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遊佐「……ふぁ」
今日は平和に目が覚めた。
遊佐「実は久し振り?」
最近よく見たからな。
よっしゃ起きよ。
遊佐「っと」
携帯を握ろうとして落としてしまった。
遊佐「よいしょっと」
拾って開けてみる。
遊佐「ん、履歴」
見てみると松下さんからだった。
遊佐「どうしたんだろ」
こんな時間に……。
………………。
松下『あ、遊佐君かい』
遊佐「はい、どうしたんですか?」
松下『ちょっと急用ができてしまってね』
少しの間会話が途切れる。
松下『だから、今日は一緒にいけそうにないんだ』
遊佐「わかりました」
松下『ごめんね、それじゃあよろしく言っといてよ』
電話が途切れた。
遊佐「うーん、忙しそうだな」
あ、バイトはどうなるんだ?
後で連絡すればいいかな。
携帯のディスプレイを見つめる。
遊佐「ま、いいか」
とりあえず時間通りにいけば問題ないだろう。
時間ができてしまった。
遊佐「気になるし……」
もちろん霞のことだ。
昨日帰りに病院の時間は確か。
もう一度携帯を開ける。
遊佐「今から行けっても大丈夫だな」
よし、行こう。
そう決めたら服を着替える。
遊佐「……」
ふと机の上の教材に目がつく。
遊佐「……いや、俺はまだ諦めんぞ」

遊佐「今日は迷わなかったぞ」
昨日の迷った道にリベンジした。
神社は今日は止めにした。
今は病院の前。時刻は九時半。
予定通りだ。
昨日の部屋は確か四階、もとい五階。
よし、気合いを入れなおして行こう。
エレベータで昇っていく。
遊佐「階段で俺も鍛えたほうがよかったかな」
霞が倒れてから少し気になり始めた。
遊佐「神社、上って帰ろう」

遊佐「あり?」
昨日の部屋の前まで来たけど……。
誰もいないし、荷物もない。
部屋の横にあるであろうと思われる名札もない。
遊佐「移動、かな」
さっき通り過ぎたナースステーションまで戻る。
遊佐「すいません」
看護師「はい?」
遊佐「昨日ここに入院した」
名前なんて言えばいいんだろ?
遊佐「椎府さんはどこへ行ったんでしょう?」
とにかく、当たり障りのない呼び方で……。
我ながら少し情けない。
看護師「あぁ、えっと霞さんね」
遊佐「そうです」」
看護師「ちょっとまってね」
看護師さんがファイルを開いて確認する。
看護師「一個上の階の605ね。エレベータをでて右の方を行けばわかるわ」
遊佐「わかりました。ありがとうございます」
エレベータの隣にある階段を上っていく。
しばらく指示どおりに廊下を歩いて行くと605号室が見つかる。
部屋のドアのよこにかかった名札を確認する。
遊佐「あってる、な」
椎府 霞
左側の上から二番目。どうやら四人部屋に移されたようだ。
といっても部屋にいるのは霞ともう一人。
これを見ると改めて入院してるんだな、と思わされる。
ドアをノックして開ける。
遊佐「失礼します……」
右奥と左手前がカーテンで仕切られている。
左手前のカーテンにいるのが霞だろう。
霞「その声、遊佐君?」
左から声が聞こえる。
カーテンを開ける。
遊佐「よっ、起きてたのか」
霞がそこでベットに寝ていた。
霞が体を起こそうとする。
遊佐「大丈夫?」
霞「うん、平気」
霞が小さくよっこいしょっと言う。
霞「昨日はありがと」
霞が微笑みながら言う。
遊佐「どういたしまして」
少しも照れくさそうにしていない霞。
これがいつもの自然体の霞だ、と思った。
遊佐「にしても、まじでびっくりしたんだぞ」
俺はそこにあったパイプ椅子に腰掛ける。
霞「うーん、驚かすつもりはなかったんだけど」
遊佐「あっても困る」
俺は笑いながらそう言う。
霞「思ったより疲れてたのかなぁ」
遊佐「倒れたんだからな」
かなり疲れていたのに違いないんだけど。
遊佐「自覚してないのか?」
霞「うーん……」
疲れ知らずというか……。
遊佐「無茶しすぎなんだ」
人差し指で額を突いてやる。
遊佐「しばらく休憩」
霞「うん……」
遊佐「で、体調はどうなんだ?」
霞「今は平気?」
遊佐「いや、疑問文で言われても……」
霞「そうだね」
ふと目に入る。
遊佐「これ何?」
俺はテーブルの上にあったお守りが目に入る。
合格祈願。
遊佐「合格祈願?」
遊佐「何か試験でも受けるの?」
……にしてはぼろいんだが。
霞「違うってば。昔から持ってるの」
遊佐「なんで合格祈願?」
霞「何でだろうね?」
悪戯っぽい笑顔を向けられる。
遊佐「あのなぁ……」
さっきからこんな感じだな。
霞「昔から持ってたんだ」
霞がお守りを手に取る。
遊佐「確かに、ぼろぼろだもんな」
ずっと大事にしてきたんだろうか。
遊佐「でも、お守りならお守りらしく霞を守ってくれないと困るな」
霞「でも今まではずっと大丈夫だったんだけど」
お守りを目の辺りでひらひらさせている。
遊佐「流石にお守りも過労だったんじゃないか」
今までずっと霞の代わりに疲れていたのかもしれない。
……なんてそんなわけないか。
霞「うーん、これからも守って欲しいな」
遊佐「大事にしてたらいいんじゃないか?」
霞「そうする」
そういうと再びお守りをテーブルの上においた。
遊佐「そういえばさ、今日松下さんと来る予定だったんだけど」
霞「うん?」
遊佐「来れなくなったんだそうだ」
俺は何となく外を見た。
お? こっから学校が見える?
ってことはあっちが神社か……。
病院とは気付かなかったな。
霞「何で?」
遊佐「さぁ……携帯で話してたんだけど忙しそうにしてた」
霞「喫茶店……は開いてないよね」
遊佐「うーん」
二人して頭を悩ませたけど全然わからなかった。
遊佐「ま、とにかく昼からの予定を繰り下げて霞に会いに来たんだ」
霞「ふふ、ありがとう」
……気付かないうちに少し恥ずかしいセリフを言ってしまった。
遊佐「と、とにかく元気そうで安心したよ」
霞「うん」
遊佐「拓也は?」
霞「まだ今日は来てない」
遊佐「そっか……」
それからも二人で会話をしていた。
段々話すことも無くなってきた。
遊佐「まだ来ないか」
拓也を待っていたんだが……。
遊佐「しょうがない、何か買ってきて欲しいものある?」
霞「うーん……」
遊佐「遠慮すんなよ?」
先に念を押す。
一応大分お金溜まったし、生活費も余裕になった。
霞「それじゃあ、飲み物」
遊佐「どんなのが欲しい?」
霞「スポーツドリンクみたいなの」
遊佐「おっけ、んじゃ行って来るわ」
俺はカーテンを開けてそこを離れた。

遊佐「戻ったよ」
俺はスポーツドリンクを引っさげて戻ってきた。
霞「……すぅ」
遊佐「む……」
どうやら寝てしまったようだ。
どうしよう。起こすのも気がひける。
ペンがあったのでレシートの裏に。
遊佐「お大事にっと」
と書いてテーブルの上に飲み物と一緒に置いた。
最終更新:2007年03月26日 01:50