掃除だね」
遊佐「はいよ」
掃除はもう慣れたさ。
霞「ほらほら、もっと念入りに」
遊佐「……ういっす」
まだまだなようだ。

霞「ふー、外は暑いね」
遊佐「そうだなぁ。でも夏の夜は嫌いじゃないな」
霞「何で?」
遊佐「何だろうな。あー、夏だ。っていう空気が好き」
霞「あはは。よくわかんないけど、夏だって感じなのは分かる気がする」
遊佐「いいんだよな」
霞「うん……」
いきなり少しふらつく霞。
遊佐「ん、どうした?」
霞「え、何が?」
遊佐「今ふらっとならなかった?」
霞「あー、つまづいただけ」
遊佐「気をつけろよ」
霞「うん」
それにしても、本当付き合ってるみたいだよな。
霞「……」
遊佐「……」
話題も特に無く静かに歩く。別に雰囲気がわるいとかそういうわけじゃない。
霞「それじゃあ、ここで!」
遊佐「おう、また明日な」
霞「うん。おやすみなさいー」
いつものように走り去っていく。
遊佐「歩いて帰らないところが霞らしいというか」
その日は俺も走って帰ることにした。
遊佐「走るって意外と、いいもんだな!」
最終更新:2007年02月21日 19:45