• #シーン『最終確認』
  • 登場キャラ『遊佐、中島、井草、武僧、霞、(田中学園長)』
  • BGM『高揚感のある曲』
  • 背景『グラウンド』


(背景→グラウンド。BGM→高揚感のある曲)
灼熱の光がグラウンドを支配していた。
 暑い。くっそ、七月だってのにまるで真夏だ。
全軍はそれぞれの陣営に分かれ、整列を行う。
 グラウンドはこの日のために修繕されていた。
 フィールドタイプは『メリファト』。
この地方の古い言葉で『乾いた高原』を意味するらしい。
文字通り、乾燥した土が敷かれ所々に茶褐色の大きな岩が視界を遮るように点在している。
フィールドの広さは約三〇〇メートル四方。
しかし場外についての規則はない。
田中学園長「選手たちは敬礼を!!」
 それぞれ、学年色に合わせた敬礼をする生徒たち。
 それが終わると、各学年のキャプテンが怒号を響かせた。
井草「さぁ、みんな。絶対勝つよッ!」
武僧「いっくでー! 身の程知らずの若造どもに上級生をなめたらあかんってこと、思い知らせてやるんや!!」
霞「ふふん。なめられたもんだねー。身の程知らずは先輩たちだってこと、あたしたち一年生が身をもって教えてあげるよ!」
 今年のバリスタは通常のバリスタとは異なるらしい。
何でも特別ルールが採用され、一年から三年まで同時に試合をするとのこと。
 三チームが同時にぶつかり合う、一試合限りの真剣勝負だ。
生徒たち『オオオォォ――!!』
 キャプテンの怒号に、生徒たちが各々の武器を振り上げて応える。
 バリスタでは全員に武器の所持が認められていた。
 刀剣類、棍棒などはすべてアローウッド製の模造刀を使用。
 格闘攻撃を主体にする者は、殴打する箇所にグラブを着用。
そして銃火器はすべて水鉄砲だ。
とは言ってもそこらのへな猪口水鉄砲とはわけが違い、薄い文庫本程度ならば貫通してしまうという何とも危険な代物らしい。
 まさに『血湧き肉踊る体育祭』に相応しい武器だということだ。
 ちなみに、俺の手にある物はステンレスのボディを持つハンドガン『デザートイーグル50AE』二丁である。
井草「みんな、これだけは守って」
 井草はくるりと反転して俺たちに向き直ると、試合開始直前の最終確認を行う。
左腰には無骨なデザインの片手斧、右腰には刃が広く湾曲した青い片手剣、そして背中には特大のブーメランと両手持ちの大剣を背負っていた。
 物凄い重装備だ。あの武器、全部を使いこなすつもりか?
燃えるような熱波の中、太もも辺りまで伸びる長い真っ赤な鉢巻をたなびかせ、必死に大声を上げていた。
井草「必ず勝てると確信できる相手の時でも、タイマンはできるだけ避けること」
井草「もしタイマンの状況が出来上がってしまったのなら、すぐに応援を呼ぶか、誘い込んで多人数で一気に仕留める」
井草「単独行動は絶好のカモだよ。多勢に無勢、このことだけは絶対に忘れないで。いい?」
 そう彼女は言い終えると、メンバー全員の顔を見合わせた。
 念を押しているのだろう。
 ふむ、単独行動は禁止か。
 覚えておこう。

(暗転)

最終確認が終わると、あとはいよいよ試合開始の笛を待つばかりとなった。
中島「へいっ、遊佐よ!」
 振り向くと中島がいた。
 やけにハイテンションである。
遊佐「うるさいぞ」
 むちゃくちゃ長い両手剣をアホみたいに振り回している。
中島「ふははは! オレはこの物語の主人公だぜ!?」
 どう見ても三枚目だ。
遊佐「大船に乗ったつもりでいろよ。オレのバスターソードの前に敵はない!」
遊佐「よくもまぁそんな大言壮語をやすやすと吐けるもんだな」
中島「ふん。なめてかかるとな……あとでこの大観衆の中、土下座することになるぜ……?」
 お前がな。
最終更新:2007年03月08日 15:04